【完結】コケダマですが、なにか?   作:あまみずき

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蜘蛛11 システムに喧嘩を売ろう

「という訳で、私はちょっとその作業をこなしに行ってくる」

「んー。それはいつも通りに、システム関連分体とやらに任せておく事は出来ないの?」

「流石にピッキングとなれば、また防衛機構とやらが作動しちゃうのでは? だから白ちゃん本人が行かないといけないのだと思う」

「ああ、なるほど」

 

 報連相は大事という事で、システム中枢へ出発する前にコケちゃんと魔王に会いに来た訳だが、何かよく分からないけれど二人から引き留められていた。

 

 場所は、馬車ならぬ蜘蛛車の中。

 アークタラテクトの背中に籠が乗っているという、色んな意味で豪華な乗り物だ。

 蜘蛛の魔物を眷属としている魔王だからこそだが、危険度Sランクの魔物を足に使うだなんて、普通じゃあり得ないからメッチャ目立つんだよなー。

 これとかのせいで、一応鎧とか見た目とかを偽装してあるとはいえ、うちら魔族軍が尋常な軍団では無いってのがバレバレなんだよね。

 魔族って魔族語使って話すし、それ聞かれたら一発アウトだし……

 うわ……、うちらの偽装、下手すぎ? 

 

「そんな理由。迎撃するのに本体が別の場所では対処出来ないし、リスキー過ぎる」

「そうかー」

 

 まあ、魔王が引き留めたい気持ちも分かる。

 転移はコケちゃんでも出来るけど私ほどの即応力がある訳では無いし、敵の情報をいち早く察知出来る諜報能力は、私の専売特許だ。

 

 情報が停滞してしまえば、幾ら転移という切り札を持っていても先手を打つことが出来ないし、私の重要性はトップクラスだろう。

 

 ははっ! 自分の有能さがコワイワー。

 

「白ちゃん……、またアホな事考えているでしょ?」

「深夜テンションって感じかな……、これ」

 

 心外だなー。

 

「ソンナコトナイヨー」

「白ちゃんがそう言うときは、大抵図星を指された時だよね」

「ソンナコトナイヨー」

「うん、間違い無いよ。だいぶキテますね」

 

 魔王とコケちゃん、二人して肩を竦める。

 むう、最高にノリノリなのに。

 

「……」

「今度は、白ちゃんが休む番だよ」

 

 とか、思っていたら何故か魔王に引っ張られた。

 そして、されるがままでいたら、体勢を横にされ魔王が作り出した糸でモコモコ状態にされた。

 糸が綿みたいな弾力のある形状になっていて、それで全身を包まれているという。

 

 そんで、気が付くと乗り物の中には、コケちゃんのフカフカな苔のクッションが敷き詰められているし、なんか如何にも寝るには最適な環境が整えられていた。

 

「先に休ませて貰ったのだし、今は私に任せておいて」

「行くのは明日にしときな。今日はそこで寝ること」

 

 寝るの? この状態で? 

 いや、たしかに寝心地は良さそうなんだけどさ。

 

「白ちゃん、自分では気付いて無いかもだけど、すっごい疲れた顔してるよ」

「マジか」

「おおマジです、白ちゃん。見た目は誤魔化せても、雰囲気に出ているのだからバレバレだよ」

 

 顔に出てたか。

 神でも肉体があるのだから、疲れもする。

 魔術で状態を戻せたとしても、細かな疲労は溜まっていたのか。

 

「でも。あんま時間無いし……」

「疲れてボーっとして失敗する方が危ないって」

 

 正論! 

 

「白ちゃんだって、本当は休んだ方が良いって思っていない? 少し休んだほうが良いよ」

 

 確かに少しは思ってた! 

 急がば回れって言うし、疲れた状態で事を急いても、効率は悪いし上手くいかないって言われているからなー、仕方無いかー。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

「うん。分体とかも必要最低限だけ残して、あとは全部休息させな」

「えぇ……」

 

 それやっちゃうと、世界中の監視網が一時的にストップするんだけど。

 

「エルフの里や、シュレインら勇者たちの監視など、重要な場所は私が見ておくから」

「返事は?」

「……はい」

 

 なんか、今日のコケちゃんと魔王は強引だなぁ。

 これは逃げても無駄な気がするぞ。

 そうすると、今度こそ絶対寝かせるべく甘やかされるだろうし、泣かれるかもしれない。

 そんなの恥ずかしいし、気まずいんですけど!? 

 

「……私もさ、白ちゃんたちに頼り切っちゃってる自覚はあるんだよ。だからさ、その白ちゃんがこんだけ疲れているのを見ちゃうと。休んで欲しいって思うわけ」

 

 なんか、魔王が自己嫌悪に陥っているような表情で言ってきた。

 そして今度はコケちゃんが悲痛な顔で。

 

「私だって、友達が辛そうなのは嫌だって思うから。それが私のためだと分かると、尚更ね……」

 

 ……辛いのは、そっちでしょうに。

 死にそうなんだよ、消えてしまいそうなんだよ、もう時間が無いって分かってるのに。

 もっと嘆いてよ、もっと憤ってよ。

 でないと、私が悲しめないじゃん。

 

「……私は好きでやってるんだから。コケちゃんのためでも魔王のためでも無い、私のために自ら選んだ道なんだから。誰のためでも無い、だからそんな顔しないでよ」

 

 少し嘘をつく。

 今は自分の意思で選んだ道だけど、その原点には二人の存在が居るのだから。

 私の行動は、恩を受けた誰かのためにある。

 

「ごめん、じゃないな。こういう時はありがとうって言うべきか」

「……うん、そうだね。まだ、泣くのは早いよね。今は笑うべきだよね」

 

 コケちゃんと魔王は、微笑みを浮かべる。

 

「そうそう」

「全部終わったらさ、もう一回ありがとうって改めて言いたいんだ。だから、その前にブッ倒れないでよ?」

「OKボス!」

「コケちゃんもね」

「え……。うん、分かりました。約束、ですよね」

「そう、約束。破っちゃダメだからね」

 

 約束、かぁ。

 そのためにも、今はしっかり寝ようか。

 それじゃあ、おやすみ……

 

 

 

 

 

 

「……寝ちゃいましたね」

「そうだねー。こうして無防備に寝てる姿は、久々に見るよ」

「力を取り戻してから、寝ているところは見ていないかも」

「それはコケちゃんにも当て嵌まるからね」

「うっ……」

「ほんとは、ぐーたらするのが好きなくせに」

「分かります。必要無いのなら、トコトン気が抜けちゃうのが白ちゃんですから」

「ふふっ、昔にそんな奴が居たから、よく分かるよ」

「……もう少しなんです」

「もう少し?」

「勝つにしろ負けるにしろ、エルフの里での事が終われば、最終段階に進めなくちゃならない」

「そこまで、時間は無いの?」

「はい」

「そっか……、勝とうね」

「勿論です」

「私はさ……、もっと力になりたいんだ」

「うん?」

「コケちゃんや白ちゃん、それにソフィアちゃんやラースくんにユーゴーくんは本来部外者だったんだよ。それなのに色々と押し付けてるようで、心苦しかったんだ」

「でも、私たちは……」

「知ってる、自ら選んで来てくれたって。でもさ、甘えたく無いんだよ」

「……」

「強くなった。いつかポティマスを倒せるように、世界を救えるようにって長い時を生きてきた」

「……はい」

「けどさ、それでも二人の手伝いは出来ないんだ。だから出来る事を精一杯したい」

「充分、アリエルさんは頑張っていますよ」

「ありがとう。でも、それが最低限のお返しだと思うんだ」

「そんなことは……」

「あるんだよ。そして成功させる事こそが、みんなに対する最大の感謝になる」

「……」

「だからさ、祝おう。世界を救った後に、みんな一緒にさ。誰一人欠ける事無くね」

「……あは。きっと楽しい時間でしょうね」

「そうだよ、最高に楽しい時間にしようよ。滅びかけの世界を救った英雄たちは盛大な祝宴の中でハッピーエンドってね」

「なら、負けられませんね」

「そうだね、でも無茶ばっかしちゃダメだよ。一人でも欠けたら、それは幸せな終わりにならないのだから」

「……憶えときます」

「うむ」

 

 

 

 

 

 

 おはよう! ございますっ!! 

 なんか恥ずかしい会話されてた気がするけど、全部気のせいだと思うことにしよう。

 そうしよう。

 

 でもまあ、もこもこの寝心地でスッキリ疲れが取れました。

 

「おはよう」

「おはよう、白ちゃん」

 

 もこもこから這い出す、あれコケちゃんは? 

 

「コケちゃんはそっち。集中してるみたいで反応も無いし、ずっと何か書き込んでいるんだよ」

 

 見ると、例の怪しげな本を開いて、そこに魔術を使って真剣に何かの術式を書き込み続けているコケちゃんが居た。

 なんか瞳も青白く輝いているし、全力戦闘の一歩手前な状態になっていた。

 

 コケちゃんの全力戦闘状態は分かりやすく目立つからなぁ。

 白い花飾りが、光輪に変化するでしょ。

 光の翅を展開するでしょ。

 そんで瞳の色が変わる。

 

 メッチャ神々しくも目に悪い感じで眩しいんだよ、コケちゃん。

 

 とりあえず挨拶だけしとこーかなって思ってたけど、どうするか。

 

「……うん? 起きたの、白ちゃん?」

「ああ、うん」

 

 とか考えている内に、コケちゃんが顔を上げる。

 すると、瞳の色も戻って灰色になり、僅かに漏れ出ていた気配も静まっていく。

 

「あー、何してたの?」

「ある魔術を作っていてね。これは己の本質、魂に直結した大掛かりで複雑な魔術となるのかな」

 

 本を一旦閉じると、コケちゃんは背表紙を撫でる。

 そして、そのまま話し続ける。

 

「もしこれが完成していれば、きっと役に立つと思うから。効果は完全には確定していないけど、あと一歩のところまで来ているし、エルフの里に到着する直前あたりには出来上がると思う」

 

 ふと、思いついたといった様子で、コケちゃん本を指で叩く。

 

「そうだ、途中だけど術式を見てみて」

 

 トントンっとエネルギーを軽く込めて本を叩けば、空中に魔術陣が展開された。

 その異次元的な情報量の密度に、軽く目眩がした。

 

 なんだこれ、複雑すぎて読めん。

 一種の圧縮言語みたいになってるせいで、そこに複数の意味が幾重に折り重なって書き込まれているのは分かるけど、その一つ一つの意味までは完全には理解出来ない。

 刻まれている術式の数も桁違いで、巨大過ぎる基礎部分から細かな制御術式らしきものまで常識外れであり、見えるけど理解出来ないとはこういう事を言うのでは無いかと思った。

 これ、もしかしたらシステムより難解かもしれんぞ。

 

 魔王なんか、顔ポカーンとしてるぞ。

 なんつーもん見せるんだ、コケちゃんは。

 

「どうかな」

「うん、無理読めん。全く分からん」

「え゛」

 

 え゛、じゃないんだよなー! 

 コケちゃんも、大概異常だったのを再確認したわ。

 

「あー、うん。そうだ、これ必要でしょ」

「うん?」

 

 理解を諦めた魔王が、何かを手渡される。

 ああ、これは必要だわ。

 

「キーは必要でしょ?」

「ありがとう。助かる」

「助けられてるのはこっちだからね。気にしないで」

 

 魔王から謙譲のキーを受け取る。

 そういや、まだ受け取ってなかったな。

 

「……ゴホン。そうだ白ちゃん、大鎌は持った?」

「あー」

「戦う事になるのだから、武器は持っていくべきだよ」

 

 そういえば、そんなのあったなー。

 なんて思っていると、すぐ近くでゴドッという重い音が。

 

 顔を向ければ、白い大鎌がそこにあった。

 さっきまで何も無かったよな? 

 しかも、私は呼び寄せてないし。

 

 私の体の一部を使い、一緒に神化したとも言える、この大鎌。

 この大鎌は私の意思に関係無く、勝手に動くし勝手に何かやらかすんだよなー。

 

 イヤ、何かやらかす時は大抵役に立つ時とか、私の身に危険が迫った時とか、手元から離れた時に転移して戻ってくるとかなんだけどね。

 

 なんか大鎌から、怒ってるようなオーラが感じられる。

 悪かったって、忘れてて。

 

「白ちゃんの大鎌も、私の本のように対話すべきだよ」

「対話?」

 

 大鎌は私の半身みたいなもんだけど、対話ってどうすりゃいいのさ。

 意思があるっぽいけど、会話なんて出来んぞ? 

 

「語りかけるのは基本だけど、そうだね……。まずはエネルギーを流して自身と大鎌を同調させてみるのが最初かな」

「なんか、そんな漫画あったな……。共鳴だっけ……」

 

 手を伸ばして拾い上げ、軽くエネルギーを流してみる。

 すると、物凄く膨大な量のエネルギー流し返された。

 

「むぐっ!?」

「エネルギーを浸透させ循環させるのは基本技能だよ。習熟するには時間が無いと思うけど……」

「いや、モノにしてみせる」

 

 それに流し返されて分かった事がある。

 コイツ中身、じゃじゃ馬のクソガキだッ! 

 めっちゃ憎たらしいドヤ顔してるイメージが見えた。

 

 わからせねば。

 オマエが下で、私が上だッ! 

 

「ぐぬぬ……」

「白ちゃんや、白ちゃんや。行かないのかい?」

「はっ!」

 

 そうだった! 

 こんな事してる場合じゃねぇ! 

 

「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「こっちの事は心配しないで行ってきて」

 

 魔王とコケちゃん、二人から見送りの言葉を掛けられる。

 ……なんか、今の会話、家族っぽいな。

 ちょっと照れる。

 

 誤魔化すように、慌てて転移を実行。

 そして私は、システム中枢へと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 幾何学模様を描いた巨大な魔術陣が、この空間一面に広がっている。

 床、壁、天井、それぞれ隙間無く刻まれ発光している空間は、幻想的な光景を作り出していた。

 

 そして、その中心には、下半身が空間に溶けるようにして消えている、まるで魔術陣に宙吊りにされて縛られているかのような姿の女性。

 

 女神サリエル。

 システムの核として生贄としてこの世界に捧げられた、魔王が「お母さん」と呼んだ大切な人。

 

『熟練度が一定に達しました』

『熟練度が一定に達しました』

『熟練度が一定に達しました』

 

 口も動いていないにも関わらず、この空間内に不協和音のように折り重なって響く声。

 神言教が神の声として崇める、システムからのメッセージ。

 

 此処に来ると、不快感が凄くて気分が悪い。

 それは、過去の人間たちの身勝手さが透けて見えたりする事か。

 あるいは魔王からあれほど慕われ救われる事を望まれながらも、本人は救いを望んでいないかのような女神に対するものなのか、あるいは……

 

「……なんか、少し似てるんだよな」

 

 差異はある。

 けど、何となく顔の作りがコケちゃんと被るんだよなあ。

 女神を幼くして、色とかパーツの微調整を行えば、コケちゃんのように見えるかもしれない。

 

 だからなのかな。

 救われるのを拒絶する女神が、気に食わないのは。

 

「……」

 

 頭を軽く振って雑念を振り払う。

 目的は、女神の顔を見る事じゃない。

 

 幻想的な空間の中に、ポツポツと白い蜘蛛の姿が見える。

 私のシステム関連分体たちだ。

 その分体たちは、既に準備完了して待機している。

 

 女神を中心にして、壁に十四の目立つ魔術陣がある。

 その魔術陣が、鍵穴だ。

 支配者スキルのキーをそこに差し込んでいけば、ロックを解除出来る。

 

 まずは、正規のキーを手に入れている八つのロックを解除する。

 此処までは正当な手段でロックを解除したから、問題無し。

 

 本番はこれからだ。

 システム関連分体を動かし、空位になっている支配者スキルと対応している魔術陣に接触する。

 ピッキングの時間だ。

 

『異常検知』

 

 それを遮るような鋭い声。

 その声は、不協和音のように空間に響いていたものとは異なり、ハッキリと女神の口が動いて、直接発せられた声だった。

 

『外部からの干渉を確認。防衛機構発動』

 

 ……やっぱ、こうなるよね。

 女神の周囲にエネルギーが集まっていく。

 防衛機構が発動するのだろう。

 まあ、以前勇者の機能を撤廃させようとした時に、一度見た内容だ。

 

 それと変わらないのなら、出てくるのは……

 

 真っ黒な、かろうじて人影だと分かるようなシルエット、それが十二人現れた。

 一見無個性に見えるが、よく見れば細かな差異がある。

 そんな人影が無言で佇む。

 

『排除開始』

 

 人影が唐突に動き出す。

 恐ろしいスピードで突っ込んできた人影がいるが、それを余裕持って避ける。

 

 既にタネは割れてんだよ! 

 

 大鎌を構えて、私も走り出す。

 最優先は、蘇生人影とヒーラー人影! 

 

 それを狙って空間遮断という空間そのものを分割させる魔術で、切り裂く。

 対処するには私と同等以上の空間能力で抵抗するか、避けるしかない技だ。

 

 だが、効果を発揮する前に霧散した。

 盾を構えた人影、結界を張っている人影の二人掛かりで妨害されたからだ。

 

 まじかー。

 空間遮断なら、防御力も関係無しに、標的だけを仕留められると思ったんだけど。

 現実には、防がれた。

 どうやら原理的には、龍が持つ魔法阻害効果と一緒だ。

 この阻害とは、構築に干渉して効果を下げる仕組みであり、実は魔術でも影響を受ける。

 だから、理論上は魔法阻害が出来るスキルであれば、私の魔術も妨害出来る。

 

 それでも、要求される出力は相当であり、普通は防げないはずなんだけどなー。

 

 まあ、いいや。

 他の邪魔者を一気に片付けて、大鎌で仕留めてみよう。

 

 大戦の時、目を温存出来たから、こんな事も出来るのだ。

 

 空間遮断、十連! 

 各邪眼でロックオンした人影が一斉に切り刻まれる。

 そして刻まれた人影らは、体を両断されてバラバラになり崩れ落ちた。

 

 どうよ、このマルチロック防御無視攻撃は! 

 

 残るは、盾人影、結界人影、蘇生人影、ヒーラー人影の四人だけだ。

 蘇生される前に、急いで仕留める! 

 

 私は空間を蹴って、音の壁をブチ抜きながら吶喊する。

 そして漆黒のオーラを纏った大鎌が、結界ごと蘇生人影を斬り裂いて消滅させた。

 

 ふはは! 

 腐蝕属性は、即死プラス体も塵すら残さず消滅させるという、超危険属性なのだ! 

 喰らったら抵抗出来ずに消え去るのみよ。

 実際、私でも危ないほどなんだし。

 

 ……これなら、最初から大鎌で斬っていた方が早かったか? 

 

 やっぱチート武器だわ、大鎌。

 使えば何でも消し飛ばしちゃうから過剰火力だし、最近は使う機会すらも無かったけど、改めて強すぎないかと認識する。

 

 なんかもっと褒めろって思念が聞こえた。

 

 ウンウンスゴイネー。

 でも戦闘中は、黙ってろ。

 メッチャうるせえ。

 

 

 残る人影も、一閃、二閃と繰り返し、ものの数分で人影は全て片付いた。

 蘇生人影に蘇生される前に瞬殺出来たのが、上手くいった要因かな。

 

「ほい、サクッと人影撃破」

 

 事前に相手の手札が分かっていて、尚且最強武器も装備していれば、どんな高難易度ミッションだろうと楽勝ってね。

 

 人影を撃破し終えて、やられたシステム関連分体を数えている時に、その声は聞こえた。

 

『危険度を格上げ』

 

『緊急防衛機構を発動』

 

『対抗策を検索』

 

『検索完了。初代叡智の支配者、初代神仰の支配者の複製体を創造』

 

『排除開始』

 

 高密度のエネルギーが再度結集して現れたのは、全て暗黒に染め上げられた、巨大な蜘蛛の体に人の上半身を生やした異形の人影と、宙に浮かび四枚の翅を羽撃かせる小さな人影の二つだった。

 

「……うぇっ!? 嘘でしょ!? そりゃ無いって!!??」

 

 まさか! 

 これって! 

 

 そして私は、再び戦闘に突入した。

 今度の相手は、過去の自分たちだ。




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