さて、今日は遂にアドが開催する作戦会議の日。もちろん、宝生さんたちドクターチームのみんなにも来てもらった。
「皆の衆!! 実は今日集まってもらったのには訳がある」
「何だこのテンション」
「昨日時代劇見てたぞ」
姫片の言葉で直ぐにアドのこのおかしなテンションの理由がわかった。
「なんだ、小学生か」
「……サンさん、アドさんは本当にいつもこんな感じなんですか?」
宝生さんがみんなに聞こえないぐらいの小声で僕に問いかけてくる。
「……それが、本当なんですよね~。悲しいことに」
みんな……特にアドに聞こえないように返す。
「くっくっく、サンちゃん、隠し事は良くないなぁ隠し事は~、ってな訳で! 記念すべき第一回『南の海まで修学旅行大作戦──母なる海をたずねて三千里──』の始動だぜ!!」
「……第一回ですか」
「不穏です……」
みんなから不安の声が漏れる。
「せいせいせい! てめぇらちょいとお黙りなさいだぜぃ! あたし立案の作戦にケチ付けようなんざ、片腹痛いぜ!」
────などと、その作戦の説明を終え、みんなからの承諾を得られた。もちろん、ドクターチームのみんなかららも、だ。
◇◇◇
そんなこんなで作戦決行日、戦闘班のみなさんと一緒に僕らは荒廃した街を歩いていた。
「ぶーぶー。ぶーぶー」
アドさんが不満げな声を上げる。
「……おい。誰だ豚を探索チームに組み込んだアホは」
中々に酷い言い方だ。でも、それだけ言い合える仲ってことなんだよな……。
「よく見てみろサン、そいつは我らがリーダーだぜ」
栗子さんはそう言ってアドさんをからかう。ちなみに栗子さんはりつこと読むそうだ。時を見た時、思わずくりこさんと言ってしまってこっ酷く怒られた記憶が蘇る。
「あ、ホントだ。豚かと思ったよ」
「むかぁ! まったく、ぷくぷくピーだ!」
「サン様、どうしてこの子豚さんはこのようにうるさいのでしょうか?」
サンさんに綴さんは問いかけた。
「『遠征は長くても二十四時間、片道十二時間』なんて約束したんだよ、それからこの有様さ」
「あらやだ。デパートの皆様を心配させないためなのでしょう? そんなサン様の優しさを子豚さんはわからないのですね」
「まぁ、な。でも甘噛は偉いなぁ。文句のひとつも言わないなんて」
「当たり前です。サン様を困らせる訳にはいきませんもの」
サンさんと綴さんがそんな会話を交わしているとコンビニの方からゾンビがこちらに近づいてくるのが見えた。
「僕が行きます!」
そう宣言し、懐からガシャットとドライバーを取りだし変身する。
「大、変身!」
『マイティアクション X!!』
『ガシャコン ブレイカー!』
ガシャコンウェポンを出現させ、手に取る。
「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」
「はッ!」
ブロック状のオブジェクトを踏み台にして飛び上がる。そして、ガシャコンブレイカーのスロットにガシャットを装填し、そのままの勢いで振り下ろす。
「フィニッシュは、必殺技で決まりだ!」
『マイティ クリティカルフィニッシュ!』
ゾンビたちを全てを倒した……かに思えたが……。
「綴さん危ない!!」
どうやら取りこぼしがいたようだ。急いで綴さんに呼びかけるが……。
「私たちを、ナメないでくださいましッ!!」
綴さんは両手に持ったトンファーでゾンビたちをあっという間に倒した。僕は辺りを見渡してからガシャットを抜き変身を解除する。
「ありがとうございます宝生さん。助かりました」
サンさんが感謝の言葉を述べにこちらにやってくる。
「こちらこそ」
「それよりも参謀、聞きたいことがある。何故そこまでこのこの少女たちを気遣う。不死身なのだったら一人で逃げるということもできたはずだ」
飛彩さんの質問にサンさんは考え込んでしまった。
「何よその質問。ほらケツパ、さっさと行くわよ」
ひさぎさんが話を切り上げようとする。
「……みんなを救いたい、から」
返ってきた言葉は、到底実現可能とは思えない、でも、絶対に叶えたい、僕もそう思う答えであった。エニグマ事件の時に、映司さんが言っていた言葉に似ていた。
「……そうか」
飛彩さんはそれだけ言って、アドさんたちの方へと行ってしまった。
「飛彩さん……」
僕も気持ちを切り替え、アドさんたちの列に着いていく。そして、小一時間程度経ったぐらいだろうか。僕たちはそのペトラ橋に着いた。……は、いいのだが……。
「なんだこれは……」
「嘘だろおい……」
飛彩さんと大我さんから驚嘆の声が漏れた。それもそうだ、目の前にある光景は、ゾンビたちによってすし詰め状態の、まるでゲームの無敵状態で行くことを前提としたようなゾンビの数であった。