「弟と結婚できないなら、色情霊になればいいじゃない」~弟くんのことが大好きすぎてお姉ちゃんは今夜も弟くんを誘惑しちゃいます~ 作:水無飛沫
翌朝。
相変わらず寝不足気味の俺とは違い、マナはなんだか機嫌がよさそうだ。
「ふぁぁーぁ」欠伸をする俺の手を引いて、マナが学校へと道を急かす。
まぁ機嫌がいいことは素晴らしいことなんだが……。
姉は姉で満足したようで、朝から姿を見かけていない。
「おうおう。今日は仲いいな。ちゃんと使ったか?」
コウは教室に到着した俺たちの姿を認めると、すぐさまマナに問いかける。
ドゴォという効果音が出そうなほどに肘をコウの腹に食い込ませて、マナが笑いながら答える。
「さぁ、どうかしらね」
……使うって、なにを?
キョトンとする俺にコウが「おめでとう」と悔しそうに言った。
いや、だから何が??
「で、どうだったのさ、昨晩は」
ニヤニヤ顔のまま、コウが俺に問いかけてきたので、俺はコウに昨晩の出来事を告げた。
「だーはっはwwww
それでwww 手を出さずにwww 感想が寝苦しかったってかwww」
笑いすぎである。
教室で文字通り腹を抱えて笑うコウを、クラスの皆が注目している。
本当に、なんで俺こいつと友人やってるんだっけ。
「しょうがないだろ
どっちか片一方ならともかく、二人がバチバチしてる時に手なんか出しようがないじゃないか」
「じゃあ片方だったら出してたのか?」
うーん、それは……
「まぁその場の雰囲気次第じゃないかなぁ」
「なぁハヤト。そういうとこだぞ」
コウが神妙な顔をして、俺の肩を叩いた。
「ちなみにここだけの情報だけどな……透けにくい下着をつけると、逆に着けてないんじゃないかって妄想が捗る!!!!」
コウがいつもの調子で力説する。
それ、今のタイミングで話すことだった!?!?
クラス中の顰蹙(ひんしゅく)を買うが、コウに気にした様子はない。
いつも一緒に居る俺を巻き込んで、クラス内での地位がどんどん下がっていく。
いや、もうとっくにこれ以上下がりようがないのか……?
「あんた、もしかしてわざと……?」
つぶやいたマナに、コウは何やら目配せをしている。
「なんだ、お前ら。仲いいな」
そう告げた俺に「バカっ!!」と言いながらマナが俺のすぐ傍に寄ってくる。
「あたしは……ずっと」
俺の腕に抱き着いて、マナが顔を真っ赤にして言葉を続ける。
「あたしはずっと、……だけだから……」
「え? 今なんて??」
消え入りそうな言葉で、よく聞き取れなかった。
そう告げると
「バカぁ!!」
マナの渾身の蹴りが俺のふくらはぎに炸裂した。
そのままフンっと鼻を鳴らしてマナは自分の席へと向かった。
痛みのあまりしゃがみ込む俺を、コウが冷たい目をして見ていた。
「なんだよ……?」
「俺としてはマナちゃんを応援したいところだが……まぁ好きにしろ」
ヒラヒラと手を振り、コウも自らの席へと戻る。
俺は未だ痛む足をひきずりながら、コウの席のすぐ後ろ――自分の席に着く。
「なあ、コウ……」
ホームルームが始まるまでの間、少し寝よう。
そう思っていたが、俺はコウに聞かざるをえなかった。
「ずっとこんな生活が続くのかな」
今日だけでも寝不足なのだ。
身体が持たないんじゃないかな。
そうつぶやく俺に
「お前、今自分で笑ってることに気づいてるか?」
コウが「羨ましい悩みだな」と不貞腐れる。
俺は自分の頬に手を当てると、そのまま机に突っ伏した。
少し、寝よう。
……姉が死んでからずっと感じることのなかった「満たされる感覚」が、俺の胸には今確かに存在している。
これにてこの物語は終わりです。
地獄で姉が無双するエピソードや
謎の祓魔師との攻防戦、
閻魔さまの妹が乗り込んでくる話とか
構想は尽きないのですが、多分続きは書きません。
R-15にしなかったのは後悔でしかありません()
以下、没エンディングです。お目汚し供養失礼します。
「私が逝くときは、着いてきてくれる?」
「アヤ姉ちゃんは、俺から離れないんでしょ?」
「そうね。絶対に成仏なんてしないわ。私の未練はここにあるもの」
そう言って姉は俺の胸に指を滑らした。
「でもね……幸せすぎて、成仏しちゃいそう」
「ダメだよ。もっと幸せにしてあげるから」
「もう……カッコよくなっちゃって」
嬉しいわ。そう言って姉は俺に長い口づけをする。