東方龍優録〜心優しき少年の幻想郷生活〜   作:餡 子太郎

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どうもです。

第十六話です。

それではどうぞ。


第十六話 地縛霊と貧乏神

龍騎「んん〜......ふぅ...」

 

新居で一夜を過ごした俺は布団の上で身体を伸ばす。女性の霊が出るって言うのはただの噂だった。特に身体に異常は見当たらないし変な夢を見ていない。

 

龍騎「何が女性の霊が出るだよ...、全然出ないじゃん」

 

「呼びました?」

 

龍騎「えっ?」

 

俺は声が聞こえた方向に向くと、半透明の女の人が壁を貫通して俺を見ていた。

 

霊「あの...、さっき私の事呼びました?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍騎「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!! 」

 

数分後、落ち着いた俺はあぐらをかき、女性の霊は正座をした。

 

龍騎「...ごほん、さっきは騒いで悪かった」

 

霊「い、いえいえ。私の方こそ驚かせてごめんなさい」

 

龍騎「...まぁ、その話はこれで終わりって事で。もしかしてだけどあんたは......」

 

霊「は、はい...、私は間遠直子《まとお なおこ》と言います。数年前に死んだ幽霊...、所謂地縛霊です」

 

まさか噂は本当だったのか...。地縛霊って言われた瞬間、某赤い猫の妖怪が出てきてしまった。

 

龍騎「地縛霊、か...。どうして死んだんだ?」

 

直子「...少し、話しが長くなるんですが...、私が生きていた時には三つ上の彼氏がいました。その人は誰よりも真面目で優しくて人里でも評判は良かったんです。でも、私一人の男性に目をつけられまして...」

 

目をつけられた...、つまりストーカーに遭ったのか。

 

直子「それで彼氏に相談してその男性をどうにかして欲しいって頼んだんです。翌日彼氏は男性に会いに行ったんですが...、それから帰って来なくて...」

 

龍騎「...まさか」

 

直子さんはこくり、と首を縦に振る。なんて奴だ...。

 

直子「死因は撲殺、打撲の数が多くて切り傷が一つも無かったので死ぬまで殴られたかと...」

 

龍騎「...心中お察しします」

 

つまり彼氏が死んでショック死で死んだ。そしたら地縛霊になった、と...。

 

直子「...実はまだ話しは続くんですが」

 

龍騎「えっ?」

 

まだ話しは続く?嘘でしょ?ショック死で地縛霊になったんじゃないの?

 

直子「彼氏が亡くなった一週間後に、例の男性が私の所に来て『話がある』って言われて...」

 

龍騎「...それで?」

 

直子「人目につかないところまで連れて来られて、告白されました...」

 

龍騎「は?」

 

ちょっと待ってそれはおかし過ぎない?告白?馬鹿じゃないの?普通彼氏が亡くなって落ち込んでる時にすぐに告白するか?

 

直子「当然私は断りました。それでもあの人はしつこく言ってくるので...、私は平手打ちをして逃げたんです」

 

龍騎「良い判断(センス)だ」

 

直子「そしたら...、あの人は空を飛んで私を掴んで分からない所へ連れて行かれました」

 

龍騎「は?」

 

空を飛んだ?つまりその男は人間じゃない...?

 

直子「そのまま私は、その人に...無理矢理......」

 

龍騎「オケ把握、なんとなく察したわ」

 

つまり誘拐された後、わいせつされてそのまま殺されたと...、俺そう言うのは駄目なんだよ......。やっぱり純愛物しか勝たん。

 

龍騎「...まぁ、その男に殺されて幽霊になった直子さんは此処に戻って来た、と......。でもどうして地縛霊に?地縛霊って死んだ事が信じられない人がなる事だろ?」

 

直子「...実は、その人にやられた時の記憶が無くて...、気がついたらこんな姿に...」

 

成る程な、つまり薬品を使って眠らせた後目的を果たしたって訳か...。

 

直子「まさかこんな事になるなんて思いませんでした...。とても死にきれないです...」

 

そりゃそうだろうな。無理矢理犯されて殺されたんだからな。

 

直子「それから私はずっとこの家に居ました。何回かこの家を買ってくれる人がいたんですが...、私が出るって噂が広がって...」

 

龍騎「成る程...、この家に思い出があるのか?」

 

直子「そうですね...、私と彼氏の大切な場所でもありますから」

 

...逆に俺此処に住んで大丈夫なのか?

 

直子「い、いやですよね...。こんな霊と一緒にいるのは...」

 

龍騎「...別にそうは思わない」

 

直子「...えっ?」

 

龍騎「元から俺は噂なんて信じないから幽霊が出ようが妖怪が出ようが関係ない。悪霊が出たならお祓いして貰えば良いし、妖怪が出てきたらぶっ飛ばせば良い話しだ。それにさっきの話しを聞いて逆に俺は此処に住んで大丈夫なのか?ってぐらいだ。だから俺は出て行かないよ」

 

直子「...変わってますね。そんな事言うの貴方が初めてですよ」

 

龍騎「そうか?俺は本心を言ったまでだぞ?」

 

直子「...そうですか、ありがとうございます。龍騎さん」

 

龍騎「...それよりあんたはどうするんだ?成仏でもするのか?」

 

直子「で、できれば此処に残りたいなぁ〜なんて...『別に良いよ』無理ですよね...へっ?」

 

龍騎「流石に悪霊だったら無理矢理成仏させるけど、あんたのような優しい幽霊なら残りたいなら残す、成仏するなら成仏する。俺はなるべく他人の意思を尊重したい。例え幽霊であってもな」

 

直子「龍騎さん...」

 

龍騎「それにさ...、例え大切な物が手で持てないとしても簡単に手放しちゃ駄目だろ?」

 

直子「...あ、ありがとうございます龍騎さん」

 

直子さんは涙を流してお礼を言う。幽霊でも涙出るんだな...。そこから直子さんと雑談をして午前中を過ごした。

 

 

昼食を外で済ませて買い物に行こうとすると、直子さんが着いてきた。外に出て良いのかと聞くと、『霊感が強い人じゃないと私は見えない』との事。まぁ俺は霊力があるから見えるんだと思う...多分。

 

龍騎「さてと、何を買うか...」

 

直子「龍騎さんは家事とか出来るんですか?」

 

龍騎「まぁ、外の世界じゃあ一人暮らししてたからな」

 

直子「あ、外の世界から来たんですか」

 

龍騎「...驚かないのか?大半の人は驚いてるのに」

 

直子「まぁ珍しいですけどそこまで驚く事じゃないですからね」

 

やっぱりか...、みんな大袈裟なんだよ。なんて思いながら歩いていると

 

?「......」

 

何故か青い色の長い髪に薄汚れた服を着た少女が体育座りをしていた。近くにぼろぼろのお茶碗を置いて...。

 

龍騎「......何あれ?」

 

直子「あ、あの子...」

 

龍騎「知ってるのか?」

 

直子「あの子『依神紫苑《よりがみ しおん》って言って...、確か『貧乏神』だったような...」

 

貧乏神...、えっ?貧乏神?キ◯グ◯ン◯ー的な?

 

龍騎「...幻想郷にも貧乏神っていたんだな」

 

直子「まぁ、妖怪の山に神様がいるぐらいですからね」

 

龍騎「妖怪の山?」

 

直子「幻想郷の北西側に妖怪の山があって、頂上に『守谷神社』があります。そこに二柱と巫女さんがいるんです」

 

妖怪の山の頂上に二柱の神様に巫女、か...。今度行ってみるか...。取り敢えず俺は貧乏神、依神紫苑に近づく。そしてポケットから財布を取り出し一円玉をボロボロのお茶碗に入れる。

 

龍騎「...良かったら使ってくれ」

 

紫苑「?なにこれ?」

 

龍騎「外の世界のお金、幻想郷だと一万円の値段だ。それ使ってなんか食え」

 

紫苑「!!」

 

紫苑は目を輝かせた。そんなにひもじかったのか...、流石は貧乏神。

 

紫苑「...良いの?」

 

龍騎「...いくら貧乏神でも何か食べないとヤバいだろ?」

 

紫苑「...ありがとう」

 

紫苑は少し顔を赤くしてお礼を言う。...こういうのも悪くはないな。俺は軽く手を振って紫苑と別れた。

 

直子「...優しいんですね」

 

龍騎「何がだ?」

 

直子「私もそうですけど普通ならみんな近寄って来ないのに、どうしてですか?」

 

龍騎「...なんでだろうな。ほっとけないとかそんなんじゃない、ただの自己満足でやってるだけであってそれ以上でも以下でもないんだよ」

 

直子「...そうですか」

 

龍騎「ああ」

 

それから食材を買って、自宅に帰ろうとする。が...。

 

龍騎「...なぁ、直子さん」

 

直子「どうしました?」

 

龍騎「...なんか着いてきてね?」

 

俺の言葉に直子さんは振り向くと、さっき一円玉をあげた貧乏神、依神紫苑が着いてきていた。なんで?もっと金が欲しいのか?

 

直子「...着いてきてますね」

 

龍騎「...どうする?」

 

直子「どうしましょうか...」

 

それから紫苑の事は振り向かず帰宅する。そして玄関に着くと振り向いたら紫苑が居なくなっていた。いや...、物陰で隠れている、っていった方が正しいな。

 

龍騎「...いつまで隠れてるつもりだ。いい加減出てこいよ」

 

紫苑「!?」

 

紫苑は物陰から出てきた。

 

紫苑「...何でバレたし」

 

龍騎「いや、あれでバレないと思った?」

 

紫苑「...」

 

紫苑は俯いてしまった。仕方ない...。

 

龍騎「...どうすんの?帰るの?」

 

紫苑「...それは」

 

龍騎「...迷ってるなら中に入れよ。俺は別に構わんぞ?」

 

紫苑「...えっ?」

 

龍騎「なんで着いてきたか知らんが、恵んで欲しいならそう言えば良いだろ?」

 

紫苑「...良いの?」

 

龍騎「入るか帰るかは自分で決めろ。俺には決定権が無い」

 

紫苑「...お願い、します///」

 

紫苑は顔を赤くして恥ずかしそうに頼んだ。最初からそう言えば良いのに...。

 

龍騎「直子さんもそれで良いよな?」

 

直子「はい、それと家主は龍騎さんなので、龍騎さんが決めても大丈夫ですよ」

 

龍騎「そうか...、分かった」

 

それから紫苑と夕食を食べてお風呂にも入れさせた。流石に洗ってやれないので洗い方とシャンプーの場所を教えた。流石に不味いからね、しょうがないね。そして紫苑を布団で寝かせ、俺は予備の布団が無い為、床で寝ることにした。まぁ、少し色々あったけど一人暮らしには問題無さそうだな。そんな事思いながら俺は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「全くいつになったら帰ってくるのやら...、姉さん大丈夫かな...?」

 

とあるボロい一軒家で一人の少女は姉の帰りを心配しながら待っていた。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。

次回もよろしくお願いします。
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