さて、生徒には悪いけど、こっちも全力で行かせてもらうか。
でないと種目によっては負ける可能性あるし。
飯田くんは種目と個性の相性が抜群だったからな。気は抜けなかったよ。
ありがとうミルコ。あん時のお前が俺を救ってくれた……。
なんか死んだみたいになってるな縁起悪い……。
「で、今んとこ記録はどうです?」
「そうだな、個性がマッチした奴らは軒並み4〜5秒程度をマークしてるな。この調子ならお前が一位だ」
「そうですか……勝って喜べばいいのか、大人気ない自分を悲しめばいいのかわかんないな」
「んなこと考えてる暇あんなら次の種目に移れ。まだ終わってねぇぞ」
「了解です……あ」
イレイザーさんに従って次の種目に移る際、あの少年が走る所だった。確か名前は緑谷君だったかな?あの超人パワーは脚力でも活かせるはずだから、俺を終わった後だと真似して抜かれるかも……ってあれ?
「個性を使ってない?」
緑谷くんは終始普通のランニングで走り続けていた。おかいしな。普通なら発揮する絶好の機会なのに……
「おい、早くしろ」
「あー!はいはい!」
それよりも今は自分のことだな。さっさと次行こう。
第二種目、握力
「エフォート、握力700kg……一応言っとくが壊すなよ?」
「分かってますよ」
「……自信はあったのだが」
「いや、握力540も結構やべーよ?もうゴリラかタコの領域だって」
「タコってエロいよね……」
第三種目、立ち幅跳び
「ま、50m走であんだけ飛ぶんだ。これくらいは出るだろ?」
「よし、次」
「くそがー!全然とどかねぇ!!」
「うーん、これ以上やるとお腹壊れちゃいそうなんだけど……」
第四種目、反復横跳び
「よし、終了だ。ちょっと待ってろ」
「あれ?ビデオ測定じゃないの?」
「どうやら測定機械のセンサーがショートしたみたいだな。今映像見てカウントを数える」
「す、すげー……オレ残像出せる人初めて見た」
「途中から三人に見えたぞ、もはや魔術の領域だ……」
「なんでこの種目で俺が負けんだよーー!!」
「いやー、お前のやり方も上手くはあったぜ?ただ相手が悪かったとしか言いようが」「クソーーー!女子にいいとこ見せれると思ったのによー!!」
うーむ、まだまだ青い男子の悲痛な叫びが聞こえる。申し訳ないが、コレも仕事でな。手は抜けんのだ。
しかし久々に反復横跳びなんてやったな。やべ、靴底ちょっと擦れてるわ。ま種目も半分でうち一つは終わってるし問題ないか。
第五種目 ボール投げ
さてと、いよいよ後半戦突入。コレはデモンストレーションでやったから登場出番なしだし、ちょっと軽く水分補給してこよ。
「すいません、ちょっと水のんできますね」
「時間超えなきゃ何でもいい」
「どうも」
このヘルメット通気性あるとはいえやっぱ長時間着けてると蒸れるは蒸れるんだよなー。どっか適当なとこで脱いで……って
「オールマイトさん何してんすか?」
「むむ!?こ、コレはエフォートくん!?なぜここに?!」
「いや、ちょっと時間空いたんで水分補給でもと。なんでここにいるんですか?授業が気になるなら見に行けばいいじゃないですか?」
「いや、そう言うわけでは無いんだが……」
「そうですか、で、どうです?オールマイトさんのお眼鏡に叶う生徒は居ますかね?」
「う、うむ、そうだねー……」
オールマイトさんにしてはやけに歯切れが悪い。珍しいな。
「ひょっとしてまだ目安がつかないで判断できないってとこですか?」
「あ、ああ!そんなとこさ!流石の私も教師は初めてだからね!まだまだ生徒を見極めるには早いさ!ハッハッハッハッハ!!」
「イレイザーさんはすぐに見切りつけようとしてますけどね」
「彼は長年この職務に励んでいるんだ。彼なりの見分け方があるんだろうさ」
「聞いていかないんですか?」
「……彼とは馬が合わなくてね」
オールマイトは気まずいのか顔を露骨に逸らした。分からなくはないな。俺も苦手な人はいるし、この人にもそんな人いるにはいるだろう。
てかヤベェ!話してたら時間結構食ってるな!そろそろ戻るか!あーもー!全然休めなかった!ちょっとでもいいからメット脱ぎたかったのに!
「すいません!そろそろ時間なんで失礼します!!」
「ああ!頑張りたまえ!」
親指を立ててこちらに激励をくれた。それにこちらも答えつつ、間に合う様に小走りで向かう。
個性が発動しなかった。それは担任教師のヒーロー、イレイザーヘッドによるものだった。
このまま僕が試験と同じ様な力を使い続ければそれは人に迷惑をかける。僕にその気が無くても結果がそれを証明していた。その言葉に僕は改めて現実を気付かされた。そして先生は個性を解除し、ラスト一球を投げさせてくれる事は出来たけど、個性を発動できても自分が動けなくなってしまっては恐らく、いや、確実に除籍処分は受けるだろう。かと言って個性を使わず普通に投げてもそれはアウト、そうならないためにもどうすれば……。
僕は頭をフル回転させて現場を打開できる策を考える。腕を折ってもダメ、再起不能は論外、個性不発は
「あれ?まだ第五種目なの?遅いですね?」
「そう思うなら早く来い。どこで道草食ってた?」
「いやー、色々ありまして……あの子でラストですか?」
「そうだ。少々手間とって時間が押してな」
「ふーん……」
そうこうしているうちにエフォートさんが帰ってきた。
そういえばエフォートさんはどうやって投げてた?同じ身体強化の個性なんだ。何か掴めるものがあるはず……
あ
いけるのか?ぶっつけ本番で?いや、そうじゃない。やるしか道はないんだ。覚悟を決めろ!
僕は投擲の姿勢に入る。さっきのエフォートの姿勢を忠実に再現すべく、的確に。
「あれって……」
エフォートさんの声が聞こえた気がするけど今はそれどころじゃない。
腕が最高点に到達する。
ボールが手から離れ始める。
まだ。
慣性に従ってボールが指を沿って這い上がっていく。
まだ。
小指から完全にボールから離れた。
まだ。
薬指。
まだだ。
中指が外れる。
「今」
それと同時に僕は個性を発動させる。超人的パワーにより人差し指だけの限定的な開放であるにもかかわらず、そのボールは圧倒的スピードで空を突っ切っていった。
「うお!すごいな!記録は……」
705.3m。先程の爆豪君の記録を少しだけ上回るその記録は中々に衝撃度が高い。
「先生……まだ、動けます!!」
「こいつ……!」
そんなオレを無視して2人はなんか白熱していた。あれ?イレイザーさんそんなキャラでしたっけ?
「あの子となんかあったんですか?」
「別に何もねーよ。さっさと次行くぞ」
オレを無視してイレイザーさんはさっさと次の種目に進む。我をいくなー、あの人。
そう思いながら緑谷君を見るが……。
「了解です……って君?」
「は、はい!なんですか?」
「ちょっと手ぇ見せて」
「え?は、はい!」
「…………」
そう言って緑谷くんは指を見せてくる。そしてオレの予想通りだった。
「人差し指が腫れてるな。見た感じ骨は折れてないか?」
「だ、大丈夫ですよ!まだ動けます!」
「うーん、イレイザーさんになんて言われたのかは聞かないけど、無茶と無謀は違うからね?成功する未来が見えるんだったら無茶は最悪しても構わないけど、成功のビジョンもないのに無謀なことだけは絶対しない様にね?被害を受けるのは君の周りなんだから」
「は、はい!」
緑谷くんに一応釘を刺しておく。こう言う時代もあったなー。
「にしても難儀な個性だね?発動の代償と同時怪我するなんて珍しい。今までよく過ごしてこれたね?ああ、いや。別に貶してるわけじゃないんだけど」
「えーっと……」
「ああ、無理して答えなくてもいいよ。そういうのはプライベートの領域に入るしね。あまり深追いはしないさ」
「あ」
何か言い淀んでいる緑谷くんを置いていく形で話を進める。こう言った反応をされた時はドンドン自分のペースで話を進めていった方が相手も答えなかったことを気にしなくなる。呆けてるうちに話を切り上げるのがコツだ。
「イレイザーさん。次の種目は……」
「おい、エフォート」
「はい?」
「さっきのボール投げだが、お前の記録抜かれたからな」
「………………まじで?」
この作品にヒロインはいる?いる場合はどちらかを答えて下さい
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いらない
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いる(雄英生徒)
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いる(プロヒーロー)