【完結】コケダマですが、なにか?   作:あまみずき

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此処からの展開は趣味全開の、『独自設定』。
今話の展開と前話の最後で、話の流れに無理が生じたので、前話の一部を此方にズラしました。


49 神格到達者

 神格到達者——

 

 それは、自身の生物としての枠組みから逸脱して、無限に成長し、無限に己を拡張していける、上限というものが無くなり通常の生物の理から外れた存在といえる。

 そして、生物として本来定められた理から外れているという事は、存在しているだけでも世界の理というモノを破壊しているに等しい存在でもある。

 

 故に、その存在そのものが一種の特異点であり、あらゆる世界に共通して根差している法則にも完全には縛られず、逆にその法則に対して干渉する事が出来るようにもなる。

 

 それが、いわゆる権能とも呼べるモノ。

 干渉出来る法則は、個々によって千差万別の様相を見せる。

 その法則の属性は、おおよそ神になった時には決まっていて、私の場合では魂魄に関すること、そして白ちゃんは空間に関することだった。

 

 当人の意思と純度によって扱える法則の強度が変わり、それらが安定していなければ、まともに使用する事は出来ない代物である。

 

 そして、その意思と純度が極まった時、至る位階がある。

 己の本質が剥き出しとなった、根源の願望あるいは祈り。

 世界を変えたいという想いの結晶。

 それは——

 

 

「——というように、神として上位に至るには、概念や法則などに干渉出来るようにならないと、まず話にならない。そのための方法の一つとして、自分自身をより強大な特異点に作り変える手法がこの魔術。その作り方が、このDさんから貰った本に書いてあったんだよ」

 

 この魔術本を読み解き掌握していき完全に私と同調したと思った時、最後に解放されたページに記載されていた内容がそれだった。

 

 それに従って組み上げた大魔術。

 この本と併せて行使する魔術も、自然とその大魔術に噛み合うように誘導されていたみたいで、勝手に名前や術式が書き換わっていたのも、そのせいみたいだった。

 

 何のために、この大魔術を仕込んでいたのかは分からない。

 しかも、その大魔術の名前だけは態と欠落させたのか、何も書かれていない空白となっていた。

 同じように、最後の位階についても——

 

「白ちゃんがさっき行った大鎌との共鳴。あれも、本質としてはこの大魔術と同じモノだと思う」

「あれが、その魔術と同じだって……?」

 

 怪訝そうに、白ちゃんが戸惑っている様子が映る。

 順番に段階を踏んで組み立てるのと、感性のまま本能的に昇華させるのとでは、やり方が完全に別物だけど、最終的に至る位階は同じモノになるだろうと直感していた。

 

「自分自身を新たな理で塗り潰し、更に深い深度まで世界から外れる窮極の特異点化の大魔術」

 

 けれど、大魔術と呼んでいるけれど、本質はもっと別のモノ。

 

「そうすれば、より強く法則に干渉出来るようになる。そして外からの影響も受けづらくなって、より不変の存在に近くなる」

 

 正確には術式を組んでいる訳ではなく、ただ自分自身を法則へと、ある種の異世界に作り変えている作業と言える。

 だから、事前に組み上げている術式とは、どうありたいどうしたいかの確認作業でしか無い。

 ノートに自分とは何かと書いて、自問自答しているのと同じ事だ。

 

「だから、これが出来るようにならないと、いつまで経っても下級神としか呼ばれないし、存在の格も低いままで肉体という依代が常に必要な、ただ強いだけの生物でしか無いんだよ」

 

 始めに思った事でもある。

 神化した私たちだったけれど、再び魔術を使えるようになった私たちだったけれど。

 神にしては——、弱すぎると。

 それを押し上げる力が、この《  》だと書かれていた。

 

「けれど、今の私でも完全では無くて、現状では数時間くらいしか保たなそう……かな」

 

 一欠片足りていない。

 あるいは、根本的なところで噛み合っていない部分があるような。

 それでも不完全ながら発動出来るのは、相性が99%以上も一致しているからだけど……

 その残り1%以下の部分とは……

 

「それでも、さっきの白ちゃんよりは長時間維持出来るよ。それが発動の仕方や作り方の違いだとしても、少しは参考になると思うな」

「そのやり方そのものは教えられないの?」

 

 その質問は当然だよね。

 でも……

 

「これ、読める?」

「……????」

 

 この大魔術に関して記されているページを、白ちゃんに見せる。

 万里眼で、その場から動かずに白ちゃんが見詰めているけど、数秒後には宇宙の真理を垣間見た猫のような表情でフリーズしていた。

 明らかに記載された文字を読むことが出来ていないと、何処を見ていいのか分からずフラフラと視線が泳いでいるのが感じ取れる。

 口頭で詳細な構築方法について説明しようにも……

 

「一朝一夕で理解が可能な内容では無いから、掻い摘んで説明するとさっきの内容がほぼ全てで、確実に言える事は——、自分の魂の本質を理解する事、それで自分自身も世界すらも変えてしまいたいと願う事が、この力を極めるのに必要な、最も基本で最も難しい要素だから」

 

 だから、やり方が異なっても、至る場所は同じになる。

 

「白ちゃんなら、その力と自分自身を重ね合わせ同調していけばいいと思う。到達するのに充分な下地が、もう既に出来上がっているから」

 

 既に、力だけなら白ちゃんの方が大きいのだから。

 それに重要なのは力の多寡ではなく——

 

「あとは、自らの本質その願いで、自分を染め上げていけばいいんだよ」

 

 ——想いの純度こそが、至るために必要な事なのだから。

 

 

「それじゃあ白ちゃん、パペットたち。ちょっと離れてて」

「おん? 何かすんの?」

「白ちゃんが強くなったように、私にだって磨き上げた力があるというのを、見せてあげるよ」

 

 白ちゃんたちから充分に距離を取る。

 一度、この戦場で連絡要員として必要な分だけ残し、眷属たちみんなを私の中へと呼び戻した。

 そして、突入する前から呼び出していた魔術本を、畏敬の念を籠めて胸の前で開く。

 頭上に光輪が現れ、背中の翅も淡く輝き出す。

 

 詠うのは、ある神にまつわる悲劇の物語。

 

「 詠い始めよう、大地の(デメテール)女神()と攫われし娘との詩を——(イムノス) 」

 

 願うは、冥界を支配する王の力。

 

「 慈愛溢れる母は、生命を豊かに実らせる 」

 

 何処か遠くに居るであろう()に願う。

 祝詞を紡ぎ上げる瞬間、世界の悲鳴が聴こえた気がした。

 

「 その娘は、愛しき友と共に常春の花畑にて戯れていた 」

 

 まず音が消える。

 周囲一体の風が、瘴気を帯びているかのように重苦しくなる。

 次に、光が消える。

 ごく普通の晴れた空だったのに、曇り空のように霧の中のように暗くなる。

 最後に、温度が消える。

 まるで極寒の厳冬の中に居るかのような、生命を枯らす(・・・・・・)冷気が私の周りを覆い出す。

 

「 しかし突如、冥王は不死たる馬を駆り、娘を攫う 」

 

 そして、私の身にも変化が現れた。

 頭上に、背に浮かぶ光が、黒い光としか言えないモノに変貌していく。

 髪の内側が、星空のような美しくも凶兆を感じさせる闇色に染まり、暗黒の中で金と翠が鮮烈に揺らめき揺蕩い、混ざり合っていった。

 

「 娘を失いし母は、哀しみ呪い冬の大地で世界を覆い尽くすのだった 」

 

 私の根源、その一側面を喚起させる。

 死を支配する王、それに見初められた者として、与えられた権能が許可されていく。

 

《  ■■(・・・・・・・)——  》

 

「 《地下に住む者たちの王、(ヴァシリアス)愛しくも憎き冥王に奏上する——、(トゥ・プルートーン・)来たれ冥界の闇よ(ハデス)》ッ!! 」

 

 この時だけ私は冥府と繋がり、かの()が持つ闇の一端、それを再現する事が許されていた。

 

 《枯死》の瘴気が滲み出しては、私に纏わり付く。

 そして冥界の闇そのものと言えるモノが、私自身を塗り替え染め上げて、周囲の世界すらも侵蝕しようとしていた。

 

「うぐッ!?」

「「「「っ!!??」」」」

 

 僅かに漏れ出てしまった闇に当てられた白ちゃんたちが呻く。

 それを見て、漏れ出る闇を最小限に、一時的(・・・)に変化した自身の内界へと収めていく。

 

「ごめん、出来るだけこの状態の私には近づかないで。制御はしているけれど、下手したら死んでしまう可能性があるから」

 

 最初に注意しておくべき事だったと、反省する。

 此処まで禍々しく凶悪な力だと、白ちゃんでもキツイのだと認識を改めた。

 

 だけど、本当の力はこれから——

 

「さあ、来て。みんな——」

 

 足首まで垂れる髪が大きく広がる。

 地面を這うように大地を侵蝕していき、広がっていく髪に触れた植物などが枯れていく。

 

 そこから、私の眷属となった今世の家族たち、その魂を宿した魔性が現れる。

 しかし、その姿と気配は異様なモノに——

 

 三つ首の龍頭の魔獣。

 冥府の川を思わせる大蛇。

 闇を纏った妖精。

 そして、本来の尾に加え瘴気の尾を増やした、六本脚の翠龍。

 

 これが、私が描いてきた魔術。

 それらを組み合わせた一つの完成形、みんなを守るために、敵を滅ぼす(・・・・・)権能だった。

 

 ——シ゛ィ゛ィiイイ゛ァァ゛a゛ァァア゛ア゛アアッッ!!!!!!!! 

 

 この大森林に、冥界に住む怪物が産声を上げていた。

 

 

 

 

「私は、此処から大森林全体に眷属たちみんなを広げていって、隠れ潜んでいるエルフや機械兵器が出てきそうな隠し通路を探して制圧していこうと思う。白ちゃんは?」

 

 アリエルさんが地下に消えていって、十数分。

 この力の説明に時間を使ってしまったからだけど、その明らかな隙に見える時間にも追加の機械兵器が現れる事は無かった。

 なら、こちらから攻め立てる事が重要だろう。

 

「まだ、色々聞きたい事あるんだけど……、仕方無いか。取り敢えず、居住区に引き籠もっている一般エルフを全滅させて来る。人形蜘蛛たちも引き連れてね」

 

 その発言に首を上下に激しく振り、白ちゃんの背後に隠れるパペットたち四姉妹。

 先程から一刻も早く私から離れたいといった様子で、今の私の状態が危険なモノだという自覚はあるけれど、完全拒否な姿を見せ付けられると少し心が痛む。

 

 代わりに、少々落ち込んだ私に眷属のみんなが寄り添ってくれていた。

 ……うん、私にはみんなが居るのだから、問題は無い。

 単に、この状態がダメなだけだから、使っていない時ならパペットたちも平気だと思いたい。

 ただ、そうなると永続変化すれば、二度と触れ合えないという事になってしまうのかな……

 

「転生者たちの隔離も私がやる。居住区から近いし、異空間に放り込んでいた方が安全だから問答無用で回収しとく」

 

 白ちゃんの言葉に頷く。

 

 方針は決まった。

 後は、場当たり的に対処していく感じかな。

 必要なら、連絡や協力をすればいい。

 

「それじゃあ、殲滅の時間だ。行ってくるね」

「……うん、分かった。そっちは任せたよ、白ちゃん」

 

 パペットたちを引き連れて走りだした白ちゃんを見送り、私は私の活動を始める事にした。

 

 

 

 

 

 

 他の戦場では、それぞれの様相を呈していた。

 

 エルフの里の外縁部、結界があった付近では帝国軍とエルフの戦闘部隊との衝突が起きていた。

 森という地形を最大限に有効活用して攻撃や防御を行うエルフらに、帝国軍は草木に足を取られ不慣れな環境によって普段の力を発揮出来ずに、厳しい戦いを強いられていた。

 善戦しているのは、ユーゴーが率いる精鋭の部隊のみ。

 その中に、いつかの頃に出会った事がある老人が居たけれど、その老人もユーゴーに引けを取らないほど獅子奮迅の活躍をしていた。

 機械兵器が出てくるまでは、少し抑え気味にユーゴーが戦っているとはいえ、木に隠れていようとも大木ごと撃ち抜いている上に、まだまだ余裕の見える姿でエルフを屠っていた。

 

 反対側のクイーンタラテクトが率いる蜘蛛の軍団は、終始エルフらを圧倒して順調に侵攻を進めていた。

 種族特性とも言うべき障害物に強い八本脚の機動力で難なく動き回っているし、そもそも戦力的にも総数にしても、普通のエルフらでは対処不可能なほどの圧倒的な差があった。

 なので、エルフらは僅かな時間も足留め出来ずに、蜘蛛の津波が奥へ奥へと雪崩込んでいた。

 

 シュレインたち勇者パーティは、外縁部に向かって移動中。

 その進路の先に居るのは、偶然かそれとも必然か、ユーゴーが居る場所に一直線。

 間もなく、ユーゴーとシュレインたちは接触するだろう。

 アリエルさんと接触しないのなら、そちらは放っておいても問題無し。

 

 白ちゃんとパペットたちは、居住区のエルフらを粗方殲滅し終わり、残ったエルフらも白ちゃんが召喚した戦闘用分体によって追い詰めていた。

 大森林に散らばった戦闘用分体たちも、生き残っているエルフを探し出しては狩り続けている。

 

 

 そうしている内に、エルフの里のいたるところから万単位の機械兵器が現れた。

 最初は、弱すぎると思った機械兵器。

 量産品だと言わんばかりに物量だけは恐ろしいほどあるけれど、私や白ちゃんなら問題は無い。

 ただ、これが帝国軍とかに差し向けられると危ないかもしれない。

 ユーゴーたちなら数機程度なら余裕で対処出来ても、この数ではジリ貧になるだろうから。

 

 そして、量産型の機械兵器を破壊していると追加で現れたのが、形状などは基本的に同じまま、大きさだけが巨大化した機械兵器だった。

 これも様々な場所から無数に出現していて、おおよそ千機ちょっとの数がエルフの里に広く展開されていた。

 

 

「……ようやく本番って感じかな」

 

 新たに現れた巨大機械兵器は、抗魔術結界を装甲の上に塗布するかのように展開していた。

 機動力や戦闘能力は上位龍に匹敵している性能を持っていたけれど……

 

「それでも、今の私たちの相手では無い」

 

 抗魔術結界なんて存在していないかのように、眷属たちみんなが巨大機械兵器に触れる。

 それだけで、まるで魂を吸いつくされた(・・・・・・・・・)かのように、機能を停止していった。

 

 まるで、では無いか。

 実際に、あの巨大機械兵器に囚われていた魂を吸い尽くして、エネルギーを枯らしたのだから。

 

 今の私と、眷属たちみんなに共通して帯びている法則は——《枯死》。

 衰え、老い、枯れ落ちて凍え死ぬ。

 万物が持つ生命力そのものを殺す、冬によって齎される死の概念である。

 

 危険度を認識した巨大機械兵器が、一斉に反転して私たち目掛けて襲いかかってくる。

 外縁部近くに出現した巨大機械兵器も警戒して一時足を止めていた。

 そっちは白ちゃんに任せたい。

 今は、周囲一体から集まる巨大機械兵器らの殲滅だ。

 

 巨大機械兵器が攻撃してくる。

 けれど、その攻撃は意味を為していない。

 

 分厚く長大なブレードが振り下ろされて、眷属が両断されて粒子となって散る。

 地面を抵抗無く斬り裂ける威力があり、直撃すれば私でも容易く粉砕されるだろう。

 しかし、数秒後には粒子が再集結して何事も無かったかのように復活し、逆にそれに触れた巨大機械兵器の方が、核となる魂を奪われ機能停止していた。

 

 なら距離を取って木々すら簡単に穿つ光線を砲身から放ってきても、私たちに近づく度に威力が減じていき、実体の無いエネルギー弾は《枯死》の格好の獲物でしか無い。

 

 そして、相手の攻撃は物理魔術エネルギー的にも全て無効化しながら、侵蝕していく。

 

 私たちが通った後の森は生命力を吸い尽くされ急速に荒廃していき、上空から見れば森の一部が時間を早回しにしているかのように、枯れ木の森へと変貌しているだろう。

 

 その中に、生きている生命体は私たち以外には居ない。

 

 どうにも白ちゃんの戦闘用分体が、巨大機械兵器に向かって隕石を異空間から召喚し衝突させて撃破しているので、その射線に入らないように気を付けながら、私と眷属たちみんなはジワジワと領域を広げていく。

 

 ……あと一時間くらいは持つかな。

 

 それまでが、タイムリミット。

 この状態で無くなれば、巨大機械兵器を撃破するのは難しくなる。

 接触するだけで機能停止に追い込むのは不可能になり、反動でしばらく弱体化する予感もある。

 

 それでも、私自身でなら破魂を直接打ち込めば、弱体化していても撃破自体は出来るだろう。

 だけど、それでは時間が掛かる事になってしまう。

 

 この状態でいられる限界までに、全てを殲滅して終わらせなければ……

 

 

 そう思っていると、蜘蛛の軍団の方で動きが。

 

 それは、巨大機械兵器とは比較にならない本命の機械兵器と思える、ウニのような鋭角な形状をした、無数の砲身を持ち空中に浮遊している機械兵器だった。

 

 これは、急いで撤退指示をユーゴーたちに伝えなくてはいけない危険すぎる相手だった。

 

 圧倒的な火力の絨毯爆撃と高エネルギーの砲撃で、蜘蛛の軍団たちが蹂躙されていくのを見て、警戒を高めていると……

 

「……当然、私の方にも来るよね」

 

 少し先の空間に突如現れる、黒鋼のウニ。

 しかも、その数は一つ二つでは無く、数十もの数があった。

 

 これは、少し厳しいかもしれない……

 

 空間転移によって出現した新たな敵が、私たちに向けて幾多もの砲身を向けていた。




新たな独自設定。というより根本的に別作品になるような設定投入。
これ完結させたら、この独自設定をより洗練させてオリジナルで書いてみたい。
そして、バトルとか覚醒シーンとか、独自設定マシマシ展開だと反応しづらいですか? 
あんまりバトルシーンとかの感想や反応って少ない気がします。
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