第四十三話です。
ついに二重人格くんの名前を発表します。
それではどうぞ。
龍騎「...汚ねぇ天井だ」
目を覚ますと、目の前にある天井を見て思った事を言った。いやマジで汚いんだって、木造建築なのか天井がカビだらけだし少し穴が空いている。そして自分の身体に違和感を感じ、確認すると上半身に包帯が巻かれていた。
龍騎「...ってか今何時だ?」
俺は時計を探していると、いきなり襖が開いて、金髪に頭に一本の角がついた女性が現れた。
金髪の女性「お、ようやくお目覚めかい?」
龍騎「あ、貴女は...」
金髪の女性「私は星熊 勇儀《ほしぐま ゆうぎ》あんたが戦った鬼の先輩だ。あの時は悪かったねうちの奴らが迷惑を掛けて」
龍騎「べ、別に良いですよ...」
あの時の鬼の代わりに謝罪する勇儀さん。この人は良い先輩なのかもしれない...。あ、人じゃなかった。そんな事を思っていたら再び襖が開かれ、こいしと知らない女性が入ってきた。
こいし「お兄さん!」
こいしは俺の顔を見ると抱きついて来た。ゆっくりと抱きついて来たので痛みは感じなかった。
龍騎「悪いこいし、負けちまった」
こいし「良かった...、良かったよぉ...」
今にも泣き出しそうな声を出すこいし。これはすごい心配掛けさせちまったな...。
謎の女性「あ、起きたんだ。私は黒谷 ヤマメ《くろたに やまめ》地底のアイドルだよ!」
龍騎「......あ、はい」
ヤマメ「え〜何その反応〜?」
自分からアイドルって名乗るか普通...。
龍騎「ってか俺どのぐらい寝てたんだ?」
勇儀「ん?あ〜、そういやどのぐらいだろうな...。二日は寝ていたんじゃないかい?」
龍騎「そんなに寝てたのか........、え?二日?」
二日寝ていた?ちょっと待てよ...、それって......。
勇儀「どうした?固まってるけど」
龍騎「こいし!姉貴の誕生日会ってやるのか!?」
こいし「えっ?」
龍騎「誕生日会やるなら何時にやるんだ!?」
俺は慌ててこいしに問いかける。
こいし「え、えっと...。夜の七時だよ」
龍騎「勇儀さん今何時ですか!?」
勇儀「六時三十八分だよ」
マジかよ......。後三十分もねぇじゃねぇか...。寝てる場合じゃない!!
龍騎「急がねぇと間に合わな、っ!〜〜!!」
立ち上がろうとすると、身体に激痛が走る。主に両手が。
勇儀「おいおい無茶するなって...」
龍騎「じ、時間が無い...。何か簡単なものでも...」
勇儀「気持ちは分かるが、まず自分の事を優先しな。それに今から作ったとしても時間内に地霊殿に届けられなかったら意味無いじゃないか」
龍騎「!」
勇儀さんの言葉に何も言い返せない。確かにどんなに最短で出来たとしても目的地へたどり着かなかったら意味が無い...。
龍騎「ちくしょう.....、何も出来ねぇのかよ......」
俺は握れない両手を強く握り締めた。自分の無力さが大きく、痛みなど感じなかった。
こいし「......大丈夫だよ、お兄さん」
そう言ってこいしは俺の頭を撫で始める。
こいし「プレゼントは渡せなかったけど...、お兄さんが無事でいてくれただけでも嬉しいから」
龍騎「...ごめん、俺が弱かったから......」
こいし「お兄さんは弱くないよ。私の為にクッキー作りを教えて貰ったり、私の為に怒ってくれたりして...。ありがとう、お兄さん」
こいしに励まされて、じわりと目から液体が出てくるが必死に抑える。今泣いたらいつ収まるか分からないからだ。
ヤマメ「...君って凄いんだね、私達みたいな嫌われ妖怪の為に動くなんて」
龍騎「...ただの自己満足で動いているだけさ。あの時は...、こいしが姉貴の為に頑張って作った努力の結晶を潰されて...。あれをブチ切れないのは無理な話しだ」
勇儀「自己犠牲を覚悟で戦いに挑んだって訳か......」
龍騎「結果的に負けましたけどね...。こんなに悔しいと思ったのは生まれて初めてですよ...」
そう言って俺は二日前の記憶を思い返す。確かにあの鬼が言ってた通りに俺にはパワーが足りかった。だから最後の時仕留めきれなかったんだ...。
勇儀「気に入った!!」
龍騎「...は?」
勇儀さんが訳分からない事を言ってきた。何が気に入ったんだ?
勇儀「お前のその正義感、そしてその思いやりが気に入った!」
龍騎「は、はぁ...」
俺に正義感やら思いやらあるのだろうか...。
ヤマメ「ってかこいしは戻らなくて良いの?」
こいし「少し遅れるって言ってあるけど、もう行った方が良いよね」
そう言ってこいしは立ち上がり、襖に手を掛ける。
こいし「じゃあねお兄さん、もう少ししたら戻ってくるから!」
龍騎「そのまま楽しんでこいよ...」
そう言ってこいしは家に出て行ってしまった。
勇儀「さてと、私は酒でも飲んでくるからお前は休んでな。ヤマメはどうする?」
ヤマメ「ん〜、一旦帰ろうかな」
そして二人は部屋から出ていき、俺一人となった。もう一度横になり目を閉じる。右腕を目の上に当てて眠りにつこうとする。すると誰かが『入って良い?』と問いかけてきた。
龍騎「ああ」
許可をすると、パルスィが小さい皿を持って部屋に入ってきた。
パルスィ「勇儀から目が覚めたって聞いたけど、身体の方は?」
龍騎「見た通り、寝てれば治る」
『そう...』と言って、パルスィは鍋の蓋を開ける。
パルスィ「お腹空いてると思って作ったけど、食べる」
龍騎「...ああ、すまん」
俺はスプーンを手で取ろうとするが、何故かパルスィが遠ざける。
龍騎「......何してんの?」
パルスィ「その手で食べようとしてる訳?全然妬ましくないわよ」
龍騎「妬ましい要素一ミリも無いからね?仕方ないだろ怪我してんだから...」
パルスィ「はぁ...、貴方馬鹿ね」
そう言うと、パルスィは少し顔を赤くして鍋の中身をスプーンで掬って俺の口に近づけた。
龍騎「...何の真似だ」
パルスィ「察しなさいよ、馬鹿...///」
......こいつマジで言ってんの?絶対無理してんだろ。
龍騎「...無理しなくて良いぞ。飯ぐらい一人で食べられる」
パルスィ「べ、別に貴方の為にやってる訳じゃないわよ!妬ましい!」
龍騎「其処でツンデレになるなよ...。あ、あーん...」
俺は諦めて顔を近づけてスプーンを口に入れる。
龍騎「......これお粥じゃないよな?」
パルスィ「お粥好きじゃないと思っておじやにしたのよ。感謝しなさい」
龍騎「そりゃどうも...。にしても美味いな」
パルスィ「!そ、そう?料理は少ししか出来ないから簡単な物しか作れないから心配してたけど...、そうでも無いみたいね」
龍騎「......」
パルスィ「...何よこっち見て、妬ましい」
龍騎「...すまん、気にするな」
もしパルスィが外の世界の人間だったらこうやって看病して貰いたい、って思ってしまった」
パルスィ「!?な、何変な妄想してるのよ!?///気持ち悪い!///」
え?まさかまたやっちまった?うっわ最悪だわ...。最近やらかしてなかったから油断してたわ...。
パルスィ「ベ、ベツニアナタナラシテアゲテモ...///」ボソッ
龍騎「?俺なら何だって?」
パルスィ「何も言ってないわよ!」
そう言ってパルスィはそっぽ向いてしまった。聞いちゃまずかったのか?
そしておじやを食べ終えると、俺はパルスィに一言礼を言って眠りについた。
「お...、ん...、おに...、さ...、お兄...、ん...、お兄さん!」
龍騎「ん?何だ...?」
俺は誰かに身体を揺らされて起こされた。痛いから辞めてくれ...。
こいし「あ、やっと起きた」
龍騎「...もう少しだけ寝かせてくれても良いじゃないか...、それで?」
こいし「お姉ちゃんがね、お兄さんの事会いたいんだって」
龍騎「はぁ?こいしの姉貴が?」
こいしの姉貴が俺に会いたいだと?どうしてだ?
龍騎「...俺なんかやらかした?」
こいし「違うと思うよ。それより歩ける?」
龍騎「あ、行く前提なんですね分かります。まぁ歩けるけど...」
こいし「じゃあ地霊殿へ行こう!」
龍騎「はいはい...」
こいしに理不尽にも起こされて眠気が吹っ飛ばされたので、地霊殿へ向かう事にした。
こいし「とうちゃーく!」
龍騎「おお...」
こいしに案内されてやってきたのは、大きな建物だった。簡単に言ってしまえば紅魔館の赤くないバージョンだ。
こいし「さ、入って入って!」
こいしが手招きして俺を誘導する。そして建物の中に入ると赤髪の少女が居た。
赤髪の少女「おかえりなさいませこいし様、この方は?」
こいし「お姉ちゃんが会いたいって言っていたお兄さんだよ」
龍騎「......霧影龍騎だ」
赤毛の少女「私は火焔猫 燐《かえんびょう りん》って言うの。気楽にお燐って呼んでね」
龍騎「え?いきなり渾名呼び?...まぁ分かったけど」
それからお燐に部屋に案内されて、中に入るとピンク色の髪に『このロリコンどもめっ!』と言ってそうな謎の目玉がある少女が居た。
こいし「お姉ちゃんただいま!」
ピンク髪の少女「おかえりこいし、それと初めまして。私はこいしの姉の古明地 さとり《こめいじ さとり》と言います。妹がお世話になりました、霧影龍騎さん」
龍騎「...気にするな、俺は気にしない」
俺の名前を知っているって事はこいしが俺の事を話したのか?......そういやあの時...、
鬼『ん?こいつよく見たらあの悟り妖怪の妹じゃねぇか。こんな所で出歩くとはな』
悟り妖怪は確か心を読めるんだったな...。オカルト知識は無いが、あの鬼が言ってる事が正しければ...。
さとり「そうです。私は人の心を読む事が出来るんです」
龍騎「......」
な に そ れ め っ ち ゃ 羨 ま し い
さとり「.....え?」
あ、心読めるから心で言った事はダダ漏れなのか。まぁ良いや、事実だし。
さとり「...何とも思わないんですか?心を読まれて嫌じゃないんですか?」
別に?こうやって心の中で言えば良い話しだし、それに読心術習いたいと思ってたし。
さとり「......そうですか。私の能力を嫌いにならない人が居たとは思いませんでした」
それは人によるな。別に俺は昔いじめられた以外、心読まれても困らないし。
さとり「射命丸文さんに変な記事を書かれていた事には未だに根に持ってるんですね」
龍騎「マジで焼き鳥(意味深)にしてやろうと思った」
さとり「そ、そうですか...。この話しは一旦辞めて、こいしの事ありがとうございました」
龍騎「もう良いよ。本人が料理習いたいって言ってたから教えただけだ」
さとり「...何か最近、悩みはありますか?私で良ければご相談に乗りますよ」
悩みか...。俺の場合はお金が無い以外何にもないんだよなぁ...。
さとり「そうですか、
龍騎「?どう言う事?」
さとり「それは貴方ですよ......。二重人格さん...」
龍騎「!?いや、驚く事じゃないか...」
さとりが二重人格の事を言うと、すぐに納得してしまう。
ーーー......どうやって俺の存在を知った?こいつの心を読んだのか?それとも覗いた時に気づいたのか?
さとり「後者が正解です。勝手に貴方の過去を覗いた事は謝ります」
龍騎「気にするなって、それに口に出さなければ別に良い」
ーーー...それで?俺に何の用だ?
さとり「特に理由はありません。貴方と少し話したいと思いまして」
ーーー...話す事など無い。
そう言うなよ、身体貸してやるから少しは付き合ってやれ。
ーーー余計なお世話だ。そんな事する必要ない
さとり「だめ...、ですか...」
ーーー......そんな顔するな。別に嫌とは言ってない。
さとり「!ありがとうございます!」
ーーー...ちっ。
素直じゃないなぁ...。
ーーーお前と一緒にするな。俺は本心を言ったまでだ。
結局、
さとり「...それにしても、いつも二重人格と言われて嫌では無いんですか?」
ーーー...二重人格である事は事実だ。別に気にしてない。
さとり「でも名前はあった方が良いですよ。折角ですし名前付けてあげましょうか?」
龍騎「あ、確かにそれ良いかも」
こいし「じゃあ皆んなで考えよー!」
ーーー名前などいらん。
さとり「そう言わないで下さい。名前は自分で決められる訳では無いんですよ」
ーーー...好きにしろ。
そして、こいしがお燐と右腕に大砲みたいなのがついた少女を連れてきた。
大砲少女「うにゅ?お兄さん誰?」
お燐「ほら、さっき話したこいし様にお世話になった...」
大砲少女「あ!そっか!私は霊烏路 空《れいうじ うつほ》って言うんだ!皆んなからお空って呼ばれてるよ」
龍騎「霧影龍騎だ、よろしく」
そして、皆んな椅子に座り、二重人格の名前を考える事になった。
龍騎「まず誰から言う?」
こいし「はーい!私『ロゼ』が良い!」
龍騎「...その理由は?」
こいし「カッコいいから!」
龍騎「......返事が無い、ただの屍のようだ」
ーーー勝手に殺すな...、取り敢えず保留だな。
龍騎「次、誰かない?」
お燐「思いつきだけど『オルタナティブ』はどう?略して『オルタ』」
ーーー......保留。
龍騎「保留、次」
お空「ねぇねぇ、こんなのはどう?『アルティメットストームブラックプラズママックスドラゴンナイト(以下略)』」
ーーー却下だ。(即答)
龍騎「激しく同意。流石に長すぎる、これ自己紹介する時十分は軽く超えるぞ?」
お空「えぇ〜?カッコいいじゃ〜ん」
ーーー...ちなみにお前は考えてあるのか?
俺?俺だったら『龍牙(りゅうが)』かな?兄弟的な意味で。
ーーー気に入らんな、お前の弟になるぐらいなら兄の座を奪うまでだ。
あ?(威圧)先に生まれたの俺だからな?お前は途中から生まれてきたんだから必然的に弟だろ。
ーーー俺は認めん、お前を兄になどと。
兄貴と呼べ(無慈悲)
ーーー断る(キッパリ)
さとり「落ち着いて下さい...、最後は私ですね...」
そう言ってさとりは一度咳払いをし、真剣な目で俺を見る。
さとり「それで、私が考えた名前ですが......、
黒騎(クロキ)なんてのはどうでしょうか?」
ーーー......
龍騎「黒騎、か...」
こいし「それ良いかも!」
お燐「それなら『霧影黒騎』だね」
お空「やっぱり『アルティメットストームブラック(以下略)』」
龍騎「ネーミングセンスどうなってんだお前は...」
ーーー......分かった、俺の事は黒騎と呼べ。
さとり「!」
龍騎「はい、と言う訳で黒騎になりました」
こうして二重人格こと、黒騎の名前が決まった。決まっても尚、お空はあの長い名前が良かったとか......。
いかがでしたか?
と言う事で二重人格くんの名前は『黒騎』となりました。
皆様のご協力感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。
次回もよろしくお願いします。