異世界料理人 改訂版   作:孤独なバカ

8 / 10
変更点がほとんどないのに出せなかった。すいません


奈落のそこへ

ザァーと水の流れる音がする。

 冷たい微風が頬を撫で、冷え切った体が身震いした。頬に当たる硬い感触と下半身の刺すような冷たい感触に隼人は目を覚ました。

ボーとする頭、ズキズキと痛む全身に眉根を寄せながら両腕に力を入れて上体を起こすとそこには

 

「園部。ハジメ!!」

 

運が良かったのか分からないが俺は目の前に二人がいるのを見つける

すると優花もハジメも目が少しずつ覚めていき

 

「痛っ〜。って須藤くん」

「えっと。あれ?隼人と南雲くん?」

「生きてたな。確か、橋が壊れて落ちてなんか水に流されたんだよな。まぁその衝撃で俺たちはどうやら全員気絶してたらしいけど」

 

奈落に落ちていながら助かったのは全くの幸運だった。落下途中の崖の壁に穴があいており、そこから鉄砲水の如く水が噴き出していたのだ。ちょっとした滝である。そのような滝が無数にあり、隼人たちは何度もその滝に吹き飛ばされながら次第に壁際に押しやられ、最終的に壁からせり出ていた横穴からウォータースライダーの如く流されたのである。とてつもない奇跡だ。

 

「そっか。助かったんだな。はっくしょん!」

「うぅ。寒い」

「あ〜体が冷えているのか。とりあえず火をつけたいのはいいんだけどまずハジメ。地下にとりあえず穴ほってくれ。とりあえず現状確認と持ち物の確認だけは先に済ませないと。それにさすがに俺の実力じゃ今は園部の怪我を治せないからな。魔物が現れたらさすがに銃を持っているとはいえきつい」

 

明らかに曲がってはいけない方向に曲がっている。隼人はカバンがあるかを確認するとポシェットはどうやら無事だったらしく応急処置の道具とうどんの乾麺が10人前。そしてナイフが入っていた。

 

「……そうだね。錬成」

 

壁に縦百二十センチ横幅70cm奥行二メートルの穴が空く。

そうして入り口をしめ上を立てるくらいまで天井を広げていくと隼人は優花を背負う

しばらくそれを続けているとなんやら液体が流れていく

 

「ん?って水源あるのか。それならそこを拠点にして装備を整えた方が良さそうだな。」

「えっ?すぐに上層に向かわないの?」

 

優花が首をかしげる。確かにすぐに上に戻りたいのは分かる。でもそれだけは絶対にやってはならないのを気づいていた。

隼人は自分でも驚くくらい落ち着いていたのだ。いや誰かが居る状態での隼人は

 

「あぁ、さすがにこの装備で上層に向かうのは厳しいだろうしな。優花の怪我も治ってないし、落下したってことは魔物のレベルが数段階上がっているはずだ。恐らく80層から90層くらいじゃないか?」

 

ハジメと優花はぎょっとした様子で隼人を見る

 

「それに回復手段が少ないから回復魔法をある程度覚えたい。魔法陣と詠唱は覚えているから」

「確かにそうだね。それならしばらくはそこを拠点にして装備を整えよう」

「鉱石もかなりいいものが集まっているし鑑定技能で鉱石を探しているけど結構いい鉱石があるから装備も銃くらいならなんとかなるって……」

 

と思って俺は液体に鑑定を使ったところだった

 

神水

これを飲んだ者はどんな怪我も病も治るという。欠損部位を再生するような力はないが、飲み続ける限り寿命が尽きないと言われており、そのため不死の霊薬とも言われている

 

との文字に俺はポカーンと口を開けてしまう

 

「……どうしたの?」

「……これ神水だ」

「神水?」

「神水ってあの伝説の?」

「あぁ」

 

隼人は液体を飲んでみる。

すると軽く飲んだだけで脳がクリアになっている。打撲の痛みは引き、体が軽くなったように感じる

 

「……恐らく魔力回復に回復効果。あとは疲労緩和か?ハジメこれに沿って掘ってくれないか?バッチィかもしれないけどこの液体を飲んでいったら魔力が回復すると思うから。園部も悪いけど痛みはあると思うけど」

「え、えぇ」

 

とりあえずまずは生き残ることだけ考えているので

 

「これは……」

「すげぇな」

「綺麗」

 

 そこにはバスケットボールぐらいの大きさの青白く発光する鉱石が存在していた。

 その鉱石は、周りの石壁に同化するように埋まっており下方へ向けて水滴を滴らせている。神秘的で美しい石だ。アクアマリンの青をもっと濃くして発光させた感じが一番しっくりくる表現だろう。

危機感を忘れて見とれてしまうほどに美しかった

 

隼人がその鉱石を鑑定すると

 

神結晶

 

大地に流れる魔力が、千年という長い時をかけて偶然できた魔力溜りにより、その魔力そのものが結晶化したもの。直径三十センチから四十センチ位の大きさで、結晶化した後、更に数百年もの時間をかけて内包する魔力が飽和状態になると、液体となって溢れ出す

 

「……なるほどな。」

 

俺は少し考えると

 

「ハジメ、園部。やっぱりここを拠点にしよう。この神水を使いながら上に上がれるだけの力をつける。恐らく長い戦いになるだろうしな」

「う、うん。そうだね」

「とりあえず、”火種”」

 

と隼人は火種を付ける。魔力で燃やしているので火種には困らないので困る必要はないのが救いだ

 

「どっか鍋ないかな?うどんがあるからひと束ずつ湯がけるんだけど」

「ううん。今は大丈夫だからとりあえずみんなで生き残る方法を考えよう。食事は大事にした方がいいと思う」

「うん。その前に私はえっと神水だっけ?飲んでもいいかしら?」

「それが先だな。まぁ少し食事については心当たりがあることはあるけど。あんまり薦めたくはないなぁ。恐らくかなりの痛みになると思うし」

 

するとようやく隼人たちは笑みがこぼれる

回復手段を手に入れたことにより隼人が自由に動けることになったこととこれからの展望が見えたことに灯が灯る

サバイバルでありながら頼りあるリーダーの声、そして安全地帯を用意できた三人は各自見張りを立てながら回復に努めるのであった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。