東方龍優録〜心優しき少年の幻想郷生活〜   作:餡 子太郎

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どうもです。

第四十話です。

それではどうぞ。


第四十話 お料理教室

ちゅんちゅん、と小鳥の鳴き声が聞こえ、重い瞼を無理矢理にでも開けて身体を起こす。最近、仕事尽くしだった為疲れが取れず、肩の凝り、目の疲れが最近の悩みである。

 

龍騎「あいつらは.......、まだ寝てるのか...ん?」

 

周囲を確認していると、何故か俺の布団に謎の膨らみがあった。気になって布団を捲ると、見知らぬ少女が寝息を立てながら眠っていた。

 

龍騎「...?......!?.........!!??」

 

思わず二度目をしてしまい、目を擦って確認しても知らない少女であった。

 

えっ?何?泥棒?この娘が?うっそだーだって戸締りちゃんとしてたよ?

 

見知らぬ少女「う、う〜ん...、あれ?此処は何処?」

 

龍騎「よう不法侵入者」

 

それから少女の事情聴取を行った、ちゃんと朝飯を提供して。それで分かった事は彼女は古明地 こいし《こめいじ こいし》地下にある地霊殿《ちれいでん》に住んでるらしい。どうやらこいしには姉がいて、もう直ぐ誕生日らしいのでプレゼントを買いに行く為に地上にやって来た。やって来れたのは良いが、久しぶりに地上に来た為、道を迷ってしまい気がつけば夜になっていたとの事。そして俺の家を見つけて窓に入ってきて俺の布団で寝た...、との事。

 

...網戸にした状態で寝るんじゃ無かった......。

 

龍騎「...んで?お目当ての物は買えた訳?」

 

こいし「ううん、お姉ちゃん何が好きなのか分からないんだ。いつも『気持ちだけで嬉しい』って言ってたから」

 

龍騎「...成程、中々欲張らないタイプか」

 

女苑「あんたにそっくりね」

 

紫苑「意外と馬が合ったりして」

 

龍騎「無い無い、第一、言葉で判断しちゃいけないんだよ」

 

こいし「?どういう事?」

 

龍騎「仮にだぞ?仮にお前からプレゼントをあげるとするだろ?貰って一人になった瞬間はっちゃける可能性がある。ソースは俺」

 

小学五年の時、放課後に早苗の家に連れてかれてバレンタインでカップケーキをご馳走して貰った時、トイレに行くって言って中に入った瞬間嬉し涙を少し流した記憶がある。

 

紫苑「ソースって何?ウスターソース?」

 

龍騎「決して調味料の事じゃないからな」

 

 

 

 

 

 

 

龍騎「ってな感じなんだけどどうしたら良い?」

 

レミリア「態々私に聞く?それ」

 

紅魔館のバイトをしてる時にレミリアに相談という形でこいしの事を説明した。説明し終えるとレミリアはガクッと肩を落とし、はぁ、と溜め息をついた。

 

レミリア「期待して損した...」

 

龍騎「お前は何を望んでいたんだよ...」

 

レミリアは紅茶を一口飲むと、カップをテーブルの上に置き、こいしに視線を向ける。

 

レミリア「それで?そのプレゼントは何渡すか決めてないのよね何渡す気かしら?」

 

こいし「うーん...、まだ分からないんだよね。プレゼントとかするのはあんまり無いし」

 

龍騎「お前以外にプレゼントあげる奴はいるのか?」

 

こいし「えっとね...、お燐がマグカップで、お空が掌サイズの人形にするとか...」

 

なら被らない方が良いな...。しかし、こう言うのに限って俺は何にも協力出来ない。何でったってセンスが無いからな。

 

レミリア「...思い切って料理してみたら?」

 

こいし「料理?」

 

レミリア「えぇ、貴女料理は出来るの?」

 

こいし「いや...、した事がないよ」

 

レミリア「なら龍騎に教わりなさい。彼は家事全般出来るからか美味しい料理の一つや二つは出来るわよ」

 

龍騎「大袈裟だ。それにお前は料理出来るのかよ」

 

レミリア「あら、馬鹿にしてるの?私にだって出来るわよ」

 

龍騎「ほぅ、じゃあ何が出来るんだ?」

 

レミリア「えっと...、まずカレーでしょ?それとラーメンにパスタ...」

 

龍騎「絶対レトルトカレーだよな?ラーメンに関してはインスタントかカップ麺だろ?」

 

レミリア「......どうして分かったの?」

 

だって...、ねぇ...。

 

龍騎「お前(レミリア)が出来るとは思えないし」

 

レミリア「ぐふっ!」

 

龍騎「ってか一回お前俺に食わせて殺しかけたろ」

 

レミリア「ごふっ!」

 

龍騎「その時俺は決心した.....、二度とお前に料理させないってな!」

 

レミリア「がはっ!」

 

レミリアは椅子と共に倒れてしまい、プルプルと腕を震えながらテーブルに手を置く。レミリアに殺されかけたのはパチュリーに本を貰う前の日にレミリアが料理をすると言ってきたのでお言葉に甘えたのだが、食べた後の記憶が全く無かった...。なので俺はレミリア料理禁止令を心の中で発令したのだ。

 

レミリア「いっ、言ってくれるじゃない...、喧嘩売ってるなら買うわよ...」

 

龍騎「言っとくけど紅魔館の中で料理出来ないのお前だけだからな?」

 

レミリア「ゑっ?」

 

レミリアは絶望した顔で固まってしまった。これはレアだな、SSRか星5レベルの価値だ携帯あげるんじゃなかった。

 

レミリア「う、嘘よね...、パチェは兎も角フランが料理してるの...?」

 

龍騎「そりゃ午後の時間はフランと居る時間が多いからな。料理の一つや二つは出来るぞ?主にデザート系だが」

 

レミリア「ば、馬鹿な...、親友だけでなく妹にも先を越されるなんて...」

 

レミリアは椅子の上で三角座りして頭を抱えながらう〜⭐︎と唸ってしまった。落ち込み過ぎだろ...。

 

レミリア「龍騎!料理を教えなさい!これは命令よ!」

 

龍騎「そんな事で命令使うなよ...、俺じゃなくて咲夜さんに頼めば良いだろ!」

 

レミリア「良いじゃない別に!ここだけの話だけど咲夜より龍騎の料理が美味しいんだもん!」

 

龍騎「何がだもん!だよ!?あとちゃっかり咲夜さんの事ディスるなよ!?」

 

レミリアの我儘に頭を抱える。こいつ本当に吸血鬼かよ...。

 

レミリア「お願い!フランに負けてるとなると黙っている訳には居られないのよ!?」

 

龍騎「素直にそう言えば良いだろ...、あ、もうフランの面倒見ないと...」

 

レミリア「お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますしますお願いしますしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますしますお願いしますしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますしますお願いますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします......」

 

龍騎(こ、壊れた...)

 

プライドを捨てたのかひたすら同じ言葉を連呼するレミリアに俺は呆れるしかなかった。こいしは少し顔を引き攣って俺の後ろに立つ。はぁ...、仕方ない...。

 

 

 

 

 

 

龍騎「という訳で、『第一回お料理教室』を行いま〜す」

 

台所の天井に『第一回お料理教室』と書かれた看板をぶら下げて、俺とこい、レミリアはエプロン姿で台所に立っていた。こいしはいえーい、と言ってやる気に満ち溢れている。

 

レミリア「ふん、ようやくね。待ちくたびれたわ」

 

龍騎「レミリアは一人で出来るみたいだからこいしはマンツーマンでやろうか!」

 

こいし「はーい!」

 

レミリア「すみません調子乗りました私にも教えて下さい」

 

そして俺達は早速、料理をする事にした。

 

龍騎「今回作るのはこいしの姉貴にプレゼントするクッキーです」

 

そう言って俺はテーブルの上に絵が書いてある(絵画力皆無)ボードを二人に見せて説明する。

 

龍騎「まぁ、俺の口では説明しても分からないから身体で覚えろって事で早速やってみるか」

 

レミリア「ボードの意味ある?」

 

龍騎「こんな感じで作るよー的な感じで作った」

 

レミリア「......まぁ良いわ」

 

そしてクッキー作りを始めた。まず生地を作る為にバターを練る。

 

こいし「んしょ...、んしょ...」

 

龍騎「焦らなくて良いからゆっくりやろう...、レミリアは大丈夫か?」

 

レミリア「...何とか」

 

どうやらレミリアも順調のようだ。そして粉砂糖、塩、ほぐした卵を加えて混ぜる。

 

こいし「腕が疲れてきた...」

 

レミリア「ふぅ、こんな感じかしら...」

 

お互い第一ステップは完了だな。そして第二ステップに移る。次は薄力粉を加えて、切るように混ぜ、そぼろ状になってきたらボウルに押し付けるように混ぜて生地をまとめるのだが...、

 

レミリア「ああああ〜!?入れ過ぎたぁ〜!?」

 

レミリアが薄力粉を入れ過ぎたようだ。お陰様でボウルの中は白い粉でいっぱいだった。こいしは慎重派なのかちゃんと薄力粉を入れる事が出来た。

 

龍騎「...誰かやると思った」

 

そしてレミリアのクッキーは作り直しになった。

 

 

龍騎「よーし、次は生地を平たく伸ばして冷蔵庫で休ませるぞ。そしたら少し休憩しよう」

 

こいし「?どうして休ませるの?」

 

こいしが質問してきたので俺は当たり前のように答える。

 

龍騎「焼く時に生地が固くなったり縮んだりするからな」

 

レミリア「流石ね...、そんな事も知ってたのね」

 

伊達に一人暮らししてた訳じゃないからな。それから少し紅茶を飲んで休憩をし、休憩を終えると冷蔵庫から二人の生地を取り出し、生地を伸ばして再び冷蔵庫へボッシュートして冷やし固まったら型抜きをする。

 

こいし「ん〜、どれが良いかな〜」

 

こいしは型抜きを選んでる間に、レミリアは適当に型抜きを選んでは楽しそうに型抜きしていく。

 

龍騎(子供だなぁ...)

 

そしてこいしも型抜きを済ませて、オーブンで焼いていく。十数分後、二人のクッキーが完成した。

 

こいし「わぁ〜!美味しそう〜!」

 

こいしのクッキーは丁度いい焼き具合のクッキーだった。それに対してレミリアは...、

 

レミリア「何で真っ黒なのよ!?」

 

何故か木炭と化していた...。オーブンの温度を確認してみると、こいしが使っていた倍の温度に設定されていた。それは焦げる訳だ...。

 

龍騎「...レミリア、お前補習な」

 

レミリア「」

 

レミリアはクッキーとは反対に真っ白になってしまった。当然だ、あんな物食える訳がない(無慈悲)

 

龍騎「そういえば、姉貴の誕生日はいつなんだ?」

 

こいし「えっとね...、一週間後かな?」

 

一週間か...。

 

龍騎「なら三日間クッキー作りの練習して、四日目にテストしよう。合格できたら姉貴に渡すって事で」

 

こいし「うん!」

 

そして俺とこいしは真っ白のまま固まったレミリアを放置して台所を後にした。そしてこいしを帰った後、レミリアの補習(三時間)を行い、それ以降レミリアは料理する時は慎重になってしまった。

 後日、レミリアの手作りクッキー(木炭)を食った紅魔館組全員が意識を失ったのはまた別の話し...。

 




いかがでしたか?

誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。

次回もよろしくお願いします。

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