異世界料理人 改訂版   作:孤独なバカ

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プロローグ

「あぶねぇ〜!!」

 

遅刻ギリギリの時間に急いで教室へと向かう生徒が滑り込んでくる

 

「あっ。おはよう。須藤くん」

「おはよ〜須藤くん」

「おっ?白崎、谷口おはようさん」

 

学校に来る頃にはギリギリの時間になったらしく走ってきたと思われる少しだけ髪が天然パーマがかかった両手に大きな袋を持った男子、須藤隼人は二人の女子に挨拶を返す

この二人の内の一人目は名を白崎香織という。学校で二大女神と言われ、男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる

二人目については谷口鈴といい、ちっちゃくてツインテールが特徴的な少女の一人、クラスのムードメーカーのでもあり、隼人の高校に入ってからの友達の一人だ

 

「およ、南雲も来てたのか。今日は早いな」

 

見回していると隼人は友人を見つけたらしくその方向を見て手を振る

南雲ハジメ。人気漫画家とゲームクリエイターの一人息子であり、のんびりとしたおとなしげの男子高校生だ。まぁ優しく、隼人のアニメの話を通じる親友である

 

「昨日もしかして徹夜か?」

「お父さんの仕事手伝っていたから……。」

「ありゃりゃ、とりあえずお弁当注文した人取りに来て。今日サンドイッチだから谷口と中村も取りに来い」

「ごめんね、毎日用意してもらって」

「いつもすまないねぇ〜」

「それは言わないお約束でしょ。中村。お婆さん」

「誰がおばあちゃんなの!!鈴はピチピチのJkだよ!!」

「背だけをみたら小学生にしか見えないんだけど」

「誰が小学生だ!!」

「す、鈴ちゃん落ち着いて!!」

 

わいわい騒ぎ始める隼人を中心にクラスが賑やかになる

隼人はこのクラスの中心的存在であり、そしてリーダー格の一人だ

するとギャルっぽい女の子が隼人に近づいてくる。少し頰を染めながら緊張しているのが見てとれる

 

「は、隼人」

「ん?園部か」

 

園部優花。隼人とは中学時代からの付き合いであり料理仲間として話が合うことは多い。お互いの両親の店を手伝っていることもあり優花と隼人は互いのグループを行き来しており、互いにそのグループの中心核を担っている

 

「今週末の土曜日と日曜日バイト入れない?ちょっと団体のお客様が入ったんだけど、人が足りなくて。」

「あ〜別にいいぞ。ランチか?」

「う、うん。それでなんだけど。土曜は夜間も少しだけお願いしたいなって」

「夜間もか?…団体何時から?」

「二時よ。一応大学生らしくて」

「了解。それなら二時九時で準備しとく」

 

これで今週の予定は埋まったなとホクホクしている隼人、元々料理やお菓子作りは好きなので苦じゃない

というよりも父親が居酒屋、母親がケーキ屋を経営しているので両親の影響はやっぱりでかいのだ

 

「…つまり、今週の土日には須藤の味噌カツ丼が食えるのか?」

「やべぇ、園部。俺も予約したいんだけど」

「私も。須藤くんの作ったパンケーキ食べたい!!」

「ちょ、ちょっと」

「先生も行きたいです」

「「「「愛ちゃん?」」」」

「あ〜愛ちゃんは俺の家のお得意様なんだよ。俺結構愛ちゃんにきんぴらとか煮物とか料理して渡しているし。てか俺の家に来れば毎回食えるのに」

 

隼人の家は朝と昼は母親のケーキ屋、夜は父親の隠れ宿的居酒屋として経営しており、学校の教師がよくやってくる

隼人も先生たちがうちに食べにくるときは夜間バイトでよく厨房に入っており、通常でも既に現場に入れるほどの腕前だ

 

「うっ、でも最近は仕事で忙しくて」

「あ〜」

「はいはい。こうなると思って日曜日もお願いしているんだから、全員後からメモとるから全員来れる人は連絡してね」

 

本当にしっかりしているよなぁ、こいつ

と苦笑する隼人にあっそうだと思い出したように先生の畑山愛子に言う

 

「愛ちゃんもお土産に試作品の漬物ときんぴら用意しようか?」

「いいんですか?」

「いいよ。ぬか漬けを作り始めたんだけど客に出せるか自分でもわからなくてな」

「あっ、私も部活終わりになるけど…」

 

するとポニーテールの少女が手をあげる

彼女は八重樫雫。八重樫の両親が剣道場を開いており、彼女自身も剣道で敵なしと呼べるだけの強さを持っている

昔から両親同士は交流があり、よく店の料理を食べに来るのだ

雫も昼間の母親のケーキ屋の常連客であるが和菓子も結構好きらしくよく特別メニューを隼人が作っている

 

「確か家族にあげるんだっけ?八重樫も簡単な甘味作っておくから終わったら、部活動仲間と一緒に食べにこいよ」

「ありがとう。須藤くん」

「土日忙しくなりそうね」

 

隼人が苦笑しているがやりがいあるだろと言うと頷く優花

そうやって盛り上がった俺たちは朝のホームルームが過ぎてもその話題で盛り上がり隣のクラスの先生から、愛ちゃんが怒られることとなったのは言うまでもない

 

 

もぐもぐと擬音が入りそうなくらい必死にお弁当を食べる女子高校生に少し呆れている

 

「おい谷口、そんなに早く食べなくても弁当は逃げないって。って中村もだし」

 

隼人の目の前で食べることに夢中で一切何も気にしないようにしているこの二人

隼人のグループは南雲ハジメ、谷口鈴、図書委員で中学時代から何かと縁のある中村恵里で構成されている

中村はとあることから俺の家で同じく前線で働いている一人だ。料理の腕は少し劣るがおかし作りにおいては隼人自身すぐに追いつけなくなると断言ほどの腕がある

ついでに今日はサンドイッチを作ったがすごい勢いで食べていく二人に少し引きながら

 

「……いいなぁ、二人とも」

「あはは。でも美味しいから仕方ないんじゃないかな?」

 

優花が珍しくこっち側のグループで食事をしていて、ハジメはゆっくりながらもハムサンドを食べている

 

「そういえば南雲がこっちって珍しいな。白崎来てないから寝てると思ったんだけど」

「さすがにお弁当作ってもらって寝るってことはないと思うよ。白崎さんと八重樫さんは、天之河くんたちの機嫌が悪いからそっち側にいくんだって」

「あ〜」

 

天之河光輝っていうのはクラスのリーダーで白崎と八重樫の幼馴染でもある。隼人と馬が合わないのでクラスメイトから囲まれていたりしていたり、幼馴染の坂上龍太郎や雫、香織と話していると嫉妬の視線を向けてくることもしばしばだ

俺たちは弁当の交換をしていたと思えば二人の視線が感じる。もちろん視線の正体は香織と雫である。香織は想いびとであるハジメを雫は少しだけ寂そうにしている

元々六人で食べることが多くそのときは基本的に鈴や香織ではなく雫がからかわれている。かわいいもの好きなのを知っていることもあり可愛いもの練り物を作ったり、雫の可愛い話を香織にさせたりして、適度に毒を抜いていたのだ

そういえばと告げる

 

「そういえば、お願いしておいてなんだけど……妹さんは?」

「大丈夫。父さんが土日は人が入らないからって休みだから」

「そう。ならいいけど……」

 

隼人自身、優花の店は常連客として利用している一人でもあるが、時々店の手伝いに入ることもしばしばある

そうやって和やかに飯を食べていると

 

……全員が固まることになった

 

光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ

その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した

自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる隼人達。未だ教室にいた愛子先生が叫んだが、既に時遅し光に巻き込まれてしまいその世界からクラスメイトものとも転移した

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