色々と書いてて詰まったので息抜きのついでに書いてみました
今回は一話目これと同時に設定集も加えますが、ネタバレ多数です
基本的に史実から好きな馬を主軸にメインで活躍させる予定ですので…………
episode1『冴えないおっさんと帝王』
『どうかしたのかい?』
過去の記憶、ずっと昔のある日の思い出、
一人の少女が、やって来ては、こちらを見てはじーーっとその場から動かない
可憐で気品に溢れるその子は、何かを言いたいのか、何度か俯いたのちに口を開く
『わたし、わたしは!』
『うん、君は?』
『絶対に――――――』
腰を屈め、少女と視線を合わせ、彼女との会話に興じようとしたところで、
ざーざーとノイズ混じりな音と共に少女の言葉は、遮られ、視界もぼやけ始めていた
どうやら『夢』はここで終わりのようだ、『過去』へと意識を向けていた脳は、目覚めと同時に俺を『現実』へといざない始める。
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「ふぁー、、おはよう現実」
頭をポリポリと掻きながら寝ぼけまなこで、辺りを見回す。
脱ぎ棄てられた服や机に散らばる資料の山加えて言うならば、首に感じる微かな痛み
「また、寝落ちしたのか、疲れたまってんのかな?」
再び意識を夢へと移動してしまう前に、軽くだが、パンパンと頬を叩く事で意識をつなぎ留め
体を軽く、動かすと『ポキポキ』と音が鳴る。
不健康極まりない生活に朧気だが、脳に流れる昨夜の記憶、デスクワーク基ソファーでキーボードをカタカタとしていたまでは、覚えているのだが、まぁその後だろうか、睡魔に襲われるとあっという間に意識は刈り取られた。
そしてそのまま、どてーんとソファーで居眠りと………。
「?、そう言えば、この薄い布団、何時持ってきたっけ?」
自分に被せたように乗せられたシーツに違和感を覚えた
思い出せる記憶を巡らせるが、、どうにもぐっすりと寝てしまったのかソファー以降の記憶はなく
寝ぼけた状態で、近くにあったシーツを布団代わりに羽織ったのだろうと自分を納得させる
「まっ、こんな事考えてる暇なんてないよね。さて今日も一日頑張りますか、」
近くにかけられたジャケットを羽織り、洗面台まで歩いて行く
こんな寝坊助な顔のまま一日を過ごしてたら、後輩どもに示しもつかないし何より、雰囲気が悪い
ササっと顔を洗い、髭を整える、ぱぱっと支度を済ませ玄関の方まで歩み寄る。
出先に暗い部屋の中を一旦見回した後に『行ってきます。』
誰に言うわけでもない、ただそれが、俺に取って当たり前の日課で、変わらぬ一日を象徴する一言なのだから……………。
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「トレセンファイオーっ、なんちゃってな……」
俺が目指すのは、ここ中央にある
日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称『トレセン学園』で全寮制の中高一貫校
何を隠そうこの『冴えないおっさん』のお勤め先だったりする。
遠目でも確認出来る程大きな学園でそれ故か、そこでウマ娘を指導するトレーナーもまた専用の寮が完備されている程のお金の賭けようだ。
まぁ…世の中には好き好んで寮ではなく、家から足繁く通う人物もいたりする。
俺の事なんだがな、と呑気にしているが、足は動かしている
今からせっせと歩いても十二分に間に合う、慌てる必要などなく。街並みを観光するかのように一歩一歩前へと向かっていく。
「君の、愛バがー…」
ふと思い出す、ある一曲を口ずさみつつ、せっせと足を動かした。
腕時計で時間を確認、このまま何事もなければ、問題なく学園へと着いてくれる
とあからさまなフラグを思い浮かべていた時だった。
暫く歩いた後に良く目にする公園を俺はそのまま素通り……………………そう言う訳にも行かなかった
「よっっと!」
赤いジャージに身を包む一人の少女が、バレエの様に片足で立ち左手と右手を別方向に向ける事で、バランスよく綺麗にポーズを決めていた。
しなやかに軽やかに、触れれば折れてしまいそうな程に繊細な体、まるで時が、止まったように目を閉じて少女は空気と一体になる
(うん、今日もボクは大丈夫。)
少しの間の後に少女は、目をそっと開き、柔軟運動をやめ、小さく深呼吸をしていた。
パチパチ
「ん?」
「朝から精が出るな、『トウカイテイオー』」
彼女が一通りの行動を終えた後に、賛美の拍手基労いを込め、目をぱちくりさせる少女へと送った
突然の事で少女は驚きは、すれど相手が一応の顔見知りと分かれば、表情を作り拍手へのお返しか、こちらへ笑顔と共に手を振り返してくれた
「おはよー おじさん! 」
「誰がおじさんだー、誰が?相変わらずだなぁ」
俺への第一声が、これだ、少女こと『トウカイテイオー』は元気よくこちらへと駆け寄って来た
「えぇー、だって自分で何時も『冴えないおっさん』って言ってるじゃん!」
「それはそれで、これはこれって言葉が、この世にはあったりするんだよ、はぁ」
はいはーいと全く本当に理解してるのか?
髪を後ろで束ねるトウカイテイオーは、納得のいかないような表情であるも渋々承諾
今後は『なるべく』おじさんとは言わないよう努力してくれるらしい
分かってないな……………。
「ねぇねぇー、それでおじさんは、どうしてここに、、あぁーさては無敵のテイオー様の可憐な姿を」
「違う違う、見てはいたが、トレセン学園に向かう途中だっただけだって」
「ちぇーつまんないなー」
「つまる様にしろ、ったく、それで朝練はもう良いのか?」
「うん!きっちり柔軟もしたし、軽く走っても来たよ、えっへへ凄いでしょ」
「偉い偉いっ」
たわいないもない朝のやり取り
学園へと向かう俺に、朝早くから自主練を続けるトウカイテイオー。
初めてこの少女と出会ってから少し経つが、なんだろうね
少しばかり懐かれている辺り、この子は警戒心を持っても良いのではと……。
ただ、この天真爛漫な性格こそが、彼女トウカイテイオーの生まれ持っての素質なのだろう
「ねぇねぇーどうせだったら一緒に行こうよ!」
「目的地は一緒だし、断る理由は、特にはない」
「おじさんと居たらおじさん怪しまれるね」
「あぁ確かに事案だな。そう言うことで」
「ま、まってよ!冗談が分からないんだからー、よーしトレセン学園へゴーだよ」
「はいはい、それで制服は良いのか?」
「あっ、よーし女子寮へごー、着替えてこないとね」
「フジさんに怒られるから俺は、途中までだけどな」
意気揚々としたは、良いけど、ジャージ姿で登校はどうかと、おじさんは思うわけで、
指摘された事で、自分の姿を思い出したトウカイテイオーは、一度目的地を学園から女子寮へと変更
他人行儀な俺の背中を押してさっさと向かおうと提案
ここだけの話なんだけど、トレセン学園の関係者でも原則、男性は女子寮へと足を踏み入れてはならないと学園側から決められており、勿論の事、こんなジャケットを着こんだおじさんなんて
寮長のフジキセキさんに撃退されてしまう。
「よしーさぁーおじ、じゃない『風文』おじさん、ボクについてきてねぇー」
「結局おじさんだな。」
俺事、『松山風文』の少しばかり騒がしい一日はこうして始まった。
ここから暫くした後にまぁー色々な事が、起きるのだけれどそれはまた後の話だ……………………。
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