せっかく貞操観念逆転世界へ来たのに貞操観念逆転していない幼なじみに女の子との出会いを潰されている   作:耳野笑

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 前回のあらすじ!

 あなたは武闘家の少女――コノハと出会った! 「闘拳大会で優勝したい」と語るコノハは、あなたに弟子入りを志願! あなたは彼女の熱意とおっぱいに押され、稽古を付けてあげることになった!

 修行の日々の中、あなたはコノハに手料理を振る舞ったり、胸を押し付けたりして、彼女といい感じになっていく!

 あなたはコノハと「闘拳大会で優勝したら、抱かせてあげる」という約束をする! そして、コノハは無事優勝!

 その夜、あなたとコノハが、お城のような宿で一線を越えようとした瞬間、ナミネが乱入! あなたを巡ってコノハとナミネが戦うも、ナミネが圧勝! コノハは身を引いてしまう!
 あなたはコノハに手を出そうとした罰で、ナミネに怒りの鉄槌を下された!!!


 果たしてあなたは、おっぱいが大きくて可愛い女の子とイチャラブするというビッグドリームを叶えることが出来るのか⁉



第8話 最強つよつよJSJCロリ巨乳白黒エルフ姉妹・イヴ&ショコラ

 あなたを含む計一〇〇人の冒険者が火山を登っている。

 

 今日は、レイドの日だった。

 レイドとは、強い冒険者のみを集めた、大規模な緊急クエストのことである。本来ならS~Cランクの冒険者のみ招集される筈だが、人手不足のため、あなたも呼び出されたのである。

 

 ちなみに、S級であるナミネ、リーゼロッテ、アリシアの姿はない。別の緊急クエストと被っているため、そちらに出撃しているとのことだった。

 

(あ~! もったいないな~! せっかくナミネがいないんだから、街でナンパするチャンスだったのに!)

 

 あなたは残念に思いながら、しぶしぶ山を登る。

 

 あなた以外の九十九人は、全員女性である。

 女性の方が腕っ節の強い世界なので、ランクが上がれば上がるほど男女比は女性側に傾く道理である。

 

 強者故の余裕なのか、談笑しているパーティーすらある。その中でも特に目立つ冒険者が二人、あなたの前にいた。

 

(あの娘たち、大丈夫なのかな?)

 

 エルフとダークエルフの幼女が、きゃっきゃと騒ぎながら歩いている。

 年の頃は、どちらも十代前半に見える。とてもではないが、戦場に出ていい年齢には見えなかった。

 

 あなたは心配になり、二人組に声を掛ける。

 

「ねえ、キミたち、ちょっといいかな?」

 

 二人が同時に振り向く。

 

 エルフの少女は、月光のような蒼銀の煌めきを帯びた白髪である。瞳は、眼の中に太陽があるかのような、眩しい純金の黄金色だった。しかし、その目許は鋭く、涼やかで、冷たい印象を受ける。

 清楚で気高く誇り高きエルフらしい、透き通るような白い肌である。

 

 ダークエルフの少女は、ビターチョコレートのような濃い茶髪である。もう一人の少女と同じく、目映いくらいの黄金色の瞳だった。ぱっちりとした大きな瞳は、人懐っこさがある。

 柘榴石(ガーネット)のような、艶のある褐色の肌が妖しく黒光りしている。

 

 そして、何よりも――。

 

(えっ……???? これマジ????)

 

 ふたりとも、小学校高学年くらいの女の子には相応しくない、大きな大きなたわわが実っていた。

 

 エルフの少女は、胸当てがはち切れそうなくらい大きな膨らみがある。おそらくGカップはあるだろう。

 ダークエルフの少女は、戦闘民族のような下乳を覆うだけの布を巻いており、豊満な胸の谷間が見えている。おそらくFカップはあるだろう。

 

「綺麗……」

 

「わぁ……! すごいカッコイイのだ……!」

 

 二人の少女が、あなたを見て目を見張る。エルフの少女は魅入られるように静かにあなたを眺め、ダークエルフの少女は目をキラキラと輝かせている。

 

 あなたは照れながらも、二人に問いかける。

 

「突然ごめんね。僕は○○、Eランク冒険者だよ」

 

「私はイヴです。こちらは妹のショコラです」

 

「ショコラなのだ! お姉ちゃんの妹なのだ!」

 

 エルフの少女――イヴは丁寧に、ダークエルフの少女――ショコラは元気に自己紹介をした。

 

(うん? 姉妹なのに種族が違う……? 複雑な家庭環境なのかな?)

 

 あなたは疑問に思ったが、とりあえず話を続ける。

 

「二人って何歳なのかな?」

 

「私は13歳。ショコラは12歳ですが……どうかしましたか?」

 

「えっと、今日のレイドって凄い強い魔獣が出るんだけど、二人にはちょっと早いんじゃないかなって思って」

 

 すると、少女たちの雰囲気が変わる。イヴが目を細め、ショコラは頬を膨らませる。

 

「子ども扱いはやめてください。私たちは弱くありません」

 

「そうなのだ! ショコラたちは最強なのだ!」

 

 あなたは、しまったと思った。二人は幼い少女である。分かりやすい子ども扱いは、プライドを損ねてしまう。

 

「え、えっと、ごめんね。でも、心配で……」

 

「なら実力で分からせてあげるのだ! ショコラたちが戦うところをよく見とけなのだ!」

 

「折角です。○○さん、勝負をしませんか? 今回のレイドで、○○さんと私たちのペア、どちらがより多く魔獣を狩れるか競いましょう。私たちは二人なので、合計を二で割ります。どうでしょうか?」

 

「うん、いいよ」

 

(それでこの娘たちの気が済むならいっか。いざとなったら守ってあげられるし)

 

「ですが、ただ競うのでは面白くありません。私たちが勝ったら、この後一緒に遊びに行きましょう」

 

「それ賛成なのだ! 流石お姉ちゃんなのだ!」

 

「え? う、うぅん……」

 

 あなたは、あなたと幼女二人が遊んでいる絵面を想像してみる。犯罪臭がすごかった。

 

(二人には申し訳ないけど、勝って断ろう)

 

「うん、もしイヴちゃんとショコラちゃんが勝てたらいいよ」

 

「やった~! 約束なのだ~! ウソだったら許さないのだ!」

 

「い、言いましたね? 絶対逃がしませんからね?」

 

 イヴとショコラの目の色が変わる。年相応の愛らしくて人懐っこい目が、捕食者のような鋭い眼光を帯びたような気がした。

 

(あ、あれ? 大丈夫だよね? 勝てばいいんだもんね? いや、流石に大丈夫! こんな小さな女の子たちに負けるなんて有り得ないもんね!)

 

 *

 

「うそぉ……」

 

 あなたは呆然と、間の抜けた声を漏らした。目の前にあるのは、積み上げられた魔獣の屍。これら全てが、イヴとショコラの手によって築かれたものだった。

 

「ショコラたちの合計は230体なのだ! この半分だから、115体なのだ!」

 

「○○さんは何体倒したんですか?」

 

「さ、30体です……」

 

 イヴとショコラは勝ち誇った顔であなたを見つめる。可愛らしいドヤ顔だった。

 

「どうでしたか? ○○さん。これが私たちの実力です」

 

「ショコラたちの強さ、分かってくれたのだ?」

 

「は、はい……。分かりました……。というか何者なの、キミたち……?」

 

 イヴとショコラは、待ってましたとばかりに鼻高々と、満面の笑みを浮かべる。えっへんと胸を張ると、ぶるんっ♡とおっぱいが揺れた。

 

「私はS級冒険者『白狼(フェンリル)』――イヴです」

 

「S級冒険者『黒狗(ケルベロス)』――ショコラなのだ!」

 

「マジで!?!?!?!?!?!?!?」

 

 あなたは目を剥いた。こんな小さな女の子二人が、この国に五人しかいないSランク。にわかには信じ難かった。

 しかし、イヴとショコラの実力は本物だった。今回のレイドは、「もう全部この二人だけでいいんじゃないかな?」という勢いで無双していたのだ。

 

「では、遊びに行きましょうか。○○さん」

 

「○○みたいなカッコいい男の人と遊べるなんてラッキーなのだ!」

 

 あなたは焦る。事案、不審者、通報、誘拐犯、青少年保護育成条例違反――。脳内に、様々な単語が濁流のように流れる。ヤバい、逃げないと。マジで捕まる!!!

 

「あ、あ~! 急にお腹痛くなってきちゃった~! ちょっと遊びに行くのは無理かな~!」

 

 あなたはわざとらしくお腹を抑える。すると、イヴがあなたのお腹に手をかざし、あなたの身体は緑色の燐光に包まれた。

 

「はい、治癒魔法で治してあげましたよ」

 

「…………あ、あ~! 僕、急用を思い出しちゃった! もう行かないとな~!」

 

 あなたは逃げ出そうとした。しかし、その右腕をイヴに、左腕をショコラに、ガシイッ!と掴まれる。

 S級の膂力は伊達ではない。腕が岩に嵌まったかのごとく、ちっとも動かない。

 

「私、言ったはずですよね? 絶対に逃がさないって」

 

「あきらめてショコラたちと来るのだ。約束はちゃんと守ってもらうのだ」

 

 獣のようにギラギラと輝く黄金色の瞳が、あなたを覗き込む。

 

「……ぴえん」

 

 *

 

 あなたは森の中に連れてこられた。鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたり、ターザンで遊んだりした。

 

 日も暮れ始めた頃、疲れたあなたは、木の幹に背中を預けて座る。

 

「二人とも、体力すごいね」

 

「○○、もう疲れたのだ? じゃあ○○の膝の上いただきなのだ~!」

 

「えっ、ちょっ――!」

 

 ショコラが突進のような勢いで走ってきて、あなたの膝の上に座り込む。そのままの向きで座られたので、自然と向かい合う形になる。

 

(対面○位じゃんこれ!!!!!!!!!!)

 

 今、あなたの膝の上に、ダークエルフの幼女が座っている。子犬のようなあどけない瞳が覗き込んでくる。

 ショコラがただのヒューマンの少女なら、「幼い子供と遊んであげているだけ」という言い訳もギリ通るだろう。しかし――。

 

 褐色の肌が艶めかしく光る。あなたの目と鼻の先に、黄金色の瞳がある。そして、少し目線を下ろしたところには、ショコラの豊満なおっぱいがある。

 谷間に、橙色の陽光が射して、褐色の胸が妖しく光沢を放つ。

 

(見るな見るな見るな見るな見るな見るなあっえっろ……!)

 

 しかし、間違っても触れてはいけない。相手は12歳。元の世界で言えば女子小学生。絶対に触れてはいけない禁断の果実なのである。

 

「○○……! カッコいいのだ……! はあッ……はあッ……!」

 

 ショコラは荒く息を吐き、肩を上下させている。ショコラが顔を近づけてくる。こつん、とショコラの額とあなたの額がぶつかる。

 

 黄金色の美しい瞳は、目を逸らそうとせず、熱視線を注いでくる。上気して赤らんだ顔。火を吐きそうなくらい熱い吐息。

 

 ――明らかに、発情していた。

 

「○○ッ……○○ッ……!」

 

 ショコラが服越しにあなたの胸に触れる。男性への気遣いなどない粗野な手付きで、あなたの胸を摩り、撫でて、まさぐる。

 

(あああああああああああああああああああああむりむりむりむり○起しちゃう○起しちゃう人生終わるぅうううううううううッ!)

 

 もし○起すれば、あなたの膝の上に座っているショコラには一瞬でバレる。その瞬間、人生が終わる。

 

 あなたは必死でショコラの肩を押して引き離そうとする。しかし、ダークエルフの腕力は凄まじく、びくともしない。

 あなたはあなたの分身を抑え込もうとするも、遂に限界を迎え――。

 

「こら! ショコラ!」

 

 イヴがショコラを引っぺがした。ショコラは不満そうにイヴを睨む。

 

「な、なにするのだ! いいところだったのに!」

 

「そんなにがっついたら嫌われちゃうかもしれないでしょ! その、もっとゆっくり距離を縮めないと……!」

 

 イヴとショコラが言い争いを始める。あなたはホッとして息を吐き出した。

 

(よかったあ~~~~~~~~~~! あと一秒密着してたら○起してた……!)

 

 安堵するあなたを余所に、二人は口論し始める。が、しばらくするとショコラがしぶしぶ折れた。

 ショコラは不満そうに、あなたの右隣に座り直す。しかし、何故かイヴは立ったままである。

 

「お姉ちゃんも座らないのだ?」

 

「あ、えっと、その……」

 

 イヴは俯いて、もじもじとしている。黄金色の瞳が潤んで、視線も泳いでいる。

 

「わ、私も膝の上に乗せてほしいです……!」

 

「イヴちゃん!?」

 

「なんでなのだ! お姉ちゃんだってがっついてるのだ!」

 

「で、でも! ショコラだけなんてズルい! ○○さん、私も膝の上に乗せてください! あと、ちょっとだけでいいので胸も触らせてください!」

 

「いやだめだめだめだめだめ! もう限界だからあ!」

 

「どうしてですか! ショコラには許してたじゃないですか! もういいです勝手にやりますから!」

 

「ああああああああああああああああああああああああああッ!」

 

 イヴが勢いよくあなたの膝の上に腰を下ろす。ド迫力のおっぱいがぶるんっ♡と揺れる。

 

 イヴは肌が白いので、赤くなると分かりやすかった。頬は紅潮し、耳まで真っ赤になり、ハァハァと熱い吐息を漏らしている。

 興奮しながらも遠慮がちに、イヴの手があなたの胸に這う。掌をしっかりと押し付け、五指をいっぱいに開いて、あなたの胸の硬さを堪能している。

 

「○○さん……すごいっ……♡ 硬いですっ……♡」

 

「そういうこと言わないでぇッ!」

 

 イヴが無意識のうちに性的行為を想起させるセリフを口走ったせいで、あなたの理性に今度こそ限界が訪れる。

 

「あっ……⁉」

 

 イヴが小さく声を漏らし、目を見開く。硬く屹立したあなたの分身に気付いたようだった。

 

「やだあああああああああああああああッ! 捕まりたくないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

 あなたはイヴをどかし、全速力でその場から逃げ出した。

 

 *

 

 翌日、あなたは冷静になった頭で考える。

 

 ショコラは12歳、イヴは13歳である。日本でいえば、まだ性行為の意味すら十分に理解していない年齢。

 性の対象にするなど、言語道断である。

 

 そして、昨日のあなたを元の世界で例えるなら、男子小中学生に対しておっぱいを揉ませたお姉さんということになる。

 

(あれ……? やっぱり普通に犯罪じゃない? 越えちゃいけない一線越えてない?)

 

 嫌な汗が流れる。たとえ一瞬でも、幼女を性的な目で見たことが間違いだった。

 前世界の紳士なら誰もが知る鉄の掟――YESロリータNOタッチ。それを、あなたは破ってしまったのだ。

 

(ど、どうしよう……でも、とりあえずクエストには行かないと……)

 

 あなたはビクビクしながらギルドを訪れた。

 

 お尋ね者になっていないだろうか。性犯罪者として指名手配されていないだろうか。不安で仕方なかった。

 しかし、あなたを見ても冒険者たちは特に変わった様子がない。

 

(せ、セーフ……? 大丈夫っぽい……?)

 

 あなたは一旦ホッとして、クエストボードを眺める。手ごろなクエストがないかと探していると――。

 

「「み~つけたっ♡」」

 

 あなたの腕が、両側から掴まれた。気付いた時には、左右から挟まれ、身動きが取れなくなっていた。

 

「い、イヴちゃん!? ショコラちゃん!?」

 

「あははっ! ○○、捕まえたのだ~!」

 

「ギルドに頼んで○○さんのホームタウンを調べて、会いに来たんです。ふふっ、驚きましたか?」

 

 ショコラとイヴは、得意げな顔で笑う。しかし、あなたは顔面蒼白だった。

 

「あっ、はい……すみませんでした……。お縄に付く覚悟はできてます……」

 

「お縄? 何の話なのだ?」

 

「私たちは、パーティーの勧誘に来たんです」

 

「えっ? 勧誘?」

 

 イヴとショコラは、相変わらずあなたをがっちりと掴んだままで話す。

 

「はい。ギルド職員の方から、○○さんがソロでクエストを行っているって聞いたんです。昨日のレイドを見た限り、○○さんもS級に近い実力がありますし、ぜひ一緒にパーティーを組みたいなって思ったんです。い、いかがですか?」

 

「ショコラたち、超強いのだ! ○○に怪我なんてさせないのだ!」

 

「え、えっと……」

 

 あなたはとりあえず、お巡りさん案件でなかったことに安堵する。

 

 イヴはさらに早口で誘い文句をまくしたてる。

 

「わ、私たちとパーティーを組めば、上級のクエストを受けることもできますよ! ○○さん、まだE級なので下級クエストしか受けられずに困ってませんか⁉」

 

「ぐぅっ……」

 

 あなたはお金に困っていた。元々稼ぎの少ない下級クエストしか受けられない上に、先日剣を買い直したせいで金欠なのだった。

 

「○○と一緒にパーティー組めたら楽しいと思うのだ。○○はショコラたちと一緒のパーティー、いやなのだ……?」

 

「○○さん、お試しでちょっとだけでもいいですよ! お金の面でもお得ですよ! 私たちとパーティー組んでください!」

 

 ショコラがうるうると目を潤ませながら、イヴが一生懸命考えてきたであろうメリットを力説しながら、あなたの心に訴える。

 

 正直、ちょっとだけならいいかも、と思ってしまう。

 

「じゃあ、お試しでお願い――「させないから」

 

 ピシッと、空気が凍った。ギルド会館が一瞬にして静まり返る。

 

 あなたとイヴとショコラが振り返る。栗色の髪、くるみ色の瞳、整った顔立ち――不機嫌そうに眉をひそめたナミネがそこにいた。

 

「ナミネさん?」

 

「あれっ、ナミネ?」

 

 イヴとショコラは、ナミネと面識があるようだった。Sランク冒険者同士なので、レイドや緊急クエストで一緒に戦ったことがあるのだろう。

 

「イヴ、ショコラ。悪いけど、○○は私の幼なじみなの。パーティーを組むのは諦めて」

 

「お、幼なじみ……」

 

 イヴがたじろぐ。しかし、ショコラは動じず、強気に言い返す。

 

「幼なじみとか、そんなの関係ないのだ! ○○はソロなのだ! そもそも幼なじみなのにパーティー組めてない時点で脈ナシに決まってるのだ!」

 

「は?」

 

 ナミネの額に青筋が浮かぶ。が、子供相手に本気になるのは堪えたのだろう。怒気を抑えて、あなたの方を見る。

 

「○○! お金に困ってるからE級より上のクエスト受けたいって言うなら、わ、私と一緒に行けばいいじゃない!」

 

「うん、そうなんだよね」

 

 一緒にいるだけでお巡りさん案件になりそうなイヴとショコラよりかは、ナミネとクエストへ行きたかった。

 せっかくのお誘いではあるが断ろうとした時、イヴがあなたに問いかける。

 

「○○さん、よく見てください! 私たちとナミネさん、どっちの胸が大きいですか⁉」

 

「えっ」

 

「は?」

 

 あなたとナミネは、予想だにしない言葉に驚いて固まる。

 

「いえ、よく見るまでもなく明白です。ナミネさんには胸がありません。小さいじゃなくて、ないんです」

 

「そうなのだ! ショコラたちはおっぱいが大きいのだ! あんな絶壁よりショコラたちの方が良いに決まってるのだ!」

 

「ぶふっ……!笑」

 

 あなたは思わず噴き出した。こんな小さな娘たちにまで煽られるナミネが面白くて、堪えきれずに笑ってしまう。

 

 ナミネは怒りに表情を歪ませ、拳をわなわなと震わせる。しかし、イヴとショコラは尚も火に油を注ぐ。

 

「つるぺた~!」

 

「まな板~!」

 

「洗濯板~!」

 

「なんで○○も参加してんのよ! 殺されたいの!?」

 

「今はイヴちゃんとショコラちゃんがいるから、ナミネなんて怖くないもん! 何でも言い放題のボーナスタイムだもん!」

 

「12歳幼女の威を借りてる人生恥ずかしくないの!?」

 

「恥ずかしくないよ~だ! その12歳幼女に女性としての魅力でボロ負けしてる真っ平さんに何言われても平気だもんね~!」

 

「殺す!!!!!!!!!!!!!!」

 

 ナミネが憤激を露わにして、あなたへと炎を放つ。しかし、イヴとショコラが構築したであろう防御魔法が、炎を完全に遮断する。

 

「――魔霧(ミスト)!」

 

 館内に黒い煙が溢れる。ナミネは憤怒の表情で迫ってきたが、煙のせいで視界がゼロになる。あなたとイヴとショコラはその間に、素早くギルド会館を抜け出した。

 

 *

 

 あなたはイヴたちと共にA級クエストを終えた。二人が強すぎて、面白いくらい圧勝だった。

 

 あなたたち三人は、貸し切りの幌馬車に揺られながらイヴたちのホームタウンへと向かっていた。

 車内の空間は十分な広さがあり、厚い防水布に覆われることで外界と隔絶している。あなたはクッション性の長椅子に座っており、その両隣にイヴとショコラがいる。

 

「あ~~~~かたくて気持ちいいのだ~~」

 

 ショコラは幸せそうに、あなたの太ももに頬ずりしている。

 

 この世界におけるあなたの太ももの硬さは、元の世界における女性の太ももの柔らかさと同じである。ショコラたちにすれば、最高級の枕にも匹敵する心地よさである。

 

「しあわせなのだ~……」

 

 ショコラは気持ちよさそうに体重を預けてくる。あなたが頭を撫でると、ショコラはまぶたを閉じて、今にも眠りに落ちそうなくらいうっとりとしている。

 

「ところで、○○さん。○○さんとナミネさんは幼なじみって話でしたけど、○○さんはナミネさんのことどう思ってるんですか?」

 

「女の子との出会いを邪魔してくる悪魔」

 

「え、邪魔……? どういう意味ですか?」

 

 イヴとショコラは不思議そうに首をかしげる。

 

「僕が女の子と仲良くなって、もう少しで一線を越えられそうって時に毎回邪魔してくるの。ひどいでしょ?」

 

「え、じゃ、じゃあもしかして○○って童貞なのだ!?」

 

「う゛っ……!」

 

 ショコラのドストレートパンチが、あなたの心に直撃した。

 否定したいという気持ちでいっぱいになる。何歳も年下の小さな女の子たちの前で童貞バレは、情けない限りだった。

 

 しかし、強がるのもそれはそれで惨めなので、正直に答える。

 

「は、はい……童貞です……」

 

「え!? ○○さんみたいな綺麗な男の人が、童貞……? す、すごっ……! 夢みたい……!」

 

「童貞ってマジなのだ!? 絶対モテモテでとっくに経験済みだと思ってたのだ!」

 

(あっ、辛っ……泣きそう……)

 

 あなたは項垂れる。「え~マジ童貞!? 童貞が許されるのは○学生までだよね~!」と煽られている気分だった。

 

「○○……」

 

「○○さん……」

 

 イヴとショコラが、あなたとの距離を詰めてきた。両側から腕を組まれる。豊満なおっぱいに腕が埋まって、あなたは硬直する。

 

「え、なんで近付いて……って、えっ、な、なんでそんなにギラギラした目してるの!?」

 

 イヴとショコラの目の色が変わっていた。黄金色の瞳は、肉食獣のような鋭さを帯びている。

 

「ふうッ~ふうッ~~! ショコラ、もう本気になっちゃったのだ……! ○○が悪いのだ……!」

 

「はあッ……はあッ……! こんなイケメンでえっちな体してて童貞って、そんなのもうっ……!」

 

 イヴとショコラがあなたに迫る。右には、麗しい幼女エルフ。左には、妖艶な幼女ダークエルフ。

 

 低い背丈。短い手指。女の子の丸みと柔らかさを帯びる前の、骨ばった肩。ガチ感が強すぎて、とても性的な目では見れない。見てはいけない。

 しかし、あなたの両腕に押し付けられ、むぎゅうっ♡といやらしく形を変える豊満な乳房が、どうしようもない程オスの劣情を煽る。

 

「うっ、ちょっ……おねがい、離れて……!」

 

「はあッ……はあッ……! このエロオス、もうガマンならないのだ……!」

 

「はあッ……はあッ……! ごめんなさいっ……! ○○さんっ……! 私、悪い子になります……!」

 

 捕食者の眼光があなたを射抜く。熱を帯びた吐息があなたに浴びせられる。

 手も足も出ない程の強者(メス)に挟まれている、という状況に恐怖を覚える。――ヤバい、距離感を間違えた。このままでは、初体験がド犯罪年齢差カーセックスになってしまう。

 

 あなたが焦り出した、その時――。

 

「お客さ~ん、着きましたよ~!」

 

 到着を知らせる御者の声が聞こえた。あなたはその隙を突き、二人から離れて降車する。

 

「あっ……! もうちょっとだったのに……!」

 

「くっ……! 次はぜったい童貞食べてやるのだ……!」

 

 物騒な言葉が聞こえた気がした。12、13歳女児のものとは思えぬ、絡み付くような熱視線が背中に刺さる。

 

「あ、あんなところにオシャレなカフェがあるよ! 続きはあそこで話そうよ!」

 

 あなたは冷や汗をかきながらも、半ば逃げ込むかのように喫茶店へ入った。

 ――人目のあるところなら、とりあえずは安全だろう。

 

 あなたが二人と向かい合う形でテーブル席に座る。

 

「○○さん、お話があります」

 

 イヴは真面目な顔で話を切り出す。怜悧な顔立ちが、これまでにない緊張感を帯びる。

 

「○○さん、私たちのカレシになってくれませんか?」

 

「…………………………へっ?」

 

 告白された。こんな小さい女の子に。いや、それよりも――。

 

「私たちの?」

 

「はい。私とショコラの、カレシになってほしいんです」

 

「いやいやいや! そんなのダメだよ! 年齢差的にも健全じゃないし、そもそも二股なんて許される訳ないよ!」

 

「平気なのだ! ショコラたち的には問題ないのだ!」

 

「ヒューマンである○○さんには抵抗があるかもしれませんが、重結婚の制度もあります。○○さんさえ良ければ、法的には問題ありませんよ」

 

 異世界人、かつ、ヒューマンであるあなたには馴染みのない文化であるが、この国には『単結婚』と『重結婚』という二つの婚姻方式がある。

 

 単結婚は、入籍以後、両者に貞操義務が発生し、パートナー以外との恋愛を禁止される。

 

 重結婚は、入籍以後も両者に貞操義務は発生せず、パートナー以外との恋愛も許可される。重婚も可能である。

 

「実は、私たちのお母さんもそうなんです。私のお母さんはエルフで、ショコラのお母さんはダークエルフなのですが、同じヒューマンの男性と重婚して、私たちが生まれたんです。今も円満ですよ」

 

「ママたちも仲いいから、きっとショコラたちも大丈夫なのだ! ○○は、ショコラたちと付き合うの、嫌なのだ?」

 

 ショコラがうるうるとした瞳で見つめてくる。

 しかし、あなたの倫理観において、彼女たちとの交際は犯罪。あなたは罪悪感を覚えながらも、しっかり断ろうと決意する。

 

「嫌っていうか、年齢が問題になるよ。僕と二人じゃ歳が離れすぎてる。……だから、ごめんね。僕は二人とは付き合えない。異性として見るには、まだ幼なすぎるよ」

 

「でも私たちに乗っかられて○起してたじゃないですか!」

 

「ぶふッ……⁉」

 

 イヴの爆弾発言に、あなたは噴き出した。店内のお客さんたちが、あなたの方を見てザワザワし始める。

 

「え、今○起って言った……?」

 

「あの三人、どういう関係なの……?」

 

「あんな黒髪美少年に○起してもらえる状況って何……?」

 

 店内のお客さんたちが、あなたを見てヒソヒソと話し出す。好奇の視線が痛いくらい突き刺さる。

 

「○○さん、私たちと密着して、ギンッギンに硬くなってたじゃないですか!」

 

「やめてッ! 大声でそんなこと言わないでッ!!!!!!!!!」

 

 *

 

 あなたは直ぐに代金を支払い、騒然となった店内を抜け出した。去り際、イヴとショコラには、改めて『二人のカレシにはなれない』と伝えてきた。

 が、諦めてくれるかは怪しそうだった。

 

 そして、翌日。

 

(はぁ……今日のクエストどうしよ……。イヴとショコラに会うのも気まずいし、ナミネに会ったら殺されるし……)

 

 12、13歳幼女からのガチ告白という一大イベントのせいで薄れているが、昨日あなたはナミネに対し、二人と一緒になって貧乳煽りをして逃げてきたばかりである。

 

(今日は別のギルド会館に行こう)

 

 あなたは隣町のギルド会館を訪れた。ここなら、ナミネやイヴやショコラと出くわす心配もない――。

 

「み~つけた♡」

 

 ――はずだった。あなたの背後から聞こえたのは昔から良く知る声。

 あなたは恐る恐る振り向く。栗色の髪、くるみ色の瞳。整っていながら、不思議と印象に残らない顔立ち――ナミネがそこにいた。

 

「あ、あはは~奇遇だねナミネ! じゃあ僕はクエストに行かなきゃだから――「咎人よ、その場を動くな(ソステヌーチェーン)

 

 ナミネの背後から太い鎖が射出される。あなたはたちまち雁字搦めに捕らえられ、その場に引き倒された。

 

「イヴとショコラがいるのをいいことに、随分好き勝手言ってくれたね? なんだっけ? 洗濯板? 真っ平さん? 私、傷付いたなあ」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! どうか命だけはッ!」

 

 必死で謝罪するあなたを、ナミネは暗い瞳で見下ろす。口端を吊り上げ、悪魔のように残忍な笑みを浮かべる。

 

「あはっ♡ じゃあ、隣の訓練場行こっか。命が助かるかどうかは、○○の誠意次第だよ。○○がどんな命乞いするのか、私、楽しみだな~」

 

「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!」

 

 *

 

 訓練場へと引き摺られていったあなたは、一時間かけて念入りにボコされた。

 

 その後、あなたとナミネは、ギルド会館内の食堂で、早めの昼食を取ることになった。

 

「そういえば、イヴとショコラはどうしたのよ。てっきり三人でクエスト行くのかと思ったんだけど、なんで一人なの?」

 

 あなたはどこから説明したものか悩んだ。なので、全部正直に伝えることにした。

 

「えっと……実はね、昨日あの二人に告白されたんだ」

 

「は?????????????????????」

 

 ナミネの瞳が急激に冷え込む。ゴミを見るような軽蔑の眼差しだった。

 

「最低。性犯罪者」

 

「違うから! ちゃんと断ったから! というか、あんな小さな女の子を異性として見るなんてダメでしょ!」

 

「あ、○○にもその程度の良識はあるのね」

 

「僕のことなんだと思ってるの!?」

 

「脳内の十割が性欲で満たされたおっぱい大好きアホ童貞」

 

「酷すぎるでしょ!!!」

 

「日頃の行いを省みてどこが違うのか言ってみなさいよ!!!!」

 

「………………………………」

 

 否定できなかった。

 

「まあそれは置いておくとして……とにかく、あの二人とはパーティー組まないよ。変に期待させても可哀想だし、できるだけ関わらないようにする」

 

「そう……。なら、良かった」

 

 ナミネはコップに口を付けながら、ホッとしたような表情を浮かべた。

 

「ねえ、○○」

 

「なに?」

 

「その、ひ、久しぶりに、一緒にクエスト行かない?」

 

 ナミネの声が上ずった。ような気がした。

 

「いいよ。久々に行こっか」

 

「う、うん。ありがとう」

 

 ナミネの表情が心なしか明るくなった。

 あなたも、わずかに高揚を感じていた。久し振りだからだろうか。かつてはあんなに嫌だったナミネとのクエストが、少しだけ嬉しかった。

 

 *

 

 あなたとナミネはクエストを終えた。A級クエストだったが、S級のナミネとS級相当たるあなたのタッグなので楽勝だった。

 

「やっぱり強いね、ナミネ」

 

「神様から魔法チート貰ってるしね。○○もやるじゃない」

 

「神様から剣術チート貰ってるしね」

 

 あなたとナミネは街中を歩く。クエストが早く終わり過ぎたため、手持ち無沙汰になってしまった。

 

「暇になっちゃったね」

 

「近くにフラワーガーデンあるらしいけど行ってみる?」

 

「フラワーガーデン? 珍しいね」

 

「この辺りじゃ有名なんだって。つまんなかったらすぐ帰ればいいし、行ってみない?」

 

「うん、行こっか」

 

 歩くこと数分、あなたとナミネはフラワーガーデンを訪れた。ちょっとした植物園くらいの敷地面積、中にはカフェや売店もあるらしかった。

 

 直径十メートルのジャイアントラフレシア。人工的染色を行っていない天然物のレインボーチューリップ。猫と共生しているミヤビノマタタビ。

 異世界ならではの珍しい花々ばかりで、あなたは予想以上にテンションが上がる。

 

「すごいね。さすが異世界って感じ」

 

「そうね。前の世界の動物園より見てて面白いかも」

 

 ミヤビノマタタビの前で、猫がくつろいでいる。あなたとナミネが近付くと、ごろんと寝転がって腹を見せた。すると、たちまちナミネが興奮を露わにし、あなたの袖をぐいぐい引っ張る。

 

「えっ、か、可愛いんだけど! 撫でていいの!?」

 

「ふふっ……いいんじゃない?」

 

 ナミネが猫の腹を撫でながら楽しそうにしていた。キラキラと瞳を輝かせ、幸せそうに笑顔を浮かべている。

 

「可愛いなあ……ネコ飼いたい……」

 

「飼えばいいのに。ナミネの家、ペットダメなの?」

 

「ペットOKだけど、緊急クエストで一週間家を空けることとかあるから無理なの」

 

「あ、そっか」

 

「あ~あ……カレシと同棲してる人ならこんなことで悩まなくていいのに……」

 

「いつか良い出会いがあるよ」

 

 ナミネが舌打ちして、蛇のような眼光であなたを睨む。しかも、拳であなたの背中をぐりぐりする。

 

「痛い痛い。なに急に」

 

「うるさいあほ」

 

 ナミネはそっぽを向いてしまった。

 

 ともかく、あなたとナミネは園内を見て回る。そして、フラワーガーデン最大のメインプラント――中央広場へとやってくる。

 

「「わあっ……!」」

 

 あなたとナミネは感嘆の声を上げた。

 

 一面に、氷の薔薇が咲き誇る。氷の花弁ひとつひとつがダイヤモンドのように透徹し、氷の(ふち)は太陽光を跳ね返してきらめく。

 広場は冷涼たる空気に包まれている。一区画がまるまる氷の薔薇園になっており、まるでおとぎ話の中にいるかのようだった。

 

 あなたとナミネはベンチに座り、氷薔薇に見入っていた。ただ、これだけ美しい景観である。当然の摂理というべきか――。

 

(カップルばっかりじゃん…………)

 

 辺りにはカップルばかりだった。隣のベンチに、あなたよりかなり若い男女が座っている。ぴったりと身を寄せ合い、女の子が男の子の肩に頭を預けている。

 ――仲睦まじく、幸せそうな姿だった。あなたは暗澹とした気分になり、ちょっと息が苦しくなる。

 

「○○、どうしたの? なんか死んだ目してるけど」

 

「いや……なんか、恋愛は子供の頃から当たり前に体験するものだって改めて突き付けられたというか……こっちの世界にも、ああいう『正解の人生』を送ってる人がいるんだなあって思って」

 

 ナミネはあなたを小ばかにしたような表情を浮かべる。

 

「まあ、前の世界で一回も女の子から相手にされなかった非モテ童貞には辛い光景かもね」

 

「ぐぅうううううッ……! で、でも! この世界でならモテモテだし! 女の子に相手にしてもらえるし!」

 

「はいはい、この歳で女の子とキスもしたことない童貞が強がるんじゃないわよ」

 

「むきぃいいいいいいいいいいいッ! うるさいうるさいうるさい! 手の甲とほっぺにならキスしたことならあるもん!」

 

「は??????????????????」

 

 ナミネの顔から表情が消える。くるみ色の瞳に憎悪と怨恨が渦巻き、真っ黒に濁る。ただ目を合わせているだけで、凍土のような冷気が吹き荒ぶ。

 

「いつ? 誰にしたの?」

 

「え、えっと……あ、アリシアにだけど……」

 

「……………………。許さない……。私も、したことないのに……」

 

 ナミネが生気のない瞳を見開き、ぶつぶつと何かを呟く。怖い。命すら危ういくらいの圧がある。

 

「○○」

 

 ナミネがあなたの名を呼ぶ。そして、あなたの胸ぐらを掴む。暗黒色の瞳が、あなたに近付いて――。

 

「――」

 

 あなたの唇に触れる、柔らかい感触。

 

 間近、近い、視界いっぱいに映る、ナミネの顔。穏やかなくるみ色の瞳。まつ毛長い、肌白い、仄かに女の子の甘い香りが――。

 

「!?!?!?!?!??!?!??!?!?!?!?」

 

 あなたは飛び跳ねた。ベンチの端まで後退し、口をパクパクさせる。

 

「な、な、なっ……!? ナミネ!?!?!? 何してるの!?!?!?」

 

 ナミネの頬は紅潮していた。まるで恋する女の子のように潤む瞳が、あなたをまっすぐ見つめる。

 

「……上書き。もう、○○に一番近い女は、私だから」

 

 あなたは言葉に詰まる。ナミネの言っている言葉が飲み込めない。

 

 何のための上書きなのか。そうまでして手放したくないものは、なんなのか。

 

「ほら、そんなに離れてないで、もっと近く寄ってよ」

 

「あ、うん……」

 

 あなたは体勢を戻し、座り直す。氷の薔薇群を見る。ガラスのように透き通る花弁が、陽光を照り返して輝く。

 

 人生で見た中で最も美しく、幻想的な光景。しかし、今のあなたに、景色を見て感動するほど心の余裕はない。

 

 ナミネのことが気になって、ちらりと隣を見る。――恋情を帯びて潤む、くるみ色の瞳。ばっちりと、目が合ってしまう。

 

「……な、なに見てんのよ」

 

「な、ナミネこそ」

 

 それでも、ナミネから目を逸らせない。焦がれるような熱を帯びた瞳に、視線を縫い留められて動かせない。

 

 ナミネに、これまでにない未視感を覚える。

 

 因縁の相手ではない。気心の知れた幼なじみでもない。年相応の、ひとりの女の子の姿がそこにあった。

 

「……実は、ここ、有名なデートスポットなの」

 

「そ、そうなんだ」

 

「分かってて連れてきたの。意味、分かるでしょ?」

 

 もう、誤魔化せない。逃げられない。なあなあでは済ませられない。はっきりと言葉にして伝えられてしまったが最後、今まで通りの関係ではいられない。

 

「セカンドキスも、私が貰うからね」

 

「ひゃ、ひゃい……」

 

 しっかりと釘を差される。もう、他の女の子に手を出すことなどできない。明確に、恋愛の意味しか持たない筈の行為で、逃げ道を塞がれてしまった。

 

 その後、あなたとナミネはフラワーガーデンを後にして、一緒に夕食を取った。

 あなたは、何を話したのか全く覚えていない。しどろもどろで挙動不審になっていたような、おぼろげな記憶だけが残っている。

 

 そして、ナミネの自宅の前まで送っていく。

 

「残念だけど、ちゃんと好きになってもらえるまで、童貞は捨てさせてあげないからね」

 

「そ、そう……。いや、そんなこと考える余裕もなかったけど……」

 

「そうなの? 童貞ってキスしたらヤれるとか思ってるんじゃないの?」

 

「そんなにバカじゃないよ⁉」

 

 あなたは少し余裕を取り戻す。こんな風に軽く馬鹿にし合うくらいが、あなたとナミネの関係だった。

 

「あ、ちょっと待っててくれる?」

 

 ナミネは自宅に戻り、両手に何かを持って直ぐに出てきた。

 

「はい。これ、あげる」

 

 ナミネに手渡されたのは、クオーツのような透明の宝石だった。手のひらサイズだが、ずっしりとした重みがある。

 

「なにこれ?」

 

「通信宝石。これに魔力を通すと、いつでもどこでも連絡が取れるの」

 

 ナミネがもう一つの通信宝石に魔力を通す。あなたもそれに倣って魔力を通すと、宝石が互いの姿を映し出した。

 

「えっ、すごっ! ビデオ通話じゃん!」

 

「凄いよね。最近開発されたんだって」

 

 この世界には、電話も、インターネットも、車も、エレベーターも、冷蔵庫も、電子レンジも、ドライヤーもない。

 そんな世界で連絡を取れるようになるとは、考えてもいなかった。

 

「高かったでしょ。こんなもの貰っていいの?」

 

「S級冒険者の稼ぎはよく知ってるでしょ? 別にいいの。じゃ、またね」

 

 ナミネはそういうと、さっさと自宅に入っていってしまった。あれだけのことがあった一日なのに、別れ際があっさりすぎて、あなたは拍子抜けする。

 なんだか消化不良というか、不完全燃焼というか、物足りない気持ちだった。

 

 あなたは寂しさを抱えたまま、自分の宿に戻る。湯浴みを済ませ、寝間着に着替えて、ベッドに寝転んで今日のことを思い出す。

 

 ナミネにキスをされた。

 

 ナミネに、キスをされた。

 

 ナミネに……キスをされた。

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!」

 

 あなたは枕に顔を埋める。ひどく現実感がなかった。ずっとただの幼なじみでしかなかった女の子と、キスをしてしまった。

 

「ナミネ……」

 

 頭の中が、ナミネでいっぱいだった。うるさいくらいに胸が高鳴って、身体が熱くて仕方なかった。

 

「な、なのになんで、あんなあっさりしてるの……? 意味わかんない……」

 

 もっと、話したかった。言葉を交わしたかった。この状況に納得したかった。

 ナミネと、一緒にいたかった。

 

 ――そう思った瞬間、通信宝石が白く発光した。あなたは慌てて魔力を通し、通話を繋げる。

 

「さっきぶり、○○」

 

「え、な、なに?」

 

「寂しくなった頃かなって思って」

 

「うるさいなあ!!!!!!!!!!!!!」

 

 図星だった。ナミネは画面の向こうで、してやったりという顔で笑っていた。

 

「で、なに? まさか僕のこと煽るためだけに通話してきた訳じゃないでしょ?」

 

「え? ○○のこと煽るためだけに通話してるけど?」

 

「もう切っていい?」

 

「冗談だから。拗ねないでよ」

 

 ナミネが苦笑する。

 画面の向こうのナミネは、もこもこの寝間着(パジャマ)を着て、うつぶせになっている。おそらく枕に通信宝石を立てかけているのだろう。

 

「でも、本当に用件らしい用件はないの。ただ話したかっただけ」

 

「あ、ああ、そう……」

 

 あなたは必死でニヤニヤしそうになるのを堪える。『ただ話したかっただけ』と言ってもらえるのが、嬉しくて仕方なかった。

 

「私、寝落ち通話とか彼シャツとかしたいな~って思ってたの」

 

「乙女だね」

 

「○○だって、カノジョできたら、して欲しいこととかあるでしょ?」

 

「まあ、膝枕と耳かきは、カノジョにして欲しいことトップ1000に入るね」

 

「1000もある? それの1000番目なんなの?」

 

「三目並べ」

 

「友達とやればよくない???????」

 

 あなたとナミネは、いつも通りの他愛ない話をした。気付けば、昂揚も緊張感もなくなって、気の知れた幼なじみの距離感になっていた。

 

 あなたは欠伸をする。楽しくて話し込んでしまったが、もうとっくに寝る時間である。ナミネもまぶたが下がってきていて眠そうだった。

 

「ナミネ、そろそろ寝る……?」

 

「うん……もう眠い……」

 

「じゃあ、おやすみ……」

 

「うん、おやすみ……」

 

 あなたは宝石へ流し込んでいた魔力を切る。画面が薄れて消える――寸前、ナミネの声が聞こえた。

 

「好きだよ、○○」

 

 画面が消え、ただの透明の宝石だけが残る。

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!?」

 

 あなたはその通信宝石を握りしめたまま、枕に顔を埋め、声にならない叫びを上げる。

 

 足をじたばたさせ、ごろごろと転がり、一しきり暴れてから、荒い呼吸を落ち着かせる。

 

 冷静になった頭で考える。今、何が起こっているのか。幼なじみだったはずのナミネに、キスされて、告白された。

 

 ――今までの恋愛とは、違う。これまでは、おっぱいが大きくて可愛い女の子とイチャラブしたい一心だった。ただニャンニャンしたいだけだった。

 

 ただ、今回は、違う。あなたは今、人生で初めて、本当に恋愛をしている。

 

「ナミネ…………」

 

 口だけなら、いくらでも軽口も悪口も言える。前世界での因縁も、現世界での妨害も、いくらでも怨み言を言ってやれる。

 

 それでも、あなた自身を相手にしては、誤魔化しようがない。どんな魔法を使おうと、己の本心を騙すことはできない。

 

「…………僕も、好きだよ、ナミネ」

 

 *

 

 翌日、あなたは朝イチでナミネに通話した。

 

「おはよう、ナミネ」

 

「おはよう、○○。どうしたの?」

 

「ナミネ、今日暇ならデートしよう」

 

「でっ……!? は、はあ!? デート!?」

 

「うん、どうかな? 今日空いてる?」

 

「あ、空いてるけど……」

 

「良かった。じゃあ、11時に中央通りのコーヒーカフェ集合でいい?」

 

「い、いいよ……」

 

「ありがとう、じゃあまたね」

 

「う、うん。またね……」

 

 あなたは、半ば覚悟を決めていた。ナミネと納得いくまで話し合って、しっかり気持ちを確認し合って、最後に告白するつもりだった。

 

「……よし、行こう」

 

 あなたは数少ない服の中で、最も上等なものを着て、身だしなみを整えて宿を出た。

 道中、心なしか、普段よりじろじろ女性に見られる。ナンパしてくる女の人までいた。普段だったら一も二もなく飛びつくところだが、今日は丁重にお断りする。

 

 そして、あなたは中央通りに差し掛かったところで――。

 

「!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 視界が揺れる。意識が朦朧とする。――強烈な睡眠魔法。明らかにA級以上の、熟達した魔法使いのものだった。

 

 何者かに引っ張られ、路地裏へと引きずり込まれる。周囲に助けを求めようとするが、声が出ない。あなたはあっさり抱え上げられた。

 

「……あはっ♡ つかまえたのだ♡」

 

「……ふふっ♡ 安心してください♡ ちゃんと気持ちよくしてあげますからね♡」

 

 薄れゆく意識の中、聞き覚えのある声が聞こえたような気がした。

 

 *

 

 あなたが目覚めると、知らない天井が視界に飛び込んで来た。

 

「目が覚めましたか? ○○さん」

 

「おはようなのだ、○○」

 

 あなたはベッドの上に転がされていた。両隣には、イヴとショコラの姿がある。

 

「イヴちゃん!? ショコラちゃん!? ここは……!?」

 

 キングサイズのベッド。豪奢な天蓋からレースのカーテンが下りていて、空間が小さく切り取られたように閉じている。部屋の光源が半透明のカーテンを透けて射し込み、仄暗く淫猥な桃色の光に包まれる。鼻腔を蕩かすような甘い香りが漂い、空間を淫靡に満たしていた。

 

 材質も触り心地も、これまであなたが訪れてきた宿とは別格。――明らかに、最上級の連れ込み宿(ラブホテル)だった。

 

「ここどこ!? いや、今何時!?」

 

「見ての通り、お城みたいな宿なのだ!」

 

「今は……11時50分くらいですよ」

 

 あなたは青ざめる。ナミネとの待ち合わせは11時である。自分からデートに誘っておきながら遅刻などシャレにならない。

 

「ぼ、僕、行かなきゃ!」

 

 あなたはベッドから降りようとする。――が、イヴとショコラに勢いよく引っ張られ、身動きが取れなくなる。

 

「どこに行くつもりなんですか?」

 

「これからナミネとのデートなの! 待たせちゃってるから、早く行かないと!」

 

 二人から笑顔が消える。冷たい眼光があなたを睨み付ける。

 

「……へえ、そうなんですね」

 

「ふうん……結局ナミネのこと好きだったのだ?」

 

「……うん、そうだよ。僕は、ナミネのことが好きなんだ。だから、ごめんね。二人の気持ちには答えられない」

 

 あなたは改めて、イヴとショコラの告白を断った。

 これで問題はないはず。他に想い人がいると分かれば、流石に諦めもつくに違いな――。

 

「なら、ショコラたちの方が良いって、その体に分からせてやるのだ」

 

「ごめんなさい、○○さん。今から、あなたのことメチャクチャにします」

 

 イヴとショコラに押し倒される。イヴとショコラはニヤニヤと笑っている。妖しい光を灯す黄金色の瞳が、あなたを見下ろす。

 

 あなたは焦る。イヴとショコラはS級冒険者である。力比べでは勝てない。本気になられる前に抜け出さなければ、本当に犯される。

 

「やだっ……! やめてっ! イヴちゃんっ……! ショコラちゃんっ……!」

 

 あなたはもがき、暴れる。その時、あなたの懐から通信宝石が落ちた。宝石は繰り返し白く発光している。ナミネが、待ち合わせ場所に来ないあなたに何度もコールしているのだった。

 

「通信宝石……? 高価なものの筈ですが、ナミネさんからもらったんですか?」

 

「ずっと光ってるのだ。もしかしてナミネからなのだ?」

 

 イヴとショコラが顔を見合わせ、ニヤニヤと笑う。12、13歳のものとは思えぬ、悪童の笑みだった。

 

「お姉ちゃん、ショコラいいコト思いついちゃったのだ」

 

「奇遇だねショコラ、私もだよ」

 

 イヴが念力魔法で、通信宝石を宙に浮かせたまま固定する。まるで、これからベッドの上で行われる情事をハ○撮りするかのように――。

 

 怖気が走る。絶対に不味い事態になると、本能が悟った。

 

「ちょっ、待っ……!」

 

 イヴとショコラがあなたをがっしりと抑えつけたまま、通信宝石に魔力を通す。宝石がナミネの姿を映し、通話が繋がる。その瞬間――。

 

「いえ~い!笑 ナミネ、見てるのだ~?笑 ショコラたちぃ~今からナミネの大好きな○○といちゃらぶセックスするのだ~!笑」

 

「ごめんなさいナミネさん笑 大事に大事に取っておいた○○さんの童貞、今から私たちが食べちゃいますね笑」

 

 あなたを挟んで、イヴとショコラが楽しそうに宣言する。二人はナミネの怒りを煽るかのように、無邪気な笑い声で宝石越しに嘲笑う。

 

「ちょっ……!? イヴ!? ショコラ!? なにしてるの!? 今すぐ○○から離れて!」

 

 ナミネも大体の事情を察したのだろう。血相を変えて二人に怒鳴る。しかし――。

 

心撃ち抜く愛の紅矢(クシュレ・ファムファタル)

 

「がッ……!?」

 

 ショコラの魅了魔法が、あなたに直撃する。

 

 ドクンと脈打つ。ショコラを見るだけで胸が高鳴り、逸る心臓を止められない。視界がきらきらと光り、始めて恋を知る乙女のように、愛おしさが溢れて止まらない。

 

 更に――。

 

擬似魔眼開放・魔性(アロメルド・アイズ)

 

「うぁッ……!」

 

 イヴの催淫魔法が、あなたに重ね掛けされる。

 

 身体が熱くなる。身体の芯から熱が込み上げて、息が荒くなり、涎が分泌される。火照った体がその熱を持て余し、あなたの分身たる息子は痛いくらいに怒張していた。

 

「はあッ……! はあッ……!」

 

 ただ息をするだけで、肺いっぱいに淫靡な空気を吸い込んでしまい、暴れ出しそうなくらいの情欲が込み上げる。――辛い。辛い。辛い。それでも、ナミネのために耐えなければ――。

 

「「さわさわ~♡ さわさわ~♡」」

 

「んぁッ……!」

 

 イヴとショコラがあなたの服をまくり上げ、両胸に手を這わせ、触れるか触れないかくらいのところを軽く撫でる。

 羽毛でくすぐられるようなフェザータッチ。快楽には届かない微かな痺れ。――もどかしい。性感が高められていき、もぞもぞと身悶えするのを止められない。

 

「こんなの、どこで覚えてくるのっ……!」

 

 くすぐったさに悶えていると――突然、両乳首をぎりぃッ♡と(つね)られる。

 

「お゛おんッ! んっ……! あっ……ああっ……!」

 

 強い刺激が全身を駆ける。身体の芯から痺れるような感覚。女の子のように嬌声が上がり、身体が弓なりに跳ねる。

 

「あ~あ笑 ナミネさん可哀想~笑 最愛の○○さんが他の女に喘がされてヨガっちゃってますよ~笑?」

 

「見えるのだ~?笑 ○○、こんな気持ちよさそうに腰跳ねておねだりしてるのだ~笑 ねえねえナミネ、今どんな気持ちなのだ~?笑」

 

「やめて! ○○! しっかりして! 抵抗しなさいよ!」

 

「分かってる! 分かってるからぁっ……!」

 

 あなたは二人の手を押しのけようとする。それが気に入らなかったのだろう。ショコラがあなたの腹の上に跨って硬く固定し、恋人繋ぎでぎゅううううううっ♡と、あなたの腕を抑える。

 ベッドの上で、天賦の怪力を持つメスの前に、ただのヒューマンのオスが抵抗できるはずもない。

 

「あはっ♡ かわいい♡ かわいいですよ、○○さん♡」

 

「乱れる○○、えっろ♡ もっと鳴いてなのだ♡ ほらっ♡」

 

 イヴの手に、ぞりぃいいいいいッ♡っと乳首を抓られる。痛みにすら近い快感があなたの身体を襲う。あなたは暴れようとするが、ショコラにガッシリと抑えられているせいで、身をよじって快感を逃がすことすら叶わない。

 ――結果、あなたの身体の芯に快感が直撃する。

 

「あ゛ッ……♡ あ゛あ゛ッ……♡」

 

 背骨に電流が走るような、強い刺激。耐え難い快感に襲われ、あなたは獣のように喘ぎ散らす。

 

「……○○! しっかりして! ○○!」

 

 ナミネの怒鳴り声が聞こえる気がするが、頭がぼーっとして入ってこない。

 喘がされ、性感を高められ、メスの強さを分からせられる。あなたは蕩け切った顔で、ぜぇはぁと荒い息を吐く。

 

 通信宝石があなたの顔の前まで下ろされる。焦りに満ちたナミネの顔が見える。

 

「見えます?笑♡ ナミネさんですよ~♡? まだキレイな身体でいられる内に、なにか言ってあげたらどうですか?笑♡」

 

「ほら♡ 正直に♡ 素直になるのだ♡ ちゃあんとナミネのこと捨ててくれたら、い~っぱい気持ちよくしてあげるのだ♡」

 

 あなたは蕩け切った表情で、瞳にハートマークを浮かべながら、ナミネに本心を告げる。

 

「ナミネっ……♡ ごめんねっ……♡ 僕、もうむりっ……♡ いまからイヴとショコラとえっちするねっ……♡ ナミネみたいな貧乳じゃ満足できないのっ♡ 柔らかいおっぱいでいっぱい気持ちよくしてもらうのっ♡」

 

 あなたに理性は残っていなかった。あなたは、ただ目の前の強いメスに犯されることを悦ぶだけの、雑魚オスに堕とされたのである。

 

「○○ッ! ふざけないでよッ! ねえッ!」

 

 通信宝石が再び宙に持ち上がっていき、ナミネの声が遠ざかる。そして、イヴとショコラが、あなたを見下ろす。

 片や、濡れたように妖しく輝く、柘榴石のような褐色の肌。片や、透き通るように美しいすべすべの氷肌。みっちりと肉の詰まった、柔らかく弾力のある二種類のおっぱいが、あなたの真上にある。

 

 獣欲に満ちてギラギラと光る黄金色の瞳が、あなたを見下ろす。その表情は嗜虐の色に満ち満ちて、オスを支配する征服欲に溢れていた。

 

「ふうッ~ふうッ~♡! もうガマンできないのだッ♡! 意識ブットぶまで犯してやるのだッ♡! 二度と逆らえないくらい格の差分からせてやるのだッ♡!」

 

「はあッ……はあッ……♡! 私も、もう限界ですッ♡ ○○さんッ♡ 大好きな幼なじみを捨てていちゃらぶ裏切りセックス、い~っぱい楽しみましょうねッ♡」

 

 イヴとショコラがあなたの両耳にぴったり唇をくっつけて、熱い吐息と共にささやく。

 

「「ざぁ~こ♡」」

 

 ――瞬間、あなたの魂は完全に敗北した。イヴとショコラに身体を委ね、好き放題弄ばれることを受け入れる。

 二人のカレシになること。強いメスにめちゃくちゃに愛されることを、身も心も喜んで受け入れてしまったのだった。

 

(ごめんね……ナミネ……)

 

 あなたが全てを諦め、快楽に身を委ねようとした、その瞬間――。

 

 部屋の扉が爆ぜた。天蓋のカーテンが爆風で吹き飛ぶ。

 

「随分と楽しそうだね? ○○?」

 

 部屋の空気が、一気に氷点下まで落ちる。冷気と瘴気と狂気を纏い、肌が切れそうな程の殺気を振り撒く、その死神の名は――。

 

「な、ナミネ!?」

 

「えっ……!?」

 

「ど、どうしてここが分かったんですか⁉」

 

 驚くあなた達に対し、ナミネは静かに口を開く。

 

「この街の教会は、正午になると鐘を鳴らすの。でも、区によって半音ずつ音が違う。通信宝石越しに聞こえた音は、この区だけのもの。そして、教会から鐘の音が聞こえるくらい近い宿はここだけ」

 

「探偵とかやってた?????????」

 

 ナミネは、推理小説にいがちな天才キャラみたいな推理を披露してきた。

 「聞きたいことはそれだけか」とでも言うように、ナミネはあなたたちに近付く。目に光がない。必殺の意思を宿した、殺戮者の瞳をしていた。

 

「近づくななのだ!」

 

「それ以上近付けば、○○さんが無事では済みませんよ!」

 

 ショコラとイヴがあなたに、掌を向ける。イヴとショコラ程の使い手なら、何の魔法を放っても、あなたが無事で済むことはないだろう。

 

「ふっふーん! さあどうするのだナミネ!」

 

「残念でしたね! これで私たちに手は出せな――「異端なる宇宙より、火刑の剣は来訪する(バーンドアライブ・ジャックドモレンド)

 

 ナミネが手をかざし、キィイイイイイン!という甲高い音と共に、魔法陣が構築される。――肌が粟立つ。城すら落としうる程の、絶大な魔力が集約されていく。

 

「えっ、ちょっ、なんでそんなヤバい魔力向けてるのだ!?!?!?」

 

「ちょっ、嘘でしょ!? まさか、○○さんごと!?!?!?」

 

「待って! ごめんナミネ! 僕が悪かったから! それは死んじゃうからああああああああああああああああッ!」

 

「死ねこの裏切り者ぉおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」」」

 




 『あなた』

 性別:男性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Eランク)
 備考:おっぱいが大好き


 『ナミネ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Sランク)――【奏者】
 備考:


 『モモ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Cランク)
 備考:巨乳


 『マリン』

 性別:女性
 種族:ウンディーネ
 職業:冒険者(Fランク)
 備考:たわわ


 『リーゼロッテ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Sランク)――【剣聖】
 備考:ぼいんぼいん


 『ユンユン』

 性別:女性
 種族:獣人
 職業:中華店店長
 備考:たゆんたゆん


 『シャルル』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:探偵
 備考:豊満


 『アリシア』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:冒険者(Sランク)――【魔女】
 備考:巨峰


 『コノハ』

 性別:女性
 種族:ヒューマン
 職業:闘拳家、道場主
 備考:メロン


 『イヴ』

 性別:女性
 種族:エルフ
 職業:冒険者(Sランク)――【白狼】
 備考:世界遺産級


 『ショコラ』

 性別:女性
 種族:ダークエルフ
 職業:冒険者(Sランク)――【黒狗】
 備考:国宝級
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