第二十二話です。
それではどうぞ。
龍騎「...大丈夫か?」
椛「龍騎さん...!龍騎さん!」
椛を立たせて俺に抱きついて来た。あーあ、服がビリビリに破かれてるじゃん...、まぁ下着が破かれていないのが救いだな。...おっといかんいかん、直ぐに服を脱いで椛に渡す。こんな冬に能力で体温が上げられるのがマジで助かる...。
真琴「な、何故だ...、何故お前が此処に...?」
龍騎「お前に殺された人が幽霊として俺の家に住んでるんだ。その人から全て聞かせて貰ったよ...。てめぇだけはぜってぇに許さねぇ...!」
椛「ど、どう言う事ですか!?」
龍騎「...こいつは過去にお前以外の女性を手に掛けた。直子さんもその一人だったのさ」
椛「そんな...」
真琴「嘘だ!椛さん、そいつに騙されては駄目だ!」
椛「貴方の事なんて信用出来ません!私を騙しておいて良く言えますね!」
龍騎「見事な嫌われっぷりだな...」
真琴「お前が...、お前がいる所為で!お前がいるから椛さんは!」
龍騎「黙れ!!罪の無い人達を殺めておいて何を言っている!女性が苦手な俺でもこんなに胸糞悪いのは初めてだよ」
真琴「うるさいうるさい!お前がいなければ椛さんは俺の物になれたのに...!」
龍騎「椛はお前の物じゃねぇ!それに、てめぇのような屑に好きになる人物なんて一人も居ねぇよ」
真琴「なんだと...!」
龍騎「...今の俺は今まで以上に怒ってる。お前は俺に超えちゃいけないラインを越えさせたんだ。覚悟は出来てるな?」ギロッ
真琴「っ!...やる気かい?俺は鴉天狗、妖怪なんだぞ?」
龍騎「分かってるさ。...例え勝てないって分かってても、てめぇだけは一発ぶん殴られねぇと気が済まねぇ!」
真琴「ははは!ヒーロー面かい?お人好しのお前にはピッタリの言葉だな!」
龍騎「...俺はヒーローでも正義の味方でも何でもない。俺は俺であってそれ以上でも以下でも無い。今回だって俺の自己満足の為に動いてるが椛の事がどうでも良いなんて一つと思ってない。こうやって椛の所に来たのは助けに来ただけじゃ無い」
俺は右手に拳を作り、火属性を解放して魔力を溜める。
龍騎「お前に殺された直子さんとその彼氏、そしてそれ以外の女性の方々、今回被害に遭った椛の為に、お前をぶっ飛ばす為に俺は此処にいる!」
真琴「俺をぶっ飛ばす?...ふっ、ふふふ...あはははははは!!これは面白い!人間が妖怪にぶっ飛ばすどころか傷一つ付ける事も出来る筈がない!」
龍騎「生憎俺は吸血鬼と戦った事がある...。お前と比べれば甘い方だ」
真琴「はっ!そんな嘘通用するとでも?だったら証明して貰おうか!」
真琴は余裕の笑みを浮かべて俺に接近してきた。文程の早さではないが中々早い。
真琴「おらっ!」
真琴は俺を殴り掛かって来た。俺は左手で真琴の拳を受け止める。
真琴「なっ!?」
龍騎「俺が能力持ちだと気づかなかったのか?」
そう言って俺は左手に雷属性を解放させて真琴を感電させる。
真琴「があぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
龍騎「俺の能力、『属性を操る程度の能力』の一つ、雷属性はどんなものでも感電させられる。例え妖怪でも電気には弱い筈だ」
真琴「く、くそぉ...、いつからそんなものを...!」
龍騎「吸血鬼と戦ってる途中にな、お喋りはここまでだ」
俺はゆっくりと真琴に近づく。
龍騎「まずは...、これは直子さんの仇だぁ!」
俺は火属性を解放させた拳で真琴の顔を殴った。
真琴「ごはっ!」
龍騎「そして...、これは直子さんの彼氏さんの仇!」
真琴「ごふっ!」
龍騎「そしてこれは...、お前が手をかけた女性達の仇!」
真琴「うぐっ!」
龍騎「最後に椛を怖がらせた分!」
真琴「ぐはっ!」
龍騎「おまけに...、俺を怒らせた罪だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は最後の一発を全ての魔力を使って真琴を殴った。殴られた真琴は二、三メートル程吹っ飛んでいった。
龍騎「はぁ...、はぁ...」
魔力を使い果たした俺は地面に膝を付ける。
椛「龍騎さん!」
椛が近寄って来て、俺を支えるように立たせた。
真琴「人間にしてはまずまずだが...、そんなんじゃあ俺以外の妖怪には倒せないぜ?」
真琴がふらふらしながら俺の元に戻ってきた。分かっていたがやはり妖怪は人間と違って頑丈だな...。
龍騎「...確かにな、今の俺じゃあ妖怪の一人や二人は倒せないだろうな。でもな...、お前何か忘れてないか?」
真琴「は?」
龍騎「俺が此処に来た目的...、何だっけ?」
真琴「...俺をぶっ飛ばしに来た事」
龍騎「そう言う事だ。つまり俺の用は済んだ」
椛「えっ...?」
真琴「なっ...」
龍騎「後は煮るなり焼くなり好きにしろ...
上司様」
「真琴...貴様っ!」
真琴「なっ!?」
椛「大天狗様!?」
椛の上司、大天狗が空から現れた。ついでに文も。
文「お待たせしました龍騎さん!」
龍騎「ナイスタイミングだ文」
椛「ど、どうして大天狗様が此処に...?」
龍騎「説明しよう!俺が此処に到着する前の事である!」
〜到着する数分前〜
文と別れた俺は椛が走って行った道を全力で走っている。恐らく人目に付かない所に居る筈だ。僅かながら椛の魔力を感じる...。
龍騎「無事でいてくれよ...、頼むから...!」
文「龍騎さーん!」
俺が走っていると文がやって来た。
龍騎「...早くね?お前ってそんなに早かったっけ?」
文「そりゃ幻想郷では最速と言われてますからこのぐらい朝飯前ですよ!」
あ、幻想郷最速なんだ。マスゴミの中でナンバーワンなのか。
龍騎「...この先に僅かながら椛の魔力が感じる。恐らくその先だろう」
文「本当ですか!?それでは早く行きましょう!」
龍騎「待て、お前は上司を連れて来てくれ」
文「え?どうしてですか?」
龍騎「此処は確実に仕留めるぞ。お前達の上司を連れて来れば流石の真琴も何も出来ない筈だ。お前が上司を呼びに行ってる間に俺が真琴を抑える」
文「成る程、そう言う事ですか!分かりました!それでは行ってきます!椛をお願いします!」
文は俺に敬礼をして飛んで行ってしまった。さて、俺が何処まで時間を稼げるかだな...。せめて5分...、いや10分は最低でも稼がなくちゃならない。頼むぞ文...。
〜現在〜
龍騎「...と言う訳さ」
真琴「なん...だと...」
大天狗「全ては文から聞かせて貰った。伊東真琴、貴様を殺処分とする!」
真琴「そ、そんな...」
龍騎「お前にしては無様な最期だな。ま、同情なんてしないがな」
真琴「貴様だけは...、貴様だけは絶対に許さん!」
龍騎「だから何だよ?」
真琴「っ!殺す、殺してやる!」
最後の抵抗なのか真琴は俺に殺気を放ちながら近づいて来た。が、直ぐに拘束された。
文「往生際が悪いですよ真琴さん」
真琴「は、離せ!こいつだけは、こいつだけは!!」
龍騎「最期に聞きたい事がある。...何故罪の無い女性を狙った?」
真琴「俺は鴉天狗の中では優秀なんだ!そこらの男とは違う!だから恋愛にも絶対的な自信があった!でも女が悪いんだ!何故俺を見ない!?何故俺と一緒に居ようと思わない!?それに男にとっては女は宝だ!女性苦手のお前には分かるまい!」
龍騎「...確かに分かんねぇよ。女子にいじめられて、信用出来なくなった俺には理解出来ない話しだ。それに俺は優秀でも何でもないただの人間だ。でもな...、自分の理想が叶わないから命を奪うのか?てめぇ命の何だと思ってるんだ!!」
真琴「!」
龍騎「命なんて身近な物でも失う事が出来るんだぞ!?人間も妖怪も簡単に死んじまうんだぞ!?それをお前は平然とやっていたんだぞ!?何とも思わないのか!?自分の理想が叶わないのを理由に罪の無い女性を殺めてきたのに何も感じないのか!?」
真琴「...黙れよ、お前に何が分かる!?逆にお前は欲望は無いのか!?」
龍騎「あ?ねぇよそんなもん。そんなのとっくに外の世界で犬にでも食わせてきたレベルだ」
真琴「な...」
龍騎「俺はな、ただ平凡に生活していけば何もいらない。お前のように女が欲しいとか自分を好きになって欲しいなんて一度も思わない」
椛「龍騎さん...」
文「......」
真琴「貴様...!何も分かってないな!誰かを愛し、子供を授かり家庭を築こうとは思わないのか?」
龍騎「興味ないね」
真琴「!?」
龍騎「だけど、これだけは言える。お前のようにはなりたく無いってな」
真琴「ふざけるな!!椛さんは...、少なくともお前の事を好きなんだぞ!?」
龍騎「!?」
文「はいぃぃぃ!?」
大天狗「ほう...」
椛が...?俺の事を...?いや、何かの間違いだ。
龍騎「...例えそれが事実でも俺にはそんな資格はない。愛する事も愛される事もな」
真琴「!!貴っ様!」
文「こら!暴れないで下さい!」
真琴「お前は屑だ!何故彼女の気持ちを知ろうとしない!?何故受け止めようとしない!?」
龍騎「......これ以上喋るなよ。さっさと消えろよ。天国でも地獄でも無い無の世界に」ギロッ
それから真琴は何か言っていたが何故か俺の耳には入らなかった。真琴の言う通り俺は屑だ、俺を好きになるなんておかしいし、俺の何処に好きになる所があるのだろうか...。
文「あーもう!少し黙って下さい!」
真琴「がっ!?」
文は真琴に手刀で気絶させた。そのまま真琴は大天狗様の後に付いてきた部下の天狗達によって連れて行かれた。
龍騎「......」
大天狗「霧影龍騎...、だったか?」
龍騎「はい」
大天狗「お前の事は文から聞いている。礼を言うぞ」
龍騎「気にしないで下さい。自己満足で動いただけなんで...」
大天狗「それでも椛は助かった。感謝はしているさ」
龍騎「...そう言う事にしておきます」
大天狗「伊東真琴に関しては安心すると良い。二度と地上には現れないだろう」
龍騎「そうですか」
大天狗「では私は此処で失礼する。今度会う時が来たら話しでもしよう」
そう言って大天狗様は飛んで行ってしまった。
椛「龍騎さん!」
椛が近づいて来た。
椛「あの...、今回はありがとうございました!」
龍騎「...さっきも言ったけど、俺の自己満足で動いただけであってお前が気にする事は無い」
椛「それでもお礼が言いたいんです。本当にありがとうございました!」
龍騎「...分かった、そう言う事にしておく」
椛「...あの、大丈夫ですか?さっきから顔色が良くないんですが...」
龍騎「...どうしても昔の事を思い出しちまうんだ、お前達が俺を受け入れてくれると分かってても...」
俺が俯くと、椛はそっと抱きしめてくれた。
椛「それでも、私は龍騎さんの事が好きです」
龍騎「椛...」
椛「私は龍騎さんのお陰で救われたんです。私だけじゃない、直子さんや依神姉妹だって救ったんですよ。龍騎さんは自己満足で動いてると言ってますけどそれでもみんな龍騎さんに感謝してるんです」
龍騎「...そんなものなのか?」
椛「はい、だからもっと自信を持っていきましょう!」
龍騎「...うん」
文「......あれ?私は空気なんですか?」
椛「あ、文さんまだ居たんですか」
龍騎「先に帰ったかと思った」
文「二人していじめないで下さい!?」
それから皆んなで家に帰った。玄関前には直子さんが待っていた。俺達の方を見ると、涙を流して近づいてきた。そして伊東真琴の事を伝えると、
直子「本当にありがとうございます。お陰で私達の無念を晴らす事が出来ました」
なんて言っていたが、何か成仏しそうな展開だったので途中まで止めた。流石にいきなり消えるのは良くないよ?何はともあれ、これで椛のストーカー事件は終息した。もう二度とこのような事件が起きない事を俺達は心から願った。
いかがでしたか?
ついにダンカグがリリースされましたね。
ちなみに自分は妖夢と鈴仙が出ました。
誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。
次回もよろしくお願いします。