楽器を演奏する。スタジオにて。
志歩の指導の元、
後藤ふたりがボーカル、花海陽菜がキーボード、
富樫夢葉がギター、日野森志歩がベース、結城龍馬がドラムで、
それぞれ自主練をしていた。
なお、ふたりと志歩以外は、楽器経験は無い。
「ストップ。龍馬。ドラムは叩けているけど、
リズムが少し走っている。
一定のテンポをキープして」
「おう。わかったぜ」
「それにしても、龍馬がドラムをやるなんて、意外だね」
「俺は穂波に頼まれただけだ」
「ギターの富樫さんは、逆に遅れているから、気を付けて」
「わかった」
「じゃあ、もう一度、頭から」
4人は返事した。
(ふたりは経験者だから、ともかく、
他の三人、龍馬や花海さん、富樫さんも、
喰らい付いている)
「花海さん。フレーズをごまかさないで」
「す、すまなかった…」
その後…
「ストップ」
「また、走ったのか?」
「ううん、以前よりは、まだマシになっている。
だけど、まだ、まとまっていない」
「そうか。俺もまだまだだな」
「龍馬は今までよりも、ちゃんと叩けているから」
「そうか」
「跳ねるのか?伸ばすのか?止めるのか、
人によって、バラバラだから、誰かに合わせたいけど…」
志歩は考えだす。
(誰かに合わせると、曲の印象が大きく変わる。
この曲の場合は、誰に…ふたりか、龍馬か…)
その後…倉谷桃子がやって来た。
「失礼します。状況を確認しに来ました」
「わたしは、その付き添いで…」
と、草薙寧々もやって来た。
「あ、草薙さん、倉谷さん。お疲れ様」
「えっと…日野森さん達のバンドチーム。順調そう?」
「想定よりも、良いペースで出来ている。
ただ、ちょっと曲の表現の仕方について、迷ってて。
今は、主人公が家を抜け出して、
町で遊ぶシーンの曲をやっているけど、
ここって、何を一番表現したいか、教えてもらっていい?」
「何を…か…そこは、主人公が様々な音楽家に出会って、
歌のことがもっと好きになるイメージだから、
胸がときめいて心境が変化する感じを表現してくれたら、
嬉しいな」
「ドキドキする感じか…」
志歩はワンフレーズだけ、ベースを弾いた。
「凄い…」
「跳ねる感じの方が良いかな?
だったら、ふたりの歌い方に合わせて、
余韻を少し残しつつ、音を短めにしてみよう。
前奏だけ、やってみよう。それじゃあ…」
と、ふたりの歌に合わせて、演奏した。
「わ…!」
(音が綺麗に跳ねて、ドキドキする気持ちが伝わってくる…!)
「よし、かなりよくなった。
でも、夢葉。逆に音が長いから、
もう少し速く指を浮かせて、演奏して」
「わ、わかりました!友のためにも…!」
「やるからには、妥協しないよ」
「志歩らしいな。嫌いじゃないぜ?」
もう少し頑張る事になった。
そして…
「おーい!みんな―!差し入れだよー!」
「あっ、詩織」
今川詩織が、握ってくれた、おにぎりを、
人数分、差し入れた。
それを休憩室で食べる事になった。