風太郎くんを見送った後、
私は、いつも通り、家事を始めた。
「風太郎くん、ちゃんと学校行けているかな…?」
それもこれも、風太郎くんは、
私の事を差し伸べてくれた人だ。
今まで、私はいろんな男性の家を渡り歩いていたけど、
全員に共通する点があった。
当然だ。
私が、それを交換条件に家を泊めてくれるように、
交渉したのだからだ。
でも、風太郎くんは、そんな素振りが一切ない。
詩織は自分の容姿を鏡で見た。
(自分で言うのもなんだけど、
私は客観的に、容姿はかなりいい方で、
おっぱいも、おっきい方だと思うけどな…
家には、こんなカワイイ美少女がいるのに!
普通なら、それ位は、思っても、おかしく無いのに…
わからない…)
私が高坂家にいるには、風太郎くんには、
メリットがあるのか?
家事は、私じゃなくてもいいのに…
でも、親が海外勤務しているって、言うし…
恋人が出来たり…?
「あはは、優しい人だから、
そんな、簡単に恋人ができる訳ないよね…?」
(もし、風太郎くんに、恋人が出来たなら…
風太郎くんは、その人を将来的に、抱くのかな…?
でも、過去の事を思い出して、辛い。
家に来てから、思い出したくないことを、
思い出してしまった…
風太郎くんは不思議で、優しい人に出会って、
私の心は、休まっていた。)
「風太郎くん…」
(風太郎くんは、今までの人とは違う。
どこまでも優しくて、いつも人の心配ばかりしている。
だからこそ、私は初めて、
捨てられたくないという、感情が芽生えた。
もっと言えば、好かれたいとまで、
思っている。
別に愛して欲しいわけじゃなくて…
風太郎くんの恋は、応援したいし、
幸せになって欲しいとも、思っている。
ただ、風太郎くんの中に存在する、
誰かとして、私の事を好いて欲しいって、
願ってしまう)
「はぁ…」
(風太郎くんがいないと、
余計なことばかり、頭によぎって来る。
時間がものすごく長いように、
感じて、辛い)
「風太郎くん、早く帰って来て…」
(そろそろ、帰る頃のはずだけど、
なかなか、帰ってこない…)
「迎えに行こうかな…?」
と、詩織は神山高校の制服を着て、
風太郎を迎えに行った。
しかし、正門の前で衝撃的な光景を目の当たりにする!
風太郎くんの中で、私はやっぱり、思っていなかった。
私が気にすることじゃなかった。
帰って、何ともない表情で、
風太郎くんを、迎えよう。
それが、私の仕事だから。
でも…何で、泣いているの?私?
「な、何で…」
嫉妬していた。生意気にも、風太郎くんのことを、
独占したいって、思っているんだ!
(私はバカだ…)
と、詩織が思っていた。