高坂風太郎は、今川詩織に色々と問いかけていた。
「どこから来た?」
「東京近辺だよ?」
「じゃあ、明日、お前を警察に引き渡す、いいな?」
「それは、勘弁してほしいなー」
「じゃあ、ネットカフェかカラオケに行くしかないな」
「お金ないの…気が付いたら、五十円玉一枚しかなかったの」
「…」
「だから!お願い!しばらく、泊まらせて!この通り!」
「…じゃあ、家事やってくれるか?
俺と恵梨香の代わりに」
「うん!家事は得意だから!」
と、満面の笑顔を、こちらに、向けていた。
「でも、知らない人の家に、行こうとするなよ、
碌な目に遭わねーからな!」
「でも、風太郎くん、親切だったじゃん!」
「…とにかく、寝るから、おやすみ」
「おやすみ!」
翌日!
「風太郎さん!起きてください!朝ですよ!」
「俺は、朝起きるのが苦手なんだ…
大体、夜間定時制だし…」
「そんなの、関係ないよ!
だって、今日は日曜日だし!」
「そっか、全日制の子の入学式って、火曜日からか…」
「そだよ!じゃあ、寝ている間に、
しておいて欲しいことある?」
「朝ご飯の支度でもしといて、みそ汁が飲みたい…」
「うんっ!とびっきり、美味しい、みそ汁作るから!」
「期待してねーけど」
朝9時半になり、ようやく、起きるのだった。
そして、机の上に置かれたのは、
ごく普通の味噌汁である。
風太郎が飲んだ。ゴクリと…
「美味い!何て言うか、素直に言って、美味しい!」
「兄ちゃん、大袈裟すぎ」
「えへへっ!一番の自信作なんだ!
腕によりをかけて作ったからね!」
「はぁ…どーして、こんなことに…」
「ねぇ、襲ったりしないの?」
「しねーよ!バカか?
もし、仮に襲っていたら、俺は逮捕されているし!」
「だよねー!風太郎くん、優しいんだもん!」
「はぁ…どの口が言ったことか…
んで、これから、どうするの?」
「うーん、この家に居候する!」
「バカ言え!親が心配しているぞ!」
「大丈夫、親は私がいなくなって、
清々していると、思うんだ…」
「あっ…」
俺は過去の記憶を思い出した、
俺がいなくなって、みんなが、清々していた、
悲惨な過去…どうして、脳裏に、浮かんだんだ!?
「どうしたの?」
「追い出したら、どうする?」
「次の家を探すかな?
私、お金、五十円しかないし、
上手いことやって、誰かの家に…」
「上手いこと出来るのか?」
「えっ?」
「言いたくないこと、やるなよ」
ざけんなよ、こいつ、一応、恵梨香と同じ、
女子高校生だぞ
もっと普通に青春して、
もっと普通に恋をして、
もっとバカみたいに笑うのが、
青春なんだ、
アオハルさせねーと、
って、何考えているんだ!?
俺は思わず叫ぶのだった…
「金もない!住む場所もない!
だから、男を誘惑させようなんて、
バカみてーだよ!」
「でも、私、家事しか取り柄が無いし…」
「じゃあ、住めよ、居候しろよ…」
「えっ?」
「だから!普通な、そーゆー考えにならないんだ!
バカだ、アホだ!
物の価値の分からない、甘ったれめ!
だから…」
落ち着いた口調に戻して…
「俺がお前の思考を叩きなおしてやる!
20歳になるまでな!」
「私、15歳だよ!」
「わかってるよ!親なんて、海外で暮らしているから、
実質、三人暮らしだ」
「じゃあ!尚更だね!」
「変な事したら、警察に引き渡すからな」
「はーい!」
「はぁ…」
こうして、家出少女と妹との、
奇妙な共同生活が、幕を開けようとしていた!