『OVERLORD』
アインズ・ウール・ゴウンのギルド長であるモモンガのアバター『死の支配者』の事だ…。
俺の前世では、とある会社が出版していたライトノベルや漫画に存在していた『OVERLORD』と呼ばれた創作物——骸骨が中心のちょっとどころかだいぶ残虐なストーリーだった。
俺がいきなりそんな話をするのも、創作物ではありきたりな転生をしてしまったからだが、初めの頃は当然気が付かなかったのだが世界はスモッグに覆われて死の星と呼べる環境に絶望していた——アーコロジーと言う外気から身を守る都市型シェルターを知り、この世界が『OVERLORD』の
当初はまだユグドラシルも販売されていなかったが、DMMO-RPGの製作発表が大々的に行われており、年月を考えるとユグドラシルが開始のタイミングではギリギリ社会人と言った流れだった。
ユグドラシルから異世界に行けるのなら、当然こんな世界に居たく無い俺は迷わず行くだろう。だがしかし、課金が重要なユグドラシルの世界ではお金を持っている者が圧倒的に有利だ——この時代借金は自身の労働(危険地帯)を担保にお金を借り、ユグドラシルの製作会社へと全額投資する事にした。
初期段階で爆発的な加入者数を誇り、貧富に関係無く自然や防塵マスクをせずにうろつける世界は人気をはくした。
借金は両親にも黙ってしたし、ユグドラシルにおいてアインズ・ウール・ゴウンのギルメン『たっち・みー』が現実世界で武術有段者だった事から、自身も幼い頃から合気道・柔道・剣道・空手に全てを捧げて来た。転移後を考慮して戦術・諜報・農業などの歴史書から多くを学び、割と裕福な両親は俺が警察や複合企業の軍人を目指していると思い応援してくれた。
ユグドラシルがとある企業から配信され出すと、借金は既にうん千万に膨れていたが、1年後に配当金として受け取った金額はそれらを帳消しにしてもお釣りが来る億を超えた金額だったのだ。企業が初期のユグドラシルを企画したぐらいに株を購入していたお陰もあり、企業の株を3割所持している計算になった——優待者として得点を得た状態でユグドラシルを初日から始めると、総人口27億のゲーム登録者数内で唯一の個人投資家だったお陰で、アバターに対して実装前の世界級アイテム二十に数えられる
2136年にユグドラシルが終了するが、それまでに多くの消耗品や世界級アイテムを集める事や、最強職ワールド・チャンピオンの座を獲得する為に奔走した。
——『アインズ・ウール・ゴウン』が…。
無いのだ——バタフライエフェクト効果なのだろうか?前身にあたる『ナインズ・オウン・ゴール』すら存在せず、転移が実際にあるか不安にかられながらひたすらユグドラシルを楽しみながら考えた。4年目の頃になると、多くの世界級アイテムがワールドエネミーのドロップ品となり、隠しイベントなどの報酬としても登場しりもした。
月日を重ねる毎に、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』が無いまま転移してしまう事も考え、彼等が拠点にしていた場所を俺が一人で攻略する事に決めた。既にワールド・チャンピオン最強と言われていた公式チーターなどと呼ばれる俺は、10階層に及ぶダンジョンを攻略すると、運営によって『単独巨大ダンジョン攻略者』としてオリジナル世界級アイテムを贈られたが——『モモンガ玉』と呼ばれていたアイテムの俺版とも呼べるアバター名『アヴァロン』の名を持つ瞳型世界級アイテムだった。
性能は馬鹿なのかと言う内容で、どんな偽装も効かない鑑定能力までは良かったが、近接攻撃重視の俺に300種の魔法を職無視した上に魔法攻撃力・魔力量を瞳に依存して行える様になった。主に近接戦闘特化で、自身にバフ掛けする系か回復などの簡単なモノしか魔法が無かったのだが、重攻撃・重デバフ・超回復・状態異常回復・プラス魔法防御爆上げの内容に運営のごますりを感じてしまう。
拠点に関してだが、課金額は億を超えており地下に存在するこのダンジョンをギルド地形反転させる課金アイテムで城化させ、自身のアバター名にちなんで『ブリテン城』と名付け、(セバスイメージ)竜人騎士NPC・精霊魔導師NPC・(ペストーニャイメージ)天使修道女NPC・(まともなシャルティアイメージ)ヴァンパイア聖騎士NPCなどを多く作成し、アインズ・ウール・ゴウンだった筈のこの拠点はNPCポイントも課金でぶっ壊れ設定な為、攻め入って来た並みいるPK系ギルドの大進行約2500の敵すら殲滅し、アインズ・ウール・ゴウンの元メンバー以外のギルド加入希望者5000人程を蹴り、ずっと一人でギルドを守りながら世界を堪能したり、ギルメンだった人物を9つの世界全てで探したが見つからなかった…。
2136年が訪れ、投資者として次作のユグドラシルⅡの予定も知っているが終わりを迎えようとしていた。俺の株は万が一の場合は両親に渡る様に既にしており、異世界転移の為の準備は当然万端と言える程に準備が済んでいた——転移を終わらせるまではもしかしたら出来ないかもと言った不安を残し、玉座の間で守護者統括『アーサー』を傍らに控えた状態で時間の経過と合わせて振り返っていた。
1年目は、誰よりも早くカンストプレイヤーとして君臨し、既にチーターの兆しを見せていた。
2年目は、傭兵NPC3名を伴ってあらゆるダンジョンの初見攻略者として名を連ねて行った。
3年目からは、PK集団100名以上が俺のドロップ品を狙ってダンジョン攻略後に良く現れる様になりかなり苦労したが、公式チーターと呼ばれる様になったのもこの辺りからだった。
4年目以降では、世界級アイテムが実装されるとワールドエネミーが世界各地に出現し始めた。
それ以降はギルドの製作をする為データクリスタルをかなり集め、ワールドエネミーを他所の世界まで遠征狩りに行ったりもした。
10年目を迎えた頃には、イベントが行われても参加者数は伸び悩み始めており、退会者が続出する時期を迎えた事で俺は多くのギルドを殲滅し始めた。ワールド・チャンピオン8名で構成されるとあるギルドに進行した際はレベルダウンを狙って最低数回は討伐をし、ギルド所有の財産を根こそぎ奪って行った。
12年目になった今は、終了日に近づくにつれて街中で投げ売りの市場が多く見られた。まあ当然全てを買い漁ってどんなクソアイテムでも集めに集めて、ワンフロアを全て宝物殿として地下階層(課金)の最強のNPC8体の内3体が守る場所に収めた。地下ではあるが、最高階層の部屋からしか行けない仕様になっており、玉座の間に掛けられた絵画『英雄の凱旋』と命名された絵がその扉なのだ。そして、ギルド専用の転移が出来る指輪『英雄の証』が無いと扉は開かれずに、玉座の間にある24体の壁に飾られた石像が一斉に攻撃してくる。そんな玉座の間で俺は最後の時を迎えるが、感慨深いものが込み上げて来るが仕方ない、この時の為に生きて来たと言っていいからな…。
ゲームの世界も現実世界でも、栄枯盛衰は世の常であり全てに終わりはやって来る事が歴史が証明していた。
ユグドラシルの終わり——
5…
4…
3…
2…
1…
目を開けると、明らかにリアリティを追求した程度で叶えられない解像度の景観が目に映り、斜め前に控える守護者統括の『アーサー』からは生命活動が感じられた。
「どうかされたから?我等が王よ——どこか嬉しそうだが、何かいい事でもあったので?」
「——ああ、遂にこの日を迎えたのだ」
「?」
アーサーの設定は腹心にして親友であり、誠実で堅実な人格者として設定された竜人の最上位にあたる竜神の因子を受けた騎士だ。構成が完全肉弾特化な彼は、このギルド『ブリテン』の最強NPCの一人でもある。
「アーサー、直ぐに全階層守護者を6階層の闘技場へ招集してくれないか?現在ブリテン城が未知の現象に出会い、もしかすると何か変化が起きているかも知れ無い」
「ああ、了解した。直ちに招集を掛けるが、直ぐに向かう様に伝えるがいいか?」
「30分後に、全員フル装備にて呼んでくれ」
「では、私は御前を失礼するよ」
「ああ、頼んだぞアーサー」
アーサーが玉座の間を退席すると、最高階層に存在する玉座の間の外周にはめられた窓から見える星空は、ゲーム時に設定した映像とは違いリアリティがある輝きが見て取れた。
窓だからと、外部から攻撃しても正規の手順でしか入って来られない創りで、この城のフレーバーテキストには外宇宙の鉱石で出来た不壊属性の不思議な白亜の城だ。アインズ・ウール・ゴウンが転移した時は隠蔽をしていたが、俺はこの時の為に1週間もあれば大都市を作れる資材に人員を保持している。当然軍事力は世界最強の類であり、課金アイテム傭兵NPC3名セットを1万個以上持っている——レベルは最高位で3名共にLv90で、次はLv80に再下級でLv60と言う戦力が3万もいるのだから、急に出現してスレイン法国が建国後の世界だったとしても何ら問題など無い。
アインズ・ウール・ゴウンが出現した場所なのかは分からないが、周囲は草原が広がっていた——直ぐに
生存者は存在しない様子で、若い女性は男達の捌け口として使われた後なのか全裸で手足が切られて事切れていた。本気で不快だった気持ちは人が死んでいるからでは無く、それらの無力な村人を殺戮した上に死体を弄ぶ行いや女性を犯し嬲り殺しした屑さ加減だ。
今から残りの1つである恐らくカルネ村を襲う事は無いだろうが、監視をする為や情報収集を主に行う諜報機関を設立していた場所の領域守護者へと伝言魔法を飛ばし、村の座標と暴漢の兵士の座標を彼等の部署に渡して俺は6階層へと転移した。
6階層に存在するローマを題材にしたフロア一角、闘技場『コロッセオ』に向かった。闘技場は正にローマ帝国を資料や想像で補った場所となっており、周囲にある土壁の街が周囲には存在しており壮大な景色と言える場所だった。
闘技場に入ると、そこには6階層守護者『ヘラクレス』が俺の出迎えをすると、既にNPC達が全員集合済みな様で俺に気付いていたらしく跪いてこうべを垂れて待ち構えていた。彼等の前に行くと、モモンガの様に振る舞わず、元々ギルドが善寄り構成なので親しみがある王を演じる…と言うか素だ——若干だが王らしくはしているが、今世のスパルタな生き方が染み付いた真面目さと、前世で培った会社社長の時の雰囲気を醸し出しているだけなのだった。
「面を上げて構わない、私は君達を家族だと思っているのだからそこまで畏る必要は無い。敬意さえ払ってくれたら多少の事では決して咎めたりしない」
「「「「はっ!」」」」
「発言のご許可をお願いする」
「構わんよアーサー」
「今回だけは忠誠を示す為にお許し頂きたい、私自身も創造主である王に堅苦しく無い様に創られたが、それでも今日だけは許して欲しいのです」
「ああ、当然許そう」
「では——一同王に忠誠を示す」
「第一〜二階層守護者、『アキレス』御身の前に」
「第三階層守護者、『フィン・マックール』御身の前に」
「第四階層守護者、『アイアース』御身の前に」
「第五階層守護者、『ヘクトル』御身の前に」
「第六階層守護者、『ヘラクレス』御身の前に」
「第七階層守護者、『アルトリア』御身の前に」
「第八階層守護者、『オリオン』御身の前に」
「第九階層守護者、『パリス』御身の前に」
「第十階層守護者守護者統括『アーサー』——一同、ブリテン全階層守護者御身の前に参上仕ります。我等が王の剣にして盾である我等一同全霊を持って貴方様に絶対の忠誠を誓います」
「「「「忠誠を」」」」
全員が剣や杖を横向に捧げる様に頭上へと上げている様は、誠に壮観だったのは言うまでも無いが、彼等は騎士の心がある様に設定されたNPC達だからこそ、やらねばならない事があった。
「アーサー我が前に」
「はっ!」
アーサーを眼前に呼び、俺の腰に差さる『アヴァロンの鞘』に納められた選定の剣『聖剣カリバーン』を鞘から抜くと、彼の肩に刀身を乗せて宣誓を了承する。全員にそれらの行いを終わらせた俺は現状の確認と情報を開示したが、アーサーですら驚く異世界転移の予想と周辺が草原である事を告げた。カルネ村だろう場所の付近で起こる事件に先手を打つため行動すると告げ、俺がユグドラシルでも飛び抜けた強さから誰も反対しないが、同行者は村人に安心感を与える女性守護者のアルトリアとパリスが選ばれた。
アルトリアは精霊種の頂点英霊であり、前衛が可能な魔法剣士ながら剣術が頭1つ出た腕前だ。パリスは天使族の中で神の使いだと言われる最上位な存在ながら六枚羽は普段収納でき、回復や聖魔法に特化した魔導士だ。
村への奇襲を考え、夜明け直ぐの男性陣が畑を耕しに出る前の時間帯を予想して行動する。暴漢兵士の起床を合図に村へと周囲の襲撃を伝えて村人を守る算段をしている——アーサーには周辺警戒網を敷いてもらい、彼等を極力殺さず罪を自国スレイン法国を叱責するつもりでいる。
兵士が起き始めた事で、周囲は薄っすらと白みがかった時間ではあったが村へと到着と共に村人全員を起こすつもりだ。村人達の中には既に多くが家に光を灯しており、農業が主体故の日の出前から生活を行い日の入りと共に寝静まるリズムなのは、俺がいた世界の歴史通りだと言えた。
村へと到着すると、アルトリアの透き通る声で村に響き渡らせながら訪問を告げた。彼等はまだ寝ている子供がいる事からいい顔はしないが、こんな時間に訪ねて来た事から何かしら問題が起きているのではと考えていた。
「すまぬが村長は居られるか?」
「え、ええ。私が村長です…この様な時間にどうされたのですか?」
「私が説明しよう。我々は魔法の転移に巻き込まれ最近この辺りに訪れたばかりの者だが、偶然周囲を捜索中に焼け落ちた村をいくつも確認していてな…この辺りで生存している村はここしか無いが故に、あなた方に警告をしに来た」
「えっ!?そっそれは近隣の村が全滅という事でしょうか?盗賊の類でしょうか…我々では」
「盗賊では無いと予想している。若い女性は乱暴されたのちその場で殺害された形跡があったのだ、盗賊だったならば女性は連れ去っただろうし、金目の物は全て残されたまま村は焼かれていた——それにあなた方が暴力に抗える力が無いのは分かっている。だからこうして私達は助けに来た次第だ」
「で、ですが我々には貴方様方に対して報いるだけの蓄えは無いのですが…」
「心配しないで欲しい。我等が救って盗賊に会うのと変わらない様な行いなどしない、ただただ誰か知らんが残された村人の亡骸から下衆過ぎる襲撃者を許せない、そんな自分勝手な行いなのだからそちらには助かった暁に、感謝の言葉と周囲の村の埋葬を手伝って欲しい」
「あっありがとうございます!」
それらを聞いていた男性達は皆一様に感謝を述べて来たが、猶予が少ない事から全村民を一番大きな村長宅へ避難させ、回復を得意とするパリスを残してアルトリアを西方に配して、俺はトブの大森林が守る東を放置して南方へと陣取った。
トブの大森林には、エルフ種族の魔導士オリオンを配置させていると後からアーサーに聞かされて流石天才だと感心してしまった。
南方と西方から二隊に分けた、物語に出てきたバハルス帝国の騎士が着る鎧を纏った集団が見え始めた。騎馬の集団である為に、アルトリアにも伝言で威圧して落馬させる合図を送ると、一斉に落馬した兵士の呻き声が村に響いた。
それを合図に、パリスが超位階魔法《天界招来》と呼ばれる戦乙女9名を魔法によって召喚させた。朝日を浴びて上空に後光を纏い現れたパリスの部下にあたる最上位天使達——スレイン法国の者達だからこそ己の前に現れた者達がどの様な者か分かってしまうが既に手遅れだった。
悪虐非道な行いをしたであろう大多数の兵士は、村に突入する前から女性を犯す事を想像して股間を膨らませていたのだが、そんな彼等とは違い自身の行いが正当化出来ない事を悟っている兵士も数名いた。
「だっ誰だー!わっ私にこの様な事をするのは!?」
「たっ隊長…あれらは我々では敵いません!指示を」
「わっ私の逃げる時間を稼げ!私はこんな場所で死んでいい人間では無いのだ」
「くっおい!お前達私に続け、隊長を援護して後退をする」
「「「了解しました」」」
「我等は、彼等の非道を知りながら止めなかったのだ。同罪だろう我等が楽に死ねるなど思っていない、悪いがお前達には付き合ってもらう事になる」
殆どの兵は戦意を失い地面に尻餅を付いて何もしない屑だが、彼の話では今向かってくる兵は多少まともだと伺えた。瞬時に生かす者達を彼等に決めて第三位階魔法《パラライズ》を4名の騎士に放ち、気絶させて残りの兵士達に歩み寄って行く。
「やっやめろ!かっ金ならやる——」
「ぐえぇー!たったずげでぇー」
「だっだずげろ〜」
俺は隊長と呼ばれた男の四股んを切り飛ばし、奴の股間を転がる鈍で切り落とした。泡を吹いて痛みに耐えられず気絶した奴を忌々しげに見ながら、残りの屑の足に彼等の剣で地面に串刺しにして抜けない程に深く刺し込んだ。
簡単に死なれては犯された女性や幼い子供が浮かばれない、全て俺の指示通りアルトリアが済ませてこちらに来たのだが、本気で不快な思いをしたのだろう顔で近づいて来た。
聞いた話では、アルトリアの美貌を見て股間をさすりながら下卑た言葉をいくつも投げかけられ、近隣の村で行った外道を誇って彼女に自慢と脅しのつもりで言ってきたらしい—救いようの無いあれらは腕を霊種に備わるサイコキネシのスキルで捻り飛ばし、肛門に己の腕を突き刺して来たのだとか。
全ての兵が行動不能か死んだ為、村長に凄惨な現場故に男性陣だけで死体を一緒に片付けてもらった。残ったまともな兵は縄で縛り、残りの屑達は俺が地面に串刺しで縫い付けた者達と同じ場所で、同じ様に地面に足を串刺しにした。
一刻も掛からずに全てが済むと、召喚された戦乙女は光の粒子となって天に消えて行く中、村人達は我々の装備や雰囲気もあって崇める勢いで感謝を述べて来た。一応後詰めを警戒して少しの間残る事も伝えたお陰でかなり安心した声が村人達から聞こえ、今日だけは村長宅の真横にマジックアイテム《グリーン・シークレット・ハウス》を展開して万が一に備えた。
昼頃に差し掛かった頃、狩人の村人がトブの大森林からイノシシを仕留めて来たらしく、村人達にお呼ばれしてバーベキューを行う事となったのだが、原作登場するエモット姉妹の妹ネムがお嫁さんにしてくださいと言って来たり、超絶美形なアバターの容姿に姉のエンリはタジタジだったりしたが概ね問題無く村と親交が持てた。
余談ではあるが、ブリテン城の周囲には、アーサーが生産特化NPC達に指示して既に城塞建築が着工しているらしく、エ・ランテルと同じ様なく五重の城塞が建築予定だったが、既に2つ目に取り掛かり魔法によって建築や付加魔法で強化されているらしい。
内側から城・兵士エリア・商工業エリア・居住エリア・穀倉地が区切られて行き、エ・ランテルから既に目視できるほど巨大な大都市を建設するとアーサーの言から察していた。全ての工期が終了する頃にはエ・ランテルやカルネ村は都市の内部に位置する事が予想されているのだが、実はここに転移する前から魔導国より手際良く建国する為3ヶ国に挟まれた広大な場所に、万里の長城を模した巨大な城壁を建設する為既に魔法で召喚した者で長距離の城壁敷設をユグドラシルで検証済みだった。
魔法で建造した城壁は、プレイヤーの直接攻撃に耐えられないが故にそんな実験は初期の頃多くが試しているが、魔法武具作製で盾と言う認識で製作した場合に限り、数発の第十位階魔法迄は耐えられる事が実証済みだった。それらに更に付加魔法で魔法耐性を付与したりするとこの世界では鉄壁に近い城壁が簡単に作れる。
都市の城壁はビル5階建て相当な上に、城がある場所はドルイドの職がある者によって地盤を隆起させ、城自体を高所に位置どりさせて難攻不落の都市を建設する。都市自体を要塞の様に中央に向かって地形を上段へとさせて、城壁にはユグドラシル時代に現金で依頼したゴーレムクラフター製のアポイノタカラで固められたゴーレムが設置されている。
村長達も今日だけは警戒の為中心部から離れない様に過ごし、俺達が守り易い場所で何かしらしているが、普段している事ができない分家具を直したり農具の点検整備などが行われている。しばらくするとアーサーによって後詰めの報告が入り、アルトリアとパリスにそれを告げて村人を村長宅に集めた。
「村に近付く武装集団がいるみたいです。装備は皆が革鎧で統一感が無いですが、統率が取れた訓練された動きを見せている事から二択の可能性があります」
「リ・エスティーゼ王国の兵か、敵の後詰めでしょうか?」
「ああ、その通りだが…予想では王国の兵士である可能性が最も高いのだが、一応村長と私で彼等を出迎えましょう」
「ありがとうございます!度々のご助力に感謝のしようがありませんが、宜しくお願いします」
俺と村長は武装集団を待ち構え、ガゼフ・ストロノーフを待っていたのだが、ここに来てバタフライエフェクトによってなのか俺の視力だから分かるが、2キロ先で集団を追うように工作部隊が向かって来ている。
ガゼフが来てもそこまで猶予がない為、彼等との話し合いを早めに切り上げる算段を始めた。そこでアーサーに指示を出してニグンを含むスレイン法国の特殊部隊である六色聖典の1つ陽光聖典を全員捕縛する命令に変更した。
これによって王国に情報は全て行かず、帝国あたりを介在してスレイン法国へと叱責を飛ばす。ガゼフが恐らく捕虜を連れ帰る事を言って来るだろうが突っぱねるつもりでいる。使節を派遣して交渉を行えばまだいいが、村長曰く暴漢の類は討伐者にどう言った対処がされるか決めていい法律があるとか——ガゼフが懇願しようがそれは私情によるなんの誓約も無い行いだ。
「我々はリ・エスティーゼ王国の騎士、私は国王直属の王国戦士長ガゼフ・ストロノーフと申すもの——この辺りの村を襲撃する帝国兵がいると聞き、国王の指示のもとそれらを討伐に参った…その方がこちらの村長殿か?」
「え、ええ。私がカルネ村の村長です——こちらのお方は村を襲撃者から救って頂きました」
「初めまして王国戦士長殿、私はブリテンの宗主アヴァロンと申します。以後お見知り置きを」
俺の圧倒的なまでの品を持った対応に、後方に控える兵達も貴族である可能性から馬上ではマズイと下馬した。王国戦士長であるガゼフも失礼が無いように下馬してから一例をすると、村を救った事への感謝がなされてから質問をしてきた。
ブリテンとは何なのかを問うて来たが、寡聞に聞き及んだ事がない為失礼を承知で尋ねられ、簡単に自治権を有した団体名だと彼等に説明すると、後方の兵士達は片膝ついて失礼が無い様に態度をかなり改めて来た。
ガゼフもかなり焦っているのか、表情に出さないが瞳孔が開き動揺が見受ける上に冷や汗をかいていた。隣に立つ村長は俺の顔を見て驚愕しているが、笑顔で態度を改める必要を否定した。
俺が世間一般で言う王族だと分かると、必要以上に質問が出来ない事を悟ってか、村長に首謀者達がどうなったかを俺の許可を得て質問して行った。一応捕虜がいる事を伝えて確認をしたいと俺に頼んで来たので案内をした。
途中からアルトリアが俺の側に控えながら受け答えをしていたが、俺とアルトリアの装備から国力が圧倒的に上である事を予想してか、無茶なお願いはして来ないが、帝国の甲冑を数点だけ金銭で譲って欲しいと言ってきた為、個人所有の裁量がどこまであるか問うた時に彼が素直に彼自身の財産だと言った。それでは即決出来ない為に、後日使節を派遣される様に進めて、俺がカルネ村に滞在している日程を彼に伝え、ブリテンの紋章が押印された特殊な用紙にアーサーが記入した会談時の決まりごとを記入した物を手渡した。
彼等は目の前に急に現れた証文に驚き、技術レベルすら大きく進歩しているだろう紙の質や技術にも王国が劣っていると悟った。それを受け取るガゼフに対して、王国が腐敗していると言うのに人格者な彼を褒めた。政治家では無いがこの状況で適切な判断が行われた彼の人となりに彼に贈り物を与えた。疲労軽減の指輪《35%の疲労軽減》を施されたユグドラシル最終日に爆買いした露天の品だが、その説明をした上で素直に受け取るべきだと釘を刺した。
ガゼフ・ストロノーフ達が去った後、村長は数々の無礼を謝罪して来たが礼を欠いてはいないから気にしないと伝え、村長宅へと戻って行った。今後を考えて村長達には近くに城ごと転移した事を伝え、既に都市の城壁建築が魔法で行われている事とここが都市内部になる事を説明した。彼等は王国を余り好きでは無いし、そもそもがどの国であっても今より苦しい生活は無いと言う。
村長にこの周辺の税率を聞くと、王国内では割とましだと言う50%の税率で、王国直轄地な為に国庫の経済状況を鑑みたまだましな税率が維持されているらしい。
俺が考える税収は基本旧日本の仕組みを組み込む予定で、奴隷は禁止する予定な上に異種族排斥否定派路線を目指す。社会福利厚生を今の200倍の水準になるが、年齢や身体的不自由な者にはより暮らしやすいシステムを構築し、追々は学校を建設して民に一定の学力を養わせるつもりだ。
ある程度今後を村人と話し合い、日が暮れ始めた為に各々が自宅へと帰って行ったが、ネムが異常に懐いている為エモット一家がグリーン・シークレット・ハウスに招待されている。トブの大森林に待機していた者達はそのまま北上させ、魔樹と呼ばれるザイトルクワエを討伐した足で万里の長城の北側を建築し始めた。
アーサーに至っては、既に大量召喚を召喚能力がある全階層守護者にさせており、魔法や錬金術などが得意な召喚物が帝国側を若干侵略した位置に既に横並びで万里の長城を建設している。門に関しては鍛冶職の者達がユグドラシルで製作した荘厳な物が使用され、ゴーレム警備が既に配備されている。
夜中頃には王国側が完成する予定で、明日の昼頃には三ヶ国を塞きとめる万里の長城改め、万里の魔壁が完成する予定となっていると報告を受けた。ニグン達は全員城外に作られた軍事施設の牢屋へと入れられ、拷問も審問も行わずにただ放置されている。
アインズ・ウール・ゴウンのナザリックと違い、この日を想定した人員が既に用意されており、間所用の守護用NPC Lv60を数名配置する事も可能な上に多くのそれら以外の村を発展させる用意も全て整っていた。傭兵NPCを大量召喚する作業を夜の間俺がひたすらする中、アーサーが施工計画図と称した大都市図面通りに指示を出していた。
ここでとある問題点になるスレイン法国の最強部隊、漆黒聖典が世界級アイテムを所持して既にトブの大森林を進行中と分かり、宝物殿を守る魔導士の『アグネイア』、聖騎士の『オシアン』に防御特化の剛腕戦士『ロイガン』を世界級アイテム装備で派遣した。
——彼等漆黒聖典の背後にだ
アグネイアが転移門を潜る前から既に魔法発動を行なっており、超位魔法の《マインド・オブ・ドレイン》と呼ばれる精神干渉魔法で最高位の魔法を発動させ、防御特化のロイガンが世界級アイテム四階層守護者の名付け由来の盾『アイアース盾』を構え、オシアンによる精神攻撃を受けない漆黒聖典の隊長を優先的に攻撃すると、『傾城傾国』を装備する老婆の意識をロイガンが物理的に奪った。
後は最早タコ殴り状態の漆黒聖典隊長が転移を試みるが、アグネイアが持ち出した世界級アイテム『堅牢牢獄』と呼ばれる通信・転移・回復・補助バフを禁止する妨害特化のアイテムによって彼は袋のネズミへと変わってしまうが、彼の持つ
この時の正解は、老婆を抱えて他を見殺しにしてもアグネイアの世界級アイテム範囲外に脱出する事だった。だが彼は若さ故なのか人柄なのか仲間を見捨てられずに大声で「誰だお前達は!?」と叫びながらオシアンの攻撃を必死で防いでいるが、オシアンはLv100の聖騎士なのだから、Lv83の彼が本気で争った所で然程意味はなく、他が全てを終わらせた事を確認した瞬間に隊長である第一席次も同じく意識を失った。