せっかく貞操観念逆転世界へ来たのに貞操観念逆転していない幼なじみに女の子との出会いを潰されている   作:耳野笑

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 前回のあらすじ!


 あなたはナミネに監禁されてしまった! しかし、ナミネの友人であり、S級冒険者であるアリシアに救い出される!

 あなたはアリシアと同棲し、順調に仲良くなっていった! しかしある日、魔が差してアリシアをからかい過ぎてしまう! アリシアの逆鱗に触れたあなたは、奴隷契約の淫紋を刻まれ、人権と童貞を同時に失いかける!

 しかし、ナミネが現れ、アリシアと一騎打ちの末勝利! あなたは童貞のままアリシアの元を去ることになった!

 あなたは疲れ切ったナミネを彼女の家に送っていき、そこでナミネが『貧乳でしか興奮できない薬』を注文していたことを知ってしまう! 無情にも、あなたはナミネにボコされた!


 果たしてあなたは、おっぱいが大きくて可愛い女の子とイチャラブするというビッグドリームを叶えることが出来るのか⁉



第7話 生真面目ストイック体育会系ファイター跡取り娘後輩・コノハ

 ある日、あなたはクエストを終えて、ホームタウンへと繋がる街道を歩いていた。

 

「うん?」

 

 街と街を繋ぐ街道に、牛の魔獣がいた。

 普通の牛より一回り大きい体躯。血のように紅い身体に、鋭く捩れた双角。

 

 本来なら、Bランク相当の討伐対象である。しかし放置するわけにもいかないので、あなたは剣を抜いた。

 

「神宮寺流――赤薔薇」

 

 ――突進。赤牛へと刺突を放つ。しかし――。

 

「えっ⁉」

 

 鋒と角が激突した瞬間、あなたの剣が根元から砕けた。

 元より、あなたはこの世界に転移した直後から、たった一本の剣を使い続けてきた。それが、この瞬間に限界を迎えたのだった。

 

「ブモオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

 赤牛が猛り、あなたへと迫る。あなたはやむを得ず剣を捨て、拳を構えた。

 

 あなたは跳躍する。突進を躱し、猛牛の背へと着地。鋭い角を両手で掴み、そのまま天地を入れ替えるように投げ飛ばす。宙を舞った牛は、そのまま高度から地面に激突した。

 

 しかし、敵もBランク相当。猛牛は起き上がるなり、再突進の姿勢を取ろうとして――。

 

「朝比奈流――白鷲」

 

 あなたは縮地で距離を詰める。姿勢を直す最中の赤牛へ、鋭い拳を撃ち込み、起き上がりを刈った。

 牛の魔獣は完全に絶命し、その場に倒れる。

 

「すっごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

 あなたはビクッとした。

 いつから見ていたのか、街道に少女が立っていた。彼女はキラキラとした眼差しであなたを見ている。

 

 紫芋を甘やかに練ったような青紫色の髪。長髪が邪魔にならないよう、短いサイドテールに結わえられており、元気っ娘っぽい溌剌さを生んでいる。

 青林檎色の瑞々しさ溢れる薄緑の瞳は、生気と活気に満ちている。

 快活な表情、八重歯、あなたより一回り低い背丈。一目見て『素直で元気な後輩』という印象を強く受ける。

 

 女の子は白い道着を着ている。胸元が緩く開いており、黒いインナーが見える。少女が一歩歩く度、柔らかなおっぱいがぶるんっと揺れる。

 

 メロンを二つ胸に入れているのかと思う程、ひたすらに大きかった。

 

「自分、コノハっていいます! 師匠になってくださいっす!」

 

 あなたは少女の圧巻の質量に見惚れていたが、彼女の大声で我に返った。

 

「え、えっ? 師匠?」

 

「はい! 自分は、あなたの格闘家としての腕に惚れました! 名のある武術の師範とお見受けしたっす! どうか弟子入りさせてください!」

 

「え、ええ……? とりあえず、僕は○○、ただの冒険者だよ。武術には通じるところもあるけど、師範なんて偉い立場にはないよ」

 

 あなたに与えられた剣術チート――『剣豪の心得』には、剣を失った場合に備えて、素手での格闘術も組み込まれている。

 しかし、あくまでも授かった能力であって、努力で掴み取ったものではない。人にものを教えられる自信はなかった。

 

「では、せめて自分と決闘してくださいっす! どうか! お願いします!」

 

 コノハは頭突きのような勢いで頭を下げた。その迫力に押され、あなたは頷く。

 

「では、いざ尋常に――!」

 

 *

 

 十分後、あなたは勝利を収めた。

 

 辛勝だった。

 手数、威力、技術、どれをとってもコノハは一流の武闘家だった。最強チート持ちのあなたを相手に渡り合える時点で、彼女の実力は本物である。

 

「流石○○師匠! 強いっすね!!!」

 

「い、いや、師匠になってはいないんだけど……」

 

「だ、だめっすか……?」

 

 コノハはうるうると涙を溜めて、あなたを見上げる。

 罪悪感で、心臓がギュっと縮む。子犬を虐めているような、いたたまれない気分になった。

 

「自分、カラタチ流っていう拳法の使い手なんです。でも、全然知名度が無くて、自分の代で流派が途切れる危機なんっすよ! だから、だから……次の『闘拳大会(グランドルム)』ではどうしても勝ちたくて……!」

 

闘拳大会(グランドルム)って、来月王都で開催されるあれ?」

 

「そうっす!」

 

 闘拳大会(グランドルム)とは、毎年王都で開催される武闘大会である。ルールはシンプルで、武器や魔法を使わず、肉体一つで戦う。

 要は、「この国で一番殴り合いが強い奴を決めようぜ!」という趣旨の大会である。

 

「自分が闘拳大会(グランドルム)で優勝すれば、カラタチ流の名を広めることが出来ます! そうすれば門下生も入ってくれるはずっす! だから、自分はどうしても勝ちたいっす! 強くなりたいっす! どうか自分の師匠になってください!」

 

 コノハがぐいっと近付き、背伸びしてあなたと間近で目を合わせる。青林檎色の瞳が、あなたの視界を埋め尽くさんばかりに近い。

 戦った直後だというのに、不思議と汗臭さはなく、さっぱりとした爽やかな甘露が香る。

 

 そして、何より、圧倒的なボリュームのおっぱいが、黒インナー越しに弩級の質量を主張している。――デカい。マジで、メロンである。

 もし挟まれればその瞬間に天へ昇るに違いない、狂気的なまでに女体の最高善たる柔肉がそこにはあった。

 

「コノハちゃん、僕でよければ全力で手伝うよ!」

 

「いいんすか⁉ ありがとうございます!」

 

「あ、でも師匠はちょっと恐れ多いかも! せめて先輩くらいしてもらえないかな?」

 

「えっ、わ、分かったっす! よろしくお願いします! ○○先輩!」

 

 コノハが太陽のように眩しい笑顔を浮かべる。どこまでも素直で、明るく、癒されるような爛漫さだった。

 

 *

 

 闘拳大会(グランドルム)まで、あと三週間。

 

 あなたはクエストをほとんど入れず、コノハの修行に付き合うことにした。

 

「じゃあ、よろしくね」

 

「押忍!」

 

 あなたとコノハは相対する。平原に、ぴりっとした緊張感が走る。

 

 鳥の羽ばたく音を戦端に、コノハは一歩踏み出した。

 

「カラタチ流――満天星(どうだんつつじ)!」

 

 息もつかせぬ五連撃。更にその連発の直後、コノハは更なる技を繰り出そうと拳を構える。

 

 あなたはその間隙を突き、コノハの腕を取って、いなすように投げた。

 コノハは素早く起き上がり、攻撃を再開する。

 

「あっ……!」

 

 突き出したコノハの手が、あなたの胸に当たる。一瞬、ほんの一瞬だが、コノハの手は確かに硬い胸筋の感触を感じただろう。

 

「ご、ごめんなさいっす……!」

 

 コノハは引っ込めた手をぎゅっと握り、申し訳なさそうに縮こまる。

 

「気にしないで。続けよう」

 

「あ、え、は、はいっす!」

 

 コノハは目に見えて動揺していた。しかし、根が真面目なのだろう。すぐに真剣な顔つきに戻る。

 

 あなたはコノハと数回打ち合った後、彼女の背後を取った。羽交い絞めにする形で、後ろから彼女の肩を締める。

 

「あ、えっ……⁉ ちょっ、そのっ」

 

「どう? 抜けられそう?」

 

「いえ、そ、それより、胸、当たって……!」

 

 あなたは後ろからコノハに抱き着いて固定している。つまり、あなたの胸が、彼女の背に密着していた。

 

 あなたからすれば、なんでもない接触である。

 しかし、元の世界で例えるなら、女性からむぎゅうっ♡と潰れるほどおっぱいを背中に押し付けられているような状態。

 

 この世界の女性であるコノハにすれば、一世一代のラッキースケベである。

 

「あ……う、うん……」

 

 あなたは羽交い絞めを解除して、コノハから離れる。

 

 コノハの頬が、微かに赤らんでいる。特に耳が真っ赤だった。

 

 青林檎色の明るい瞳が、達成感のような、罪悪感のような、悲喜こもごもな感情を宿している。

 

「その……なんか、ごめんなさいっす……」

 

「いや、気にしなくていいよ。戦闘中なんだし、これくらいの接触なら構わず続けちゃって」

 

「えぇっ⁉ わ、分かったっす! 頑張るっす!」

 

 その後、少しぎこちない動きのコノハと訓練をした。

 

 そして、しばらくして昼休憩に入り、あなたとコノハは木陰に座る。

 

(よし、今こそ『あれ』を出す時だ……!)

 

 あなたはコノハからの好感度を稼ぐべく用意してきたある物を取り出す。

 

「コノハちゃん、どうぞ」

 

「えっ⁉ こ、これって……⁉」

 

「レモンのはちみつ漬けだよ。お口に合えばいいけど……」

 

 部活で美少女マネージャーが出しがちな差し入れナンバーワン、はちみつレモンである。疲れ切った体に、甘さと酸っぱさが染み渡る逸品である。

 

「い、いただきます」

 

 コノハがビンを受け取り、レモンを食べる。

 

「んんぅ~~~~~~~! 美味しいっす!!! 人生で一番美味しいっす!!!」

 

「あはは、ありがとう。サンドイッチも作って来たんだけど、よかったら食べる?」

 

「マジっすか!?!?!?!?!?!?」

 

 コノハは驚きながらも、あなたの差し出したカゴからサンドイッチを取り出して食べる。

 

「美味しいっす! 自分、今超幸せっす!」

 

 コノハは本当に美味しそうに、サンドイッチを頬張っている。青林檎色の明るい瞳がキラキラと輝いて、喜びが満面に現れていた。

 

「じ、自分……男の人の手料理なんて初めてっす……! こんな幸せな日が来るなんて思ってもみなかったっす……!」

 

「そうなの? コノハちゃん可愛いから、男の子からモテそうなのに」

 

「そ、そんなことないっすよ! 自分は昔から修行ばっかりで、男の人とのお付き合いなんてなかったっす! お恥ずかしい限りっすよ!」

 

 コノハは面映ゆそうに、にかっと八重歯を見せて笑った。

 

(ああ、やっぱり体育会系だなあ……)

 

 コノハには、邪気がなかった。

 

 学者肌や魔法職は、処女をこじらせ、劣等感を募らせた女性が多かった。

 しかし、コノハにはそういった負の感情がない。男性経験の無さを必死で隠そうとしたり、男性側を非難したり、という歪み方をしていない。

 

 どこまでも素直で、ひたすらに良い娘だった。

 

「ところで、お金とか払った方がいいっすよね? ただでさえお時間いただいてるのに、昼食代まで負担してもらっちゃったら申し訳ないっす!」

 

「え、払わなくていいよ? 僕が好きでやってることだから」

 

「いやいや! 良くないっす! 甘えるのと頼るのは違うっす! そういう線引きはしっかりしないと、先輩に失礼っすよ!」

 

「いいっていいって。ちょっとくらい先輩らしいことさせてよ」

 

 あなたはコノハの申し出を辞した。

 

 こんな美少女と一緒に過ごせるだけで、充分なご褒美である。

 

 女の子と二人きりで、同じ目的のために一緒の時間を過ごす。

 前の世界だったら、どうやっても手に入らなかった幸せな時間。文化部でも、運動部でも、まず実現しないであろう奇跡。

 それにお金まで貰ってしまったら、罰当たりというものである。

 

「優しいんすね、先輩」

 

「ううん、コノハちゃんみたいな可愛い女の子と一緒に過ごせるだけで、値千金だからね」

 

 コノハの顔が赤くなる。不意打ちだったのか、瞳がぐらぐらと揺れる。ニヤニヤと口角が上がりそうなのを、必死で堪えているようだった。

 

「じ、自分、そういうの、真に受けちゃいますよ……」

 

「本心だよ。コノハちゃん、凄い可愛い」

 

「う、うぅっ……! 異性経験の多さと人間性の強さを感じるっす……! 勝てないっすよぉっ!」

 

 コノハの顔が茹で上がったように赤くなる。コノハの声の大きさが、喜びとテンションの高さを物語っていた。

 

「じ、自分も先輩みたいなカッコいい男の人と一緒に過ごせて嬉しいっすよ! 自分、幸せっす!」

 

「んぐっ……⁉ あ、ありがとう……!」

 

 ドストレート豪速球が返ってきて、あなたはたじろいた。流石は体育会系である。やっぱり強い。怖い。

 

 澄み渡る青空。草原に吹く、爽やかな風。木陰の下に射し込む木漏れ日が温かくて心地よかった。

 

 なんとなく、元の世界と今の世界を合わせて、過去イチ青春している気がした。

 胸に青い風が吹き込んで、感動のような熱さが灯る。失われた青春は、ここにあったのかもしれない。

 

「先輩。闘拳大会(グランドルム)で優勝すると賞金が貰えるって知ってますか?」

 

「うん、知ってるよ。結構な大金だったよね?」

 

「自分、優勝したらそのお金で先輩にいっぱい恩返しします。美味しいものを一緒に食べて、綺麗なところに連れて行って、カッコイイ服たくさんプレゼントするっす!」

 

 コノハは力強く宣言した。本気さが伝わってくる、精悍な意志のこもった眼差しだった。

 

 あなたは目を丸くする。つい「恐れ多いよ」と言ってしまいそうになるのを堪える。

 これは、受け取ってあげるべき言葉だ。コノハが本気で優勝を目指す上で芯となるべき感情だ。謙遜や遠慮などで、彼女の熱意を損ねてはいけない。

 

 だから、あなたは頷いた。

 

「うん、楽しみにしてる」

 

「はいっす! じゃあ午後も張り切って修行するっすよ!」

 

 *

 

 闘拳大会(グランドルム)まで、あと二週間。

 

 あなたとコノハは拳を打ち合う。その最中、ハプニングが起きた。

 

「あっ……」

 

 あなたの服がはだけたのである。

 今日、あなたは前をボタンで留める服を着ていた。そのボタンが外れ、かなり深く胸元が露わになる。下着はタンクトップであるため、肌色の胸板が露出して、コノハの目に入る。

 

 突然、コノハの動きが鈍る。

 

「ッ……! んぅッ……!」

 

 あなたは構わずコノハへと連撃を放つが、彼女は防戦一方である。コノハの視線は胸元へ行ってしまい、受けきれずに押されている。

 

「先輩! ストップ! ストップっす! ちょっと休憩させてくださいっす!」

 

「うん、いいよ」

 

 コノハは全力ダッシュで林へ走っていって、木の陰へと隠れてしまった。あなたはこっそりコノハを追い、木に隠れて彼女を覗き見る。

 

 コノハはぎゅっと道着の胸元を掴んで、荒い息を吐き、肩を上下させていた。

 

「自分の馬鹿っ……! 失礼っすよ……! 先輩がせっかく稽古付けてくれてるのに、そんなこと考えて集中できないなんて……!」

 

 コノハの表情は見えないが、声色には自責の念があった。

 

 やはり、真面目な女の子なのだ。

 そんな深刻に捉えなくていいのに。なんなら満足するまでガン見してくれていいのに。

 

 うん、そうだ。コノハにご褒美をあげよう。朝から晩まで訓練に励むコノハに、先輩として楽しい時間も提供してあげなければ。

 

「コノハちゃん」

 

「うひゃあっ!? せ、先輩⁉ いつからそこに⁉」

 

「今来たところだよ。コノハちゃん、提案なんだけど、ちょっと関節技から抜ける練習しない?」

 

「か、関節技っすか?」

 

「うん。一応使ってくる相手がいるかもしれないから、抜け方だけ知っておいた方がいいかなって思って」

 

「分かったっす! ご指導、よろしくお願いします!」

 

 あなたとコノハは草原に戻ってくる。

 

「じゃあ、そこに寝てもらっていい? 足払いで倒されたって想定でやってみよう」

 

「はいっす!」

 

 コノハがあなたの指示通り横になる。あなたはコノハと逆方向を向いたまま、彼女のすぐ左に座る。

 この時、あなたはさり気なく、上から三つ目までのボタンを外し、緩いタンクトップを露出させた。

 

 そして、あなたの左腕でコノハの右腕を真上に引っ張り、あなたの右腕をコノハの頭に巻き付けるように抑え込む。

 

 ――俗に言う、袈裟固めである。

 

「んぐぅッ!?!?!?!?!?!?!?」

 

 当然、あなたの胸がコノハの顔に押し付けられる。あなたの硬い胸板が、思いきりコノハの顔面に密着し、息も苦しいくらいに圧迫しているのである。

 

 これを元の世界でいうなら、美少女から顔面に思いっきりおっぱいを押し付けられている天国――即ち、ぱふぱふの状態である。

 

「ぶっ……⁉ あっ……! 良い匂いッ……! 頭おかしくなるッ……⁉」

 

 コノハがひと息吸い込むだけで、あなたの匂いを取り込んでしまう。この世界の女性にとっては麻薬にも等しい、オスの匂い。

 コノハはあなたの胸に圧迫されながら、もごもごふがふがとあなたの匂いと胸板の感触を浴び続ける。

 

 初めは勢いよく藻掻いたが、それも一瞬。すぐに抵抗が弱まっていき、あなたの胸に顔を埋めたまま、す~~~は~~~!と大きく深呼吸をしているだけになる。

 

 前世界の男ならば、おっぱいの顔面圧迫(ぱふぱふ)は、誰しもが夢に見る桃源郷。魔性の柔らかさに溺れ、このまま窒息死しても構わないとすら思う程の幸福である。

 

 それを、コノハは直で味わい続け、身も心も溶かされた。一応、形式上もがいて脱出しようとはしているが、本能が「ここにいたい」と叫んで離れようとしないのだろう。ずっと熱い鼻息を噴きながら、あなたに抑え込まれっぱなしになっている。

 

「ぷはッ……! あっ、やばっ……!」

 

 コノハの白い道着に、赤々とした点が付く。コノハの鼻から、二~三滴の鼻血が垂れていた。

 

 あなたは慌てて、勢いよく袈裟固めを解く。

 

「コノハちゃん、大丈夫⁉」

 

「だ、大丈夫っす! これは怪我とかじゃなくて……その、本当に大丈夫っす! ほら! もう止まったっすよ!」

 

 コノハが鼻をごしごしと擦ると、彼女の言う通り鼻血は止まっていた。しかし、顔に血が上って真っ赤になっており、呼気も荒い。

 

「……ごめんね、ちょっと無理させちゃったみたい」

 

「あ、いえ、その……」

 

 コノハは気まずそうに視線を泳がせる。

 

「ちょっと休もっか。おいで」

 

 あなたは大樹に背を預ける形で座った。ぽんぽんと太ももを叩き、コノハを呼ぶ。

 

「え? えっと……?」

 

「膝枕してあげる、どうぞ」

 

「え、えぇっ!? ちょっ、マジっすか⁉」

 

「うん、マジだよ」

 

「い、いや嬉しいですけどお断りするっす! 自分訓練で汗かいてるから臭いっすよ!」

 

「そんなことないよ?」

 

 あなたはコノハに近付き、首元に顔を近づけて匂いを嗅いだ。シトラス系の爽やかな芳香が香る。

 

「ひゃあっ!? ちょっ、先輩⁉」

 

「うん、いい匂いだよ」

 

「~~~~~~~~~~~ッ⁉」

 

 コノハの顔が赤くなる。頬も、首筋も、耳たぶも、火傷したように真っ赤になる。

 

 前の世界でこんなことをすれば、即通報ものだろう。しかし、この世界ならば許される。

 『男性』ならば、セクハラが軽犯罪ではなく、喜ばしいスキンシップとして受け入れられる。

 

 あなたは再び木にもたれて座り、コノハを手招きする。

 

「おいで、コノハちゃん」

 

「ッ……! し、失礼するっす……!」

 

 コノハがおそるおそる寝転び、あなたの太ももに頭を下ろす。ばちっと目が合う。見開かれた青林檎色の瞳は、驚きと喜びに満ちて輝いていた。

 

「コノハちゃん、頑張ってるね。偉いよ」

 

「う、あ、ありがとうございます……!」

 

 紫芋の色味をそのまま練り出したような、穏やかな青紫色の髪。結わえられたサイドテールが、あなたの太ももに垂れる。

 あなたはコノハの髪を一房手にして、梳くように撫でた。

 

「綺麗だね」

 

「んっ……そ、そうっすかね……? 先輩の黒髪も綺麗っすよ!」

 

「ふふっ……ありがとう、嬉しいよ」

 

 あなたはコノハの頭を撫でた。青林檎色の瞳が大きく見開かれる。

 

「んっ……⁉ あ、あの……」

 

「嫌ならやめるから言ってね?」

 

「い、嫌じゃないっす! 最高っす!!! なんか、夢みたいっす!」

 

 コノハは目を細め、気持ちよさそうに撫でられている。どことなく、甘えてくる猫のような愛くるしさがあった。

 

 太ももに乗る重量が心地いい。幸せの重さである。

 時間がゆっくり流れる。牧歌的ながら、胸が高鳴る。ドキドキしながらも、落ち着いた雰囲気に包まれる。

 

(思えば、こんな自然に女の子と仲良くなれたの、初めてかも……)

 

 この世界に来てからというもの、ほとんどがナンパしたりされたり、という馴れ初めだった。しかし、どうせなら自然な出会いの方がいい。

 

 自然に出会い、同じ時間を過ごす内に仲良くなって、気付けばどちらからともなく付き合い、最後にはゴールイン。恐らく、それが最も難易度の高い交際だろう。

 これに関しては、前の世界だろうと今の世界だろうと、誰であっても難しい。

 

 そんな細い道筋を、今あなたは奇跡的に通っているのである。

 

(いける! あとは、ナミネの邪魔さえ入らなければ!!!!!)

 

 *

 

「ねえ、ずいぶん機嫌良さそうだけど、なにかいいことでもあったの?」

 

 闘拳大会(グランドルム)まで、あと一週間。

 

 ホームタウンのギルドで、あなたはナミネと鉢合わせた。ナミネはどことなく不機嫌そうに眉をひそめ、訝るように目を細めている。

 

「え、な、なんでもないよ?」

 

「ふうん……ここ最近、ギルドに顔出さないで何してるの?」

 

「いや、そのっ……」

 

 くるみ色のひとみが、冷たくあなたを見詰めている。

 

 ナミネの詰問に、あなたは焦る。

 まずい。バレたくない。もう邪魔されたくない。こんな奇跡的に上手く行っている恋愛は過去にないのだ。

 この青春、この奇跡、絶対に渡してなるものか。

 

「じ、実は、剣を新調しようと思って、色んな武器屋を見て回ってるんだよ!」

 

「剣?」

 

「うん、自分で買ったのが壊れちゃって! ほら!」

 

 あなたは代用の銅剣を見せる。自分の剣が折れてしまってからは、ギルドから安物の銅剣を借りていたのである。

 

「ふうん。まあ、長いこと使ってたものね」

 

「そうそう! でもこんな銅剣じゃ使いにくいから、新しい剣を探してたんだよ! ナミネはオススメの武器屋知らない?」

 

「う~ん……武器屋かあ……。東地区のお店とか評判いいって有名らしいよ」

 

「そうなんだ! じゃあ行ってみるね! ありがとうナミネ!」

 

 あなたはナミネに背を向け、ギルド会館を出る。

 

 完璧だ。誤魔化せた。ちょうどいい言い訳が見つかって良かった。

 

 あなたは東地区へ向かう。このままコノハのいる草原へ向かっても良かったが、せっかくなので本当に剣を買ってから行くことにした。

 

 *

 

 新しい剣を購入し、あなたはコノハに合流した。

 

「ごめんね。待たせちゃって」

 

「いえ、一人でも訓練はできるので大丈夫っす!」

 

 林の中、枝に大量の丸太が吊り下げられ、それらが振り子のように揺れている。コノハはその丸太を躱し、拳を打ち込んでいた。

 青紫色のサイドテールが揺れる。同時に、道着の下で、黒いインナーに包まれた豊満なおっぱいもぶるんぶるんっ♡と揺れている。

 

「相変わらず凄いね……(おっぱいが)」

 

「いえ、自分なんてまだまだっすよ! じゃあ、今日もご指導よろしくお願いします!」

 

 あなたとコノハは、普段通り訓練を始める。打ち込み、フェイント、払い、投げ、蹴り。繰り返し技を打ち合い、練度を上げる。

 

 そして、それが一段落したところで――。

 

「なにやってるの?」

 

 背後から、あの悪魔の声が聞こえた。声だけで、誰かはすぐに分かった。しかし、何かの間違いを期待しながら振り返る。

 

 穏やかな栗色の、ボブカットの髪。あどけない顔立ちに、優しいくるみ色の瞳。

 たったひとりの幼なじみにして、あなたの天敵――ナミネの姿がそこにはあった。

 

 ナミネは不思議そうな顔をしている。

 

「どうせ女の尻でも追い掛けてるんだろうって思ったんだけど、その娘に会うなり殴り合い始めるし……ホントに何やってるの?」

 

 コノハのことを知られてしまったのは最悪である。しかし、修行の場面だけしか見られていないのは幸いである。

 

「あ、えっとね、実は……」

 

 あなたは事の顛末を説明した。

 コノハがカラタチ流という拳法の使い手であること。その喧伝のために闘拳大会(グランドルム)での優勝を目指していること。そのためにこうして修行していること。

 

「ふうん……うぅん……なんか、こう、なんともいえない……」

 

 ナミネは苦い顔をしていた。

 

 今回、あなたはまだ何もしていない。一線を越えようともしていない。

 つまり、無罪である。ナミネがあなたを罰することができる理由など、どこにもないのだった。

 

「えっと、お話し中すみません。先輩のお知り合いですか?」

 

 コノハがあなたとナミネの話に入ってくる。

 

「私はナミネ。○○の幼なじみで、同じく冒険者よ。一応S級で、『奏者(アマデウス)』って呼ばれてる」

 

「えっ⁉ 称号持ちっすか⁉ 凄いっすね! 流石は先輩の幼なじみの方っす!」

 

「え、うん」

 

「自分はコノハっす! さっき紹介していただいた通り、○○先輩の弟子っす! 仲良くしてほしいっす!」

 

「あ、うん、よろしく……」

 

 ナミネは困惑しながらも、コノハと握手を交わす。そして、困った顔のままあなたを見る。

 

「どうしよう。凄い良い娘なんだけど」

 

 これまでナミネは、あなたといい感じになった女の子に対し、威圧するか、決闘して負かすかで追い払ってきた。しかし、ただの良い娘相手に手は出せないし、強く出ることもできない。

 

 後輩ポジ、という思わぬ強みが発覚した瞬間である。

 

「あ、あの! ナミネ先輩って、もしかして○○先輩のカノジョさんなんすか⁉」

 

「「ぶふっ!?」」

 

 ナミネとあなたは同時に噴き出した。そして、二人して顔を真っ赤にする。

 

「ないないない! ただの幼なじみだよ! ね! ナミネ!」

 

「あ、当たり前じゃない! 私が○○のカノジョとかないから! なに意識して顔赤くしてんのよ! ホントは好きなの⁉」

 

「ないから! 絶対ないから! 最近寂しくなってしつこく付きまとってくる人に言われたくないから!」

 

 言い合うあなたとナミネ。その様子を見ながら、コノハはつぶやく。

 

「そ、そう、なんすね……! 勘違いしてごめんなさいっす! お二人、美男美女ですし、カップルに見えちゃったっす!」

 

「「~~~~~ッ⁉」」

 

 あなたとナミネは赤面したまま黙り込む。ナミネは面映ゆそうに困り顔を浮かべ、横目であなたを見ながら肘で小突いてくる。

 

「こ、この娘、超強いんだけど……」

 

「つ、強いよね……」

 

「こんな良い娘に手出そうとしたら……分かってるよね?」

 

「も、ももももももももももも勿論だよ!」

 

 *

 

 闘拳大会(グランドルム)、当日。

 

 円形闘技場(コロシアム)は大勢の観客で賑わっている。一回戦が始まる前から、会場は熱気と興奮に包まれていた。

 

 あなたとコノハは、選手の控え室へと繋がる通路で話していた。

 

「いよいよだね。コノハちゃん」

 

「はい! 先輩に恩返しできるよう、頑張るっす!」

 

 紫色のサイドテールが揺れる。活力は充分。緊張で強ばっている様子もなかった。

 

 あなたはコノハへと一歩近づく。そして、半ば抱き締めるような体勢で、コノハに耳打ちする。

 

「コノハちゃん。もし優勝出来たら、今夜、一緒の宿に泊まろう?」

 

「えっ!?!? あの、そ、それって、単に祝勝会しようって意味っすか? そ、それとも……その、そういうこと、っすか……?」

 

 コノハの青林檎色の瞳が、きらきらと期待を宿して輝いている。切望するように潤む瞳が、あなたを見上げる。

 

「もちろん、そういうことだよ。優勝のお祝いに、いっぱい気持ちイイこと、しようね?」

 

「……ッ!!! い、言ったっすね⁉ 約束っすからね! 絶対っすからね!!!!!」

 

「うん、約束だよ。じゃあ頑張ってね、コノハちゃん。応援してるよ!」

 

「はい!!!! 絶対優勝するっす!!!!!!!!」

 

 そして、コノハは控え室へ向かった。あなたも観客席に移動する。間もなく、闘拳大会(グランドルム)は幕を開けた。

 

 コノハは一回戦、二回戦、三回戦と、破竹の勢いで勝ち上がっていった。

 

「カラタチ流――桜! 杠葉(ゆずりは)! 鳳仙花(ほうせんか)!」

 

「ぎゃあああああああああああああああああッ! ギブギブ! 参りましたああああああああああっ!」

 

 一回戦から準決勝まで、全てコノハの圧勝だった。

 

 遠めに見ているだけでも、凄まじい気合いの入りようだった。

 真面目なコノハではあるが、「優勝してカラタチ流の名を広め、門下生を集めたい」という想いはどの程度残っているのだろうか。優勝すれば男の人とにゃんにゃんできるという事実が頭の中を埋め尽くしていても無理はないだろう。

 

 かくいうあなたも、今夜が楽しみだった。コノハはどんな風になるのだろう。

 後輩っぽく、恥じらいながら、控え目に身体を委ねてくるのか。

 体育会系っぽく、あなたを押し倒して、本能の赴くままあなたの身体を貪るのか。

 

 そして、遂に決勝戦の時がやってくる。

 

「では、闘拳大会(グランドルム)決勝戦を始めます!」

 

 コノハが戦場に立つ。

 対戦相手は、巨人族(ギガント)の女性だった。二メートルを超える上背、巨岩のような横に広い恰幅、はち切れんばかりに膨らんだ筋肉。

 素手での戦いというレギュレーションでは、明らかに最強格であろう女性である。

 

「いざ尋常に、始め!!!!!!!!!!」

 

 戦端を告げる銅鑼が鳴る。

 

 ――巨人の先制。巨躯に見合わぬ速さで距離を詰め、コノハへと拳を放つ。

 しかし、コノハは見切った。重い一撃がコノハの頬を掠め、サイドテールの髪を弾きながらも、身体は捉えていない。

 

「カラタチ流――金銀蓮花(ががぶた)!」

 

 コノハが掌底を放つ。巨人のがら空きの脇腹に、一撃が入る。しかし――。

 

「効かねえよ!」

 

「……ッ!」

 

 硬い。肉体が人間の規格とは違い過ぎる。普通の攻撃では、巨人の肉体にダメージを与えられない。

 

 巨人が剛腕を振るう。コノハは左腕で防御したが、真芯に直撃を食らい、吹っ飛ばされる。

 ――重い。折れてはいないだろうが、鈍痛が走っているだろう。

 

「はあッ……はあッ……!」

 

 コノハは体勢を立て直す。そして、巨人へと突っ込んだ。

 

「カラタチ流――花楸樹(ななかまど)!」

 

 コノハが巨人へと拳を放つ。しかし、拳は筋肉の鎧に阻まれ、ダメージを通せてはいない。

 

「そんなんで私を倒せると――「カラタチ流――莎草(かやつりぐさ)!」

 

 コノハの拳が五指を開き、巨人の服を掴んだ。そして、短躯に見合わぬ膂力で巨人を持ち上げ、背負い投げる。

 

「がッ……⁉」

 

 巨人は頭から思いきり地面に落着した。自重と投げの勢いで、その衝撃は相乗的に倍増していることだろう。

 これこそが、小兵の戦い方。己より強大な敵を肉体のみで打ち倒す、柔術の神髄である。

 

 コノハは倒れる巨人の上に立ち、右腕を持ち上げ、真下へと拳を放つ体勢を取る。

 

「カラタチ流奥義――枯木枳殻(かれきのからたち)!」

 

 武の極北。破壊力に特化したコノハの奥義が、巨人の顔面に入る。

 肉体が筋肉の鎧で覆われていようと、顔面ならば有効打。巨人は意識を失い、動かなくなった。

 

「勝負あり!!!!!」

 

 銅鑼が鳴る。大喝采が巻き起こり、今日一番の熱狂が場内を満たした。

 

 *

 

 夜。

 

 あなたとコノハは、連れ込み宿(ラブホテル)へと来ていた。王都の宿というだけあって、内装は豪華だった。

 

「わぁ……! すごいっす……。お城みたいっす……!」

 

 コノハが少女のように目を輝かせながら、部屋を見回している。

 

 広い空間に、キングサイズベッド、ガラステーブル。毛足の長い純白の絨毯に、石レンガ風の壁紙。壁には等間隔に小さな穴が空いており、宝石や楽器、観葉植物などが置かれている。

 

 シャンデリアに吊るされている魔法石は、仄かな桃色の光を放ち、部屋全体に淫靡な雰囲気を漂わせていた。魔法の香でも焚かれているのか、オレンジやピーチのような果実の甘い香りに満ちている。

 

「こんなところに連れてきてもらえるなんて光栄っす!」

 

「コノハちゃんなら、きっと遅かれ早かれ来ることになったと思うよ」

 

 あなたの隣にいるのは、陽キャ体育会系美少女である。

 コノハは別にあなたと出会わずとも、普通に素敵な男性と出会って、お付き合いをして、そのまま結婚し、子供を授かって、幸せな家庭を築けたに違いない人間である。

 

 前の世界だったら、最も縁遠い人種。決して道が交わることはなく、ましてや性行為をすることなど絶対にあり得なかった女の子なのである。

 

 そんな女の子が、お城のような宿の一室で、あなたと二人きり。そして、今から、繋がることになるのである。

 

 不思議な気分だった。現実味を感じないまま、あなたはベッドに腰掛ける。

 

「ん、ちょっと熱いね……」

 

 あなたはわざとらしく服をはだけさせた。あなたは男性用ディアンドル*1を着ているため、少し傾ぐだけで、左肩から肩紐が落ちて、胸の半ばまで露わになる。女にとって目に毒な肌色が、コノハの視界に映る。

 

 コノハの目の色が変わる。白眼に赤く血走って、瞳孔がギンッギンに開き、獲物を前にした獅子のようにあなたの半裸を凝視している。

 

「コノハちゃん、今日は優勝おめで――」

 

 視界がぐるりと変わる。桃色に照らされた天井、あなたに覆い被さるコノハ。

 そこまで認識して、ようやく押し倒されたのだと悟る。

 

 速すぎて動きが見えなかった。死を悟る間もなく牙を突き立てられたシマウマのように、あなたはベッドへと倒されていた。

 

「先輩ごめんなさいっ! 自分、もう……!」

 

 コノハの両手が、もの凄い力であなたの両肩を抑える。熱っぽい呼気があなたの顔に降りかかる。

 青林檎色の瞳が爛々と肉欲を宿し、「このオスを自分のものにしたい」と言わんばかりにあなたを熱く見つめる。

 

 激闘の直後なので、コノハは汗をかいていた。シトラス系の爽やかな香りに、発情しきった獣のようなメスの匂いが、あなたの鼻腔を突く。

 

「ずっと……ずっと、修行中、先輩の胸とか脚が気になってたんっす……! でも、ずっと血涙が出そうなくらい耐えてて……もう、我慢できないっす!」

 

 修行中、あなたは無意識に、あるいは意識的に、コノハへ胸をチラ見せしたり押し付けたりしていた。思春期の健全な女の子にとって、それは幸運な天国であると同時に、我慢という苦悶に耐え続ける甘美な地獄だった。

 そんな長い地獄の末、水風船のごとくパンパンに膨らんだ欲望が、今、勢いよく破裂したのだ。

 

 雌の本能を全開にして、コノハが八重歯を見せながら舌なめずりする。気泡を含んだ唾液が垂れ、妖しく銀色に光った。

 

 ギンッギンに見開かれた瞳が、「めちゃくちゃにしてやる♡ 逃がさない♡ 朝まで犯し尽くす♡」と物語っている。たとえあなたが泣いて許しを乞うても、欲望のまま貪り尽くすのをやめてはくれないだろう。

 今から行われるのは、恋人同士が仲睦まじく愛し合うセックスではない。メスの本能を剝き出しにした、オスに力関係を分からせるための体育会系セックスである。

 

「うん、いいよ……。コノハちゃん……」

 

「○○せんぱいっ……!」

 

 コノハがあなたの服を脱がす。

 ついに、この時が来たのだ。不本意にも長い付き合いになった童貞とは、今日を最後に――。

 

「――耳元に絶叫を、魂に咆哮を(ハウンドドックレッシェンド)

 

 轟音とともに、扉が吹っ飛んだ。

 

 空気が凍り付く。冷気を放ち、瘴気を纏い、地獄の底からあなたを罰しに現れたその拷問吏の名は――。

 

「な、ナミネ……⁉」

 

 ナミネは折れそうなくらい首を傾げ、真っ暗な瞳であなたを見詰める。

 

「○○? その娘とは修行に付き合ってあげてるだけって聞いてたんだけど? へえ、夜の寝技の練習までしてるんだね?」

 

「ま、まままままままま待ってよ! これには深い訳が「ないでしょ、セックスしたいだけでしょ」

 

「…………」

 

 何も言い返せない。その通りだった。

 

「コノハちゃん、そこどいてもらえるかな?」

 

「……お断りするっす、ナミネ先輩」

 

 コノハは立ち上がり、ナミネと向かい合う。その背には闘気が漲っている。コノハは、ナミネと戦うつもりのようだった。

 

「正直、こんな気はしてたっす。○○先輩とナミネ先輩の関係を見てて、ナミネ先輩が越えなきゃいけない壁になるのは分かってたっす」

 

「……そう」

 

 ナミネも覚悟を決めたのだろう。空気が張りつめる。あなたを景品にした、闘拳大会(グランドルム)の延長戦が始まる。

 

「たとえナミネ先輩だろうと、遠慮なくぶっ飛ばすっすよ! 覚悟!!!!!」

 

 *

 

「いだだだだだだッ! 無理無理無理! 死んじゃうっす! 参りました! 強いっすねナミネ先輩!」

 

 流石にS級冒険者は格が違った。相性の問題もあったが、ナミネは傷一つ負わずにコノハを完封した。

 コノハは起き上がるなり、キラキラとした瞳でナミネに近付く。

 

「やっぱり今の時代、魔法も修めないとダメっすよね! ナミネ先輩! 自分を弟子にしてください!」

 

「寝取られた!?!?!?」

 

「寝取ってない!!!!!!」

 

 ナミネが困惑しながら叫ぶ。

 

「え、えっと、まあいいよ。よろしくね、コノハちゃん」

 

「はい! よろしくお願いします! ナミネ先輩!」

 

 コノハはあなたへと振り向く。後腐れのない爽やかな表情で、あなたを見る。

 

「○○先輩! せっかくの機会をくれたのに、申し訳ないっす! 本当に、本当に悔しいっす! でも、○○先輩には、本当に好いた人と結ばれてほしいっす! だから、自分は身を引くっす!」

 

「ちょっ、待って! 考え直してコノハちゃん!」

 

「本当に何から何までありがとうございました! お世話になりましたっす! それではまたっす!」

 

「待って! 行かないでぇええええええええええええッ!」

 

 コノハはさっぱりとした顔で、部屋を後にする。残されたのは、半裸に剥かれたあなたと、大魔王ナミネの二人きり。

 

「ねえ、○○。せっかくだから私も○○に修行付けてあげるね?」

 

 黒い鞭、棘付きの鉄球――ナミネの周囲に、これまで彼女の振るってきた大量の拷問道具が現れる。

 

「耐久力の訓練、いっぱいしようよ♡」

 

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」

 

*1
胸元が大きく開いた可愛い民族衣装




 『あなた』

 性別:男性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Eランク)
 備考:おっぱいが大好き


 『ナミネ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Sランク)――【奏者】
 備考:


 『モモ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Cランク)
 備考:巨乳


 『マリン』

 性別:女性
 種族:ウンディーネ
 職業:冒険者(Fランク)
 備考:たわわ


 『リーゼロッテ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Sランク)――【剣聖】
 備考:ぼいんぼいん


 『ユンユン』

 性別:女性
 種族:獣人
 職業:中華店店長
 備考:たゆんたゆん


 『シャルル』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:探偵
 備考:豊満


 『アリシア』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Sランク)――【魔女】
 備考:巨峰


 『コノハ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:闘拳家、道場主
 備考:メロン



【作者からのお知らせ!】

 下記のように一部設定を変更します!

・変更前
「冒険者ランクを上げるためには、自分のランクのクエストを一〇〇回、『単独』で達成しなければならない」

・変更後
「冒険者ランクを上げるためには、自分のランクのクエストを一〇〇回達成しなければならない。(ソロかパーティーかは問わない)」

 第一話で上記の設定が出てきます! しかし第四話で、あなたとナミネが一緒にクエストへ行っているのにランクが上がっていました!

 ミスです! 申し訳ありませんでした! 変更前の設定を覚えていた方は忘れてください! 忘れていた方はそのまま忘れておいてください! それではまた!
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