風太郎は詩織を抱きしめた。
「嫌だね、俺は詩織を抱いたりしない。
正直言って、すごく可愛いと思う。
女子高生にしては、肉付きや、スタイルも良いし、
家事も出来て、最高だ」
「ふふぇ…」
「でも、俺はお前に恋はしない。
俺は好きでもない、女を抱こうと思うつもりは、
一切無いし、思わない。
そこに、女子高生も、男子高校生も、
関係ない。俺は詩織の裸を見たいとも、
思わないし、エッチをしたいとも、
微塵にも思わない。
他の奴が、どうかなんて、知らない。
俺は、そういう男だ!わかったか?」
「うん…」
「あー!もう!詩織!さっさと、服を着ろ!」
「あっ!はいっ!」
「お前は俺に何も出来ないって、言ったけど、
そんなことねぇよ。
これまで、俺にとって、家は飯を食って、
風呂に入って、寝る為だけの空間だ。
学校も楽しいし、それでいいと思っていた。
でも、詩織が来てから、
俺にとっての家が変わったよ。
家に帰ると詩織が、
美味しい飯を用意してくれるし、
風呂も沸いているし。
詩織が笑って出迎えてくれる。
くだらない会話を、しながら、飯を食って、
一人じゃない部屋で寝る。
それだけで、ある意味、居心地の良い、
場所になった。早く学校終わんねーかな…
って、時々、思ったりするくらいだ。
だから、俺は詩織に、どうこうして欲しいわけじゃない。
俺は、詩織より、一個上の男子高校生だしな!」
最初から、そう言えば、よかった…
「ここに、居てくれないか、詩織」
詩織が泣き始めた。
「うぅ…うわわわわぁぁぁん!それで…いいの?」
「あぁ、もちろんずっと、なんで言わない。
お前が帰りたいって思うまで、居てもいいからさ。
無欲で、可哀想な、男子高校生だ、だろ?」
「ふふっ…ありがと…風太郎くん…
一緒にいてあげる!」
「あぁ、そうしてくれ」
男子高校生の俺に、女子高生は、
やっぱり、難しい。
ただ、女子高生の詩織にも、
きっと、俺は難しい人なんだろう。
お互いの弱点をさらけ出せた今、
ようやく、真の共同生活が始まったかもしれない。
ある日の雨の日、
傘を忘れた、風太郎は、どうしようかと悩んでいた。
そんな時だった。
「お困りですね?風太郎くん?」
「詩織!」
「傘、家に置き忘れていたから、
持ってきちゃった!」
「あぁ…」
「何か言う事は?」
「あ、ありがとう…」
ずいぶん、生意気になったな…別にいいけど。
「ふ、よろしい、じゃあ、帰ろうか!
恵梨香ちゃんと一緒にご飯作ったんだ!
風呂も沸いてるからね」
「ありがと」
恵梨香とは風太郎の妹である。
風太郎と詩織は、高坂家に帰り、
晩御飯を共にした。
「これらも、こんな幸せな日々が続いたらいいのに」
「そうだな」
続け。風太郎はそう思うのだった。