ウマ娘 ひび割れた祝杯   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

ここずっと、投稿頻度が上がっていないですが、相も変わらず私生活が忙しいままです。そのせいで、やりたいなと思っている事も十分に出来ていない現状です。少なくとも、免許を取り終えるまではこの投稿頻度になるかと思います。引き続き、ご了承下さい。

では、どうぞ。


栄光目指したトモ、狂気的なオモイ

[とある病院 中庭]

 

「角田さん、久しぶりの外ですけど、調子はどうですか?」

 

「…少しだけ、リラックスしますね。外の空気を吸うだけで、ここまで変わるとは。最近はずっと、驚いてばかりですよ」

 

某日、病院の中庭にて。あれから担当医に「定期的に外に出たい」と言ってみたら、即承認。担当医曰く、「ようやくですか、待ち侘びましたよ」らしい。…苦笑付きで。まぁ、自分でも塞ぎ込み過ぎだったと気付くんだから、第三者から見たら相当なモノだったのだろうか。承認をもらって、看護師さんにその旨を伝えた時、「一歩前進、ですね」と言われた。…やはり、立ち止まり過ぎていたのだろうか。

 

こうして外に出るようになって、少し心に余裕が出てきたのか、口調や性格も(少しだけではあるが)落ち着きを取り戻しつつある。ただ、気を抜いたら口調が乱れてしまうので、まだまだ油断ならない。それに、これはあくまで赤の他人に対して、の話。ソレがウマ娘や中トレに関する人だったりすると、心の奥で警戒心が働く為、未だ落ち着いた口調で話す事は叶っていない。…精神科にでも通院して、カウンセリングするべきだろうか。

 

「もう冬ですよ、角田さん。ついこの前まで紅葉していたあそこの樹も、今はもう葉が落ちていますよ」

 

「……ですね。紅葉したかどうかが分からないのが、少し悔まれますが」

 

「…あっ、ゴメンなさい。私ったらつい……」

 

「お気になさらず。変に気を遣われるよりは良いですし」

 

…ただ、さっきも少し言及したように、精神的な回復はあまり進んでいない。肉体的な傷よりも、精神的なソレの方が治癒に時間がかかるのは当然。(自覚してはいるが)どうやら、俺の精神的症状は酷いようで、心因性原因により、色々な症状が表出している。視界から色が消えるのも然り、過度な精神不安定然り、性格の歪みも、また然り。何時ぞやの診察の時に、治癒に着いて聞いてみたが、「どれも治癒に時間がかかる、或いは完治が難しいものばかりです」と言われている。

 

…困ったものだ。性格や口調に関してはまだしも、色の識別に支障があるのは大きな問題だ。普通に日常生活に支障をきたす。…つか、不便なんだわ、普通に。食べ物も美味しそうに見えないし、信号の色も分かんねぇから、碌に外にも出られねぇ。部屋に花や何やらを飾ったところで、寂しさは変わらない。

 

……何より、アイツらの色が見えねぇのが、少し、寂しい。ウマ娘は、勝負服や髪色、瞳の色含めて、様々な色を持っている。コレは俺の担当バに限った話じゃあない。フジやブライアン、アグネスタキオン、ライスシャワー、キタサンブラック、キングヘイロー……ウマ娘の数だけ、色がある。ソレが、見えない。その事実が、どれだけ自身に退屈を齎すのか。恐らく、想像に難くないだろう。

 

「そう言えば…角田さん、今日も面談ですよね」

 

「…はい。知人が多いと、面会の日が多くて……あはは」

 

そう言って、無意識に微笑む自分。…少し前までは、自分がこんな風に笑っているとは、思えていなかったというのに。最初の方は、看護師さんも驚きを隠せていなかった気がする。

 

「…最近、よく笑うようになりましたね。面会してくる人達の事となると、より一層」

 

…何だかんだ、少しは賑やかな方が楽しいのも、また事実。ここ最近までは、ずっと病室に籠りっきりで面会も謝絶していた事も重なって、刺激が与えられている為、身体も心も喜んでいるのだろう、きっと。今日は確か……アイツとアグネスタキオン、だったかな。アイツはともかくとして、あのアグネスタキオンが面会に来るとは。…何か、実験中に変なモンでも被ったのだろうか。嬉しい事には、変わりないが。

 

「…そろそろ、戻りましょうか」

 

 

 

──今日の景色は、時代遅れのテレビのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[面会室]

 

「…っと。元気か?」

 

「一応は、な」

 

「……そうか、それは良かった」

 

……らしくねぇな。コイツが落ち込んでるのが、ここまで似合わねぇとは。確かに、いつも何かをやらかしてるお調子者だとは思っているが、ここまで元気がない表情が似合わない奴だったとは。ここ数年トモにいて、初めての発見かもしれないな。

 

「らしくねぇじゃねぇか、沖野。アンタにはそんなしょげた顔、似合わねぇぞ」

 

「……そうか」

 

…おいおい、コイツは重症じゃあねぇか。俺の一番酷かった時まではいかなくとも、被害者でも何でもねぇヤツだとしたら、どうしてそこまでしょげるって言いたい程、酷い。

 

「…アンタ、自分を責めてんのか?」

 

「……ッ」

 

おいおい、図星かよ。二回目のライスシャワーと対峙してるみてぇだな、コレ。…ったく、だらしねぇな。

 

「アンタ、そこまで腑抜けだったとはな。いやぁ~、こうなって知る事も、多いもんだな」

 

「…………」

 

沖野は、何も言わない。…いや、何も言えない、が正解なのか?俺は沖野じゃねぇから分からんが。……ッあぁ、調子狂うな。

 

「いい加減、しょぼくれるのも止めたらどうだ。アンタらしくねぇのはそうだが、アンタに従って動く奴にまでそんな空気を伝染させるのは、御法度だろうに」

 

「……分かってる」

 

「アァ!?何も分かってねぇだろうが!!俺はお前に!自分を責めろとでも言ったか!?第一!テメェは自分を責める必要があんのか!?」

 

「あるんだッ!!……俺が、お前にもっと寄り添っていれば、違う結果になったかもしれない。…口調だって、変わり果ててるくらい、酷いんだろ?」

 

…相ッ変わらず、人情深いな。世間を責めたい気持ちも眠ってるだろうに。ソレを理性で抑え込んで、何も出来なかった自分へ矛を向けるなんてな。大人だ。……が、いけすかねぇな。

 

「たらればなんて語っても、しょうがねぇだろ。ソレ言ったら、俺の行動全部がたらればって言えるじゃねぇか。んな事やってたら、キリがねぇ」

 

「……でも」

 

「でもじゃねぇ。俺が言ってんだから、いつまでもウジウジすんな。お前は今の俺と違って、チーム率いてんだ。お前には、ウジウジして足踏みする余裕なんかねぇだろ」

 

コイツは、スピカっていうチームを持っている。スピカのメンバーも、トウカイテイオーやメジロマックイーンをはじめとした、名バだらけ。この間も、スピカのスペシャルウィークが海外の名立たるウマ娘達を退け、日本総大将と言われるようになった。

 

ソレに関しては同僚として俺も喜ばしいが、裏を返せば、それだけのチームをこれからも引っ張らないといけない。そんなコイツが、こんな所で留まって良い筈がない。……つーか、俺が許さねぇ。

 

「……はぁ。シャキッとしてくれ。アンタとはやりたい事が、まだ残ってんだ。こんな所でへこたれてたら、困るぜ」

 

俺がそう言った所で、面会は終了した。アイツが立ち去る時に、アイツの表情が見えた。…覚悟、決めたんだな?なら、進み続けろ。お前なら、栄光を掴める。そう信じてるぜ。

 

……あぁ、さっきの怒鳴り声について、説明しないといけねぇ。……最後にダルい置き土産すんなよ、沖野。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあやあ。思いの外元気そうじゃあないか」

 

「俺も予想外だ。ここまで回復が早いのも、お前が面会に来る事も、な」

 

「酷いなぁ、キミは。これでも、キミを心配してきたんだよ?」

 

「胡散くせぇ事この上ないな。明日はラグナロクでも起こるのか?」

 

時間が進み、面会室で俺と話をしているのは、アグネスタキオン。普段から周りの人間(主に元自分のトレーナー)を粗末に扱う畜生だと、俺は思っている。…そうでもねぇと、人を何十万色に光らせたり、効能も知らねぇ怪しさ満点の薬を飲ませたりはしねぇ。最早、マッドサイエンティストと言って差し支えないだろう。…ぜってぇ来る施設を間違えたろ、コイツ。そう思わざるを得ない奴だった。

 

「…兎も角、だ。私は生憎、キミに聞く事があってココに来たんだ」

 

「……聞く事だぁ?」

 

馴れ合いの会話をぶった切り、アグネスタキオンは雰囲気を一新し、真剣そのものの表情でこちらを見る。…コイツがここまで真剣になってる所なんて、初めて見たかもしれないな。何かと、掴みどころが無い奴でもある為、どこかゴールドシップ味を感じるが。

 

「…キミ、トレーナーを辞めると噂で聞いたんだが、事実かい?」

 

…あぁ、その事か。つーか、どっから噂になるまでに漏れたんだか。たづなさんや理事長は口が堅い方だし……マスコミのでっち上げか?いずれにしろ、出所は気になるな。後で、新聞なり読んでみるか。

 

「あぁ。そのつもりだ」

 

「……ッ」

 

俺が淡々とそう言うと、アグネスタキオンは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。……何だ?そんな事が、どうしてお前がそんな顔をする事に繋がる?……ダメだ、幾ら考えてもそれと言った答えが出てこねぇ。

 

「…世間の反応かい?キミを…そうさせたのは」

 

「…分からん。ソレもあるんだろうが…もっと多いだろうな、辞める決断をした原因は」

 

「……キミは、変わってしまったね」

 

「そらそうだろうよ。あんな事になったんだ、変わらねぇヤツがいるのかって話だ」

 

「……ッ!!」

 

まただ。また、皮肉が零れる。いい加減、皮肉を言わないように脳から信号を出してくれねぇもんかね。…それとも、俺自身が心の何処かで自分を蔑んでるんだろうか。

 

…と、思考に明け暮れそうになった時だった。ドンッ!!と、大きな音が鳴る。向かいの対面室からだった。その音の正体を探るべく、そちらに目をやる。……おいおい。お前かよ、マッドサイエンティストさんよぉ。

 

「…お前、物に当たんなよ。病院の物壊したら、弁償せにゃならんだr『ふざけるなッ!』」

 

「キミは…そんな人間ではないッ!自身を低く見る人間ではあれど、夢を嘲笑うような人間ではないッ!!」

 

「…お前の力説なんて、初めて聞くな」

 

「キミが悪いんだろう!!それに!キミがそこまで飄々としていられるのも、理解できない!何故!誰かを憎んだりしないッ!!」

 

 

 

──…何故、自分で全て解決してしまうんだ……ッ!

 

 

 

「…………」

 

その言葉に、俺は何も言い返す事が出来なかった。……仕方ねぇだろ。誰かのせいにして、何になる。実際、どこの誰が悪い。俺の夢が叶わなかった事に対して、誰が悪いなんて、言えないだろ。

 

そりゃぁ、俺だって誰かのせいにして気持ちを緩和したいさ。……だが、ごねて、何になる。お前達学生がごねるならまだしも、いい歳した大人が「夢が叶わなかった!アイツらのせいだ!」なんてごねてみろ。バカじゃねぇか。クズじゃねぇか。

 

 

 

──…どうしたら、良かったんだよ。俺は。

 

 

 

この言葉以外、俺は言葉を発する事が出来なかった。

 




はい、いかがだったでしょうか。

こんな感じで、大体1話毎に1~3人程度と面会していく事になります。暫く、似たような話の展開になりますが、ご了承を。後、毎度の事ながら投稿が遅れています事を、お詫び申し上げます。

では、ご精読ありがとうございました。
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