東方龍優録〜心優しき少年の幻想郷生活〜   作:餡 子太郎

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どうもです。

第六十話です。

それではどうぞ。


第六十話 刀持ちの訪問者

「.........」

 

とある真夜中に地下に続く洞窟の入り口に一人の男が立っていた。男は洞窟の入り口を見つめていると、一人の女性に声を掛けられた。

 

?「こんな夜遅くに何をしているのですか!!この先は人間が行って良いような場所ではありません!!今すぐ引き返しなさい!!」

 

男「.........何処にだ?」

 

?「え...?」

 

男「俺に帰る場所なんて無い...、無いから探している......」

 

?「だからって......、こんな所じゃなくても......」

 

男「それは俺が決める事だ......、それと俺は人間じゃない」

 

そう言って男は洞窟の中へと行ってしまった。

 

?「.......何なの...、この人...」

 

女性は少し心残りがあるものの、この場を去った...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜地下・旧都〜

 

今日も旧都は妖怪達で溢れている。時間、場所関係なく鬼達は肩を組み合っては拳を交わす鬼達も居る。

 

そんな中、一人の男が旧都に紛れ込んでいた。長い金髪をポニーテールにして顎まで伸びたもみあげ、そしてワイシャツの上に黒いコート、腰には1メートルを超える刀を担いでいた。

 

すると、一人の鬼に肩をぶつかってしまう、

 

鬼「あぁ?てめぇ何処見て歩いてんだ!」

 

男「.........」

 

鬼「おいてめぇ聞いてんのか!?」

 

鬼は男の肩を掴むと、

 

男「俺に触れるな」ギロッ

 

男は殺意を出して言うと、鬼はビクッと身体を跳ね、男から離れる。すると、男の前からまた別の鬼がやって来た。

 

鬼「あ、兄貴...」

 

どうやらこの鬼はまぁまぁ偉い鬼なのだろう、若頭と言った所だ。

 

鬼(若頭)「おいおい、うちの若ぇのと何騒いだんだ?」

 

男「.........(この鬼...、何処かで......)」

 

鬼「あ、兄貴!こいつがぶつかって来ただけで......」

 

男「......ぶつかって来たのはそっちだ」

 

鬼「あぁ!?」

 

鬼(若頭)「待て!おい人間、此処が何処なのか分かってるんだろうなぁ?」

 

男「.........」

 

鬼(若頭)「此処はお前みたいなひよっこが来る所じゃねぇんだよ、分かったならさっさと引き返しな」

 

男「どいつもこいつも......、相手を見た目で判断するな、俺は人間でも妖怪でも無い」

 

鬼(若頭)「何?」

 

男「なんなら......」

 

男は腰にある刀を引き抜く。それは持ち手が青と白、刀身はエメラルドのような緑色に長さが約1.5メートルの刀だった。

 

男「試してみるか?俺は話し合いで解決するよりも暴力(勝負)で解決する方が向いている。お前もそうだろ?鬼は好戦的と聞いたが?」

 

鬼(若頭)「面白れぇ......、その喧嘩買った!」

 

そう言って鬼(若頭)は片手に持っていた瓢箪を投げ捨てて戦闘態勢に入る。男も刀を構えて、低い体勢になる。

 

鬼(若頭)「俺は我鬼(がき)、お前は?」

 

男「.........俺に名前は無い、どうしてもというのなら.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒騎、と呼んで貰おうか」

 

お互い睨み合い、両者の片足に力一杯踏み込むと我鬼は足蹴り、黒騎は刀で受け止める。

 

我鬼「へっ!思ってたより頑丈そうな刀じゃねぇか!」

 

黒騎「......」

 

我鬼(だがこの男...、何処かで見た事が...)

 

黒騎「考え事とは随分と余裕だな」

 

我鬼「!」

 

黒騎は我鬼の腹部に足蹴りを食らわせる。我鬼は腹を押さえて後退するが、直ぐに構え直す。

 

我鬼「悪い悪い...、前にお前みたいな奴と会ったような気がしてな」

 

黒騎「.........」

 

我鬼「まぁ良い、さて...、仕切り直しだ」

 

我鬼は妖気を解放すると、透明色のオーラが発生する。黒騎も我鬼に見習い魔力を解放する。

 

我鬼「行くぞ!『我王拳』」

 

我鬼は拳を突きつけると、拳の形をした波動が飛ばす。黒騎は我鬼が放った波動を刀で斬ると、我鬼は一瞬に黒騎の目の前まで接近し、アッパーカットを放つ。

 

我鬼「甘い!『昇狼拳』」

 

黒騎「ぐっ......!」

 

黒騎はそのまま我鬼の攻撃を食らってしまい、空中に吹き飛んだ。

 

我鬼「まだ終わらん!『我王拳』」

 

黒騎「ちっ!」

 

我鬼は更に波動を三発放つ。黒騎は刀で防ぐが、威力が高い為更に吹き飛ばされる。我鬼は足に力を入れて地面を蹴り、ジャンプして黒騎に急接近する。

 

我鬼「トドメだ!『我王・昇天脚』」

 

我鬼は身体を一回転して踵落としのように黒騎を狙う。

 

黒騎「.........馬鹿め」

 

黒騎は我鬼の攻撃を刀で防ぐ。それと同時に火属性を解放させて我鬼の足を弾くと、黒騎は刀に火を纏わせて斬りかかる。

 

我鬼「何!?」

 

黒騎「火剣『煉獄火炎斬』

 

黒騎は餓鬼に無数に斬りつけ、左手に黒いモヤを発生する。それを見た我鬼は目を見開いた。

 

餓鬼「!?(あれは......、まさか!?)」

 

黒騎「暗黒拳『ブラックバンカー』

 

黒騎は左手で我鬼の頭を鷲掴みして、掴んだ瞬間、衝撃波が発生し我鬼は吹っ飛ばされた。

 

我鬼(ま、間違いねぇ......!あ、あいつは......、あの時の......!)

 

我鬼はそのまま地面に墜落すると、黒騎を見つめる。

 

我鬼(あの悟り妖怪の妹を庇った人間......!)

 

どうやら我鬼は龍騎と勘違いしてるようだ。我鬼は立ち上がると、再び妖気を解放する。

 

我鬼「驚いたぜ、まさかあの時の人間が此処まで強くなるとはな」

 

黒騎「.........」

 

我鬼「面白れぇ......、血が騒いできたぜ........!」

 

黒騎「.........さっさと来い」

 

我鬼が構えると、黒騎は軽く溜め息を吐いて刀に纏わせていた炎を消す。そして刀を一度鞘に収めた。所謂抜刀術の構えである。

 

そして、お互い睨み合うと......、

 

 

 

?「其処まで!」

 

黒騎・我鬼「「!?」」

 

一人の鬼に止められた。それは......、

 

我鬼「あ、姐さん!?」

 

黒騎「......星熊勇儀」

 

我鬼の先輩である星熊勇儀であった。

 

勇儀「お楽しみの所悪いけど、こいつを借りていくぞ」

 

そう言って勇儀は黒騎に指を指す。

 

黒騎「俺に?」

 

我鬼「ま、待ってくださいよ姐さん!いくら何でも急過ぎでっせぇ!」

 

勇儀「私だって止めたく無かったさ、こんなに良い勝負が観られるとは思わなかったからね」

 

黒騎「なら何故止めた?」

 

?「それは私が原因だからです」

 

そう言って勇儀の後ろからピンク色の少女が現れた。

 

黒騎「古明地さとり......」

 

さとり「お久しぶりです、黒騎さん」

 

地霊殿の主である古明地さとりだった。

 

我鬼「な、何故悟り妖怪が此処に......?」

 

さとり「妹と近くに通り掛かった時に騒がしかったので覗いていたら貴方達が勝負していたという事です」

 

黒騎「.........何故俺だと分かった?」

 

さとり「......強いて言うなら...、女よ勘ですね」

 

黒騎「......そうか」

 

そう言って黒騎は刀から手を離すと、さとりに近づいた。

 

勇儀「......で、こいつは何者だい?知り合いみたいだが?」

 

さとり「彼は黒騎さん、霧影龍騎さんの二重人格です」

 

我鬼「なっ!?」

 

我鬼が驚くと、勇儀はふーん、と少し微笑む。

 

我鬼「お、お前......、あの男の二重人格だったのか?」

 

黒騎「......」

 

さとり「黙秘は肯定とする、って事でしょうね」

 

勇儀「ま、立ち話しもあれだし、うちに来な」

 

そう言って勇儀を先頭に黒騎とさとりは後に着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

勇儀の家に着くと、勇儀は杯に酒を入れると黒騎に差し出す。

 

勇儀「いや〜、まさかお前が地下に来るとは思わなかったね〜!」

 

さとり「そうですね、てっきり森に住み着くのかと思いました」

 

黒騎「.........俺にとって地下が一番だと判断したまでだ」

 

勇儀「そう言って貰えると嬉しいねぇ〜、今度は私と手合わせ願えるかい?」

 

黒騎「.........いいだろう」

 

勇儀「お、引き受けてくれるかい?」

 

黒騎「...暇潰しにもなるし戦闘経験も積める、一石二鳥だ」

 

そう言って黒騎は杯を持ち、酒を口の中に流し込む。

 

勇儀「気に入った!酒も勝負も強い男は好きだよ」

 

さとり「.........」

 

黒騎「......」

 

黒騎は杯を置くと、さとりの方へ目を向くとさとりは顔を赤くしてそっぽ向いてしまった。

 

黒騎(......?心が読めないのか?)

 

さとり(ど、どうしよう......、黒騎さんの心が読めない.......。だからってずっと見てたし、嫌だったかしら......)

 

黒騎は疑問に思う一方、さとりは黒騎の心が読めず黒騎を見つめていたが、黒騎がさとりの方へ向くと条件反射で別の方向に向いた。

 

黒騎(.........機械の身体では心が読めないのか......)

 

勇儀「..........」ニヤッ

 

二人の様子を見ていた勇儀は何かを思いついたような悪い笑顔になる。

 

勇儀「黒騎、あんた行く当てあるのかい?」

 

黒騎「......」フリフリ

 

黒騎が横に首を振ると......、

 

勇儀「なら地霊殿に住み込みな」

 

とんでもない事を言ってきた。

 

さとり「ふぇ!?」

 

黒騎「.........」

 

勇儀の提案にさとりは真っ赤になり、黒騎はまるで分かりきった表情をひて黙っていた。

 

さとり「な、ななななななな何を言い出すんですか!!///」

 

勇儀「別に良いじゃないか、そっちには人手が増えるし黒騎だって住む所が出来る、一石二鳥じゃないか」

 

さとり「だ、だからって......(この人何考えてるのなら......、全く読めない......)

 

混乱状態のさとり、相手の心か読めなくなっている。

 

勇儀「それにさ.........、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつを連れ込めばお前さんも嬉しいんじゃないか?」ニヤニヤ

 

さとり「っ!?///」

 

黒騎「.........」ハァ

 

勇儀がさとりの顔に近づいてそう囁くと、さとりは更に顔を赤くする。一方黒騎は二人のやり取りを見て、鼻で溜め息を吐く。

 

........どうやら聞こえていたらしい。

 

さとり「な、なんちゅう事考えてんだあんた!!///有罪(ギルティー)ですよ!地獄に堕ちなさい!!///」

 

黒騎「口調がおかしくなっているぞ」

 

勇儀「へっ、閻魔に世話になるのはごめんだね」

 

テンパるさとりに冷静にツッコミを入れる黒騎、勇儀は杯に酒を注いで口に入れる。

 

黒騎「............分かった、地霊殿に世話になる」

 

さとり「へ?」

 

黒騎の言葉にポカン、と口を開くさとり。

 

勇儀「お!お前さんは賛成か!」

 

黒騎「いつまでもこの話題に付き合ってるつもりは無い、それだけだ」

 

そう言って黒騎は立ち上がる。

 

さとり「何処へ?」

 

黒騎「......帰る場所が出来たなら、やるべきは一つだろ?」

 

勇儀「行ってやりな、後はお前さん次第だ」

 

さとり「.........はい」

 

そう言って黒騎とさとりは勇儀の家を後にした。

 

 

 

勇儀「......」

 

我鬼「良かったんですか姐さん?もう少しだけ残ってても良かったと......」

 

我鬼が勇儀の家の玄関から顔を出してそう言った。

 

勇儀「良いんだよ、私はこいつの姉貴にきっかけを作ってやったまでさ」

 

勇儀がそう言うと、後ろからこいしがひょこっと現れた。

 

我鬼「!?いつの間に......」

 

こいし「お姉ちゃんがお兄さんに会ってから興味があってね。だから私がお兄さんが来た時にお姉さんに教えたんだ」

 

我鬼「何であの餓鬼が出てきたと思ったんだ...?」

 

こいし「女の勘!」ドヤッ!

 

こいしが自信満々な言葉に我鬼は考えるのを止め、別の事を考える事にした。

 

我鬼「悪戯......、では無いですよね?」

 

勇儀「まさか......、どうせお前の事だから喧嘩になる事は分かっていたさ。だからそいつを利用したまでさ」

 

我鬼「姐さんも人が悪いぜ......、まぁ喧嘩っ早い俺も俺ですけど...」

 

勇儀「さ、私達の仕事は終わりだ。後はあの二人に任せるとして、今日は飲むぞ!」

 

我鬼「うっす!」

 

こいし「わーい!」

 

そうから三人だけの宴会が始まった。余談だが、こいしは妖怪の為酒は飲めるのだが、これがあまりにも予想外にこいしは豪酒だった事が判明、先に潰れたのはこいしでは無く我鬼だったとか.......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜一方その頃〜

 

黒騎「.........」

 

さとり「.........♪」

 

黒騎「.........おい」

 

さとり「何でしょう?」

 

黒騎「......何故、腕に抱きついている?」

 

黒騎とさとりは地霊殿へ向かってる途中、さとりは黒騎の腕に抱きついて歩いていた。最初は黒騎は気にしなかったが歩いていると次第に気になり始めていた。

 

さとり「良いじゃないですか、別に減るものでは無いんですし」

 

黒騎「.........」

 

さとり「それに......、嬉しかったんです。また会えた事が......」

 

黒騎「.........」

 

さとり「まさかその姿で再会するとは思いませんでしたが、それでも嬉しかったんです」

 

黒騎「.........そうか...、どう思うかはお前次第だ、何も言わん」

 

さとり「そうですか、なら此方の好きにさせて頂きます♪」

 

黒騎「好きにしろ......」

 

そう言ってさとりは更に強く抱きしめると、黒騎は軽く溜め息を吐く。そして暫く歩くと地霊殿の玄関に到着した。

 

さとり「さぁ、入りましょう」

 

黒騎「.........これから世話になる」

 

黒騎がそう言うと、さとりはムッとした表情で黒騎の顔に近づける。

 

さとり「黒騎さん、今日から此処は貴方の家でもあるんです。遠慮は入りません。寧ろ他人行儀は止めてください。リラックスして下さい。あとフルネーム呼びは禁止です、ちゃんと名前で呼んで下さい」

 

さとりが指摘すると、面倒くさそうな表情で溜め息を吐く黒騎。

 

黒騎「.........了解した、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただいま、さとり」




いかがでしたか?

久々の黒騎くんの登場、初のメイン回でした。

誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。

次回もよろしくお願いします。
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