鋼の錬金術師~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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第7話

 

 肉体と魂を引き剥がそうとする分解エネルギーが俺を襲う。が、用意しておいた防御術式と気合で弾く。弾けるのが問題な気もするが弾けたのだから仕方ない。

 しかし、これが来たってことはクセルクセスはこの一夜にして滅びると言うことだろう。結構な国だってのに瓦解するのは文字通り一瞬か。儚いもんだ。

 外に出てみればそこら一帯が死体だらけ。右も死体、左も死体、設定ではクセルクセス全体の住人はおよそ百万人で、それをきっかり半数ずつ『賢者の石』として体内に収めたんだったっけか。

 

 俺は基本的に面倒臭がりだから、敵対するとなったら一撃で間違いなく決着を付けられる状態でもない限り戦いなんてしたくはない。だが、確かこの時期だったらあの人間の形をした入れ物を壊せばあれは死ぬはずだと描かれていた。そして最後の方でそれをやられた際に当然のように克服していたが、あくまでそれは「克服していた」のであって弱点ではなかったわけじゃない。少なくとも成ったばかりの今この瞬間ではそれは間違いなく弱点であるはずなのだ。

 

 そういう訳でまずは不意打ち。背後から錬成した杭で胴体を貫く……前に分解されて無効化される。驚いたような顔をしているが遠隔で錬成なんてのもできなくはない。漫画の龍脈に乗せて云々は少しわかりにくかったからやってないが、俺の場合は接触部分から分解エネルギーを叩き込んで伝導させて遠隔地点で結果を出しているから錬成痕を見れば誰がやったのかはわかるはずだ。

 檻のように杭を突き出し、空気中の炭素を固めて弾丸を作って射出し、相手の身体を酸素と強制的に結び付けることで発火させ、地球と同速度で動き続けていた石ころから運動エネルギーを奪って別の石に付加することで複数の石を秒速30kmで飛ばして頭を砕き―――それら全てが無動作にて分解されるのを見た。

 

「何者だ!何処にいる!?」

 

 そう叫んでいるが出ていくわけがない。今こうして非常に驚いているのは、錬金術を使える以上は相手は人間であるはずで、しかし人間は全て魂を自分たちの中の賢者の石として使っているはずだというのになぜか外から攻撃されている。あり得るとすれば目の前にいる血を分けた者、ホーエンハイムくらいだが、しかしホーエンハイムが錬金術を使っている様子は見受けられない。

 しかし錬金術での攻撃は続けられる。背後から、足元から、頭上から、前後左右上下の全てから攻撃が放たれる。俺を探しながらそれらの攻撃を相殺し続けているが、俺は直接見ていないから見つからないと思うんだよな。錬成痕も地中を通せば地上からはほぼ見つからないし。

 

 声も発言も全部無視して攻撃を続ける。分解エネルギーを纏うことでこちらの攻撃を無力化しているが今のところ五十万と少し分の人間の魂のエネルギーしか使えない。たった五十万程度の人間の魂のエネルギーだけで地殻運動のエネルギーやら何やらをふんだんに使っている攻撃を分解し続けることができるわけもない。それに気付いているのかいないのか、その場を離れようとする男の姿をした『賢者の石』だったが、そう簡単に逃がすわけがない。もう一人のへたり込んでいる方の『賢者の石』を弾いて移動させ、空間ごと巻き込むように火力を上げる。

 攻撃に対する分解は分解する攻撃の威力によって消費量が大きく変わる。威力が高ければ分解エネルギーも多く必要になるし、量が多くても同じこと。だからこそ俺は砂粒を大量に散弾のように叩き込むのを止めないし、隠れて攻撃し続けることもやめない。少なくとも今この時だったらなんとかなりそうだ。

 

 ……が、残念なことに逃げられた。足場から地中まで分解し、その中に飛び込まれてしまった。地面そのものを一時的に分解し続けているからそれだけでも結構頭を使うだろうが、周りにあるものが全てあっちの支配下に置かれている以上攻撃を続けることができない。正確には、周りにある物を錬成して攻撃しても分解され続けているから何の意味もないというのが正しいか。

 とりあえず衝撃そのものを地中に居るらしい『賢者の石』に叩き込み続けるが、それも同じように分解される。だが流石に秒速30㎞で動き続ける小石の運動エネルギーを直撃されるのは堪えるようで移動速度は遅くなるし、時々移動方向がぶれる。俺がやってるこれは力を増やしも減らしもしない、ただ移し替えるだけのものなので殆どエネルギーを使わねえから牽制目的で使えるくらいに手軽だ。

 

 目視は既にできない距離。だが俺なら感知だけならできるし、感知ができればそこにエネルギーを与えて攻撃もできる。俺と同じくらいに慣れていれば与えられたエネルギーを変換して溜め込むこともできるだろうが、ほぼ産まれたばかりで攻撃らしい攻撃にさらされたことのないあれは防ぐことはできても吸収することはできないようだ。

 俺はちょっと発想が奇想天外なだけで研究自体はあまりしないでもあの錬金術を作れたから、しっかりと研究していれば似たような物を作るのは簡単なんじゃないだろうか。少なくとも、相対停止の方なら結構できそうな気がする。

 

 ある程度離れた所で俺の感知範囲内から出たと思わせるように攻撃を止める。その距離はおよそ250km程度に抑えておいて、それから残っている一人の元に向かう。

 

「……お、まえは……?」

「俺か? 観光客だ。名前は……多分ちゃんと発音できないだろうから『ヴィングロウリー』とでも」

「『虚栄(ヴィングロウリー)』……?」

「本名も他にあるから適当に縮めて呼んでくれてもいいぞ」

 

 よっぽどじゃない限り誰にどう呼ばれていても気にしないしな。

 

次回作は……?(止まってるのを入れてやり直し)

  • ウマ娘
  • SAO
  • 金色のガッシュ
  • BLEACHの続き
  • わたおれヒロアカ(神野市あたりまで)
  • 竈の女神様(原作崩壊してるので短い)
  • 小五ロリ(新しいの知らんのでオリ異変)
  • 恋姫
  • 寝たいだけ外伝・超外伝
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