道をもどり、別の雪道を進む一行。
フリスクの案内によって、モンスターの町『スノーフル』を目指していた。
「……先程は助かった。私一人では殺されていた…礼を言う」
「気にしないで」
「はい!それにフリスクさんと私たちの目的はほぼ同じです。この特異点の元凶は、そのサンズと呼ばれるスケルトンによるものと考えられますから」
「……そうか」
やがて人の手が加えられたであろう雪のかかれた道に出る。『スノーフルの町へようこそ!』とでかでかと書かれた看板を横切ったその時。
幾度となく聞いた、機械音と何かが放たれる音。次いで聞こえる爆音に、3人は顔を見合せた。
「これは…!」
「急ごう!」
3人は音の発生地点へと駆けた。おそらく、あのスケルトンかその仲間が殺戮をしているのだろう。ならば早く止めねば、敵はさらに兄弟になってゆくのだから。
ところどころ破壊された町を横切り、いよいよ出口が見えた時。そこに、背の高いスケルトン、パピルスが、背の低いスケルトン……サンズの前で尻もちを着いていた。
「いた。ヤツが元凶、サンズだ」
「あのスケルトンが……」
「先輩、確かに聖杯の反応があります」
「サンズ!なぜこんなことをするんだ!みんな……みんな死んで…!」
「あー……ごめんな、ごめん。でも仕方ないんだ。ニンゲンが来る。奴は危険なんだよ、パピルス。お前を傷つけようとしてる」
「でも、みんなを殺す必要なんてないじゃないか!ニンゲンだって、話したらきっと…!」
「お前は何もわかっちゃいない!!!」
怒鳴り声がパピルスを萎縮させた。サンズは興奮冷めやらぬ様子で次々とまくし立てる。
「アイツは全部殺すつもりなんだ!お前もだ、パピルス!友達も、気のいいおばさんも、お前まで失ったら耐えられない!……ハハ、だからさ。どうせ奴に殺されるぐらいなら、まだ俺に殺された方がいい。安心してくれ、絶対に勝つ。苦しませもしないから……」
「不味い、奴は精神的に追い込まれている。パピルスまで奪われる訳にはいかない!」
「キャラ!?」
フリスクが木の棒を構え駆ける。そのすぐ後を追う立香たちへ、一つの影が襲いかかった。
「っ!マスター!」
「うわっ!?」
二振りの骨の剣がマシュの盾を揺らした。現れたのは新たなサンズ。割れた頭や破れた装いは歴戦の猛者を思わせる。
「っ!立香、マシュ!」
背後の様子にフリスクが立ち止まった。その瞬間、フリスクの周囲に太い骨が生え動きを封じられてしまう。
「このっ!」
木の棒へケツイを流すも骨はビクともしない。フリスクは完全に分断されてしまった。
「見ろパピルス。ニンゲンが無様にも手の内だ……ハハ、ハハハハハ!」
「っ……に、兄ちゃん…」
狂笑を浮かべる兄の姿に、パピルスの顔が悲しく歪む。変わり果ててしまった兄の姿に動揺し、背後で兄の仲間らしきスケルトンがニンゲンたちを殺そうと剣を振っている。
パピルスには『殺す』ということを根本的に理解できず、さらには恐怖と底なしの優しさが傷つける行為の究極系である『殺し』を反射的に忌避している。
だが、誰かを守るためであるならば。大切な人を止めるためであるならば。力を振るわないわけには、いかないだろう。
「さあ、パピルス。目を閉じていてくれ。すぐに終わ……!?」
パピルスが手に一本の骨を出現させて横へ振る。すると立香たちを襲うスケルトンが青の骨に串刺しにされ、フリスクを囲む骨の壁は飛来した骨に破壊された。
「何を……何をやってるんだパピルス!?ニンゲンを助けたのか!」
「……兄ちゃん。複雑な心境を語ってもいい?それは……相手を躊躇なく傷つける恐怖、相手を殺す罪悪感、愛する人に武器を向ける苦痛。これは全て……」
「……兄ちゃんが持ってなきゃいけない感情だ」
パピルスの右目がオレンジに輝き、小さな涙がこぼれ落ちる。
パピルスはケツイをいだいた。