東方龍優録〜心優しき少年の幻想郷生活〜   作:餡 子太郎

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どうもです。

第三十九話です。

それではどうぞ。


第三十九話 お面と琵琶と琴の付喪神

とある日の休日の午前中、俺は人里に行われている人形劇を見ている。人形劇をやっているのはアリスで、物語の語り手となりながら器用に人形を操っている。ちなみに今行われてる人形劇の物語は白雪姫である。

 

アリス「こうして、姫と王子は末長く暮らしましたとさ...。おしまい」

 

アリスの終了の一言を言うと、劇を見ていた住民達が一斉に拍手をした。俺も釣られて拍手する、凄いな...、一人でやってるんだろあれ。

 

劇が終了すると、住民達はそれぞれの道に歩き始めた。子供だけで無く大人にも絶賛していたから結構アリスの人形劇は人気らしいな。

 

アリス「あら、見に来てくれたの?」

 

龍騎「ああ、何か集まっていたから気になってな。途中から見させて貰った」

 

アリス「どうだったかしら?白雪姫」

 

龍騎「正直すげぇと思った。だって一人でやってるんだろ?大変じゃないか?」

 

アリス「そんな事は無いわ。私が好きでやってる訳だし」

 

やっぱり凄いな...。俺も見習うべきなのだろう。

 

アリス「これからどうするの?午後は確かお面の子が踊るって聞いてたけど」

 

龍騎「お面の子?」

 

初めて聞いた言葉に首を傾げる。お面の子って誰だ?

 

アリス「お面で表情を表す女の子が午後から踊るのよ」

 

お面を使って表情を、か...。

 

龍騎「...そうだな。見てみるか」

 

アリス「なら一緒に見ましょう?私もこれから暇だし」

 

そしてアリスと一緒にお面の子の踊りを見るのであった。

 

筈だった...。

 

 

 

早苗「りゅーくん!」

 

龍騎「ぐへっ!?」

 

いきなり早苗に抱きつかれた。変な声を上げてしまったが倒れないように踏みとどまる。

 

龍騎「あ、危ねぇだろ...」

 

アリス「何で貴女が此処に居るのよ...」

 

早苗「買い物に来たんですよ。そしたらりゅーくんが居たから抱きつきました!」

 

龍騎「別に抱きつく必要ないだろ...」

 

やれやれ、と溜め息を吐きながら頭を掻く。するとまた人の集まりを見つけた。

 

アリス「どうやら始まりそうね」

 

早苗「何がですか?」

 

龍騎「なんかお面の子が踊るんだと」

 

早苗「ふーん...、りゅーくん折角だから一緒に見よ!」

 

龍騎「一緒に?」

 

早苗「駄目...、かな...」

 

顔を赤くさせて上目遣いで頼む早苗。そんな顔すればOK貰えると思ってる?ってかいつそれを知った?

 

龍騎「...別に断る理由が無いからな。アリスが良いなら俺は良いぞ」

 

アリス「私は構わないわよ」

 

早苗「ありがとーりゅーくん!」

 

アリスの許可を貰えて早苗は再び抱きついてきた。

 

龍騎「わ、分かったから離れろ!色々やばいから!(性的な意味で)」

 

アリス「...確かにやばいわね(周りの視線の意味で)」

 

早苗「えへへ♪」

 

嬉しそうな顔をしてぐりぐりと擦る早苗。

 

龍騎「(辞めて!?もう辞めて!?りゅーくんのライフ(理性)はレッドゾーンよ!?)...ア、アリス助けてくれ。動けない...」

 

アリス「...知らない」プイッ

 

アリスは頬を膨らませてそっぽ向いてしまった。えっ?何で怒ってんの?

 

アリス(何よ、デレデレしちゃって...。そんな事するなら他所でやりなさいよ..!)

 

早苗「もしかしてアリスさん、羨ましいんですかぁ〜?」

 

アリス「なっ!?」

 

ニヤニヤと笑いながら言った早苗の発言にアリスは顔を赤くする。えっ?怒ってた訳じゃないの?

 

アリス「そ、そんな訳無いでしょ!?私はただ周りの視線が痛いから他所でやって欲しいって思ってただけよ!」

 

腕を組んでふん、と勢いよく顔を横に振る。何そのツンデレみたいなやつ可愛い」

 

アリス「っ〜///」

 

早苗「..........そうですか、でもりゅーくんは渡しませんからね。りゅーくんは私のお嫁さんなんですから!」

 

龍騎「勝手に決めるな勝手に」

 

アリス「ふ、ふん!好きにすれば良いじゃない!わ、私には関係ない事だし!」

 

何強がったんだアリスの奴...。

 

すると、手を叩く音が聞こえたのでその方向に向けると先程より多くの人達がいた。どうやらこれから始まるらしいな...。

 

早苗「さっ、りゅーくん行こ!」

 

龍騎「お、おい!手を引っ張るなよ!?」

 

アリス「ま、待ちなさいよ!」

 

 

 

それから早苗に引っ張られて例のお面の子の踊りを見る事になった。人溜まりに向かうと三味線の音色が聞こえる。見える位置まで行くと、二人の少女が琴と琵琶を使って演奏し、ピンク色の髪に少女が扇子を二つ持って踊っていた。

 

アリス「いつ観ても良い踊りねぇ...」

 

龍騎「......」

 

早苗「?どうしたのりゅーくん」

 

龍騎「ん?あ、いや...、別に...」

 

アリス「何か気になる事があるの?」

 

龍騎「...気になると言うか...、勿体無いなって思った」

 

アリス・早苗「「勿体無い?」」

 

そう、俺が思ったのはお面の子が折角良い踊りをしているのに全くの無表情なのだ。アリスの言う通り、頭に着けているお面がちょくちょく変わっているから自分の顔の代わりにお面で表情を表しているのが本当に勿体無いと思った。

 

龍騎「ほら...、あの子普通に可愛いし、踊りも綺麗だけど、...やっぱり顔を使って表情を表した方がもっと良い気がするんだと思う...」

 

アリス「...まぁ言いたい事は分かるけど、仕方ないわよ。あの子付喪神だから」

 

龍騎「ふーん、付喪神か...。......えっ?神様って事?」

 

早苗「ちなみに私も神様なんだよりゅーくん!」ドヤ!

 

龍騎「嘘でしょ...、そんなに偉くなったのか...」

 

まさかの事実に驚愕する俺。だって七年前に離れ離れになった早苗がいつの間にか神様になってんだぜ?驚かない方が無理だ。それから踊りが終わって観客が去って行き、俺達も紛れて帰ろうとすると、誰かに袖を掴まれた。振り向くと、先程踊っていたお面の子だった。その後ろに演奏していた二人も居た。

 

お面の子「お前さっき私の踊り観てただろ」

 

龍騎「え?あ、うん...。所で何の様で?」

 

お面の子「やぁやぁ我こそは秦 こころ《はたの こころ》なるぞ。面霊気だぞ!」

 

龍騎「.....」

 

こころ「......」

 

早苗「......りゅーくん、何か言ってあげて」

 

龍騎「え?俺なの?ってか何て言えば良いんだ?」

 

アリス「......それで?何がしたい訳?」

 

こころ「......こっからどうすれば良いんだ!?」

 

龍騎「知るかっ!自分から言い出したんだろうが!」

 

?「まぁまぁ落ち着いて...、初めて外来人さん。私は九十九 弁々《つくも べんべん》と言います。琵琶の付喪神です」

 

?「私が九十九 八橋《つくも やつはし》だよぉ〜!弁々姉さんの妹で琴の付喪神だよ!」

 

琵琶の付喪神、九十九弁々が礼儀正しく頭を下げて挨拶してるのに対し、妹であり琴の付喪神、九十九八橋は現代っ子みたいな挨拶をしてくる。

 

龍騎「ご丁寧にどうも...、霧影龍騎です」

 

弁々「貴方の事は存じ上げでおります。何でも白狼天狗のストーカー事件を解決した、と...」

 

龍騎「...最終的には大天狗様がとどめを刺したんだ。俺の手柄は一つも無いよ」

 

八橋「それでも凄いよ!人間が妖怪を助けるなんて博麗の巫女でもやらないよ」

 

まぁ霊夢の場合容赦無いからなぁ...、特に妖怪に対して。

 

早苗「りゅーくんどう言う事!?椛さんのストーカーって!?」

 

アリス「私も気になるわね。話して貰えるかしら?」

 

龍騎「アリスなら兎も角...、早苗は知らなかったのか...、まぁ良いけど」

 

俺は素直に椛の事を説明した。

 

アリス「そんな事が...(通りでぐいぐい攻めてる訳か...)」

 

早苗(まさかとは思ってたけど...、椛さんまでりゅーくんの事が...)グヌヌ

 

八橋「良いなぁあの白狼天狗。羨ましいよ」

 

弁々「貴方は他の人間とは違う優しさの持ち主なんですね」

 

龍騎「そんな事は無い...。ただの自己満足で動いただけだ」

 

アリス「それにしては結構勇敢に立ち向かうじゃない。だから椛が好きになるのよ」

 

早苗「やっぱり其処は変わってないんだね、りゅーくん」

 

龍騎「.....」

 

変わってない、か...。なら俺は変われるのだろうか...。

 

こころ「よく分からんがお前が偉い事をしたのは分かったぞ!」

 

龍騎「分からないんじゃ分からなくて良いよ...」

 

こころ「そんなお前に私のお面をくれてやる!受け取れ!」

 

そう言ってこころは俺にあるお面を渡した。それは...、

 

龍騎(...なんでム◯ュ◯?)

 

それは某人気ゲームに登場するお面であった。いや何で持ってんだよ、災い起こす気か。

 

こころ「それかこれもくれてやろう!遠慮するな!」

 

そう言って石◯面やら虚◯状態の仮面やら次々に渡してくる。こんなにあってもな...。

 

龍騎「な、なんかありがとな...。こんなに貰っちゃって...」

 

こころ「うむ、他にもまだあるぞ?」

 

そう言ってまた新たなお面を取り出した。どんだけ持ってるんだよ...、あと何処から取り出した?

 

龍騎「いや、良いです...」

 

そう言って試しにム◯ュ◯の仮面を着けてみる。数秒経ってもうんともすんとも言わず、何の変哲も無いただのお面である事が分かった。そして早苗が石◯面を貸して欲しいと言ってきたので、貸すと直ぐに付けて、

 

早苗「俺は人間を止めるぞ!ジ◯ジ◯ーーー!」

 

と、懐かしいネタを使ってきた。やると思ったよこんちくしょう。それからあれこれお面を付けては皆んなで笑ったりしていた。

 

 

 

 

 

?「ふふふ、良い所に人間達が固まってる...」

 

龍騎達から少し離れた所に、傘を持った少女が物陰に隠れて笑みを浮かべていた。

 

傘の少女「最近、驚かせてないから良い獲物ね...。ふふふ、これから驚かせるとなるとワクワクするわ...」

 

そして傘の少女は足音を立てないように、慎重に龍騎達の元へ近づいていく。

 

傘の少女(さぁ、驚きなさい...!)

 

そして、傘の少女は龍騎の後ろへやって来た。そして、

 

傘の少女「う〜ら〜め〜し〜や〜」

 

龍騎を驚かせに行ったのだが...、

 

龍騎「ん?」⇦般若(高クオリティー)の仮面装着

 

傘の少女「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

逆に龍騎(の着けていた仮面)に驚いてしまい、絶叫を上げた後、気絶してしまった。

 

傘の少女「」チーン

 

 

 

 

龍騎「......こいつは何がしたかったんだ?」

 

早苗「驚かしに来たんじゃないかな...。それで失敗したんだと思う...」

 

アリス「...取り敢えず運びましょう」

 

それから傘の少女をアリスと早苗達に任せて、俺はこころに一日中、お面の着けてはまた別のお面を着けさせられての連続だった。

 

龍騎(まぁ、可愛いからいっか)

 

そんな事思いながらこころの相手をしていた。




いかがでしたか?

投稿ペースが遅くなっていますが、未完で終わらせるつもりは無いのでこれからもよろしくお願いします。

誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。

次回もよろしくお願いします。

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