【完結】コケダマですが、なにか?   作:あまみずき

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天廻翠星は再誕する

 ──地上での戦いが終わって半日ほど。

 深いエルロー大迷宮を下った先システム中枢の前に、大厄災に立ち向かった人たちが合流をして勢揃いとなっていた。

 

「いい? あの場所で破壊行為は厳禁だからね」

 

 扉の前、パペットタラテクトのアエルに背負われたアリエルが告げる。

 その言葉にシュレインたち、ソフィアにユーゴーに、フィリメスとハイリンス、教皇ダスティンやロナントらが頷く。

 更に奥には疲れが見える様子のギュリエと、あいも変わらず無表情なサリエルの姿もあった。

 

 エルロー大迷宮は、かつてないほど静謐に包まれている。

 青息吐息の呼吸と靴音だけが響き、半日前の狂騒どころか生き物の気配すら何処にもない。

 翠魔がいた痕跡を示す灰が床一面に広がるだけで、肌寒い空気が満ちるだけだった。

 

「それじゃあ、開けるよ。──リエル、サエル、フィエル」

 

 手の空いていたパペットタラテクトの三姉妹が、隙間の空いている扉を押す。

 見た目は女児の三人だが重厚な扉を苦もなく軽々と動かしていき、数秒経って数人並んで通れるほどの道が開かれた。

 その様に、しかし驚くような者は誰もおらず、無言のまま彼らは歩みを進める

 

 大厄災は終わった、けれど中枢での顛末はどうなったのか──

 一人向かった白織は勝ったのか──

 そして囚われた翠星を救い出せたのか──

 彼らには何一つ分からないからこそ、慎重に進んでいく。

 

 なにせ、まともに戦える者などほとんど居ない。

 翠魔と戦った全員が反動で倒れる事態となり、半日は休息したもののダメージは以前重く彼らに伸し掛かっている状態。

 

 もし戦闘にでもなれば、全滅もありえる。

 けれど、確かめなければならない。

 この戦いの結末を──

 

 そして──扉の向こう側にいたのは。

 

「待ちくたびれたよ、()()()()

「アリエルさん、みんな──ただいまっ」

 

 穏やかに脈動する魔術陣の下で身体を寄せ合い佇む。

 白織と翠星の二人が、皆へ微笑みを返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──少し時間を遡り。

 白織と翠星、そしてDとの戦いに決着がついた直後のこと。

 

「──あいたたた。割りと手加減抜きで思いっきり殴りましたね?」

 

 殴られた顎付近を撫でさすりながら、起き上がったDさんは平然と話す。

 指を一つ鳴らせば、裂けたり焼け焦げた服も元通りとなって、争いの痕跡は全て消えていた。

 この位階の神格にとっては、物理的な損傷など些事でしか無いとでも示すように。

 

「仮にですけど、あのまま殺されていたらどうするつもりだったんです? 

 一応良いもの観させてもらった礼として、星の再生は責任持って完遂させるつもりでしたけど」

 

 そのように、Dさんは今思いついたといった様子で疑問を口にする。

 それに私と白ちゃんは、やや気まずそうに遠くを見ながら喋りだした。

 

「……わりと考えてなかった」

「なんていうか、ノリで動いていた感じかも……」

 

 二人して肩を落とし、呻きを洩らしながら自省する。

 

 システムは、自分たちがいなくても星の再生は始まるようには設定してきた。

 自分たちが倒れたとしてもあの星が未来を歩めるように、成すべきことはしてあった。

 けれど勢い任せだった点については、私たち二人とも否定はできないのだった。

 

「まだまだ未熟ですねぇ──ですが、それも良いでしょう」

 

 ──永く生きすぎると、そういった感覚も忘れてしまいかねないのですから。

 そうDは思ったが、口にはしなかった。

 擦れ果てた古き神々どものようになるより、こちらの純真すぎる有りようのほうが遥かに良いのだから。

 忠告で水を差すのは、きっと今でなくとも構わない。

 

「さて、()()を渡しておきましょう」

 

 Dさんは掌に水晶で出来たような細長い鍵を召喚すると、それを私へ投げ渡した。

 

「システムの上位管理者用の鍵です。それがあればシステムを自由に出来るでしょう。

 もうあの星に私が関与する必要もなさそうですし──あなた達に託します」

 

 それを(ため)めつ(すが)めつ、私は手中で確かめて。

 白ちゃんはどういつもりだとDさんを見据えた。

 

「良いのか?」

「えぇ勿論。余計なお世話だと蹴ってもいいですが、あの星は体裁上私の傘下ということで、Dの名前を使っても構いませんよ。それで木っ端の神が喧嘩売りにくることなど無くなりますし。

 まあ、今のあなた達なら返り討ちにするのも簡単でしょうが」

「……とりあえず、まだ知らないことだらけなので保留でも良いですか?」

「…………私ら冥界一派から教育係を派遣しましょう。まずはそこからですかね」

 

 一旦考える時間が欲しいと呟けば、Dさんはあっさりと理解を示しトントン拍子で話が進む。

 清算が済めば恨みっこなしとばかりに、壮絶な戦いの後であるにも関わらず三人の空気は気安いものだった。

 

「それと──そのままでは元の世界に戻るべきでは無いですね。力が強すぎて世界が壊れます」

「は?」

「え?」

 

 ──白織と翠星どちらも、最上位神格であるDとの戦闘で驚異的な成長を遂げた。

 しかし、そのせいで素の状態では世界に掛けてしまう負荷が非常に重くなっており、ただ立っているだけで三次元上空間から追い出されてしまう存在となっていたのだ。

 

 上位の神格が、世界に対してあまり直接的に干渉しないのはこのため。

 

 より高次元に近しい場所か固有の異空間でなければ、力を制限しないと世界に孔が空く。

 ようは世界の防衛本能として、極まりすぎた神は特異点へと落として排除してしまうのだ。

 何もない、虚無の次元へと放逐されてしまう。

 

 システムという目印もあり空間能力に長けた白織もいれば、帰ってくること自体は可能だろうがまたすぐに放逐されてしまうのが目に見えていた。

 

「ですから抑え方を教えます。私が若葉姫色として過ごしていた方法です。

 とりあえず、見れば分かるでしょう──こうやるんです」

 

 説明もそこそこに、実技を見せるDさん。

 己の力を内界に封じて、人などに偽装する術式──というより生理的機能だろうか。

 神が脆い世界の上で暮らすための本能的な技を、Dさんは私たちへと伝授した。

 

「理解は、したけれど……」

「これあれだな──着膨れするほど厚着しているのに等しい窮屈さを感じる」

 

 原理としては、宇宙服でも着込んだようなもの。

 ただし内のモノを外に出さないという意味で、保護する対象が逆ではあるが。

 

 次瞬、神髄に覚醒してから私たちが常態で放散していた桁違いの圧力が弱まり、並外れた容貌を除けばギリギリ人の範疇らしい気配へと落ち着いていた。

 

「まあ、慣れですよ。じきにそれは神髄のオンオフという形で調整できるようになるでしょうし。

 ──これで伝えるべきことは伝えました、後はあなた達次第。

 どう生きるのも、どう選択するのかも、あなた達の自由です。それが勝者の権利ですから」

 

 Dさんが腕を振ると、亀裂が走り砕けだす闇の特異点。

 役目を終えた舞台が、厳かに幕が閉じられていく。

 

「では、近い内また会いましょう。それまでどうかお元気で──()()()()よ」

 

 Dの足元に魔術陣が広がり、その身体が霧散していく。

 薄れゆくなか消え去る直前に、彼女は作り物ではない自然な笑みを浮かべ──

 

「あっ、そうそう。さっきまで神妙に語った台詞ですけれど──冗談に決まっているでしょう?」

 

 その台詞に、私たちはキョトンとした顔となる。

 

「あはははっ。もっと私を楽しませたら、()()の一端を教えるのは(やぶさ)かではありませんよ。

 またいつか──。今日はあなた達の“勝ち”なのですから」

 

 微かな光を残しながら、友を得られた闇の冥王は満足げな表情で去っていったのだった。

 

「天邪鬼め」

「でも、いいんじゃない? そんな素直じゃない友達が一人くらい居てもさ」

「──まぁ、そうかもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして──

 

「「終わったよ、みんなっ」」

 

 透き通った笑顔で、私たちの戦いの終わりを告げるのだった。

 

 手にあるのは小さな鍵。

 私たちの勝利の証であり、紡いだ絆の証でもある。

 

 それを指で輪郭をなぞりながら、私は思う。

 Dさんという新たな友達は、捻くれているし面倒くさい気質をしているし、平気で人の傷口抉るような皮肉屋で、お世辞にも性格が良いとは言えないけれど──

 そんな人でも真の望みについて理解しているのなら、なんだかんだ付き合えると思う。

 

 この恩返しの気持ちに嘘はない。

 あなたも環に入っているのだから、応えてみせるよ。

 

 そして──この鍵と私たちの力で、この星の病魔はついに晴らされる。

 傷ついて弱々しい星の脈動が、今の私には良く分かってしまう。

 こんな状態で、私たちを辛抱強く見守ってくれてありがとう。

 その恩を、もうすぐ返すから。

 

 だから、一秒でも早く星の再生を始めたいとは思うけれど、万全を期すためにアリエルさん達を待っていた。

 その理由は──

 

「ダスティン教皇、オカ先生、シュレインさん、カティアさん、ユーリ、アサカさん……

 支配者スキルを獲得した皆へ問いかけます。

 この場所この瞬間には、システムが稼働されてから一度たりとも成されなかった支配者権限持ち全員が揃っています。──そう、システムの行き先を決められる資格を持った者たちが」

 

 傲慢、強欲、暴食、嫉妬、憤怒、色欲、怠惰。

 七大罪。

 謙譲、救恤、節制、忍耐、慈悲、純血、勤勉。

 七美徳。

 その全てが、今揃っているのだから。

 

「だから、聞かせて欲しいんです。

 この魂を削り続ける輪廻を止め、傷だらけの星を癒やすことに賛同するかどうかを」

 

 本当は、今手の中にある鍵を使えば、そのようなことを無視して実行できる。

 もしくは私と白ちゃんが二人がかりでシステムに干渉すれば、強引にでも実行できるだろう。

 けれど──どうしても聞くべきことだったから。

 この星にて共に生きる生命の一つである、彼ら彼女らにも。

 

「私らはそのために集ったんじゃなかったのかい? 今更じゃないか、なぁそうだろう?」

「そうね」

「うん、僕も同じさ」

「俺は途中参加だけどよ、んな水臭いこと言うなよな」

「お嬢様のお望みのままに……ですが、私個人としても信念を持って選択したことですので」

 

 アリエル、ソフィア、ラース、ユーゴー、メラゾフィス。

 魔王の願いのもと、世界を敵に回す覚悟で歩んできた仲間たちが苦笑しながら言う。

 

「短い旅で怒涛の勢いで真相を知ったけれど、俺はこんな仕組みは間違っていると、今も変わらずそう確信する。死を求められるなんて狂った世界に他ならないから」

「そうですわね。わたくしとしましては、システムが無くなれば発生するでしょう影響の予想図に頭が痛くなりそうですが」

「たしかに私も心配。だけど神言の、システムの本懐を遂げることのほうが、大事だと私は思う」

「あたしは……まぁ、とくに言うこと無いけどさ。やっぱ変かもって、それだけ」

 

 シュレイン、カティア、ユーリ、フェイ。

 世界に選ばれた勇者として、苦難の渦中で目の当たりにした真実から導き出した彼らの答えは、システムを終わらせること。

 それを告げる彼らは、今でも迷いこそあれ自らが正しいと思う道を、確かに選択していた。

 

「……これは、生徒のみんなが成し遂げたんです。だから先生は褒める事こそあれ、叱ったりなどしません」

「ユリウスの弟が選んだ道だ。応援してやるのが筋だろう」

 

 フィリメス、ハイリンス。

 転生者たちの先生として、二代渡っての勇者の仲間として、二人は背中を押すだけ。

 ただ誇らしさだけが教導者たちの胸を占める。

 

「それって私もよね。なら答えはイエスよ。──クニヒコ、一つ我が儘を言ってもいいかしら」

「おう──……分かった、なんだ?」

「一緒に暮らさない? 剣を置いて、どこか静かで争いのない田舎で」

「そっか、アサカお前は……なら俺の復讐も終わっちまったのか。……あぁ勿論だ、俺、こんな奴だけどさ、一緒に生きていこうぜアサカ」

 

 怠惰の支配者であるアサカは、真剣な声でクニヒコに秘めていた想いを告げる。

 ……そのようなスキルを獲得できる時点で、アサカの本質は分かってしまう。

 復讐に走り続ける馬鹿な男に、必死で追い縋っていたゆっくり歩きたい女。

 その彼女が、今男に対して足を止めようと告げていた。

 

 初めて聞かされた本音に、クニヒコは瞠目する。

 その言葉を隠された意味を深く噛み締めて、クニヒコは心の天秤が一方に傾いたのを悟った。

 復讐の人生より、アサカの方に傾いた。

 気付いたとたん、泣いているような笑っているような顔で旅路の終わりを理解し、彼は寂しげに返事をしたのだった。

 

「スー」

「…………」

「スー」

「……………………兄様」

「俺は、スーの気持ちに応えられるとは言えない」

「ッ!」

「けどっ、もう一度やり直したいと思っている。その手を、伸ばしてくれないか? スー」

「兄様は…………ずるいです」

 

 戦いが終わって時間が経ち、躁状態から普段の不満げな顔に戻っていたスーレシアは、ひたすら無言を貫いていた。

 だけど兄であるシュレインの幾度の呼び掛けに無視を決め込め続けるのは不可能で、返事をしたものの告げられたのは聞きたくない言葉。

 それに激昂しそうになったが、続いた言葉で踏みとどまり、しぶしぶ了承して手を重ねた。

 やり直したい──そう願っているのはスーレシアも同じだったから。

 

「──私の番ですかね」

「ダスティン教皇」

「教訓を、継承を、希望を残してくれると信頼しております。すでに私の役目は終わったのです。ならば未来に託してみるのも一興でしょう。──世界を、人を、よろしくお願いします」

「……託されました」

 

 見た目の老齢さよりも長く生き続けてきた殉教者は、ここが告解室であるかのように己の内側に沈み込んでいた罪の中から、始まりの誓いを思い出していた。

 

 微笑という仮面は剥がれ、快活な笑みが灯る。

 誇りと信念を持って、人を導いてきた生粋の指導者たる自負。

 その終わりは後進に道を譲って託すものなのだと、ダスティンはようやく気付けたのだから。

 

「思えば、密度の濃い出会いだったな。白織、翠星よ──本当に感謝する」

「改めて感謝を、二人とも。あなた達のお陰で、見事なハッピーエンドとなりました」

 

 ギュリエとサリエル。

 その二人は、肩が触れ合いそうな距離で並んで立っており、白織と翠星へ慈愛の籠もった視線を向けていた。

 文句など、何処にもない。

 不条理だらけで諦めが滲んでいた現実に、風穴を開けてこの結末を掴み取ったことが喜ばしくて仕方がない。

 辛い世界を見続けた者として、この幸福は得難く尊いものだと、深く知るのだから。

 

 

「……ありがとう、みんな」

「コケちゃん」

「うん、始めよう──みなさん、支配者権限の鍵を」

 

 私は宣言する。

 そして支配者スキルを持つ人たちが、その手に小さな結晶の鍵を生み出す。

 それらは宙に浮かび、私と白ちゃんの周囲をゆっくり旋回しだす。

 

 胸の中で鼓動をならす眷属の魂たちが、祝福を謳っていた。

 大厄災が止まった瞬間、帰還していた私の家族。

 その代表たる24の眷属たちは光の妖精となって現れ、悪戯めかして笑い円を組んで手を繋ぐ。

 

「システムの解体──いいえ、システムの完全再編を開始します。

 星はこれより再生される。

 けれど、生命と社会と世界を守るため、ステータスやスキルはゆっくりと消えていくようにし、新たな秩序へとこの世界を移行させるために」

 

 全ての鍵が集まり、起動しはじめる星の再生。

 Dさんから貰った上位管理者権限を掲げ、それに十四の正規の支配者権限を結合して実行する。

 

「白光は天に在りて、世界を見守り」

「翠の大地は、これからも(そら)を廻って続いていく」

 

 紡いでいく言霊と共に、溢れ出す光。

 翠白の星々が二人を包んで、天使の輪のようにクルクルと廻ってゆく。

 

 私は白ちゃんと手をつなぎ、もう片方の手でシステムへと触れる。

 白ちゃんも同じように触れて、私へ微笑んだ。

 

 さあ、始めよう。

 貴女と共に、果てなき悠久の(そら)で、一緒に暮らす為に。

 今こそ黄泉還れ。

 糸を靡かせ、天を廻る私たちの彗星よ。

 

 翠白の報恩譚を、私達みんなで紡いでいこう──

 

 

 天廻翠星(エレウーシス)は再誕する。

 

 

 ──システムをオーバーライド。

 警告:権限が不足しています。

 

 ──上位管理者の権限、確認。

 ──支配者権限、14種全てを確認。

 

 ──掌握成功。

 対象:翠星を、最上位管理者に設定。

 対象:上位管理者Dの権限を剥奪。

 対象:白織を上位管理者に登録、権限構築。

 対象:管理者サリエルの権限を再設定。

 対象:管理者ギュリエディストディエスの権限を再設定。

 

 ────対象:Dをゲスト登録。

 

 システム再構成。

 転生システムの終了処理。待機中の魂の解放成功。機能の完全解体。

 ステータスシステムの停止処理を開始。

 スキルシステムの停止処理を開始。

 警告:ステータス・スキルの剥離時に魂が崩壊する危険性アリ。

 停止処理を保留。待機状態へ移行。

 

 星再生プログラムの起動開始。

 割込処理:全システムオーバーライド。

 アップデートを検証中です……………………完了。

 

 

 ──システム再起動。

 接続:外部動力として、翠星、白織を設定。

 共鳴システム起動。陽恒炉、エネルギー供給開始。

 

 新たな術式《生命芽吹け翠の星、天地紡ぎし再誕する楽園》を起動開始。

 実行:星の再誕プログラム。

 進行率1%……4%…………進行中です。

 

 実行:ワールドアナウンス:

《ワールドクエストクリア 世界は救われた》

 

 実行:ワールドアナウンス:

《永きにわたる贖罪は終わった。傷付いた星は再誕し、生命の翠に覆われる始まりに祝福を》

 

 

 奏でられる再誕の息吹が、星へと巡りだす。

 輝き煌めく、翠白の光の帯。

 優しい光がエルロー大迷宮より、この星全てへと苔むすように広がり包み込んだ。

 

 この光を見ているあなた達へ、どうか気付いて欲しい。

 私たちは、この素晴らしい星と共に生きているのだから。

 だから、少しだけでも自然に感謝をしよう。

 そして身近な人に、恩返しをしよう。

 

 そんな些細なことで、世界はきっとより良くなるのだから──

 

 私たちの旅路は、そんな繋がりによって始まり、これからも続いていく。

 ずっと、ずっと、ずっと──悠久の果てまで紡がれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「白ちゃん」

「なに? コケちゃん」

「一緒にいてくれて、ありがとう」

「これからも一緒だよ」

 

 屈託ない想いを隣にいる愛しい人に告げれば、貴方は優しく答えてくれる。

 それに私は、照れ笑いをしながら表情をほころばせた。

 

「……そうだねっ!」

「うん、だからさ」

 

 大切な人よ、貴女のお陰で私は強くなれたんだ。

 だから、この抑えきれない喜びを共に感じていきたいと強く思うから。

 

「「ずっと、これからも──よろしくねっ」」

 

 キュっと指を絡めながら、手を重ねる。

 私たちは花が綻ぶような笑顔で、そう見つめ合うのだった。




エンディングが流れて。
そして、次話:エピローグ
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