どうやら俺はたくさんの世界に転生するらしい【完結】   作:夜紫希

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作者から一言。


―――「明らかに一人違うんだわ」


連続問題で絶対に動揺してはいけない24時!

【問題】

 

『第二次世界大戦でドイツ軍が得意とした爆撃、機甲師団の連携による戦術を何でしょう』

 

 

楢原 大樹の答え 「電撃戦」

 

先生のコメント 正解です。相変わらず歴史などの教科は強いですね。

 

 

宮川 慶吾の答え 「超大虐殺」

 

先生のコメント 戦術名を答えてください。

 

 

原田 亮良の答え 「スーパーキングボルトファイア」

 

先生のコメント 適当過ぎる解答も控えてください。

 

 

室戸 菫の答え 「ゾンビアタック」

 

先生のコメント 戦争でゾンビは出て来ていません。

 

 

________________________

 

 

「―――このクソォ!!」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

尻を叩かれながら紅蓮の炎の中を駆け抜ける。先程まで普通の廊下だったはずなのに、おかしいだろ!

 

新しい服は燃え尽き、パンツだけになってしまう主人公。火災の原因は目の前に居る敵のせいだ。

 

 

「やっふうううううゥゥゥ!!」

 

 

ランタンを持ったカボチャのお化けが道を邪魔している。そう———コミュニティ【ウィル・オ・ウィスプ】、ジャック・オー・ランタン。

 

ウィラ=ザ=イグニファトゥスの大傑作ギフトと呼ばれる不死の怪物。到底、常人が相手にできるわけがない。

 

 

「こんのッ!!!」

 

 

とっくに大樹は『常人』の枠から外れているが。

 

全てを灰にする火炎程度じゃ大樹には無力。炎の中を突き進み、ジャックの頭を掴んだ。

 

 

「【神爆(こうばく)】!!」

 

 

「ちょッ―――!?」

 

 

そこまで本気になる!?という言葉は言えなかった。既に視界は白銀の世界へと飲み込まれてしまっていた。

 

大樹たちが戦うのは禁止されているが、彼らと戦うことは禁止されていない。その説明をされていない状態でジャックに遭遇したため、先手を取られてしまった。

 

だが、ここまでだと大樹は笑う。

 

 

ドゴオオオオオオオオォォォ!!

 

 

廊下が盛大に爆発するが、何かしらの恩恵が働いているのか窓しか割れていない。校舎に対してどんな恩恵を使っているというより、ジャックを校舎内に配置しているクレイジー運営に文句を言いたい。

 

ジャックを倒した大樹はその場で一息をつく。窓から飛んで行ったジャックがここに戻って来ることはないだろう。

 

 

「こ、この教室か? ジャックが守っていたのは……」

 

 

パンツだけになったが、問題の確保を先にするべきだろう。気配は無いが、横取りされる可能性だってある。

 

教室に入ると机が一つ。その上にはパネルが一枚置いてある。それに触れるとアナウンスが流れた。

 

 

『最初に問題を手に入れたのは大樹だな。それじゃあ―――って何で裸だ!?』

 

 

「蓮太郎か……え? まさか向うで中継されている感じ?」

 

 

ふと教室の後ろを見ればFクラスで見たモニターが設置されている。気まずい表情の蓮太郎を見て察する。

 

 

『……ああ』

 

 

「そうか……まぁ別にいいけど。ここに来る途中、燃やされたんだよ」

 

 

普通の人間は燃えたら死ぬ。器用にパンツだけ無事なのは大樹だけである。

 

蓮太郎にパネルをめくれと指示されたのでめくる。そこには問題が書かれていた。

 

 

【VS魔王アジ=ダカーハ。勝つのはどちらか予想する】

 

 

「いやちょっと待って洒落にならない」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

トチ狂っているとしか思えない問題内容に大樹は顔面蒼白。首を何度も横に振って駄目だと言っているが、

 

 

『……というわけで大樹には今から魔王アジ=ダカーハと戦って貰う。黄色チームはどちらが勝つか予想してくれ』

 

 

「待ってよおおおおおおおお!!!」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

既にポイントを獲得しても±0まで動揺している大樹。パンツ一丁の規格外が更なる規格外に挑むゲームに同情するしかない。

 

しかし、優子は違った。

 

 

『負けるわけないわ。だってアタシの……』

 

 

頬を赤らめて、恥ずかしそうに告げる優子に、大樹の心は変わる。

 

 

『だ……旦那様……だもんッ……』

 

 

「来いよ魔王。もう一度お空の星屑(ほしくず)にしてやるからよ」

 

 

『……自分で言ったけど、やっぱり大樹君チョロイわよ』

 

 

人類最終試練(ラスト・エンブリオ)だろうがローストビーフだろうが関係無い。全員叩きのめす。

 

アジ=ダカーハでもミ〇ター(あじ)っ子でもかかってこい。まとめて相手になる。

 

……こうして大樹は別空間に飛ばされ、アジ=ダカーハと戦うことになったのだ。

 

世界崩壊級の戦いは、残念ながらカット多めである。

 

 

________________________

 

 

 

【問題】

 

『人が生きていく上で必要となる五大栄養素を全て書きなさい』

 

 

里見 蓮太郎の答え 脂肪、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル

 

先生のコメント お見事です。意外と博識なのですね。

 

 

西城 レオンハルトの答え 炭水化物、水、食欲、睡眠欲、性欲

 

先生のコメント 途中から欲求に変わっていることに気付いてください。

 

 

木下 優子の答え 脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、大樹

 

先生のコメント あなたが楢原君の影響を受けつつあることに心配し始めています。

 

 

楢原 大樹の答え 美琴、アリア、優子、黒ウサギ、真由美、ティナ、折紙

 

先生のコメント 木下さんの答えを見た後、そんな気はしていました。

 

 

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「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……!」

 

 

息を荒げながら廊下をズンズン進む原田。彼の服はびしょびしょに濡れており、散々な事になっているのは見て分かる。

 

 

「ね、ねぇ? 本気じゃないでしょ? 遊びで水を大量に流しただけだから、ね?」

 

 

「廊下に激流をぶちかますのが遊びか……ほう」

 

 

涙目で震えた声を出すのは水の女神(笑)のアクアだった。彼女はこちらに走る原田に向かって滝のように水をぶつけたのだ。

 

最初はゲラゲラと女神あるまじき爆笑を見せていたが、怒気を纏い水を蒸発させた原田に戦慄することになった。

 

 

「反省するわ。ごめんなさいして仲直り―――」

 

 

「激流が遊びなら……ちょっとのことは大丈夫だろぉ……!」

 

 

「あああああ待って! 調子に乗った私が悪かったから止めて! お願いだから出番が全くなかったとかもう気にしてないから止めてぇ!!」

 

 

―――原田は容赦無く、アクアを窓から投げ出した。時速九十キロ。距離にして二キロ。水の女神が大好きな湖に向かって投擲した。

 

 

「……この部屋か」

 

 

水浸しになった部屋へ入ると、中には一つの机が置かれている。机の上に置かれているパネルが問題なのだろうと推測する。

 

 

『……次に問題を手に入れたのは原田だな』

 

 

やけにテンションが低い蓮太郎の声。教室の後ろにはモニターがあるが、様子がおかしい。

 

 

「どうした? 次ってことは最初じゃないのか」

 

 

『……最初は大樹が手に入れた。人類最終試練(ラスト・エンブリオ)って奴と戦っているんだが……』

 

 

「問題ってそんなに難易度高いのか!?」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

ゲームしているだけなのに世界を救おうとしている奴が居る。それがビックリで仕方ない。

 

まさかと俺もか!?と原田はふと思い、パネルを急いでめくる。

 

 

【狙撃】

 

 

「——————は?」

 

 

たった二文字。簡単な言葉だけが書かれていた。

 

しかし、身体能力の高い原田はすぐに自分が狙われていることを察する。

 

 

ガキュンッ!!

 

 

間一髪。服を脱ぎ捨てて防御に使った。銃弾は服を貫通し、原田は逃げることに成功。

 

 

『今から十分間、狙撃手がお前を狙うから全力で逃げてくれ』

 

 

「くっ、大樹よりマシか」

 

 

魔王と戦うより百万倍マシな条件に原田は口元を緩ませる。しかし、モニターに映る狙撃手一覧に表情を歪ませた。

 

 

『今回の参加者はレキ、セーラ・フッド、ティナ・スプラウト、福山(ふくやま) 火星(ジュピター)、時崎 狂三、サトウ カズマ、大樹製作自動照準狙撃マグナムブラスターだ。最後は機械だが気にするな』

 

 

「気にする気にする気にするからなぁ!!??」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

―――難易度設定を明らかに間違えていると原田は確信した。

 

レキとセーラは狙撃の名手なのでまだ良し。ティナも火星(ジュピター)さんも全然許せる。だが精霊の力を持った奴と出番が一回しかなかった奴、そして大樹の置き土産はくたばれと思った。

 

 

『ここで全ての弾を避けることができたならポイント獲得だが……青チームはどう予想する?』

 

 

レオと七罪はお互いに顔を合わせた後、頷いた。

 

 

『『無理(笑)』』

 

 

『だそうだ……くっ』

 

 

「絶対に避けてやるからなぁ!!!」

 

 

嘲笑う奴らに原田は激怒。意地でも避けてやろうと本気を出す。

 

しかし、銃弾の雨、矢の雨、ビームの雨、特に大樹の製作した精霊の霊力を使った機械は原田の身を焦がしたのであった。無念。

 

 

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【問題】

 

味噌(みそ)に足りない栄養素と、それを補う為に味噌汁に入れると良い具材の例を挙げなさい』

 

 

リサ・アヴェ・デュ・アンクの答え ネギ、タマネギ、春菊(しゅんぎく)。ビタミンCが含まれる野菜など。

 

先生のコメント 完璧な解答です。楢原君以来の調理点数が高いです。

 

 

宮川 慶吾の答え レモン

 

先生のコメント 味噌汁には合いません。

 

 

西城 レオンハルトの答え ビタミン剤

 

先生のコメント 力技で解決せず、食材で答えてください。

 

 

楢原 大樹の答え 嫁の愛情

 

先生のコメント ロマンチックに答えても駄目です。点数の高かったあの頃の君はどこへ行ったのでしょう。先生は少しガッカリです。

 

 

 

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「フッ!」

 

 

ズシャズシャッ!!

 

 

地面から突き出される黒い槍を回避する慶吾。連続で繰り出される攻撃を紙一重で避けている。

 

敵対するのは【箱庭の騎士】と呼ばれた純血の吸血鬼―――レティシア=ドラクレア。

 

呼吸に合わせて攻撃を回避し続ける慶吾。しかし着実にレティシアとの距離を縮めていた。

 

 

「やるな! だが、これならどうだ!」

 

 

彼女の影から作られる攻撃の刃に慶吾は目を見開く。攻撃の勢いが更に増したのだ。

 

影の槍の数、一撃一撃の重み、強者による圧撃が慶吾を襲う。

 

 

「ッ!!」

 

 

しかし、慶吾もまた強者の一人だ。

 

 

ゴシャッ!!

 

 

無数の槍が慶吾の体に突き刺さる。痛みに顔を歪めることなく影の中に手を入れた。

 

不快な音と共に、何かを掴む慶吾にレティシアの表情が変わる。

 

 

(ギフトを掴んだ!?)

 

 

対して慶吾は不敵な笑みを浮かべた。

 

影の中に手を入れたまま、ブンッ!とそのまま腕を横に振るう。するとレティシアから伸びた影も曲がり、レティシア自身も動かされる。

 

よろめくレティシアに、慶吾は隙を逃さない。

 

 

ガチャッ!!

 

 

「—————」

 

 

一瞬。目を離しただけで、レティシアは慶吾の姿を見失った。

 

そして一瞬。後頭部に銃口を突き付けられていることを理解した。

 

僅か一秒にも満たない油断がレティシアの敗北へと(いざな)われたのだ。

 

 

「何をッ……したんだ……」

 

 

「言うと思うか?」

 

 

慶吾は告げる。銃口を更に強く突き付けながら。

 

 

「———本編が控えているのに、番外編で言うと思うか?」

 

 

レティシアは絶句した。メタい。

 

 

「……撃たないのか?」

 

 

「……いや」

 

 

慶吾は更にもう片方の手に銃を握り絞める。二挺拳銃をレティシアの後頭部に突き付けて、

 

 

「番外編で死んでも、本編には影響が無いと聞いた。覚悟して———」

 

 

ダッ!!!!

 

 

全速力でレティシアは逃げ出した。

 

銃を乱射して慶吾は逃がさないようにしたが、さすが箱庭の騎士。器用に弾丸を影に取り込んで抑えていた。

 

 

「チッ」

 

 

時間が惜しいと感じた慶吾は追いかけることはしない。教室の中に入り、置いてあるパネルを取ろうとする。

 

 

『意外と遅かったな。三人の中では最後だぞ』

 

 

蓮太郎の声が響く。アナウンスと共に、後ろのモニターに映像が出されていた。

 

あの最悪の二人より遅い事に苛立った様子を見せるが、

 

 

『まぁ一人は世界の命運が懸かるような奴と戦っているし、一人は弾丸のハチの巣になったから、一番ポイントが多い緑チームは多分大丈夫だろ』

 

 

「……………」

 

 

最早何も言うまい。「いつものことだ」と片付けていれば良い。

 

今手に触れているパネルがとても不安な気持ちにさせるが、めくらなければ始まらない。

 

動揺しなければ……この勝負は余裕で勝てるのだから。

 

 

【ポッキーゲーム VS安川(やすかわ) 刻諒(ときまさ)

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

さて、余裕とは一体何なのか?

 

貴族のような豪華な装飾品を身に着けた男。名古屋武偵男子校———【(フラト)】と呼ばれた最強武偵。

 

かつて大樹と共に世界を敵に回した仲間の一人。彼は堂々とポッキーを口に咥えながら入室。

 

 

「さぁ勝負だ! 軽く一箱分はできるぞ!」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

ダッ!!!!

 

 

超本気の全速力で慶吾は逃げ出した。

 

 

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【問題】

 

『幼い頃に親しくしていた人の事を何と呼びますか』

 

 

木下 優子の答え 幼馴染。

 

先生のコメント 正解です。

 

 

里見 蓮太郎の答え 社長

 

先生のコメント 違います。

 

 

楢原 大樹の答え 大切な存在だったのに、今では悪魔にしか見えません。

 

先生のコメント 何故感想を? それと何があったのですか?

 

 

宮川 慶吾の答え 元気にキャピキャピしている姿を見ると頭が痛い。

 

先生のコメント だから何があったのですか?

 

 

阿佐雪 双葉の答え 幼馴染。

 

先生のコメント (大樹と書かれた答えが消されていることには触れないで置きます)

 

 

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―――三頭龍の咆哮が轟く。

 

鼓膜どころか建物すら破壊する衝撃に大樹はビクともしなかった。まるで効いていない。

 

光輝く刀を横に振るう。音速を超える斬撃波が三頭龍の胴体を引き裂こうとしていた。

 

 

ザシュッ!! ドゴオオオオオオオオォォォ!!

 

 

最強の魔王は避けない。大樹の斬撃を正面から受け止めてニヤリと笑う。斬撃の余波で三頭龍の背後は何もかもが真っ二つになっているにも関わらず。

 

三頭龍の無傷に大樹は舌打ちをした。

 

 

「……何か強くなってねぇか?」

 

 

『無論。悪は潰えれば潰える程、(のち)に返り咲く。語り継がれる非道は伝説へと成る……英雄の話など人の心には残らん。恐怖による支配、残虐の数々の方が頭に残るのは道理』

 

 

「確かに。良い事は忘れやすいが、恐怖は絶対に忘れない。だけど、やっぱり駄目だな」

 

 

首を横に振りながら大樹は否定する。刀を両手に握り絞め、悪の魔王に立ち向かう。

 

 

「恐怖を乗り越えてこそ、人は強くなる。全員がいつまでも臆病なままでいると思うなよ!」

 

 

『ククッ、クッックックッ……そうだ、そうだ。我が(しかばね)を踏み越えし英雄は、他とは違う』

 

 

―――魔王アジ=ダカーハは、超越(ちょうえつ)する。

 

最強の英雄に牙を立てる。その体に恐怖を刻む為に、心を打ち砕く為に、挑戦させる。

 

人類最終試練(ラスト・エンブリオ)の魔王として、絶対悪を討ち倒す最強の為に、魔王は覇者となる。

 

 

ドクンッ……!

 

 

三頭龍の白い体が真紅の色へと染まる。血よりも赤い、紅の肌へと。

 

 

『……………一つ聞こう』

 

 

「何だ?」

 

 

魔王の問いは、簡単な物だった。

 

 

 

 

 

『———何故裸なのか』

 

 

「うるせぇ黙れ殺すぞボケナス馬鹿野郎」

 

 

 

 

 

英雄が残っている装備は土で汚れたパンツのみ。伝説の鎧とか要らないから。

 

服を燃やされた後にここに飛ばされたのだから仕方ないだろう。服を生成する時間も無いまま戦闘になったのだから。

 

 

「じゃあ着ていいか?」

 

 

『……早急にな』

 

 

アジ=ダカーハの許可を得た俺は服を着る。ただし、着るのはTシャツではない。

 

―――最強の服だ。

 

 

「ありがとよ、【制限解放(アンリミテッド)】」

 

 

『ッ!?』

 

 

白銀の着物に身を包み、緋色の長い帯を巻いた最強の鎧———神の衣を身に纏った。

 

既に逸脱した常軌から更に逸脱する力。規格外へと進化する。

 

 

「【神装(しんそう)光輝(こうき)】!!」

 

 

―――英雄は再び、伝説を作ることになる。

 

 

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【問題】

 

『物体Aを燃やすと二酸化炭素と水が発生しました。物体Aを答えなさい』

 

 

楢原 大樹の答え 有機物

 

先生のコメント 一瞬あなたの名前を見ただけでバツを付けようとしました。正解です。

 

 

原田 亮良の答え 情熱

 

先生のコメント この解答は嫌いじゃないです。

 

 

西城 レオンハルト アナコンダ

 

先生のコメント 『物体A』は『アナコンダ』の『A』ではありません。

 

 

安川 刻諒の答え とりあえず大樹君

 

先生のコメント どんな信頼の仕方をしているのか見当も付きませんが、『とりあえず』の使い方を間違っています。

 

 

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「酷い目に遭った……」

 

 

銃弾と矢の嵐にボロボロになった原田。最初の三分は避けることができたが、大樹の置き土産が最悪過ぎた。精霊の力を弾丸にできるとかチート過ぎる。

 

 

「……ん?」

 

 

廊下を歩いていると、仁王立ちしている二人の影を発見する。

 

 

「光の使者、ガストレアブラック!」

 

 

「光の使者、ガストレアホワイト!」

 

 

黒と白の衣装に身を包んだ。彼らの正体は———!

 

 

「「二人はガスキュア!!」」

 

 

「—————うっ」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

一瞬、原田の呼吸が止まりかけた。

 

 

「闇の力の(しもべ)たちよ!」

 

 

―――白い衣装をフリフリの付いたドレスを着ているのは片桐(かたぎり) 玉樹(たまき)

 

 

「とっととお家に帰りなさい!」

 

 

―――黒い衣装を着ているのが薙沢(なぎさわ) 彰磨(しょうま)

 

二人が決めポーズを取って待ち構えていた。

 

ストレートに言おう。マジキツイ。ガストレアを相手するより何倍もキツイ。

 

 

「……何でオレっちたち、こんな衣装を着てんだろ」

 

 

「言うな。考えたら終わりだッ」

 

 

どうやら顔色が悪いのは原田だけではなかった。彼らもまた被害者だった。

 

サングラスを掛けた男とバイザーを被っている男。目の保養どころか目に攻撃を受けるレベル。

 

しかし、この場で一番の被害者は怒りで我を忘れかけていた。

 

 

「目が……汚れるだろうが……!」

 

 

「「あッ」」

 

 

原田から溢れ出す殺気に二人の〇リキュアは察する。これ死んだわと。

 

野太い二人の男の悲鳴が廊下に響き渡った。

 

 

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【問題】

 

『四大悲劇と呼ばれるシェイクスピアの戯曲(ぎきょく)を全て挙げなさい』

 

 

シャーロック・ホームズの答え ハムレット、リア王、オセロ、マクベス

 

先生のコメント 正解です。ですが名前は有名な探偵の名を使わず、自分の名前を書きましょう。

 

 

楢原 大樹の答え 原田、七罪、まさかの展開、南無三

 

原田のコメント おい。

 

 

原田 亮良の答え 慶吾、双葉、まさかの展開、南無三

 

慶吾のコメント おい。

 

 

宮川 慶吾の答え 楢原、結婚、まさかの展開、永遠の独身

 

大樹のコメント おい。

 

 

遠藤(えんどう) 滝幸(たきゆき)(バトラー)の答え 楢原ット、原田王、宮川セロ、ケツロケット千回

 

大樹・原田・慶吾のコメント

 

おk 表に出ろ。

 

 

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一方、慶吾は敵を倒して二枚目のパネルを手に入れていた。ポッキーゲームなんて無かった。

 

 

【三つの料理の内、一つを食せ!】

 

 

『説明は不要だな。文字通り、今から教室に三つの料理を運ぶ』

 

 

蓮太郎の言う通り、三つの料理が運ばれて来る。しかし、料理は箱の中に隠れており、見えないようになっている。側面に番号が張られているぐらいだ。

 

 

『まずは一番。料理製作者は———姫m』

 

 

「パスだ」

 

 

姫路 瑞希(みずき)という名前を聞く途中から首を横に振る慶吾。危険察知が早い。

 

 

『そ、そうか……二番目の料理は———姫路が』

 

 

「ちょっと待て」

 

 

まさかの二回目。慶吾はストップをかける。

 

 

「どういうことだ?」

 

 

『……一番目の料理は姫路が目隠しで作った鍋。二番目は姫路が選んだ食材をミキサーにかけて作ったジュースなんだ』

 

 

「……………まさか」

 

 

『三番目の料理は……その……姫路の自信作らしい……』

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

―――究極完全的に詰んでいた。

 

どれを選んでも毒物を口にすることになる。大樹すら死に追いやると呼ばれる地獄の料理に慶吾は顔面蒼白。これが本当の『デッド・オア・デッド』。

 

このパネルを入手した時点で、彼の死は確定していたのだろう。

 

尻の痛みに顔を歪めながら、僅かな可能性を探ろうとする。

 

もし生き残ることのできる可能性があるのなら、目隠しなのではないか? 食材を適当に鍋に入れた『闇鍋』なら何とかなるのでは?

 

 

「……一番」

 

 

『……………本当に良いのか?』

 

 

―――宮川 慶吾、恐怖で息が止まりそうになる。

 

蓮太郎の表情は硬いどころか怖い。それを選んでしまえばバッドエンドに行きそうなくらい嫌な予感をさせていた。

 

ならばと慶吾は番号を変える。

 

 

「二番、に……する……は?」

 

 

モニターを見ていた慶吾の体が凍る。そこに映っていたのはミキサーだった。

 

ただし、それはドロドロに溶けて壊れたミキサーだ。

 

 

『……二番のジュースは特殊な素材で作られたコップに入れてある』

 

 

―――料理で器具が溶ける事案はテロと変わらない。むしろ化学兵器を作っているのでテロだ。

 

一番はヤバい。二番もヤバい。三番は決定的にヤバイというのに人生終わっている。

 

慶吾は考えることを放棄する。精神が耐え切れないと確信したからだ。

 

 

「……三番。三番にしてくれ」

 

 

『……………ああ』

 

 

蓮太郎は言わない。三番目の料理が最も危ないことを。

 

運営に指示されたのだ。三番の料理を食べさせるように。だから、仕方ないことなのだ。

 

三番目の料理。箱を開けると―――死と絶望と闇を混合させた物体が皿の上に置かれていた。

 

見た目は『楽園』と答えておこう。そう表現するしかない。逆にどう表現すればいいのか分からない。

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

匂いは素晴らしい。どうやら鼻は一瞬で殺されたようだ。

 

 

『……異世界の食材を贅沢に全てを使った料理の一品だ』

 

 

蓮太郎の言葉に鳥肌が止まらない。絶対にヤバイ。

 

皿の横には腐敗しかけた紙切れが一枚。そこには料理に使われた材料が書かれていた。

 

 

『魔術書三冊、火薬百グラム、濃塩酸少々、濃硝酸少々、水樹の苗一本、CAD一機、マカロン三つ(室戸医師提供)、飴玉(あめだま)、梅酒』

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

―――もう意味が分からない。

 

半分以上が食材じゃない件について。本をぶちこむ料理など聞いたことがない。火薬は調味料ではない。塩酸と硝酸で王水が完成している。水樹の苗は箱庭の恩恵で食い物ではない。CADに関しては機械物。室戸医師から提供されたマカロンは絶対に死体から出て来た物。唯一飴玉と梅酒だけが食材とは言えないがまとも食材だ。

 

 

『……どうやら姫路は全てが異世界の食材だと信じているせいで、こんな酷い事になったようだ。一番も二番も酷いが』

 

 

「……ゲームの辞退は?」

 

 

蓮太郎は泣きそうな顔で首を横に振った。

 

慶吾は絶対に口にしようとしない。するわけがない。自分から自殺するような行為を行うわけがない。

 

しかし、慶吾の手は動いていた。皿へと手を伸ばしている。

 

 

「ッ!?」

 

 

『めんご』

 

 

「め、冥府神ッ……貴様ぁああああああああ!!!」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

―――この日、尊い命が散ると同時に、新たな勇者が誕生したのであった。

 

蓮太郎は語る。恐らく、アレは人が世界の中で一番むごい死に方だと。

 

人に殺されるよりも、ガストレアに食われるよりも、絶望の中に立たされるより、一番酷い死に方だろう。

 

 

『……大樹級にヤバいパネルだった』

 

 

蓮太郎の言葉は、もう慶吾の耳には届かない。

 

 

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【問題】

 

『次の英文を過去の文にしなさい。 I live in Tokyo.』

 

 

木下 優子の答え I lived in Tokyo.

 

先生のコメント 正解です。過去形を使った言い方の他に『I used to live in Tokyo.』も正解です。簡単でしたね。

 

 

原田 亮良の答え I live in Edo.

 

先生のコメント 東京の過去が江戸だったと伝えたいわけじゃありません。

 

 

吉井 明久の答え I live in Meizi.

 

先生のコメント そういうことじゃありません。

 

 

原田 亮良の二度目の答え I live in Naniwa.

 

先生のコメント 難波(なにわ)は大阪です。

 

 

吉井 明久の二度目の答え I live in Earth.

 

先生のコメント 地球で原点に戻らないでください。

 

 

 

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―――魔王の一撃はまさに黙示録(もくしろく)の一ページに刻まれる規模だった。

 

咆哮すれば山は吹き飛び海は荒れる。死の産声が次第に聞こえるだろう。

 

竜の鉤爪(かぎづめ)が振り下ろされれば大地は裂け、雲は割れる。世界崩壊の足音が近づくのを耳にするだろう。

 

そして魔王の姿を目にすれば最後。明るい光を放っていた命の(ともしび)は掻き消えるだろう。

 

誰も勝つことが許されない。前に立つ事すら不可能とされる魔王に、一人の男は確かに立っていた。

 

 

『―――ガァアッ!!!』

 

 

三頭龍の(あぎと)が喰らい付こうとする。天地を食い砕く、獰猛(どうもう)な牙が遂に向けられた。

 

 

ドゴッ!!!

 

 

『ゴガッ……!』

 

 

その咢に怯むことも、臆することも無く、英雄は拳を下から空へと上げた。

 

 

ドゴオオオオオオオオォォォ!!

 

 

音が遅れて響き渡る。三頭龍の体は浮き、無防備な体を晒すことになる。

 

 

「【無刀の構え】」

 

 

魔王の一撃は山を砕く。だが英雄の一撃は―――

 

 

「【神殺天衝(しんさつてんしょう)】!!」

 

 

―――星々を砕く流星だ。

 

 

ドゴオオオオオオオオォォォ!!!!

 

 

『グゥウウウウウウッ!!??』

 

 

魔王の強靭(きょうじん)な肉体は簡単に(へこ)み、(はる)か後方へと吹き飛ばされる。

 

大樹の放った一撃に苦しむ三頭龍。人の体から自分とは桁違いな力を持っていたことに再度驚くことになる。

 

―――そうだ、この力に自分は敗北したのだ。

 

三頭龍はあの敗北からここまで這い上がって来た魔王なのだ。これがくだらないゲームの一部だとしても、三頭龍は二度目の敗北を許さない。

 

 

『フンッ!!』

 

 

息を噴き出すと同時に力を解放する。飛ばされた体は停止し、両腕を広げる。

 

紅い肌が更に赤く、赤く、黒に近い色へと染まる。赤黒い体に変貌していた。あの白い肌の面影はどこにもない。

 

悪行を為すことを目的とし、暴威を振るう為に生み出された魔王なのだ。

 

 

『【アヴェスター】起動―――相克(そうこく)して廻まわれ……!!』

 

 

(疑似創星図(アナザー・コスモロジー)】か!)

 

 

一度使用されたことのある大樹は察する。同じ口実に遠くから身を構える。

 

しかし、大樹の予想は糸も簡単に裏切られる。最悪な方向へと(こま)を進められるのだ。

 

火を尊び崇拝する『拝火教(ゾロアスター)』の加護を受けた絶対悪の炎は、神すら灰にする。

 

その炎が、更なる進化を遂げて爆誕する。

 

 

『【疑似創星図(アナザー・コスモロジー)崩壊終焉(カラプスエンド)】!!』

 

 

―――紅き三頭龍から放たれた獄炎。その地獄の業火は世界を包み込んだ。

 

 

________________________

 

 

 

【問題】

 

『ゾロアスター教が偶像の代わりに神聖視している礼拝の対象を答えよ』

 

 

楢原 大樹の正解解答 火。

 

 

 

原田 亮良の答え 刀。

 

大樹のコメント ワンピー〇ちゃうぞ。

 

 

宮川 慶吾の答え ……幻影の覇者?

 

大樹のコメント ……ああ、ゾロ〇ークか。いやポ〇モンも違うから。

 

 

西城 レオンハルト 機動戦士ガ〇ダ―――

 

大樹のコメント ゾ〇アットでもねぇよ! よく古いの知ってんな!

 

 

________________________

 

 

 

汚いプリ〇ュアを消毒(物理)した後、原田はパネルに置かれている教室に着いた。

 

まだ整わない呼吸で、息を荒げながらパネルを手に取る。

 

 

【サイコロ拷問】

 

 

「もうやだ……このゲーム、一番辛い……!」

 

 

泣きそうな声で顔を隠す原田。それでもゲームは続いてしまうのだ。

 

 

『ゲーム内容の発表だ。今から七罪にサイコロを一回だけ振って貰う。出た目の拷問を受けて貰うから覚悟してくれ』

 

 

原田は祈った。それもう祈りに祈りを捧げるくらい祈った。大樹の命を差し出すから助けてくれとも願った。

 

お願いだから優しくしてくれ。お願いだから生きさせて。

 

……まぁそんな願いが通じていたら、今までこんな悲惨なことにはならないだろうけど。

 

 

《1.ビリビリ! 結構痛いよ電気椅子!》

【インドラの槍】の電撃を拷問に活用することのできた画期的な電気椅子。極上の拷問を味わうことができます。ドM歓喜。

 

《2.アツアツ! マグマおでん》

五河 琴里製作のおでん。摂氏1200度を維持したまま食べれるおでん。これでリアクション芸人も、更なる人気間違いなし。

 

《3.絶対零度ツイスターゲーム》

白夜叉の協力の元、マイナス273℃の四色サークルマットの作成に成功。一度でも手か足を置くと二度と外れないので気を付けてプレイしてください。

 

《4.インデックスの禁書目録読書会》

インデックスが様々な本を音読します。今回の内容は禁書目録。聞くと普通に死にます。

 

《5.破滅の檻》

十分間、現在戦闘中の楢原 大樹と魔王アジ=ダカーハの世界にあなたを投げ入れます。(たわむ)れるのも良し、逃げるのも良し。しかし運営は一切の責任は取りません。

 

《6.スペシャル!》

拷問回数が一つ増えます! やったね!

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

―――まだ本物の地獄に落ちた方がマシだった。

 

地獄以上の絶望な内容に原田は涙をボタボタと流す。【インドラの槍】なんて大樹みたいにホイホイ受けて良い程、生温い威力じゃない。おでんに関しては口どころか体まで溶ける。絶対零度は凍って二度と動かなくなる。インデックスの音読は殺意が一番高い。普通に死ぬのか。破滅の檻は本気で死ぬだろう。というかまだ戦っているのか。最後は絶対に出してはいけない目だった。

 

 

「頼む七罪! 6以外……6以外じゃないと……死ぬッ!!」

 

 

『どれでも普通は死ぬからね!?』

 

 

驚きの声を上げているが原田の耳には届かない。必死に神へと祈りを捧げている。

 

蓮太郎にサイコロを渡される七罪の表情は硬い。しかし、六分の一を早々出すことは無いと首を横に振り、勇気を振り絞って(さい)を投げた。

 

 

―――当然、結果は『6』が出る。

 

 

「びゃあああああああああああああああああッッッ!!!」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

―――壊れた悲鳴を上げた。

 

彼もまた、地獄へと落ちて行くのだった。

 

 

________________________

 

 

【なぞなぞ問題】

 

『何も考えずに穴の下に居ると、何が見えるでしょうか?』

 

ヒント 何も考えないことを漢字で表すと?

 

 

阿佐雪 双葉の答え 窓

 

先生のコメント お見事です。何も考えない=無心=ムシン=『ム心』が『穴』の下に来ると『窓』という漢字になりますね。少し意地悪な問題でした。

 

 

楢原 大樹の答え あ た ま の わ る い ひ と

 

先生のコメント 鏡でも見ているのでしょうか?

 

 

原田 亮良の答え 拷問を受けた後なら自殺願望が見えて来ます。

 

先生のコメント 拷問を受けていませんし、見えてはいけません。

 

 

宮川 慶吾の答え そこはきっとゲロ袋

 

先生のコメント 吐かないでください。

 

 

吉井 明久の答え 穴

         無

         心

 

先生のコメント 力技で来ましたか。もう少し頭を柔らかくすれば見えていたかもしれないですね。

 

 

西城 レオンハルトの答え 穴無神

 

先生のコメント 宗教を不用意に増やさないでください。

 

 

土屋(つちや) 康太(こうた)の答え アナ ル

 

先生のコメント あとで職員室に来るように。

 

 

 

________________________

 

 

 

「……………」ピクピク…ピクッ……

 

 

―――宮川 慶吾は未だに倒れたままだった。

 

 

 

________________________

 

 

 

【問題 前編】

 

『楢原 大樹が女性との付き合いが下手な理由を答えなさい』

 

 

 

大樹「問題絶対おかしいだろ!?

 

 

 

御坂 美琴の答え 大樹は基本的に奥手。何かきっかけが起きるか、こちらから進めないと大樹は動かない。わたしたちを傷つけたくないという思いは立派であるが、慎重すぎるがゆえに―――

 

大樹のコメント 真面目に答えられてる!? ちょッ!? 本気でやめて!

 

 

神崎・H・アリアの答え 普段は女の子の前では良い所を見せようとするクセに、近寄ろうとすると距離を取るクセがあるのが問題ね。優しい仕草を見せているは、もしかしてわざと?

 

大樹のコメント 心がえぐれるぅ! 羞恥で存在が消えそうになるんだけどぉ! 違うの! ちょっと意識して恥ずかしくなっただけだから!

 

 

木下 優子の答え じゃあ最初に駄目な男を演じているのもわざと? 助けられた時に心を奪われてしまうのは、計画通りだったというの?

 

大樹のコメント さりげなく『心奪われた』って言うのやめて! 俺もちゃんと奪われているから! 世界の命運より君たちをずっと見ているから! もうこれでいいですか!

 

 

黒ウサギの答え 大樹さんがそんな器用な人に見えますか?(笑) 黒ウサギたちは大樹さんだからこそ、惚れたのですよ?

 

大樹のコメント あああああああああもおおおおおおおおおッ!!! 可愛いなおい!

 

 

________________________

 

 

 

魔王の業火は世界を灰にした。

 

文字通り、見渡す限り炎で埋め尽くされた世界が視界一杯に広がっている。生き物一匹、生きることを許されない世界へ変貌したのだ。

 

三頭龍の赤黒い体は未だに燃えている。黒い炎が身を包み込み、溢れ出る力を抑えきれず、持て余してしていた。

 

しかし、三頭龍の肉体には大きな傷があった。右肩から左脇腹にかけて斬られた傷がある。

 

 

『……フム』

 

 

三頭龍の首はそれぞれ別の方向を向いている。魔王はまだ探していた。

 

 

「―――上だよ馬鹿野郎」

 

 

『ッ!?』

 

 

ガギンッ!!

 

 

咄嗟(とっさ)の判断。頭上から聞こえた声にアジ=ダカーハは瞬時に防御態勢を整えた。両腕を交差して大樹の刀を受け止める。

 

しかし、攻撃は予想より何倍も重かった。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

三頭龍の足元に巨大なクレーターが生まれる。地面が大きく割れ、少しばかり足は地に埋まっていた。

 

一切合切の刃を通さない鋼のような腕がミシミシと嫌な音を立てている。刀が腕を斬り落とそうとしているのだ。

 

 

「オラァッ!!!」

 

 

ゴッ!!

 

 

『ぐッ!?』

 

 

刀を受け止めることに集中していたせいか、大樹の横蹴りに反応が遅れた。三頭龍の真ん中の首が九十度に折れ曲がる。

 

決定的な一撃には程遠い威力だが、三頭龍の見せる一瞬の隙が生まれた。

 

 

ズシャッ!!

 

 

生々しい音が響き渡る。三頭龍の左腕が切断されたのだ。だが左腕を犠牲にすることで右腕の切断は逃れる。

 

血の付いた大樹の唇がニヤリと笑う。だが三頭龍もまた、反撃の時を逃さない。

 

 

『ガアァッ!!』

 

 

「チッ!!」

 

 

左右の首が大樹を向き、龍の口を大きく開く。大樹を噛み潰すには距離が少し開いているが、全く関係なかった。

 

三頭龍の口の中には闇のような黒い炎が灯っていた。大樹に向かって吐き出そうとしていたのだ。

 

 

(避けれないッ……!)

 

 

アジ=ダカーハの牙を警戒したことが(あだ)となった。距離を僅かに開いていたせいで(あぎと)に攻撃を叩きこむこともできない。

 

回避不可。攻撃は間に合わない。ならばと大樹は刀に神の力を注ぎ込む。

 

 

ドスッ!! ドゴオオオオオオオオォォォ!!

 

 

大樹は持っていた刀を投擲。三頭龍の右の首に突き刺さり、そのまま闇の炎を誤爆させた。

 

三頭龍の左の口から遂に闇の炎が放たれる。

 

 

ギュォオオオオオオオオッ!!!

 

 

凝縮された力は光線のように放たれた。黒色の炎は大地を絶望の地へと染め上げるだろう。

 

 

「―――ハッ」

 

 

強大な力を前にしても、英雄から笑みが消えることはない。

 

 

「【神銃姫・火雷(ホノイカヅチ)】!!」

 

 

黄金の長銃を握り絞めて迎え撃つ。

 

 

「【神雷弾(しんらいだん)】!!」

 

 

ドゴオオオオオオオオォォォッ!!!

 

 

銃口から放たれた一発の弾丸。宇宙すら貫く矛へと成った。

 

二つの力がぶつかる。神の奇跡すら超越した力に、悪魔すら泣き喚く恐ろしい力に、両者は一歩も譲らない。

 

 

「おおおおおおおおおおおおォォォォ!!!」

 

 

『オオオオオオオオオオオオォォォォ!!!』

 

 

世界のバランスをひっくり返してしまうような爆発が、両者を包み込んだ。

 

 

 

________________________

 

 

 

【問題 後編】

 

『大樹という言葉を使って楢原 大樹がここまで女の子に手を出さない理由を答えなさい』

 

 

 

大樹「だからおかしいだろ!?

 

 

 

七草 真由美の答え ヘタレ大樹君。

 

大樹のコメント 一言でまとめられた!? ごめんなさいねヘタレで!

 

 

ティナ・スプラウトの答え 大樹さんとの身長差があるせいかと。

 

大樹のコメント どちらかというと年齢だわ。

 

 

ティナ・スプラウトの二度目の答え ……アリアさんよりはナイスバディになりますよ。

 

大樹のコメント 頼むから本人の前では言わないでね。

 

 

鳶一 折紙の答え 私たちの持つ大樹力が不足しているため。

 

大樹のコメント また新しい用語を……ホント作るやめて? 恥ずかしいから。

 

 

御坂 美琴の答え 大樹力が足りないかもしれない。

 

神崎・H・アリアの答え 大樹力不足。 

 

木下 優子の答え 大樹力が無いせいね。

 

黒ウサギの答え YES! 大樹力ですね!

 

 

大樹のコメント なんで君たち普段から使っているような感じで解答してるの!?

 

 

________________________

 

 

 

『―――次は黄色だ』

 

 

「う、う、動けぇええええ!! 俺の右手あああああああ!!!」

 

 

絶対零度ツイスターゲーム、なう。

 

 

________________________

 

 

 

【問題】

 

『「シンプルさは究極の洗練である」で有名な言葉を残したイタリアのルネサンス期を代表する史上最高の芸術家の名を答えなさい』

 

 

リサ・アヴェ・デュ・アンクの答え レオナルド・ダ・ヴィンチ

 

先生のコメント 正解です。彼の名は有名でありますが、彼の残した言葉は世間にあまり知られていないようです。

 

 

吉井 明久の答え モナリザ

 

先生のコメント 惜しいッ。それは彼が描いた絵です。正しくは『モナ・リザ』です。

 

 

原田 亮良の答え ダ・ヴィンチちゃん

 

先生のコメント 馴れ馴れしい上に性別も違います。

 

 

楢原 大樹の答え もしかしたら俺

 

先生のコメント 違うと断言します。

 

 

________________________

 

 

 

「……………」ピクピク…ピクッ……

 

 

―――宮川 慶吾は未だに倒れたままだった。

 

 

 

________________________

 

 

 

【問題】

 

『あなたが思う歴史史上最強の人物を答えなさい』

 

 

 

ほぼ全員の解答 楢原 大樹

 

 

大樹のコメント あ、うん……

 

 

 

 

________________________

 

 

 

「………………ごふッ」

 

 

血を吐き出しながら片膝を地に着く。目の前に居るアジダカーハも両膝を着いていた。

 

互いに重傷を負う程のぶつかり合いだった。一帯は終焉と呼べるほど死んだ大地へと変わり果てている。

 

 

(心臓はまだ動いている……下手すれば死んでいたな……)

 

 

【神装・光輝】が身を守ってくれなければ敗北していただろう。体の骨は何本か折れているが、まだ生きている。

 

一方、三頭龍の方も無事ではない。強靭な体はボロボロになっており、両腕は無くなっている。大樹より重傷に見えた。

 

 

『……………二度目の敗北は———』

 

 

「あ?」

 

 

ゴシャゴシャッ!!

 

 

不気味で不快な音を立てながら三頭龍の方が(うごめ)く。体中に赤い光の線が走る。

 

 

『―――ありえない』

 

 

バシュンッ!!!

 

 

両肩から放出する赤い閃光。辺りを()ぎ払うように弾け飛んだ。

 

腕で顔を隠しながら衝撃に耐える。風圧は凄まじく、気を緩めれば飛ばされそうになる。

 

 

『我が屍を踏み越えし英傑よ! 再び絶対悪の御旗を掲げる魔王を、討ち倒して見せよ!!』

 

 

赤い閃光は収束して三頭龍の巨腕へと変わる。頭上には『拝火教(ゾロアスター)』の象徴とされる爆炎が広がった。

 

三頭龍の咆哮と共に炎は一点に収束する。人類未来を終わらせる最後の炎と化す。

 

 

「【神刀姫】」

 

 

対する英雄は銃を直して二本の刀で挑む。

 

黄金色のオーラを身に纏った大樹は静かに歩みを進める。

 

 

「二刀流式、【神花(しんか)桜雲(おううん)の構え】」

 

 

刀を下に向けて魔王を睨み付ける。逃げることは絶対に無い英雄の姿に三頭龍は迎え撃つ。

 

人類史の全てを白紙に返す―――世界を灰にする一撃だ。

 

覇者の光輪(タワルナフ)】を越えた正真正銘、三頭龍の持つ最強で最後の一撃。

 

 

 

 

 

『―――【覇王の陽炎輪(カタストローフェ)】!!!』

 

 

 

 

 

 

絶対悪の名の下に振り下ろされた怒りの鉄槌(てっつい)

 

崩壊した星(ブラックホール)すら消滅させる極超新星(ハイパーノヴァ)の如く、降り注ぐ獄炎の一撃に大樹は一歩も後ろに下がることはない。

 

握り絞めた刀、己の持つ力、人の可能性まで。

 

全てを救うと決意し、全てを信じた英傑の一撃は人類の誰よりも重かった。

 

 

 

 

 

「―――【桜刀(おうとう)神斬(しんざん)】!!」

 

 

 

 

 

正義ではなく、悪でもなく、大樹という名の下から放たれた一撃。

 

その刀から放たれた黄金色の一撃は魔王の一撃を軽々と包み込んだ。

 

神々しい光は世界だけじゃなく、闇の宇宙すら包み込む。

 

永遠に届くことのないブラックホールの先まで、人類史の未来まで。

 

どこまで―――きっと光は届くだろう。

 

 

ザシュッ!!!!

 

 

「これで、俺の勝ちだ」

 

 

『―――――見、事だ……』

 

 

―――大樹の握り絞めた刀は、三頭龍の体を引き裂いた。

 

 

________________________

 

 

 

【問題】

 

『耐久競技トライアスロンの三種目を答えなさい』

 

 

里見 蓮太郎の答え 水泳、自転車ロードレース、長距離走

 

先生のコメント 正解。アメリカで初開催された比較的新しい競技でした。

 

 

原田 亮良の答え 走る、疾走、失踪

 

先生のコメント マラソンです。最後は逃げています。

 

 

吉井 明久の答え 雑魚戦、中ボス、魔王

 

先生のコメント RPGとは全く関係ありません。

 

 

________________________

 

 

 

バチバチッガシャアアアアアアアン!!!

 

 

「アババババババババッ!!??」

 

 

電気椅子に座った原田は震えた声で悲鳴を上げていた。電気というより雷だった。

 

しかし、意外と平気な顔をしている。全身しもやけするより余裕があった。

 

 

『……原田。悪いが悲報だ。時間は十分も続くらしい』

 

 

「アバァ―――――――――――!!??」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

________________________

 

 

 

【問題】

 

『幸せの象徴とされる四つ葉のクローバーには誠実、希望、幸運、愛と葉の一枚一枚に意味が込められていると言われています。では「五つ葉のクローバー」に込められた「花言葉」を答えなさい』

 

 

里見 蓮太郎の答え 財運、経済繁栄(はんえい)

 

先生のコメント お見事。正解です。希望、健康、知恵、愛、財運の意味が込められており、百万分の一の確率で見つけることのできるクローバーだそうです。

 

 

藍原(あいはら) 延珠(えんじゅ)の答え 貧乏から金持ちになる一手だと蓮太郎が必死に探し―――

 

先生のコメント 深くは尋ねません。

 

 

西城 レオンハルトの答え 悪魔

 

原田 亮良の答え 悪魔

 

先生のコメント これは意外。実は「不幸」でも正解です。地方によっては隠し持っていると五枚目の葉っぱには悪魔が宿ると言います。

 

 

吉井 明久の答え 鉄人

 

土屋 康太の答え 鉄人

 

先生のコメント 君たちはあとで生徒指導室に来るよう西村先生から伝言を預かっています。

 

 

楢原大樹の答え ブ〇ック・クローバー見ている人なら悪魔だと答えるはず。

 

先生のコメント あの二人がどうして答えることができたのか理解しました。

 

 

________________________

 

 

 

「……………」ピクピク…ピクッ……

 

 

―――宮川 慶吾は未だに倒れたままだった。

 

 

 

________________________

 

 

 

【問題】

 

『オートマッチク拳銃の命中精度に関わる要素を書きなさい。またリボルバー拳銃で弾道を安定させる条件も書きなさい』

 

 

先生のコメント 申し訳ありません。テストに全く関係のない物騒な問題が出題されていました。こちらのミスなの誤解答、無記入に関わらず正解にしたいと———

 

 

神崎・H・アリアの答え 命中精度はバレル長、マズルブレーキ、薬室精度で決まり―――

 

里見 蓮太郎の答え ―――短銃身のリボルバーなら弾道はライフリングで安定する。

 

先生のコメント ―――答えれるあなたたちに先生は恐怖を感じました。

 

 

吉井 明久の答え 素人にはきっと理解できないので答えません。

 

土屋 康太の答え 普段から使わなければ得られない感覚。馬鹿には扱えない。

 

先生のコメント やっぱり君たちは無得点にしたいと思います。

 

 

楢原 大樹の答え 全身の神経を研ぎ澄ますことで狙いを定めることができ、弾道は神の力の放出によって変幻自在にすること。

 

先生のコメント 病院をオススメします。

 

 

________________________

 

 

 

 

「――やっと戻って来れた……」

 

 

魔王アジ=ダカーハを打倒し、見事生還を果たした大樹。全裸になってしまっていた大樹は【創造生成(ゴッド・クリエイト)】で服を生成して着る。いつもの一般人Tシャツだ。

 

まだクリアした数は一つだけ。時間を多く掛け過ぎたので挽回するにはとても足りないはず。

 

 

『―――大樹』

 

 

その時、アナウンスが入った。蓮太郎の声に俺は振り返る。

 

 

『ゲーム終了だ』

 

 

はいおかしい。幻聴だろ今の。怪我が酷かったのかな?

 

 

「いや待っ……魔王のだろ?」

 

 

『全ての』

 

 

「……嘘やん」

 

 

モニターにはゲーム終了の文字がデカデカと映っている。大樹は声を荒げた。

 

 

「まだ一個しかクリアしてないんですけどぉぉぉぉおおおお!!??」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

久しぶりのケツロケット。地獄に帰って来たことを実感させる。

 

また減点しているが気にすることはなかった。今更減点を気にした所で最下位だった俺があの二人に挽回できていると思わないからだ。

 

 

『……それじゃあ結果発表に移るぞ』

 

 

無慈悲に始まる結果発表。蓮太郎の声は大樹にはもう届かない。諦めて机の上で寝始めていた。

 

 

『結果は———1位、黄色チーム!! マイナス14点』

 

 

「何ィィィィィいいいいいい!?」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

『マイナス15点! それでも一位だ』

 

 

飛び起きながらケツロケット。動揺しちゃ駄目だ。まだ減点が続いている。何が起きているか分からないが自分が一位だということだけは理解する。

 

どういうことだ。アイツらに何か起きた?

 

 

『二位、青チーム! マイナス16点!』

 

 

危ない。動揺したら同列になってしまうところだった。

 

 

『……訂正、マイナス17点』

 

 

原田(お前)が動揺してどうする。馬鹿か。

 

 

『三位は緑チーム! マイナス11点だが、途中脱落で失格だ』

 

 

「何があった!?」

 

 

スパアアアアアァァァン!!!

 

 

『……黄色と緑、両方とも減点だ』

 

 

そりゃビックリするわ! 脱落って何だよ!? 魔王より強い敵と当たったりしたのか!?

 

 

『―――ここからはリプレイ動画を流す。減点方式も停止するから存分に動揺してくれ』

 

 

痛いのは嫌なので動揺しないように気を付ける。モニター画面には俺たちがどんなゲームをして来たのか簡単にまとめられていた。

 

大樹と三頭龍の壮絶な戦い、原田の狙撃やサイコロ拷問、慶吾の恐怖のポッキーゲームや暗黒物質の食事。

 

鑑賞中―――軽く三回はケツロケットを受けた。特に慶吾が姫路の料理シーンはモザイク入りでも凄まじかった。

 

 

「……ん、まぁ……とりあえず感想を言うなら」

 

 

大樹は汗をドバドバ流しながら告げる。

 

 

「どうやら俺が一番簡単な問題を拾ったようだな」

 

 

『『『『『それは絶対にない』』』』』

 

 

会場から全否定されました。そんな声を揃えて言わなくても……。

 

 

「……………」

 

 

『ど、どうしたの大樹君? 急に真顔になって……』

 

 

「優子。俺さ……」

 

 

優子に向かって大樹は堂々と告げる。

 

 

「アイツらと同じようにギャグをせず、クソ真面目に戦っていたこと、結構後悔している」

 

 

『あ、うん……勝ったから良いんじゃない? それに……』

 

 

どこか寂しそうな表情をする優子。一体何を思ったのだろうか。

 

 

『私たちが罰ゲーム受けなくて済むから』

 

 

普通にロクでもないことだった。そんな優子ちょっと見たくなかった。

 

 

『罰ゲームの内容は簡単だ。二位と三位のチームにはバライティ番組でよくあるやつだ。珍味を食べて貰う』

 

 

ち、珍味かぁ……! 可哀想に……シャーロックはざまぁ。

 

虫か動物の何かでも食べされられるのかなぁ……うわぁ、想像するだけで嫌だ。シャーロックはざまぁ。

 

モニターには二つの箱が会場に運ばれている。あの中に珍味が入っているらしい。

 

蓮太郎が重々しい表情で箱を開ける。

 

 

『『『『『え?』』』』』

 

 

「うっっっわぁ………」

 

 

―――箱の中から出て来たのは暗黒物質(ダークマター)。絶対に食べ物じゃないことが明らかだった。しかもどこかで見たことがあるぞ。

 

 

『緑チームの宮川 慶吾が選ばなかった一番と二番の料理だ。……つまり姫路の作った料理というわけだ』

 

 

それ珍味じゃない。チーン味だ。死ぬから。

 

 

『おい冗談だろ……三番であんな悲惨なことになったんだぞ……!』

 

 

『う、ううう嘘でしょ……!?』

 

 

ガタガタと震えるレオと七罪。料理に恐怖していた。

 

 

『に、二度目はさすがに勘弁したいかなぁ……』

 

 

『ドッキリだよね!? 嘘だよね!? ここで大樹が登場して食べてくれるとか……!?』

 

 

シャーロックの顔色も悪く、双葉は動転してしまっている。登場してもそれは食べねぇよ。苦しんで死ぬくらいなら舌噛んで死ぬわ。

 

 

『……大樹君、本当にありがとう。また命を救われたわね……!』

 

 

『リサは、一生メイドとしてあなた様の傍にいます……!』

 

 

おいおいおい。涙流しながら感謝されてるんだけど。何かあんなことで好感度爆上りなんだけど。嬉しいけど複雑な気持ちだわ。

 

―――その後、地獄のような光景が広がった。途中、七罪と双葉の為に体を張ったレオとシャーロックが少しカッコ良かった。絵面は最悪だったけどな。

 

 

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「……………」ピクピク…ピクッ……

 

 

―――宮川 慶吾は最後まで倒れたままだった。

 

 

 

 




現在のケツロケット回数

楢原 大樹 145回

原田 亮良 126回

宮川 慶吾  96回


大樹「さっきトイレで尻を見て来たんだが……」

原田「おいおい。また血が出ていたとかじゃ……」

大樹「二つに裂けてた」

原田「普通だよ馬鹿野郎」

宮川「……………」

大樹「……死んでるのか?」

原田「逆に生きてると思うか?」

大樹「なるほど?」


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