「ふふ」
「はは」
悪魔は、乾いた笑いを漏らしながら、手元のキューブを見た。
ジェミニが手を組んだ女に特別に用意させたその箱は、封印魔術が刻印された一種の監獄。小さな箱の中に作られた異空間に、対象を封じ込める。
「やったね」
「うん。やったね」
自身の固有魔法によって、勇者をキューブの中に『転送』することに成功したジェミニは、勇者を完封したといっても過言ではなかった。
魔王を倒した、あの勇者を、だ。
「「やったぁあぁあああああああああ!」」
絶叫。
全身で、手を取り合って、ジェミニは喜びを発露する。
多くの悪魔にとって、世界を救った勇者とは、それほどの相手だった。
「……ふう」
「うれしいね」
「うん。とってもうれしいね」
勇者を封じ込めたキューブを大切に抱えて、ジェミニは歩き出す。
「じゃあ、ぼくたちの」
「わたしたちの魔王様を、迎えに行こうか」
悪魔の悲願まで、あと少し。
「みなさんがご存知の通り、わたくしの魔法は触れれば四秒で、触れた対象を完全に蘇生させます」
リリアミラは語る。
杖を向けられ、剣を突きつけられた状況で、自慢気にそれを語る。
「ですが、万能に思えるわたくしの魔法には、根本的に重大な欠陥がありました」
「……そもそも、触れることができなければ、蘇生できない」
「ええ、正解ですわ。賢者さま」
自分に殺意を向けるシャナの言葉を、リリアミラはゆったりと肯定する。
「勇者さまが魔王様を殺したあと、騎士さまが跡形もなく魔王様の身体を焼き尽くしてしまったせいで、死体は文字通り塵も残らない有様でした」
「あなたに、万が一にも蘇生されたくなかったからね」
今度は、アリアが答えた。
リリアミラは顔を覆って、わざとらしく体を振ってみせる。
「これでは、蘇生することなどできない……わたくしは、愚かにもそう思い込んでおりました。ですが、諦めなければ奇跡を起こすのが、魔法です! その結果は、ご覧の通り」
赤髪の少女を見て、リリアミラは誇らしげに豊かな胸を張る。
「結論から言えば、わたくしの魔法に不可能はありませんでした。もちろん、完全な蘇生、とはいきませんでしたが」
「……魂だけ、と言ったのはそういうことですか。あなたの自慢話を聞く気はありませんが、よく魔王の肉体の一部を見つけられましたね」
「わたくしが契約した悪魔の能力ですわ」
「……それも、魔法ですね」
シャナの表情が、あからさまに歪む。
「はい。わたくし、悪魔に取引を持ち掛けられまして」
「取引?」
「単純な話です。魔王様を蘇らせる代わりに、勇者さまの体に刻まれた呪いを、解いてもらう。そういう契約を、最上級悪魔と交わしました」
「ということは、この船にその悪魔も……」
「ええ、ええ。乗っておりますよ。もちろん『呪いを解いてもらう』という誓約がある以上、彼らが勇者さまを殺すことはできません。そこは、安心して頂いて結構ですわ」
「いけしゃあしゃあと、よくもほざけたものですね」
「それはこちらのセリフですわ」
「はあ?」
怒りと疑問をないまぜにした声が、シャナの口から出た。しかし、不遜な死霊術師はそれを一切気にする様子もなく、自分に向けられているのと同じ種類の視線で、パーティーメンバー達を見た。
怒りと疑問が、満ち満ちた瞳で。
「あなた方は、わたくしの行動をありえない、と罵るでしょう。ですが、わたくしから言わせてもらえば、あなた方のほうが、ありえなくて、信じられません」
言葉が、感情が、止まらない。
いつも人を食ったような言動で煙に巻く、リリアミラらしからぬ激情の熱を。付き合いの長いパーティメンバー達は感じ取っていた。
「どうしてみなさまは、勇者さまに名前を忘れられてしまったことを、そんな風に受け入れられるのです?」
死霊術師は、賢者を見て言う。
「名前を忘れたことを気にしないくらい、幸せで満ち足りた環境を作って誤魔化そうとしていたんですか?」
死霊術師は、騎士を見て言う。
「己の行いを悔いて、今度こそ守れるようにと自己満足の努力を続けていたんですか?」
死霊術師は、武闘家を見て言う。
「大人ぶった価値観で、都合の良い諦めの中に沈んでいたんですか?」
忌々しげに、シャナは歯軋りした。
アリアは手のひらを固く引き絞った。
能面のような表情のまま、ムムは黙っていた。
リリアミラは、言葉を紡ぐことをやめない。
「わたくしは、いやです」
己の欲望を、ありのままに発露する。
「好きな人に、名前を呼んでもらいたい」
それは、一人の女性としての望みだった。
「わたくしは言い訳を並べ立てて、自分の気持ちを諦めるつもりは毛頭ありません」
この場にいる全員の心を、リリアミラは正確に突いていた。
シャナが押し黙る。アリアが唇を引き結ぶ。赤髪の少女は、そんな彼女達の様子を黙って眺めていて。
沈黙を破ったのは、やはりこの場で最年長の女性だった。
「……あなたの気持ちは、理解できる」
ムムが最初に口にしたのは、リリアミラへの素直な共感。
「でも、その子はまだ魔王じゃない。あなたの魔法と、悪魔の魔法だけで蘇生できたなら、わたしたちと対立する前に、事を終えているはず」
次に提示したのは感情論を抜きにした、単純な事実と可能性の話。
「なにが仰りたいのでしょう?」
「……魔王の完全な復活には、まだ何らかの手順を踏まなければならない。そのために、あなたは勇者とその子を一緒に行動させていた」
「つまり?」
「もう一度言う。その子はまだ魔王じゃない。魔王じゃないのなら、魔王にさせるわけにはいかない」
最後に、対立の姿勢の明示。
武闘家は、拳を構えて、死霊術師を見据えた。
「……はっ」
リリアミラは、それを鼻で笑う。
「やっぱり、クソババアに何を言っても、無駄なようですわね」
「………………は?」
瞬間。比較的、高い声色のムムの口から、これまでで最も低い声が漏れ出た。
「今、なんて、言った?」
「あらあらあら。やはり耳まで遠くなっているようですわね。見た目だけ若作りのクソババア、と言ったのです」
シャナとアリアの顔が、わかりやすく青くなる。
端的に言ってしまえば、それは武闘家の、最大の地雷だった。リリアミラも、わかっていて踏んでいた。
自分で年齢を言う分には構わないが……ババア、という言葉はムム・ルセッタには禁句である。
返事はなかった。
ただ、地面を踏み締める音がした。
「黙れ、小娘」
達人の足運びは、間合いという概念を超越する。
杖を構えていたシャナと、剣を突きつけていたアリアの隙間を、小柄な体を活かし、音もなく抜けて。
振り抜いた拳の、たった一撃で。武闘家は、死霊術師の胸に手のひらを突き刺していた。
「……ごっ、がっはぁ……?」
それは、明らかな致命傷。
リリアミラの口から、血が湯水のように溢れ出る。赤髪の少女も目を見開いていたが、それ以上に慌てたのは、怒りを必死に押し殺していたアリアとシャナだった。
「む、ムムさぁーん!?」
「なにやってるんですか!? なにやってるんですかちょっと!? コイツからなるべく情報を引き出さなきゃいけなかったのに!?」
「良い。もうコイツ、殺す」
「だからその人、殺しても死なないんだってば!」
「ダメですよ! そりゃ、手を出したくなる気持ちはわかりますけど!?」
「殺しても死なないなら、死ぬまで殺してわからせる」
「ぐっ……ぶ。む、無駄、ですわ」
胸に突き刺さった腕を掴んで、リリアミラはそれでも笑ってみせる。
「いくら、殺した、ところで……わたくしの『
「四秒あれば、蘇生する。それは、知ってる。でも、わたしの『
息も絶え絶えなリリアミラの言葉を、ムムは強引に遮った。表情は変わらないままでも、押し殺した怒りが言葉を震わせている。
「これは、純粋な疑問。
「なっ……!」
「試して、みようか」
肉の塊を、潰す音が響いた。
「お前がわたしを嫌う理由は、単純」
リリアミラの息の根が止まる。文字通り、息の根が止まった状態で、静止する。血液の循環が停止し、肉体の活動が停止する。
「わたしの魔法と、お前の魔法の相性が、致命的に悪いからだ」
ダメ押しとばかりに、ムムは左の拳を無造作に振るった。その裏拳を受けたリリアミラの首が、有り得ない方向にあっさりとひん曲がる。ありえない方向に曲がった状態で、ムムは左手でそのポーズを固定した。
いや、そもそも前衛芸術の銅像のようになってしまったその姿勢を、果たして人間のポーズと呼んでいいものなのか。
「これで、よし」
満足気に、ムムは鼻を鳴らした。
「うわ……」
「グロ……」
シャナとアリアはドン引きした。むしろ、引かない方がおかしい。
「……まあでも、これで落ち着いて赤髪ちゃんと話せるか」
「それはそうですね。ムムさんのやり方は些か強引に過ぎますが、とりあえず結果オーライということにしておきましょう。ムムさん、その死霊術師を、しばらく黙らせておいてください」
「うむ。うるさい女を、黙らせたわたしに、感謝」
「感謝はしますが、あとで聞くことはたっぷりありますからね。ちゃんと逃さないように抑えておいてくださいよ」
どこか弛緩した空気の中で、しかしようやく話をできる環境が整った、と言いたげに。二人は赤髪の少女に視線を向けた。
シャナが聞いた。
「で、大丈夫ですか?」
少女を気遣って、質問をした。
ああ、同じだ、と。少女は少し驚いて、それから納得した。
──大丈夫?
最初に会った時、勇者も同じことを聞いてきた。
この人達も、同じことを聞いてくるのだ、と思った。
立ち竦む少女の態度を気にもせず、賢者と騎士はずかずかと歩み寄って、じろじろと少女のことを観察する。
「外見に異常はなさそうだけど……」
「魂を蘇生させた、というさっきの言い回しが気になるところです。そもそも、普通に蘇生することができたなら、さっきムムさんが言っていた通り、呪いを解いてもらって終わりですから」
「この子は、魔王を復活させるための器みたいな存在ってこと?」
「アリアさんにしては、良い線を突いてますね。繰り返しになりますが、魂だけ蘇生させた、とあの女は言っていました。つまり、肉体は異なるものだということです。実際、魔王の外見と、この子の見た目は全然違います」
「うん。あの魔王、たしかにおそろしい美人さんだったけど、あれは赤髪ちゃんとは種類の違うきれいさだったもん。髪色も違ったよね」
ああだこうだと言いながら、賢者は少女の手を勝手に取って、魔導陣を展開し、体の状態をチェックする。
「あ、あの……」
「なんです?」
「わたしが、魔王だって聞いて……なんとも、思わないんですか?」
「は? 思うに決まってるでしょう。今もわたしの天才的な頭脳と魔術が、あなたを助けるためにフル回転していますよ」
助ける、と。賢者は言った。
「どうして……どうして、わたしを、助けてくれるんですか?」
「勇者くんなら、そうするからだよ」
事も無げに。騎士は言った。
「あと、あたしは赤髪ちゃんと一緒にご飯を食べてる。食事をして、話して、赤髪ちゃんが魔王じゃない普通の女の子だってことを知ってる。助ける理由は、それで十分かな」
「そういうこと。あなた、魔王と違って、いい子」
心臓を握り潰して止めたまま、ムムが頷く。
「……先に断っておきますが、私はこの二人ほどお人好しではありません。だから、きちんと事情を聞かせてもらえますか?」
フードの中から覗くシャナの瞳が、少女を見据えていた。
「あなたに、何があったのか」
「おはようございます」
目覚めた少女が最初に見たのは、流れるような黒髪と、何かに期待するような甘ったるい笑みだった。
腕を動かす。体を起こす。周りを見回す。
「無事に目が覚めたようだね」
「よかったよかった」
男の子と女の子が、一人ずつ。手を繋いで、こちらを見ていた。なんとなく、それが人ではないことは、すぐにわかった。
「わたしは……」
自分が誰なのか、わからなかった。
知識はあって、脳は働く。体は動いて、不自由はない。
ただ、自分が誰なのか、まったくわからなかった。闇の中で微睡んでいたら、唐突に光のあたる場所に引きずり出されたかのような。呼吸をしているのに、息ができないような、そんな矛盾した感覚だけが、体中を満たしていた。
「混乱していらっしゃるようです。やはり、失敗だったのでは?」
「ううん、成功だよ」
「魔王様の魂は、間違いなくここにある」
「不完全な形で蘇生されることは、わかりきっていたからね」
「では、どうするのです?」
「単純な話だよ」
「借り物の器に、不完全な中身。何もかも足りないけど、何もかも足りないなら、これから満たしていけばいい」
会話の内容はこれっぽっちも理解できなかったけれど、自分のことを話しているのは、なんとなくわかった。
手を繋いだまま、少年と少女は、恭しく頭を下げる。
「お目覚めを、心より嬉しく思います。わたしたちの王様」
「わたしが……王さま?」
「うん。あなたは、生まれながらにして王だったんだよ!」
「あの忌々しい勇者のせいで、あなたの記憶と力はなくなっちゃったけど……」
「わたしたちの言う通りにしてくれれば、必ず取り戻せるよ!」
「わたしは……その人に、殺されたんですか?」
「そうだよ!」
「勇者が、あなたから全てを奪ったんだ!」
「憎いよね! 悔しいよね!?」
わからなかった。
何もわからない。
「うんうん。わかるよ」
「起きたばかりで混乱しているよね」
「何か、欲しいものはある?」
「なんでも言ってよ! あなたの欲しいものなら、なんでもすぐに用意してあげる!」
なんでもいい。
自分がここにいることに、何か存在の証明がほしかった。
「名前」
「え?」
水。食べ物。衣服。
多分、そんなものを想像していたのであろう悪魔は、少女の呟きに首を傾げた。
「名前が……ほしいです」
縋るように。少女は悪魔に、それを求めた。
「ダメだよ、魔王さま。そいつらは勇者の仲間なんだから、勝手に仲良くしちゃ」
割って入った声と共に、少女の前にいた賢者の姿が、かき消されるように消失した。
「っ……シャナ!?」
賢者が立っていた場所に、コップが落ちて砕ける。次の瞬間には、剣を構えようとしたアリアの姿も消えて、代わりに小さなティースプーンが落ちた。
「なんだよ。リリアミラ、やられてるじゃん。かっこ悪いなぁ」
「お前……!」
あるいは、ムムが素の状態でそこに立っていたのならば、姿を現した悪魔に、すぐに対応できたかもしれない。だが、ムムの腕はリリアミラの胸の中に埋まっていて、それが結果的に彼女の初動と、俊敏な対応の妨げとなった。
ムムとリリアミラがいた場所に、フォークが転げ落ちる。からん、と。無機質な音を響かせて、少女と悪魔は、その空間に二人きりになった。
「みなさんを……どこにやったんですか?」
体の震えを堪えて、問う。
「外に捨てた」
少年の皮を被った悪魔……ジェミニは、とてもつまらなそうに言った。
「ぼくたちの魔法……『
少女は、絶句した。
ジェミニの魔法は、その存在が二人であることで、はじめて真価を発揮する。船の中から、いきなり船首に、それも豪風が吹き荒れる空の中に放り出されて、助かる人間などいない。
「そんな……」
「……やっぱりダメだなぁ。ねぇ、魔王様。ぼくたちがどうして、魔王様を勇者さまのパーティーに近づけたか、ちゃんとわかってる?」
呪いとは、術者の魂が色濃く反映された『残り続けること』を前提とした魔術。名前、という概念に干渉する強大な呪いを受けた勇者の体には、今もまだ色濃く魔王の残滓が眠っている。
リリアミラの蘇生が不完全に終わった理由の、半分がそれだ。蘇った少女が赤子のように、別人のように、なんの記憶も持たない状態だったのも……勇者の中に、魔王が己の大半を遺していったからだった。少なくともジェミニは、そう仮定している。
「魔王様にはね。勇者との交流の中で、彼の中に眠る自分を見つけてほしかったんだ。だからぼくはがんばって、素敵な出会いをお膳立てしてあげたんだよ? でもきみはそうやって、勇者に対する余計な感情ばっかり育てちゃってさ」
手の中のキューブを玩びながら、悪魔は心底がっかりした目で、少女を見ていた。
「やってられないよ。きみはいつになったら、ぼくたちの魔王様になってくれるのかな?」
膝をついて、少女は崩れ落ちる。
「やっぱり、ぼくが強引に魔王様にしてあげるしかないのかな?」
小さな手が、無邪気に少女に伸びて、そして……
「え」
何かが、割れる音がした。
悪魔が手を組んだ女に特別に用意させたその箱は、封印魔術が刻印された一種の監獄。小さな箱の中に作られた異空間に、対象を封じ込める……はずだった。
男が、立っていた。
「お、お前……うそだ、どうやって」
「どうやって?」
窮屈、だったのだろう。
固くなった身体をほぐすように。世界を救った男は、首を鳴らして言った。
「ひたすら殴って、壊して出てきた」
「は?」
「だから、ひたすら殴って、壊して出てきた」
手の皮が剥がれ落ち、血だらけになった拳を、勇者はそれでもなお、強く握りしめる。
泣いている女の子がいる。笑っている悪魔がいる。
そういう光景を、勇者はこれまで、飽きるほど見てきた。世界を救う過程で、数え切れないほど目に焼きつけてきた。
「おい、悪魔。お前、さっき一発殴ったよな?」
そういう絶望を、勇者はこれまで飽きるほど壊してきた。
だから、手の皮が剥がれ落ち、血だらけになった拳を、勇者はそれでもなお、強く強く握りしめる。
「まずは、一発だ」
これからも、壊し続けるために。
少年の姿をしたバケモノの顔面に、拳が突き刺さった。
今回の登場人物
・勇者くん
ピンチになってエンジンがかかった。基本的にスロースターターの主人公気質。
・賢者ちゃん
外に放り出された。
・女騎士ちゃん
外に放り出された。
・死霊術師さん
死んだ状態で静止中だが、どうせ死なないだろうと悪魔に武闘家さんごと外に放り出された。
・武闘家さん
キレるとこわい。ババアは禁句。死霊術師さんをハートキャッチ(物理)してたが、ハートキャッチ(物理)の状態のまま外に放り出された。
・赤髪ちゃん
何もない状態で世界に放り出されたので、まず何者であるかの証明がほしかった。
・最上級悪魔くんちゃん
勇者相手に勝ち誇ってたら、一話も保たなかった。
今回の登場魔法
固有魔法『
最上級悪魔、ジェミニ・ゼクスの固有魔法。自分自身と触れている対象を、視界の中にあるものと入れ替える。瞬間移動、テレポートのような使い方でトリッキーな運用がメインだが、最も強力なのは、ジェミニが二人で一人の悪魔であること。ジェミニAが見ているものを、離れた場所にいるジェミニBが触れているものと入れ替えることなども可能。そのため、魔法の応用性に関してはトップクラスの性能を誇る。