家出少女の奇妙な日常   作:アッシュクフォルダー

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第十九話 詩織の女の子の日

詩織が目を覚ますと、異常な倦怠感に悩まされていた。

 

「うぅ…」

 

唸り声をあげる。

周期と体調的に、気分が和らいだり、

マシになったりすることは、欠片だってありはしない。

このまま一切動きたくはない。寝たい、一心だった。

 

その痛みが、去ろうとするまでは、異常に時間がかかる。

 

時刻は朝の七時半。すぐ手が届く範囲に、ポーチを置いてあった。

緩慢な動きでそれを手に取り、中を探る。すぐにそれを掴み取った。

 

しかし、何もなかった。

 

「…最悪」

 

「詩織?」

 

と、タイミングよく、風太郎が詩織の元へ。

 

「あぁ…」

 

言葉ですらない唸り声が止まらないのは、ただでさえ、最悪な気分が、

その更に下まで落ちて行ったから。

床に落ちてから、更に抉ってめり込んでいる。

 

底の底まで落ちた気持ちは、億劫どころか、

こんな痛みと気分の悪さで、一体何を学べるというのか。

 

唯一の救いは、まだ、比較的…本当に、比較的に痛みが軽いことだけ。

頭痛はすれど、猛烈な吐き気は襲ってきてはいない。

この後、悪化しないとも言い難いけれど、今ならば手を打てる。

 

好転しないとはいえ、動かないといけない。

 

風太郎に頼むしかない。詩織は、そう考えるのだった。

 

「ふ、風太郎くん…」

 

「詩織!ど、どうしたの!?」

 

「み、水!水が欲しい…!」

 

「わかった!」

 

詩織を襲っているのが、

数年前から、月に一度訪れる、女の子の日。

 

とはいえ、詩織の女の子の日は、非常に厄介。

 

ともあれ、水を持ってきた、風太郎は、

床に寝そべっている、詩織を優しく抱き起こすと、

そのままベッドへと座らせる。

詩織が机近くを指差すと、そちらに顔を向けてから、

お腹をさすってくれる。

 

「具合が悪そうだね。今日は休む?」

 

「うん…」

 

「わかった」

 

風太郎は詩織の部屋から出た。

 

 

風太郎の母が朝食を作り、詩織に問いかける。

 

「朝ごはん、食べる?」

 

「ううん」

 

首を横に。本当は食べた方が良いのだろうけれど、

どうにも食欲が出ない。

 

「豆乳でココア淹れてあげるから」

 

「ありがとう…」

 

キッチンの椅子に座って、ため息一つ。

 

温かい豆乳ココアをちびちびと飲む。砂糖はあまり入っていない、

純ココアだけれども、豆乳自体の甘みが合わさって飲みやすい。

 

「なんとか、なる…かな」

 

ぼそり、呟いたのは、若干の不安。

 

詩織のそれは、月経困難症という線引きの中に入ってしまうほど。

普段はピルと痛み止めを併用することでコントロールしている。

だから、多少の辛さはあるが、生活に問題はなかった。

 

ココアを飲み終わり、いつの間にか机に置いてくれていた常温の水で、

分けて貰った痛み止めを流し込む。

普段とは違い、お腹を温めたり、

豆乳ココアを飲んで気持ちを楽になったりしたから、

寝起きよりかはマシにはなった。

一日ならなんとかなるだろう、と心を決めた。

 

詩織は軽めの生理に見舞われており、

その後、学校を休んで産婦人科に行った。

 

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