「ほ、本当に、すいませんでした……」
シャナは、土下座している魔女を見下ろして、じっとりとしたため息を吐いた。
「服とローブのクリーニング代はもらいますよ」
「はい……」
女性にしてはそこそこの長身に入りそうな彼女は、床の上で正座したまま、しゅんと小さくなっている。やれやれだ。
酔っぱらいのゲロまみれになった服とローブを、すでにシャナは脱いでいる。代えの服など持ってきていなかったが、そこは隣の騎士団長がなんとかしてくれた。
「ふふ。我が『
「着替えを用意してもらったことはもちろんありがたいんですが……もう少し、地味というか実用的な服にできなかたんですか? こういうひらひらしたやつじゃなくて」
実際にスカートの裾をひらひらさせながら、シャナは言う。
レオが『
「ふっ……いいだろう? ボクの趣味だっ!」
「胸張って言うことじゃねえんですよ」
「賢者殿は普段の服装から察するにあまり耳を出したくないようだったからね。帽子も用意させてもらったよ」
そういう細かい気遣いができるならべつの服用意してほしかったなぁ……と思いつつ、贅沢はいってられないので、シャナはもう抗議を諦めた。
つばの広い帽子を深く被りなおして、正座したままの原因に視線を移す。すると、彼女は猫のようにびくり、と肩を震わせた。
「と、とても似合ってると思うわ!」
「ゲロ吐いた張本人にフォローされてもこまるんですよね……」
レオ・リーオナインも基本的にすっとぼけのアホ野郎だが、こちらもこちらでなかなか重症な気がする。アホ二人に細かくツッコミをするのは馬鹿らしいので、シャナはさっさと本題に入ることにした。
「それで? あなたはバーナーダインの娘なんですか?」
「ええ! アタシは朱炎のバーナーダインの娘。ご覧の通り、魔導師よ」
「……ほんとですか?」
「ほんとよ!? 信じてよ!?」
ご覧の通りと言われても、まだ酒に酔って吐瀉物を撒き散らしているところしかみていないので、正直コメントにこまる。朱炎のバーナーダインに娘がいる、という話は聞いたことがないし、特に外見が似ているわけでもない。
バーナーダインの娘を自称する魔女に疑わしい目を向けつつ、シャナはさらに問いかけた。
「じゃあ、あなたがバーナーダインの血縁である、と証明するもの、何かあります?」
「え? そう言われると、ちょっと弱いよね……あのクソ親父とアタシ、まじで血が繋がってるだけだし……す、少しまってくれるかしら? 何かないか探すわ」
「はっはっは。おもしろいお嬢さんだね。賢者殿」
「なにもおもしろくはないですがね」
ようやく朱炎のバーナーダインの手がかりを掴めたと思ったら、逆に事態がややこしくなっているだけな気がする。
「では、質問を変えましょう。あなたの目的はなんですか? どうしてここに?」
「それはもちろん、あのクソ親父をアタシの手でぶっとばすためよ! このあたりでならず者どもが好き勝手してるっていう噂があったから、情報を集めてたの!」
「お。話が繋がってきたんじゃないかい? 魔女のお嬢さんもこう言っているわけだし、これでとりあえず、ヴァノン卿が仕入れてきた情報は間違いないんじゃないかな?」
「そうですか? あまりにも繋がりがうっすい気がしますけど」
似たようなニセ情報を掴まされているだけ、という説もある。
「……ていうかあなた、情報収集してたのになんであんなに飲んだくれてたんですか?」
「情報収集といえば、手っ取り早いのはギルドの酒場。そして……酒場といえば、酒よ」
正座したまま、こちらを見上げて、魔女はキリっとした顔で答えた。
顔の良さで誤魔化されそうになるが、言っていることは普通に酒カスである。
「裏返ってんですよ。前提が」
「アタシの数少ない趣味は地酒巡りなの」
「自己紹介は聞いてないです」
「おすすめのボトルはこれだけど、アタシがさっき飲み干したからもう残ってないわ」
「飲んでから戻したの間違いでは?」
話がまるで進まない。
「はあ……もういいです。あなたが持ってる情報と、こちらが持ってる情報を交換しましょう。朱炎のバーナーダインを探している、という目的は共通しているようですし、それくらいの協力はしてもいいでしょう? こちらはあなたにゲロぶっかけられて服ダメにされてるわけですしね」
「う……それを言われると弱いわね。いいわよ。アタシが知っていることでよければ、教えてあげる」
「結構です。私は、ステラシルドの宮廷魔導師、シャナ・グランプレ。こちらの顔が良いだけの軽薄な騎士は、第五騎士団団長の、レオ・リーオナインさんです」
「どうも、顔が良い騎士団長です」
「……はぇ?」
ようやく顔色が戻ってきた彼女は、また顔を青くして、シャナとレオの顔を交互に見た。
「しゃ、シャナ・グランプレとレオ・リーオナイン!? 世界を救った純白の賢者と、勇者の冒険を書いた
「だぁから、あなたのクソ親父を探しているんですよ!?」
「ひぃ!? そ、そうよね……ごめんなさい!」
「あなた、ほんとにちゃんとした情報持ってるんでしょうね!? カスみたいな情報しか提供できないなら、服のクリーニング代吊り上げますからね!?」
◇
「見えたわ。あれが噂のならず者どものアジトよ」
「……意外と役に立ちますね、あなた」
ほんとにちゃんとした情報を持っていた。
小一時間ほどで連れてこられた場所は、噂の賊どもが根城にしているらしい村外れの廃屋だった。たしかに、ここなら複数人が寝泊まりすることも可能だろう。
シャナはなんとも言えない表情で、得意気にえっへんしている魔女を見る。彼女が胸を張ると、ネクタイを押し上げているそこそこの膨らみが、さらに目立つ。シャナは、なんだか余計にいらっときた。
「ふふん! 無知なあなたたちに情報収集のコツを教えてあげるわ。酒が入ると、人は口がゆるくなって、なんでも吐き出してくれるのよ!」
「実際に吐き出された身としては認めざるを得ませんね」
「はっはっは。いやほんとうに、お手柄だよ、魔女さん。これで
周囲を油断なく見回しながら、レオは朗らかに言い切った。
「…………あぇ? ま、待ち伏せ!?」
伊達に、この歳で騎士団長になったわけではないということか。涼しい顔周囲から漏れている殺気に、すでにレオは気づいているらしい。
ぽかんとしている彼女にも聞かせるために、シャナは声を大きく張り上げた。
「そういうわけなので、隠れていても無駄ですよ。出てきてもらっていいですか?」
まるで、シャナの声に呼応するかのように、ぞろぞろと。武装した男たちが顔を出す。
十、二十……三十は優に超えるだろうか。完全に包囲されている。最初から待ち構えられていたのだろう。予想よりも多い人数にシャナは「けっ」と吐き捨てた。
あまり実戦の場数を踏んでいないのか。それとも探知系の魔術が疎かなのか。あるいは、そもそも魔術の心得なんてまるでないのか。魔女の彼女はまた顔を青褪めさせて、周囲をあわあわと見回している。
「ち、ちがうわ!? アタシ、アンタたちをハメたわけじゃ……」
「あー、大丈夫ですよ。べつにあなたのことを疑ってるわけじゃありません。私にゲロ吐いた酔っぱらいがそこまで頭が回るとは思ってないんで」
「んなっ!?」
勝手にショックを受けているなんちゃって魔女を背後に庇いつつ、シャナは杖を構えて前に出た。
真正面には、長い槍を携えたリーダー格らしき刺青の男が一人。
「まずは褒めてやるよぉ……さすがは、ステラシルドの騎士団長さまと、世界を救った賢者さまだ。オレたちが待ち構えてることまで織り込み済みってわけかい」
「あなたが賊どもの頭ですか?」
「いかにもぉ! オレの名はジンベリン! またの名を、炎槍のジンベリン! 朱炎のバーナーダインの理想を継ぐ男だぜぇ!」
ジンベリンと名乗った男は、慇懃無礼な一礼をしつつ、シャナとレオを値踏みするように見た。
一見、ただのチンピラのように見える。が、立ち居振る舞いに隙がなく、下卑た視線の中にもこちらを観察するような気配が感じられる。
こういうタイプの冒険者崩れは、少々めんどくさい。シャナは、賊どもに対する警戒を一段階引き上げた。
「それにしても、うれしいねぇ。シャナ・グランプレにくわえて、最年少とはいえ騎士団長まで釣れるとは。あんたらみたいな大物がきてくれると、オレたちの革命も王都の中枢まで届くようになったんだと、実感できるぅ〜! アゲアゲだぜ」
「……革命?」
「そう。革命さァ!」
両手を大仰に広げて、武装集団の頭は語る。
「かつて、朱炎のバーナーダインはこう言った! 魔術の炎は、選ばれたものにしか微笑まない魔法の力とは違う! すべての人間が平等に手にし、自由気ままに振るうことを許された力だ、と! だからオレたちは彼の理想と炎を受け継いだ! アイアラスもステラシルドも関係ない! 王国の中枢で権力を貪る貴族! 自分たちがルールだと言わんばかりに横柄な態度を取る騎士ども! どちらもクソ! それらすべてを覆し、魔王亡き世でオレたちが新たな自由を掴み取る!」
シャナは、さらに眉をひそめた。
たしかに、バーナーダインは魔術の心得のないもの……地方や辺境で十分な教育を受けることができない、魔力の素養を持つ人間に炎熱系魔術や簡素な杖の供給を行っていた。彼が主導した『魔術のばらまき』は犯罪や紛争、テロのきっかけとなり、バーナーダインは武器商人のようなやり方で戦乱を拡大していった。そこまでは、たしかに事実。
だが、その事実にここまでの『思想』が根強く絡んでいるのは、想定外だ。
「……これはまた、ずいぶんとご立派な考えをお持ちのようですが、あなた方のようなチンピラの集まりが革命を成せるとでも? ずいぶんとおめでたい頭ですね?」
「旗印ならあるだろうよぉ? オレぇは知ってるんだぜぇ? 聞くところによれば
シャナは、思わず真顔になった。
もちろん、シャナもそんな根も葉もない噂が王国中枢で囁かれていたのは知っている。勇者が約一年間、表舞台に出てこなかったのは事実であるし、それが世間の目から見れば彼の冷遇と取られかけないことも、わからなくはない。
しかし、だ。こんな国境の辺境の、しかも武装しているようなチンピラ集団がそれを当たり前の話として口にする、というのは。
「どうなんです? レオさん」
「うーん。たとえば騎士学校の学生の中でも、とくに貴族派に近い家系の子などは、そういった噂を耳に入れる機会がある、と。この前、親友の冷やかしついでに調査した際に聞いたけどね。まさか、こんなところにまで話が広がっているとは……」
「想定外ですね」
「ああ。ついでに火消しをしておいたほうがよさそうだ」
勇者の性格を知っているシャナやレオからすれば、本当に根も葉もないくだらない噂だ。だが、火のないところに煙は立たない、ともいう。燻っている火種は、さっさと消してしまうに限る。
杖を構え、魔導陣を展開。臨戦態勢に入り、ステラシルドの紋章が入った金章を掲げて、シャナはあらためて宣誓する。
「ステラシルド王国、筆頭宮廷魔導師。シャナ・グランプレです。国王、ユリン・メルーナ・ランガスタの命により、あなた方を捕縛させていただきます」
「ついでに、第五騎士団団長、レオ・リーオナインだ。抵抗しないなら、痛い目を見なくて済むけど……抗ってみるかい? 諸君」
世界を救った賢者と、騎士団長クラス。普通の悪党なら、目にしただけで降参するような二人を前にして、しかし悪党たちの戦意は一切衰える様子なく、
「いくぜてめぇら! 革命の時間だ! 盛大に燃やしてやりなァ!」
ジンベリンの号令によって、むしろ燃え上がった。
「ちっ……勢いだけの雑魚どもが」
「口が悪いよ。賢者殿。とりあえず、ボクが前に出るから諸々フォローよろしく」
「承って差し上げますよ」
前に出たレオと、自分自身。そして背後にいる魔女を庇うために、シャナはまず防御魔導陣の展開に集中した。
腐っても冒険者崩れというべきか。敵の統率は予想以上に取れており、シャナたちを包囲したまま、間断なく炎熱系魔術の波状射撃を浴びせかけてくる。とはいえ、振るわれる魔術は初歩に毛が生えたようなもの。どんなに数を重ねたところで、シャナの防御魔導陣を突破することは叶わない。
(前面の処理はレオさんに任せて、側面に展開している連中は砂岩系の砲術で一掃しますか。時間をかけるのも面倒です)
シャナの初手は、極めて正しい。
まず、防御魔導陣を展開し、幾重にも『増殖』させることで鉄壁の布陣を敷く。相手の攻撃を完璧に受け止め、そのうえで次の攻撃を選び取る。いつもと変わらぬ、王道の初手。
間違っていたのは、敵の力量の判断。
ジンベリンという
シャナがそれに気づいたのは、飛来した『何か』が自分の手首を貫き、鮮血が噴き出たあとだった。
「いっ……づぅ!?」
思わず、杖を取り落とす。
シャナの真っ白なワンピースに飛び散る、鮮血の赤。それを見て、ジンベリンはにんまりと口角を釣り上げた。
「ひゃは! 空いちまったなぁ!? ほっそい身体にぃ、あなボコがよぉ!」
事実は一つ。
幾重にも重ねた防御魔導陣を、貫かれた。
(部下たちに派手な炎熱系魔術で波状攻撃をさせたのは、こちらの視界を奪ってこの攻撃を通すため? それにしても……)
杖を持つ、手首を狙われた。粗暴な言動に似合わない、針の穴を通すような繊細な攻撃。
シャナは、前衛に出たレオに向けて叫ぶ。
「レオさん! その男、魔法使いです! しかも手練れの……!」
「そのようだね。捕縛は諦めよう」
端的に事実を認めながら、レオは大槍をジンベリンに向けて容赦なく振るった。
「とりあえず、死体を持ち帰る」
冷酷無比な騎士団長の、その宣言を、
「おひょ! でっけえ槍きもちいいなァ! そんなぶっといの喰らったら、逝っちまうよぉ?」
嘲笑う細い槍撃が、貫いた。
細身の身体から繰り出される、跳ねるような数撃の刺突。
技術、速度、威力、硬度。レオが振るう大槍は、ジンベリンの細槍のすべてに勝っている、はずだった。
「……けどさぁ。意味ないのよねぇ。オレぇの『
正面から激突すれば間違いなくへし折れるはずのジンベリンの槍が、レオの大槍を喰いつくすように、穴だらけにした。
レオは、目を見開いた。
槍だけではない。同時に、自分の肩や腕の肉が、鎧の上からえぐり取られたからだ。
「ぐっ……!」
たまらず膝を折った騎士団長を見下ろして、ジンベリンはせせら笑う。
「効くだろぉ? オレぇの『
「っ! レオさん!」
「くっ……!」
シャナが杖をひろうよりも、早く。
レオが『
ジンベリンは、魔術に炎熱系魔術を付与した細槍を、全力で投擲した。
幾重にも、幾重にも重ねたはずの防御魔導陣。そのすべてを、紙束に穴を空けるように撃ち貫いた炎槍は、一瞬でシャナの眼前まで到達し、
「貫通ぅ! 炎上ぅ! 大、爆、発、だぁ!」
防御魔導陣の、内側。逃げ場のない防御の内を、爆炎が荒れ狂う。
部下たちのはじける大歓声に身を任せて、ジンベリンは叫ぶ。
「革命執行ぅ! これこそが炎の力ぁ! バーナーダイン直伝の、オレぇの炎槍はすべてを貫くぜぇ!」
眼前の敵を焼き尽くす快感を伴って、ジンベリンは深く実感する。
炎とは、旗印だ。
どんなに小さな灯でも、人は暗闇の中でそれを見れば安堵し、投げつけられれば恐怖する。人は、火に手を近づけて暖を取ろうとはしても、自らの手で火に触れることは、決してない。
求めると同時に、恐怖するからだ。
水よりも、土よりも、風よりも、火は強い。
魔の基礎である四属性の中で、火は最も強く人を魅了し、最も獰猛に人を恐れさせる。
かつて、ジンベリンが師事した暴虐の大賢者、バーナーダインはそれをありありと見せつけてくれた。
「さぁ……! あとは騎士団長を喰ってフィニッシュ! 極彩天武会の参加前に、てめぇの首を土産にしてやる、ぜ……?」
そこまで言葉を紡いで、ジンベリンはようやく気がついた。
魔導陣の中の炎が
「とりあえず、借りは返したってことでいいかしら?」
「まあ、べつに自分で防げましたが……とりあえず、お礼は言っておきます」
「素直じゃないのね。まあ、いいわ」
「それにしても、驚きましたよ。あなた、本当に──」
炎の中から、声が聞こえた。
「──バーナーダインの娘だったんですね」
火炎を引き裂いて、黒帽子の魔女が現れる。
「な、ななな、なにィ!?」
ジンベリンは驚愕した。
仕留めきれていなかった。これは、まだ良い。防がれた、凌がれたのだと、納得はできる。
しかし、目の前の光景に納得はできない。
自分が放ち、炸裂させたはずの炎が、まるで犬のように手懐けられ、彼女の周囲で踊っている。その光景を、理解することは難しい。
「な、なんだァ、そりゃあ……!」
「──『
返答の代わりに自身の魔法の名を突きつけて、魔女はジンベリンを紅色の瞳で、睨みつける。
「そういえば、アタシの身分を証明するもの、あったわ」
ごそごそ、と。
スーツの内ポケットから取り出したそれを、彼女は高く掲げる。
奇しくもそれは、シャナが掲げたものと同じ……⋯王室付の宮廷魔導師であることを、証明する紋章だった。
「騎士国家アイアラス、第一宮廷魔導師。ベルフィール・バーナーダイン。アンタたちが崇拝して止まない、朱炎のバーナーダインの娘よ」
声色に、怒りが滲む。
「感謝なさい。バカ親父のチンケな思想を受け継いだアンタたちを、アタシが消し炭に変えてあげるわ」
その怒りに呼応するかのように、彼女が被る黒帽子が形を変える。羽織るローブが、陽炎の如く朱色に染まる。まるで、瞬きのたびに形を変える炎のように。敵を見据える瞳にすらも、火色の灯が宿る。
揺らめく魔女の背中を見て、シャナは目を細めた。つい先刻の、レオとの会話を思い出す。
接触即死型とでもいうべき、触れれば必殺の魔法のほとんどは、自分自身に魔法効果を付与できない場合が多い。
イト・ユリシーズは『
ジンベリンという男の『
そもそも、自分の体を切ったり穿ったりしたところで、何の意味もないからだ。
魔法効果を自身に付与することは、魔法の基本であると同時に、生き方そのものを捻じ曲げかねない、重大なリスクを伴う。
ムム・ルセッタが、歳を取れなくなったように。リリアミラ・ギルデンスターンが、自らの命を断てなくなったように。
あの朱炎のバーナーダインですら『
しかし、彼女は……この魔女は、ちがう。
魔術に精通しているからこそ、シャナはその炎を見て、理解する。
理解したシャナとは真逆に、ジンベリンは彼女の身体のその異常を、はっきりと声に出して吐き出す。
「お、お前ェ! 自分の炎で、も、燃えてるじゃねぇかぁ!? なんで平気なんだよォ!?」
「え? そんなの決まってるじゃない」
ベルフィール・バーナーダインは、魔法によって自身の
「アタシ自身が、炎だからよ」
・魔女さん
酒カス黒髪ロングうっかり属性魔女っ子黒スーツお姉さん。本名、ベルフィール・バーナーダイン。
アリアの生まれ故郷であるアイアラスの宮廷魔導師、らしい。
魔法は一言で言ってしまえばロギア。メラメラの実。即死級の魔法効果を自身の身体に付与しても一切問題ない特異な運用が可能な魔法使い。たぶん天才
本作執筆前の超初期プロットにおけるメインヒロインの一人。一人というかメインヒロイン。最初は普通に勇者パーティーの一員だったが、魔法使い要素は賢者ちゃんに、炎属性は騎士ちゃんに、お姉さんっぽさは死霊術師さんに、むしり取られ、現在では酒カス要素だけがなんとか残存している