第四十九話です。
それではどうぞ。
〜外の世界〜
?「ふぅ、今日も学校終わった...」
自分の部屋に入り、鞄を手から離して制服を着たままベッドに入る女子高生。
?「さぁ〜て、幻想郷へと行きますか!」
女子高生は楽しげに言ってゆっくりと目を瞑る。そして深い眠りへと堕ちていった...。
〜幻想郷・魔法の森〜
女子高生「ん〜!やっぱりこっちは空気が全然違うわ!さて、先ず何処に行こうかな〜」
自室で眠ってきた筈の女子高生は何故か幻想郷の魔法の森にやって来ていた。この女子高生、宇佐見 菫子《うさみ すみれこ》は寝ている間だけ幻想入りする事ができるのだ。
菫子はひたすら歩き続けて人里に着くと寺子屋で教師をしている慧音と赤と白の服に銀髪のロングヘアーの少女を見かけた。
菫子「おっす〜!二人共久しぶり〜!」
慧音「菫子か、久しぶりだな」
銀髪の少女「最近姿が見えないと思ったけど、やっぱり勉強が忙しいのか?」
菫子「そうなんだよ!私って今年から受験生だからさ、勉強しようにもうるさくてうるさくて集中出来ないったらありゃしない!でも幻想郷って良いよね、外の世界とは全然うるさくないし、勉強に集中出来る場所もあるからもってこいよ!」
慧音「そんなに辛いのか?外の世界の勉強って」
銀髪の少女「慧音、外の世界と比べるな...」
菫子「何ならやってみる?」
そう言って菫子はテキストを取り出して慧音に見せた。慧音はブンブンと首を横に振って断った。慧音は一度、外の世界の参考書(中学生レベル)のを菫子に渡されてやってみたのだが、慧音の知らない事が多すぎて頭がパンク寸前まで追い込まれていたのだ。その所為で外の世界の勉強もするようになったのだが、二割程しか理解が出来ていない。
慧音「...それよりも妹紅、お前が言っている例の男の情報は無いのか?」
妹紅?「すまん...、ちらっとしか見てなかったからな」
妹紅と呼ばれた銀髪の少女は慧音に相談を受けていた。
菫子「え?何々?相談?私も相談に乗るよ!」
興味本位で妹紅?の相談に乗る事にした菫子は妹紅?に説明して貰った。
妹紅?「少し前に輝夜の所で殺し合ってたんだが、私の放った弾幕が永遠亭に来ていた患者に当たってな...。謝りに行こうと思ったんだが永琳の矢が頭に刺さって気絶しちまったんだ」
菫子「それで慧音先生に相談してた訳ね」
妹紅?「ああ、永遠亭の奴らに教えて貰おうと聞いたんだが『ゲーム感覚で自分で調べなさい』って言われてな...。仕方なく付き合ってるんだが...」
菫子「うわっ...、リアルサスペンスゲームとか...。それで情報はどのぐらい集まったの?」
慧音「金髪で背中に剣を背負っている男だけで、その時は両腕に包帯を巻いていたらしいんだ」
菫子「剣を背負っている金髪の男、ねぇ...」
全く情報が無いと言っても良い状況で、どうやって探すかも分からない三人は取り敢えずゆっくり探して行こう、という事で解散する事になった。
菫子「金髪の男、か...。男なんて幻想郷じゃ少ない方なんだよなぁ〜」
店員「へい、お待ち!」
菫子「まぁ最初は腹ごしらえね!いっただきまーす!」
妹紅?が探してる男を見つける為、菫子は一旦食事を済ませるべく蕎麦屋に来ていた。菫子はこの蕎麦屋の常連でもあり、幻想郷に来た時はいつものように通っていたのだ。
菫子「それにしても金髪の男か...、幻想郷じゃあ珍しいわよね〜」
ズルズルと蕎麦を啜りながら考える菫子。頭を働かせながら蕎麦を食べていると入口から若い男性が慌てた様子で店に入ってきた。
男「大将、いつもの」
店員「あいよ!」
菫子「そういえば...、私って男の知り合いはあまりいなかったわね...。二年前に死んじゃった先輩と霖之助さんぐらいしか...」
店員「へい、お待ち!」
男「いただきます」
菫子は今まで男性と関わった事を思い返していると、隣に居た男は速攻で蕎麦を平げ、代金をテーブルの上に置いた。
男「ごっつぁん!お金置いとくね」
店員「まいど!」
菫子「ねぇ店員さん。金髪で背中に剣を背負った若い男性って知ってる?」
店員「金髪の若い兄ちゃん?さっきお嬢ちゃんの隣で蕎麦食ってた奴だよ」
菫子「......えっ!?」
店員は男が置いていった食事代を回収して菫子に言うと、菫子は慌てて外に出てキョロキョロと辺りを見渡す。しかし、金髪の男は誰一人居なかった。
菫子「んもぅ〜!何で早く言わなかったの!?」
店員「そりゃあ俺に言われても...」
蕎麦屋の店員が困惑していると、菫子は急いで蕎麦を完食してお金を払って店を飛び出した。
菫子「はぁ〜、最悪、もう少し周りに気にしていれば良かった...」
今更後悔してる菫子は、取り敢えず手当たり次第金髪の男の情報収集を行うのであった。其処でまず足を運んだのは博麗神社だった。
菫子「霊夢さ〜ん、居る〜?」
霊夢「あら、あんたが来るなんて珍しいわね。勉強してたんじゃ無かったの?」
霊夢は箒を持って庭掃除をしていた。
菫子「息抜きって事で少しもこたんのお手伝いしてるんですよ。なんせそれが人探しで...」
霊夢「も、もこたん...?ああ、藤原 妹紅《ふじわらの もこう》の事か。その呼び方止めてくれない?分かりにくいったりゃありゃしない...」
菫子「まぁまぁ、今時の学生はそう言う呼び方が常識なんですよ」
霊夢「あんたと一緒にしないで頂戴」
そう言って掃除を再開する霊夢。菫子は霊夢にも金髪の男について聞いてみる事にした。
菫子「ところで霊夢さん、幻想郷に金髪に背中に剣を背負った若い男性って知ってます?」
霊夢「金髪に剣?ああ、それは龍き...!?」
霊夢は何かに気がついて言葉を途中で区切ってしまった。
霊夢(金髪に若い男...、背中に剣を背負ってる...、間違いなく龍騎よね...。何でこいつが龍騎の事を...、まさか!?)
霊夢は昔の出来事を思い出した。それは龍騎が幻想入りして一年が経とうとしていた時だった。
〜龍騎が幻想入りして一ヶ月・博麗神社〜
霊夢「...友人が亡くなった?」
菫子「はい......」
博麗神社に訪れた当時の菫子はいつもとは違い、テンションが低かったので霊夢が聞いてみた。
菫子「その人とは長い付き合いじゃ無かったんです。たった一ヶ月の付き合いだったんです...。その人は昔、訳あって私達みたいな女性に抵抗があって...、最初に会った時はいつも私を遠ざけようとしてたんです。でも私は諦めたくなかったんです、あの人なら友達になれるって信じてたんです。それで頑張った甲斐があったのかその人は少しずつではありましたけど、段々と克服出来てるようになって来たんです。でも、ある日の朝に他所の学校のカップルが車で轢かれそうになった時に、その人が庇って事故に遭って...、それで...」
霊夢「...それは災難だったわね」
菫子「今思うと、私って碌な思い出が無かったんです...。いつも教室の隅っこで本を読んでるし、オカルト好きで誰とも趣味が合わず、ずっと一人ぼっちがと思ったんです。でも、あの人が居てくれたから楽しく無かった学校生活が楽しいって感じるようになったんです。あの人は私の事をただの後輩としか思ってないと思いますが、私にとっては大切な友人なんです...」
霊夢「...それで?そいつの事はどう思ってる訳?」
菫子「...そうですね、好き...、なんだと思います...」
霊夢「何よその中途半端な答えは...」
菫子「恋なんてした事無いから分かりませんよ...、でも良いんです。いつまでも引き攣ってる訳にもいかないので」
そう言って菫子の初恋は残念な形で終わった...。
〜現在〜
霊夢(も、もし探してる男が龍騎なら絶対にライバルになる...!これ以上増やす訳には...!)
咄嗟にそう思った霊夢は焦っていた。これ以上ライバルが増えたら必ず(恋の)大惨事大戦になりかねないからだ。
霊夢「さ、さぁ...、知らないわね...。金髪って言ったら魔理沙か紫ぐらいしか知らないし...」
菫子「?さっき何か言いかけませんでした?」
霊夢「イッテナイワヨ?」
菫子「片言になってますよ?」
霊夢「キノセイヨ?」
菫子「......まぁ知らないって事にしておきます」
菫子は怪しさ満点な霊夢を見て言って、霊夢はほっとして胸を下ろした。
それから情報収集を再開した菫子だったが、一向に有力な情報が手に入らず、気がつけば夜になっていた。
菫子「はぁ...、ダメだ...。全然集まらない...、これじゃあもこたんに申し訳ないよ...」
溜め息を吐きながら肩を落とす。すると草が揺れる音が聞こえて、菫子は振り返ると二人の妖怪が姿を現した。
妖怪1「ククク、こいつは良い所に人間が居たな」
妖怪2「人間にしては中々良い顔付きじゃねぇか...」
菫子「うっわ...、本当マジ最悪...」
菫子に狙いを定めた妖怪達は涎を垂らしながら菫子に近づく。菫子も後退りながら逃げようとするが、足を滑らせてしまい転倒し、眼鏡を落としてしまった。
菫子「あれ...?眼鏡は...?」
妖怪1「おうおう、ちゃんと前向かないと危ないぞw」
妖怪2「まぁ、前に向いても向かなくても意味ないけどなw」
そう言って妖怪達は菫子を囲む。
菫子(もう本当やだ...、マジでついてない...)
自分の不幸に呪いながら菫子は目を瞑ると、
「はぁーい、其処まで」
一人の若い男性の声が聞こえた。
「こんな時間に出歩いたら親御さん心配するでしょうが、あ、お前達には親なんていないか」
妖怪1「て、てめぇは何時ぞやの!?」
「あ、良く見たらお前達この前の...、また懲りずにやってる訳か?さっさと帰れよ」
妖怪2「お、おい...、此処は大人しくズラかろうぜ、もうあいつとは戦いたくねぇよ...」
妖怪1「だったら先に行ってろ!俺はこいつにだけは...!」
「喧しい」
男は妖怪1に手刀で気絶させる。そして片手で持ち上げて妖怪2にポイっと投げる。
「さっさと帰れ、お前達に構ってやれる程元気じゃないんだよ」
そう言って妖怪2は妖怪1を担いで去ってしまった。男は眼鏡を拾い菫子に渡す。
「おい、大丈夫か?ほれ」
菫子「あ、ありがとうございま...、え?」
「え?」
菫子はお礼を言いながら眼鏡を掛けると、其処には金髪に背中に剣を背負った若い男性だった。そしてよりにもよって...、
菫子「き、霧影先輩!?」
龍騎「...お前宇佐見か?」
かつて菫子が初めて好きになった先輩である霧影龍騎でもあった。
菫子「え、何で!?何で先輩が幻想郷に!?」
龍騎「事故って死んで運良く此処に来れた」
菫子「本当運が良かったですね...、もしかしてもこたんが言ってた金髪に背中に剣を背負ってる若い男性って...」
龍騎「もこたんって誰?でも剣を使ってるのはあってるな」
菫子「そ、そうですか...。ってか何で蕎麦屋に居たのに声を掛けてくれなかったんですか!」
龍騎「え?お前居たの?急いでたから全然気づかなかった」
菫子は奇跡的な再開で頭が働いていなかった。そして龍騎の手を取って立ち上がり、パンパンとスカートを叩く。
菫子「...なんか、変わりましたね。先輩」
龍騎「......俺も色々あったんだよ」
菫子「どうですか?女性不審は治りましたか?」
龍騎「もう少しって感じだな...」
菫子「そうですか...」
それからお互い黙ったままの状態が続いた。そして先に口を開いたのは菫子からだった。
菫子「せ、先輩!じ、実はお話ししたい事g」
菫子の言葉が途中で区切られてしまい、咲夜が時を止めた感じにポンッ、と菫子が消えてしまった。
龍騎「え?......ゑ?( ゚д゚)」
龍騎は訳が分からず呆然していた。暫く立ち止まっていた龍騎は『疲れてるのかぁ...』と思い聞かせて帰宅した。翌朝、バイトが休みなので霊夢に菫子と再開した事を話したが、霊夢は少し落ち着かない様子だったが昨日の出来事を聞いて安心していた。
所は変わって菫子はというと......。
菫子「何で!!何で良い所で目が覚めるかなぁ!!」
絶賛後悔中だった。
菫子「次こそは!次こそは絶対に言ってやる!!」
そう言ってシャーペンを走らせ、受験に向けて勉強する菫子だった。いつか彼女の想いが届きますように...。
いかがでしたか?
自分の嫁を入れてみました。次出るかは未定ですが出してほしいとの要望がありましたら出そうと思います。
誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。
次回もよろしくお願いします。