あんまりにも話を聞かないのでちょっと移動することにしたら、その理由が分かった。俺のいるこの場所、かなり小さめの島国だわ。日本とそう変わらない感じ。
しかも機械とかがほぼ無い時代となれば、そりゃ隣の大陸の一番近い大国ならともかく、そこから山越え砂漠越えした先の別国家の話なんて入ってくるわけねえわな。
そういうことで移動することにした。持ち物は服にアンダーグラウンドサーチライトを作ってそこに入れておけばほぼ手ぶらで移動できる。実際にはしまっておかなくても新しく出せばいいかもしれないが、前にそれやろうとして何持ってたか忘れたこともあったから一応保存してある。
エネルギー操作の錬金術によって海を凍らせてその上を歩いて移動することもできるが、それで移動しようとすると海流などで流されてしまうので船を出してそれに乗る。燃料はいくらでも追加できるし、食料も同じく。後は方角だがそんなものはコンパスとの角度に任せれば大体いける。何しろ目指しているのは島国じゃなく大陸だ。多少ずれたとしてもなんとかなる。
海流に流されるかもしれないという問題は、船そのものを浮かせてしまえばいい。要するにあれだ、飛空艇だな。
この時代に飛空艇とか作れるかと聞かれちゃ普通は無理と答えるしかないが、錬金術があるので冶金に関しては問題ないし錬成によって形を整えることはできる。そう考えると錬金術って大分無茶苦茶だな。
まあともかく飛空艇で大陸まで移動する。着陸地点は人の多くない平原に適当に降りてから消せばいい。最悪空中で消して着地してもいいしな。
大陸まで空路で三時間程度。着陸の際に周りに出る被害を考えなければもう少し早くできるがそこまで急いでいるわけでもないし、一眠りしていこう。
……大分眠っていたようだ。着陸したのは感じたが、それでも寝ていたからな。どれくらい眠っていたかはわからないが、そろそろ動こうか。
飛空艇を消して着地する。周りを見渡すと、やはり草原のようだ。ここがどこかはわからないし恐らく日本語も通じないだろうが、まあ聞き取りだけならできなくはない。聖杯って便利だな。この周囲で使われている言語の情報を俺の頭に入れて会話とか読み書きとかを困らないようにできるんだから。
まずは地図だ。この大陸の地図を……ん? 地図でわかるんだからわざわざここに来た意味は?
いや、実地で見るのとただ知っているだけというのは大きく違うからな。大事なことだ。うん。そう言うことにしておこう。
で、地図を見てみたところクセルクセスという国は既に起きていることが分かった。で、俺が今いるこの場所はその西。シンとは真逆で……要するに、アメストリス側だろう。捻じ曲がった錬金術が広まった国だ。
だが、近くにアメストリスという国は無いように見える。そしてクセルクセスがあるということは……大分古い時代ということだろう。
このあたりにある国で覚えがあるのは……ああ、あった、アエルゴ。アエリゴじゃあなかったか。
この国がアメストリスの南にあって、北側がブリッグズとか言う場所で、ほぼ円形だから……中心部は大体このあたり。ここの地下に色々あったそうだが、その更に下に秘密基地でも作っておこうか。いつでも移動できる便利な奴。まさか自分たちが作った地下の更に下に何かが潜んでるとは思うまい。ついでにおおよその事件の位置もわかってるから事前に国土錬成陣を利用したなんちゃらってのも仕込んでみるのも悪くない。
詳しい陣については出せばいい。そして実際に陣を敷くのも難しくない。ただし、あまり大きな錬成があると浅い部分じゃあそれが露出してしまう可能性もあるから、それなりに大きな穴で円形の洞窟を作る必要があるだろう。錬成で一発? 馬鹿言うな一気にやったらしばらく地下のエネルギーが枯渇するわ。ただでさえ地殻変動のエネルギーを使う錬金術がこれから広まっていくんだから事前に俺が使いこんじゃあかんだろ。
どうせだったら原作で色々と残った問題をどうにかする方法でも考えてみるかな。
えーと確か? 『賢者の石』を作るには人間の、正確には真理の扉を保有している存在の魂を材料にしないといけなくて? あれ、犬とかはどうだったっけか。クセルクセスでは動物も死んでいたような気がするが、アメストリスでやった時には犬が生き延びていたような気がするんだよな。どっちだったっけか? 確認するにも原作マンガとかねえし……出せるか?
出してみた。出た。出せるんだな。驚いた。次からわからんことがあったらこうやって確認しようと思う。
そこで確認してみたが、はっきり言ってわからん。クセルクセスでも馬が暴れて泡噴いている表現はあるが死んだ表現は無く、主人公の父親が絶望したように叫ぶ背後に倒れている絵にも人間の死体が描かれてはいてもそれ以外の動物の死体は描かれていない。しかし生きている表現もされていないからもしかしたら分解されて消えてしまっているのかもしれないし、魂を吸われて意思のないまま単なるエネルギーに還元されたか。
だが、アメストリスの方では犬が生きていた。だから恐らく分解はされていないし死にもしていない。だから恐らくクセルクセスでも死んではいないはずだ。
で、これによって何が言えるかというと混合獣を元に戻す際に材料に人間が使われているならある程度何とかなりそうだ、ということだ。
まず、人間を材料にした混合獣で『賢者の石』を作る。すると混合獣の身体の中には恐らく動物の魂のみが残るか、もしくは何も残らない抜け殻になる。恐らく動物の魂は残ると思うが一旦それは置いておいて、その状態で人間と動物の状態に分ける。するとまず間違いなく動物の魂は動物の身体の方についていく。なぜなら魂と肉体の規格を合わせていないと魂は簡単にはがれてしまい、精神で繋がっている肉体の方に戻っていくからだ。
そしてその状態で『賢者の石』から魂を人間の肉体に移し替える。やり方としては魂一個分の賢者の石を空っぽの元々の身体に入れてやれば普通に定着するはずだ。確か大総統がそんな感じの人造人間だったような気がするが、あれは不特定多数の人間の魂が混じった『賢者の石』を何のつながりもない赤の他人に無理矢理押し込んだからそんな感じになったんだろう。魂が一つ分で身体が元々本人のものであれば当然拒絶反応やら何やらが出るわけもない。多分それで大丈夫なはずだ。知らんが。
次回作は……?(止まってるのを入れてやり直し)
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