後日談その4です。
それではどうぞ。
『俺の生涯を全部お前に捧げたい.....。だから、お前の人生を俺に預けてくれないか?一緒に暮らして、俺達の子供を作って、そして.......、死ぬ時は俺と同じ墓に入って欲しい......』
何てカッコつけて言っていた俺を思い出してみると、もしかしたら自分の子供にも言ってしまうのでは無いのかと不安になるここ最近。
龍騎「......今日の訓練は此処までにしよう」
?「あ、ありがとうございました......」
そう言って俺の目の前に立つ小さい白狼天狗は姿勢を正して上半身を90度に傾ける。
龍騎「よし、朝飯にしよう。その前にシャワー浴びて来いよ」
?「はい!父上!」
そう言って俺の側を通り過ぎる少年、犬走 椛丸《いぬばしり もみじまる》は家の中へと入って行った。俺も後に続いて中に入る。
あれから七年、俺は椛と結婚して一人の子供が授かった。それが椛丸だった。容姿がとても椛に似ていたので名前を椛とお揃いにしたく考えたのが椛丸だった。当初は虐められないか心配だったが、そんな事は無く皆んな椛丸に優しくして貰っている。
ちなみに椛丸は文武両道で剣術も上級者、同じ年齢ではダントツトップである。それと椛丸は俺と椛が持ってる能力の二つを受け継いでいる。二個持ちだよ?二個持ち、遺伝とはいえ羨ましいだろ......。
〜自宅・リビング〜
椛「お疲れ様、朝ご飯できてますよ」
椛丸「おはようございます母上!」
龍騎「おはよう椛」
椛が朝食を並べていたので俺達は席に着く。
「「「頂きます」」」
三人で同時に頂きますと言うと、朝食を食べ始める。
椛「そういえば今日でしたね、格闘大会」
龍騎「ああ。でも大丈夫だよ、椛丸なら」
椛丸「必ず優勝してみますよ!母上!」
椛「ふふっ、期待してますよ」
そう、今日は天狗のみが行われる格闘大会が開かれるのだ。前回までは椛が出場していたみたいなのだが、仕事と被ってしまい代わりに椛丸が参加する事になったのだ。俺は外野で応援兼観戦しに行く。
「「「ご馳走様でした」」」
朝食を食べ終えると、椛は仕事の支度を始める。
椛「それじゃあお仕事行って来ますね」
椛丸「いってらっしゃいませ母上!」
龍騎「気をつけてな」
そう言って椛は仕事先へ向かった。俺は皿洗いと洗濯を済ませて格闘大会への準備を進める。
龍騎「おーい椛丸、準備出来たかー?」
椛丸「いつでも良いですよ」
龍騎「よし、んじゃ行くか!」
椛丸「はい!」
そう言って俺達も格闘大会の会場へ向かった。
〜格闘大会・観客席〜
龍騎「意外と見に来る奴も居るんだな......」
文「あやや!龍騎さんじゃないですか!おはようございます!」
龍騎「うげっ、お前何で此処に......?」
いきなり文が現れた。こいつ急に出てくる時があるから毎度毎度困っている......。
文「うげっ、は無いでしょ......。私は今日行われる格闘大会を記事にしに来たんです。龍騎さんは?」
やっぱりネタ集めの為か......。
龍騎「息子の応援、って所だな」
文「あやや!?椛丸くんも参加するんですか!?」
龍騎「椛の代わりにな、そういやこの大会は毎年やってるのか?」
文「毎年じゃないですよ、五年に一度に開かれる天狗だけの大会なので龍騎さんは参加出来ませんよ」
龍騎「いや戦う気無いし、ドクターストップされてるんだから無理に決まってるだろ」
文「あー、そう言えばそうでしたね」
こいつ肝心な所を忘れてんじゃねぇよ......。って思っていたら司会者がマイクを使って呼び掛けた。
司会者「皆様、お待たせしました!これより、第151回天狗格闘大会を開催致します!」
司会者が開催宣言すると、周りに居た天狗達は歓声を上げる。
龍騎「ま、毎回こんな感じなのか......?」
文「そうですよ、龍騎さんは今回が初めてなんですか?」
龍騎「ああ、前回の時は椛丸の面倒見てたからな」
文「そうですか......、あ!椛丸くんですよ!」
そう言って文はカメラのシャッターを押しまくる。お前は運動会で自分の子供に写真を撮りまくる親バカかってんだ。
椛丸「」ガクガクガクガク
龍騎「あーあ、あいつ緊張してるな」
文「おー!椛丸くんが緊張してる姿は激レアですよ!!あー、とっても可愛いです!!」カシャカシャ
龍騎「可愛いのは認めるが記事にはするなよ」
文「それはどうでしょう?椛丸くんが優勝したら大きく載せようと考えてますけど?」
龍騎「......優勝したら許してやる」
文「椛丸くーん!頑張って下さーい!応援してますよー!」
こいつ切り替えが早すぎる......。殴りたい、グーで殴りたい......!なんて思ってたら対戦表が表示された。椛丸は......、五試合目か。すると次は選手の紹介が始まり、椛丸の番がやって来た。
司会者「では次の方、自己紹介をお願いします!」
椛丸「い、犬走椛丸と申します!きょ、今日が初めてなのでよろしくお願いします!」
司会者「椛丸くんは七歳の男の子で、剣にはとても自信があるとの事です。それに今日はお父さんが観に来てくれてるんですよね?」
椛丸「は、はい!」
そう言って椛丸はキョロキョロと見渡す。俺はクスッと笑い手を上げて振る。
龍騎「椛丸ー!頑張ったら文お姉ちゃんがご飯食べさせてくれるってよ!だから頑張れよー!」
文「ちょ」
椛丸「!!父上ー!僕頑張りまーす!」
そう言って尻尾をフリフリと振ると、椛丸も手を振って返す。その様子を見た観客と司会者は『尊い......』という感情が溢れ出ていた。
司会者「......はっ!い、以上椛丸くんでした!頑張ってくださいね!」
椛丸「はい!ありがとうございます!」ニパー
ブシュー
椛丸のキラースマイルが発動し、司会者は目、鼻、口から大量に血を吐き出して倒れてしまった。
椛丸「司会者様!?」
龍騎「司会者が死んだ!」
文「この人でなし!」
それから司会者は緊急搬送され、代わりに別の司会者が務めた。そして選手紹介が終わると直ぐに第一試合が始まる。俺は椛丸をおんぶしながら観戦していた。
龍騎(流石だな......、やはり長年生きてきた天狗は伊達ではないようだ)
椛丸「......父上?」
龍騎「椛丸、この試合のルールは知ってるな?」
椛丸「は、はい!基本弾幕の使用は禁止。武器の使用は可能、しかし使用する場合は木製の剣、盾、槍のみ。気絶、又は降参したらその選手は負け。飛行は三十秒間なら可能、三十秒過ぎると即失格、ただし一度着地した後に飛行は可能。それも三十秒、ですね?」
龍騎「ああ。それにこれは能力を使うな、とは言われて無いからな。最初から全力でぶつかれ、良いな?」
椛丸「はい!」
そして試合は順調に進み、五試合目が始まろうとしていた。
龍騎「別に勝ってこいなんて言わない。せめて全力でやれよ?」
椛丸「分かりました!では行ってきます!」
龍騎「おう、頑張って来い」
そう言って椛丸は歩き出す。そして俺も観客席に戻ると、椛丸は手に木製の剣と盾を持って現れた。
司会者「これより、第五試合目を開始します!」
椛丸「よ、よろしくお願いします!」
白狼天狗「よろしく、言っとくけど子供だからって手加減はしないからね!」
司会者「それでは!試合開始!」
白狼天狗「はあぁ!」
椛丸「っ......」
試合が始まると、対戦相手の白狼天狗が飛び出す。椛丸は目つきを変えると白狼天狗の攻撃を避けると、一定の間隔を開けながら攻撃を回避する。
白狼天狗「くっ......、全く当たらない......」
椛丸「そこっ!」
白狼天狗「なっ!?」
白狼天狗がほんの少し隙を見せたのか椛丸はその隙を見逃さず、相手の懐に入り込む。そして木製の剣から炎を纏わせる。
椛丸「火剣『昇竜斬』」
椛丸は剣をアッパーカットのように斬り上げると、相手の白狼天狗の顎に当たりそのまま倒れてしまった。そして司会者が直ぐに駆けつけると相手の白狼天狗の容態を確認する。
司会者「......気絶!よって勝者、犬走椛丸!」
「「「ウオォォォォォォォォォ!!」
椛丸が勝利したと司会者が叫ぶと観客も叫び出す。椛丸は剣と盾を背中に収めると俺の方を向いて手を振った。俺は片手で手を振るが隣に居る文のシャッター音がうるさくて引っ叩いた。
それから椛丸の快進撃は止まらない。順調に試合を勝ち進み、何と決勝戦まで進出した。これは俺も予想外だった、失礼だが準決勝までかと思ってたからだ。そして決勝戦が行われようとしていた。対する相手は前回の準優勝の鴉天狗のようだ。
鴉天狗「君の活躍は見させて貰った。流石はあの犬走の息子だな、だが悪いが優勝は渡さんぞ!見事私に打ち勝つのだな!」
椛丸「よ、よろしくお願いします!」
司会者「それでは!決勝戦、始め!」
司会者が開始の合図をすると、鴉天狗は椛丸に襲い掛かった。鴉天狗は椛丸に木製の剣で攻撃をすると、椛丸は落ち着いた表情で攻撃を回避。立て続けに鴉天狗の攻撃をするが椛丸には通用しなかった。
鴉天狗「反射神経は良いようだな!ではこれならどうだ?」
そう言って鴉天狗は剣を払うように攻撃する。椛丸は対応して避けるが、鴉天狗の攻撃は川の流れのように止まる事なく椛丸を襲う。
椛丸「っ!」
椛丸は次の攻撃に対応しきれず、盾で攻撃を防ぐがそれが仇となった。盾で防御した事で鴉天狗の攻撃速度が上がっていき、少しずつ盾が削られて行く。
椛丸「くっ........!」
鴉天狗「ほらほら!もっと抵抗したまえ!さもないと盾が小さくなって今度は自分に当たるぞ!」
椛丸「なら!」
そう言って椛丸は小さくなった盾を使って鴉天狗の攻撃を弾くと、鴉天狗に向けて盾を投げる。鴉天狗は椛丸が投げた盾を避けると、正面には椛丸が消えていた。
鴉天狗「!?一体何処に!?」
椛丸「貰った!」
鴉天狗「何!?空からだと!?」
そう、椛丸は鴉天狗の真上に居た。盾を投げた後直ぐに上空に飛んだのだ。そして椛丸は木製の剣に炎を纏わせる。
椛丸「火剣『煉獄火炎斬』」
そして、俺がかつて使っていた技を放った。上空から鴉天狗を斬りつけて最後の一振りで壁まで吹き飛ばす。最後の一振りは木刀とはいえ、殺傷力がゼロとは限らないのでいつもと同じように剣を90度に回転させてビンタする感じで鬼を吹っ飛ばした。
一瞬だが、椛丸に当時の俺の面影が重なったような気がした......。
鴉天狗「参った......、降参だ」
司会者「勝者!犬走椛丸!よって優勝は犬走椛丸に決定!!」
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
鴉天狗が両手を上げて降参すると、司会者が優勝したのが椛丸だと告げると観客全員は大歓声を上げた。
文「凄いじゃないですか!!椛丸くんが優勝しちゃいましたよ!!」バシバシ
龍騎「興奮すんなよあと叩くなよ...、でもマジで優勝するとは思わなかった......」
椛丸「父上ー!やりましたー!」ピース
椛丸が俺に向かってピースサインをしながら嬉しそうな笑顔を見せる。俺も笑顔で某仮面ライダーの主人公風に親指を立てる。
司会者「さて、優勝した椛丸くんには優勝トロフィーが贈られます!皆様、大きな拍手を!」
司会者がそう言うと、観客全員が拍手する。そして司会者は椛丸にマイクを向ける。
司会者「では少し椛丸くんに聞いてみましょう!優勝した感想はいかがでしたか?」
椛丸「まさか優勝できるとは思いもしませんでした!これも父上と母上のお陰です!」
鴉天狗「完敗だ、私の負けだよ。君ならより優秀な天狗になれるだろう」
椛丸「あ、ありがとうございます!」
そう言って椛丸と鴉天狗は握手すると、再び拍手が起きる。
司会者「それでは第151回、天狗格闘大会を終了致します!」
こうして、椛丸の初めてにして新たな経験に幕が閉じた。
〜数時間後〜
椛丸「zzz....」
椛「ぐっすり眠ってますね」
龍騎「あれだけ動いたんだ、疲れない訳がないよ」
あれから色々天狗達に囲まれたり、文に取材を受けたり写真を撮られたりと椛丸は苦労していた。約束通り、文の奢りで飯は食いに行った。勿論、椛も一緒に。それから言えに帰る頃には既に椛丸は熟睡してしまっていた。俺は帰宅すると直ぐに布団を敷いて椛丸を寝かせた。
椛「それにしても凄いですよね...、まさか椛丸が優勝するとは思いませんでしたよ」
龍騎「俺も予想外さ、でもこれも一つの経験って事で良いんじゃないか?」
椛丸「......ちち、うえ.......」
椛「あらあら、龍騎さんと一緒に居る夢でも見てるみたいですね」
龍騎「......今度皆んなでどっか行こうか」
椛「それ良いですね、きっと椛丸も喜びますよ」
そうと決まれば早速計画を立てるとしよう。そう思いながら俺と椛はリビングで話し合っていた。そして、俺家族三人で楽しく旅行に出かけたのはまた別の話し......。
いかがでしたか?
以上、椛編でした。
書いてる自分が言うのもアレですが......、やっぱ男の娘は良いな......。
次回でラストです!そしてこの作品も終了します!
アンケートは終了致します。沢山の投票、ありがとうございました!
誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。
次回、正真正銘のラスト回!お楽しみに!