Infinite Stratos Another   作:来迎 秋良

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11:ブルーデイズ/レッドスイッチ・前編

シャルロットが僕に秘密を打ち明けてくれた翌日の、その放課後。

僕が寮に帰っていると、女子の怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「なぜこんな所で教師など!」

「やれやれ……」

僕が物陰に身を隠してみていると、怒鳴っているほうはボーデヴィッヒさん、

溜息をついている方が千冬さんだった。

 

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ」

「このような極東の地で何の役割があるというのですか!

 お願いです、我がドイツ軍で再びご指導を。

 ここでは貴女の能力は半分も活かされません!」

「ほう」

……随分な物言いだな、ボーデヴィッヒさん。

多分千冬さんに心酔してるんだろうけど、これはただ惚れ込んでるだけとは違う……?

 

「大体、この学園の生徒など教官が教えるに足る人間ではありません」

……待て、今彼女はなんて言った?

 

「なぜだ?」

「意識が甘く、危機感が薄く、ISをファッションか何かと勘違いしている。

 そのような程度の低く、何の考えも無い者達に教官が時間を割かれるなど――」

「そこまでに「今何て言った、ボーデヴィッヒ」聡里か」

僕は二人の前に現れつつ言った。

 

「考えが無いって言ったか、ボーデヴィッヒ」

「そうだろう、貴様らは何も考えず、ISをただ娯楽として見ている。

 そのような者のために教官が時間を使うなど……」

そこまで言ったとき、彼女は僕の瞳に気付いた。

僕の両目が『金色』に染まっている事に。

 

「貴様、その両目……!」

「ドイツ軍に所属しているなら知ってるだろ、ボーデヴィッヒ。

 僕の両目には『ヴォーダン・オージェ(オーディンの瞳)』の発展系、

 『ドンナー・オージェ(トールの瞳)』が植えつけられてる。

 それも、その時点の記憶がないからわからないけど、どうやら無理やりらしい。

 他にも、ワケ判らないナノマシンや人体実験のモルモットにされてた痕跡も

 あるって束姉さんが言ってた」

そこまで言い、彼女を金色の瞳で睨むと彼女はたじろぐ。

 

「ここまでとは言わないけど、どんな人だって多少の思いは背負ってるんだ。

 それを侮辱する事は許さない。

 もしこれでもそんな事を言い続けるようなら、『俺』はキミを許さないよ」

そこまで言い、僕はラウラを手招きする。

 

「来い、ボーデヴィッヒ。手加減無用だ。

 君の言う『教えるに足りない人間』の力、見せるから」

「貴様……嘗めるなッ!!」

その言葉で我慢も限界に来たのか、彼女は僕に掴みかかってきた。

 

彼女はまず僕の利き腕、左腕を掴み、間接を狙い封じようとする。

が、僕はその勢いに任せ、彼女の周りを半回転し彼女の首に手刀を「とん」と当て、

「これで一回」と言う。

 

その後の蹴りは足を掴み、貫き手を心臓の位置に当て「二回」。

ナイフまで取り出して来たけれど、ナイフを持った腕の手首を掴み、

ナイフを奪い取り峰を首に当てて「三回」と回数を重ねる。

 

そして、十分経ちその回数が二桁になった頃、千冬さんからストップがかかった。

 

「無理はするな、篠ノ之」

「……はい、千冬さん」

僕は言ってドンナーオージェをカット、ふらりと横の木に寄りかかった。

 

「まったく、自分の体の限界くらいは理解しておけ。

 ボーデヴィッヒ、見ての通りだ。これでも、意識が甘いと言えるか?」

「く……」

「それと、さっきの組み手の中で篠ノ之が言っていた回数が、何のことか判るか?」

そう聞かれ、唇をかみ締めるボーデヴィッヒさん。

僕がカウントしていたのは、彼女が『死んだ』回数。

本当に死なせるつもりでやっていたら、彼女はあの十分間に軽く十回は死んでいる。

 

冷ややかな声と目の千冬さんに言われ、

ボーデヴィッヒさんはしゅんとして寮へ向かった。

 

「大丈夫か、篠ノ之」

「……はい、なんとか。

 女の子に手を上げるのは、やっぱりあんまり気分良くないですね」

僕は千冬さんに苦笑し、少しよろめきつつ寮の自室へ向かった。

 

 

「遅かったね、聡里」

僕が寮の部屋に戻ると、シャルロットは僕の本(SFもの)を読んでいた。

 

「ただいま、シャルロット。……っく」

と、僕はさっきの負担でふらつきバランスを崩してしまう。

 

「聡里!?」

慌ててシャルロットが抱きとめてくれたけど、僕は気を失ってしまっていた。

 

数分後、僕が目を覚ますと目の前にはシャルロットの顔があった。

 

「よかった……いきなり倒れるから、何事かと思ったよ」

「あはは、ごめんねシャルロット。ちょっと無理しちゃってさ。でももう大丈夫」

僕は笑顔をシャルロットに向ける。

けれど、彼女はその笑顔に不自然なものを見出したらしかった。

 

「本当に、大丈夫?」

「本当だってば。……そうだ、明日の放課後、一夏と一緒に僕も教えてよ。

 前から『高速切替(ラピッドスイッチ)』を覚えたかったんだ」

そういうと、まだなにか言いたそうだったけど彼女は頷き、

その日はもう寝る事になった。

 

 

「「あ」」

聡里とラウラが戦った翌日の第三アリーナ。

セシリアと鈴は、訓練しようとアリーナに来たときばったり対面してしまった。

 

「奇遇ですわね、わたくしはこれから学年別トーナメントに向けて訓練するのですが」

「ホントに奇遇ね、アタシも同じ用件で来たのよ」

二人は言い合い、間に火花を散らす。

そしてメインウェポンを展開し、それらを交錯させようとしたとき

横合いから超音速の砲弾が飛んできた。

 

「「ッ!」」

 

その砲弾を緊急回避し、それが飛んできた方向を見るとそこには、

ドイツの第三世代型IS『シュヴァルツェア・レーゲン』を身に纏い、

ラウラが仁王立ちしていた。

 

「どういうつもり?いきなりぶっ放すなんていい度胸じゃない」

鈴はラウラに向き直り、睨みながら言う。

 

「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルーティアーズ』か。

 データで見た時の方がまだ強そうではあったな。

 ……来るなら二人がかりで来い。一足す一は所詮二にしかならん。

 下らん種馬を奪い合うようなメスに、この私が負けるものか」

彼女のその言葉で、二人は凍りつく。

そして、二人の堪忍袋の尾が切れ、そこにさらなる追撃が来る。

 

「お前達では、あのISを動かせるだけの無能な男子二人が加わろうが関係ない」

この台詞に、二人は完全に切れた。

 

「一夏さんは無能などではありませんわ!」

「そうよ! 聡里だってただ動かせるだけじゃないってのよ!!」

「ならば、二人がかりで来い」

「「上等!!」」

二人は叫び、ラウラに飛び掛ってゆく。

 

 

「一夏、今日も放課後の訓練はするんだよね?」

シャルロット……いや、男装してるからシャルルか。が一夏に声を掛ける。

 

「ああ、勿論だ。少しでも経験値を稼いでおかないとな」

「今日使える場所は、確か第三アリーナだよ。行こう、二人とも」

僕ら三人は一緒に第三アリーナへ着いた。

すると、誰かが対戦していた。その誰かとは……

 

「セシリア! 鈴!!」

「ボーデヴィッヒ!? アイツ、性懲りも無く……!」

僕は歯噛みをして、彼女たちの戦闘を見る。

戦況はボーデヴィッヒが優勢、セシリアと鈴はボロボロだった。

二人のISの装甲は一部がごっそりと持っていかれ、絶対防御を貫いて

二人自身にもダメージが来ているらしい。

 

「ふん、やはりこんな物か。ならば、消えろ」

ボーデヴィヒは瞬時加速でセシリアと鈴に肉薄し、プラズマ手刀で二人を吹き飛ばす。

そのショックで、ISも展開しているのがやっとの状態までダメージを受けていた。

 

「くそっ!来い、白式!」

「……宵闇」

一夏は焦って、僕は静かにそれぞれのISをコール、展開する。

そして、一夏はワンオフアビリティ『零落白夜(れいらくびゃくや)』で、

アリーナに張ってあるシールドバリアを叩き壊す!

 

「一夏、行けッ!」

僕は叫び、一夏の背中を蹴り飛ばし瞬時加速並の速度でセシリアと鈴に向かい行かせる。

そしてそのまま、ボーデヴィッヒと向き合い僕は対峙した。

 

「いい加減にしろ、ボーデヴィッヒ」

僕はつぶやきながらボーデヴィッヒさんを牽制するために射撃をかける。

その間に一夏が二人を連れて、瞬時加速で離れてくれた。

僕のサポートにシャルルも到着し、二人でマシンガンを構え、弾幕を張り時間を稼ぐ。

 

「貴様、織斑教官の前でよくもあのようにあしらってくれたものだ。

 だが、この『シュヴァルツェア・レーゲン(黒い雨)』を使う私に勝てるか?」

と、僕に不敵な笑みを向けてくるボーデヴィッヒ。

だが、そんな彼女は僕の顔を見てその笑顔を凍らせた。

なぜなら……僕の顔から一切の感情が消えていたからだ。

 

「言いたい事は、それだけ?」

「な、何?」

「それじゃ……行くよ」

僕は言うと、着脱式バヨネット『秘刀(ひめがたな)』を展開し、

逆手持ちして彼女に斬りかかる。

彼女もプラズマ手刀で殴りかかってくるが、そんな僕らを一つの影が止めた。

 

「やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」

織斑先生だ。

彼女は両手に一振り170センチもあろうかと言う

IS用の日本刀を両手に一本ずつ持ち、

それぞれ僕の宵闇のバヨネットとレーゲンのプラズマ手刀を止めていた。

生身でIS用の刀振り回してIS2機を止めるって、

さすが千冬さんというかなんというか……

 

「模擬戦をやるのは構わん。

 だが、アリーナのバリアーまで破壊する事態になられては教師として黙認しかねる。

 この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか」

「……教官がそうおっしゃるのでしたら」

ラウラと僕は、その言葉で矛を収める。

決着は学年別トーナメント、か……よし。

 

「了解しました。教官」

「なぜお前まで教官と呼ぶ、聡里。

 ……では、学年別トーナメントまで、私闘の一切を禁止する!解散!」

という織斑先生の言葉で、僕らは解散した。

 

 

その後、僕とシャルは連れ立って保健室を訪れていた。

 

「……バカなんだろうか」

部屋に入ろうとすると、一夏が言ったこの一言にセシリアと鈴が噛み付いていた。

まったく、鈍感だな。

 

「それだけ元気なら、大丈夫そうだね。セシリア、鈴」

「二人は好きな人に格好悪いところを見られたから、恥ずかしいんだよ」

と僕とシャルルは顔を見合わせてにやり、案の定ケガ人二人はうろたえる。

 

「ん、よく聞こえなかったけどなんて言ったんだ、シャルル?」

「なんでもないよ。 それとセシリア、紅茶どうぞ」

「それと鈴はウーロン茶でいいよね?」

などと話していると、廊下の方から地鳴りがした。……地鳴り?

 

「え、何だこの地鳴り!?」と一夏が言った瞬間、

僕の後ろのドアが文字通り『吹っ飛んだ』。

 

「織斑君!」

「デュノア君!」

「篠ノ之君!!」

「「「「「これ!」」」」」

と彼女たちは一夏とシャルルに書類を突きつけた。

 

「な、なになに……?」

「『今月開催するトーナメントでは、

 より実践的な模擬戦闘を行うため、二人組みでの参加を必須とする。

 なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。

 締め切りは――』」

ここまでシャルルが読んだところで、女子たちは遮る。

 

「そこまででいいから!とりあえず!」

「私と組んで!織斑(デュノア、篠ノ之)くん!……って、篠ノ之くんは?」

そう、そこに立っていたのは、一夏とシャルルだけだった。

僕はといえば。

 

「あのさ……退いてくれない?」

吹き飛んだドアの下敷きになって、女子にドアもろとも踏み潰されてました。

 

「「ご、ごめん!!」」

と何人かの女子が飛びのき、退いた後のドアを僕は持ち上げ立ち上がる。

 

「いたた、潰れるかと思った……。それと、ゴメンね。僕はシャルルと組むから。

 一夏も箒姉さんと組む事になってるから、君達とは組めないんだ。

 その代わり、いつか何かあったら、何でも言ってきてよ。いろいろお世話するからさ」

と僕がまとめ、女子の数名が残念そうにしていた。

でも大半は、

 

「篠ノ之くんにお願いできるの!」

「それじゃ専属執事とかも……」

「これは大収穫だわ!!」

「それに、デュノア君と篠ノ之君……薄い本が厚くなるわね」

などといって笑顔で散っていった。

本当にこの学園、大丈夫なんだろうか。

あと、何人かが不穏なんですが。

 

「……さて、そんなこんなで一夏は姉さんと組んでね」

僕はとりあえず笑顔、シャルルはパニックでセシリアと鈴はこっちに怒鳴る。

 

「な、一夏さんとはわたくしが……ッ!」

「聡里、アンタ何勝手に決めてんのよ……~~~ッ!」

と、僕をどつこうとして痛みで動けなくなる二人。

 

「二人ともそんなケガじゃ無理だって。

 それに、ISの損傷はどうにもならないでしょ」

僕に言われ、二人は凍りつく。

 

「その通りですよ、お二人のISのダメージレベルはCを越えていますから」

と、我らが小動物系副担任、まーやこと山田先生の登場。

 

「うっ、ぐっ、わかりました……」

「非常に、非常に不本意ですが!トーナメント参加は辞退します……」

鈴とセシリアはそれぞれ諦めたらしい。

でも一夏は、理由がわかってないのか不思議そうな顔をしている。

 

「なぁ聡里、あの二人はなんであんなに素直に従ったんだ?」

「やっぱり気付いてなかったんだ、一夏。

 ISの基礎理論、蓄積経験についての注意事項第三だよ」

 

僕の言った事を思い出せないのか、一夏は結局首をひねる。

ちなみにその内容はざっくり言えば、

『壊れているISを無理やり動かすと回線が変な繋がり方をして、

 直った後に異常動作を起こす危険性がある』という物。

だから、代表候補生のセシリアと鈴は諦めざるを得ないわけだ。

 

「にしても、どうしてお前らラウラとバトルすることになったんだ?」

「そ、それは、その……女のプライドを傷つけられたからというか」

「その場にいない人間まで貶めていたから、ですわね」

「?」

鈍感一夏、気付かず。

ちなみに僕は戦ってるときモメてる気配があったから唇読んだよ。

それにしても、どこまでも人をないがしろにしてくれるねボーデヴィヒは。

 

「ああ、もしかして二人は一夏のこと――むぐっ」

「はいはいシャルル、ストップ。

 人には、他人に言われるととてつもなく恥ずかしい事があるんだよ。

僕はシャルルの口を塞ぎ、

不用意に一夏に対する代表候補生二人の気持ちを言おうとするのを止める。

それでセシリアと鈴は胸をなでおろし、

ようやく痛みを思い出してダウンしたらしかった。

 

「「うう、一夏(さん)のせい(ですわ)……」」

「また俺かよ!」

一夏、南無。

多分二人の体調が万全なら折檻のフルコースなんだろうなぁ、デザート付きで。

ドリンクバー分は僕かシャルロットに来そうだ。

 

 

「あ、あのね、聡里っ」

「何、シャルロット?」

僕とシャルロットが自室へ帰ってくると、シャルロットが意気込んで話しかけてきた。

 

「さっきコンビのことを言い出してくれて、ありがとう」

「ああ、そんな事?別に良いよ。当たり前じゃないか。一夏だってすると思うし」

僕が言うと、シャルロットは首を横に振って否定してくる。

 

「ううん、それができるのは聡里や一夏が優しいからだよ。

 そんな風に自分から何かをできるのは、すごい事だと思う」

と僕に抱きついてくるシャルロット。

 

「あはは、ありがとね。ところで、シャルロット。

 僕らだけのところでは、無理に男子口調にしなくて良いんじゃない?」

「う、うん。ボク……私もそう思うんだけどここに来る前に、

『女だってばれないように』徹底的に仕込まれたから、しばらく直せないかも」

シャルロットも、本当に大変だね。

 

「で、でも、その……やっぱり女の子っぽくない、かな?」

「え? 自分のことを『ボク』って言うとか?」

思わず聞いてしまった。

 

「そう。女の子っぽくないんだったら、

 二人きりのときだけでも普通に話せるように頑張るけど……」

そう言って来たシャルロットの唇に、僕は人差し指をそっと当てる。

 

「喋り方なんて、僕はどうだって良いんだよ。

 自分で言いやすいように言えば良いと思うし。

 それに、シャルロットが『ボク』って言うのも、可愛いと思うよ?」

シャルロットはそれを聞いて、顔を輝かせる。

 

「か、可愛い……? ボクが、本当に? 嘘ついてない!?」

「嘘じゃこんな事言わないよ。本当に可愛い」

僕の台詞で、シャルロットは真っ赤になってしまう。

 

「あ、ありがとう」

「どういたしまして。……さーてと、それじゃそろそろ着替えようか。

 僕は洗面所で着替えてくるよ」

と移動しようとすると、シャルロットから待ったがかかった。

 

「あ、別にボクに気を遣わなくて良いよ」

「いや、そうも行かないでしょ。

 異性なんだから、最低限の線引きは要ると思うし」

そのあたり、シャルロットって意識が薄いのかもね。

 

「と、とにかくボクはいいから! 着替えちゃおう!」

「あ~、うん……。それじゃ、着替えるよ。

 えっと、そろそろ夏服に替えるかな……あ、あった」

勢いに押し切られた僕は自分のクロゼットを探して半そでの着替えを見つけ、

シャルロットに背を向け着替え始める。

……で、なぜ背中に視線を感じるんだろう。

 

「シャルロット~?」

「なっ、何かな聡里!?」

なんか凄い動揺してるんだけど。

 

「一応言っておくけど、着替え、見ないでよ?」

「わ、わかってるよ!」

図星かな、あれは。

 

 

その後。僕らは寝る事にしたんだけど。

 

「あのー、シャルロットさん?」

「何? 聡里」

「君はどうして僕のベッドに来ているのかな?」

そうです、シャルロットが僕のベッドに潜りこんできてます。

 

「えっと……今日は一緒に寝させて」

「どうして?」

「その、ね。今になって怖くなってきちゃって。ボーデヴィッヒさんとの戦闘」

「……ああ」

なるほどね。

アレ、完璧にこっちを殺しにかかってたからね。

 

「それでね、あの時もし織斑先生が止めてなかったらと思うと、怖くって。

 聡里、この間帰ってきて倒れたときも、

 ボーデヴィッヒさんと何かあったんじゃない?」

……鋭いね、この子は。

 

「そうだよ。あの時も、ちょっとモメてね。無茶しちゃったんだ。

 多分、アリーナの時も止めてもらわなかったら相当無茶してたと思う。

 それだけ、ボーデヴィヒさんは強いんだ」

僕はそこまで言うと、シャルロットに向き合う。

 

「僕の秘密、教えてあげるよ」

そう言って僕は目を閉じ、

『ドンナー・オージェ』を起動して金色になった瞳でシャルロットを見た。

 

「え、瞳の色が変わった……?」

「うん、これが僕の秘密。

 僕の体は、束姉さんに拾われるまでにいろいろされたらしくてね。

 この眼もその一つ。ざっくり言うなら、人体に埋め込むハイパーセンサーだよ。

 ……どう、僕みたいな『モノ』の本性。わかったでしょ。

 こんな僕に気を許さない方が良「聡里!」はいっ!」

シャルロットがいきなり怒鳴ってきて、僕は反射的に返事。

 

「自分のこと、モノなんて言わないでよ!

 そういう他の人を優先して自分を捨てる所もいいけどね、自分自身を大事にしてよ!

 聡里が居なくなったら、ボクは聡里のこと許さないからね!

 聡里がいなくなりそうだったから、怖かったんだから!」

そういうシャルロットの瞳には、涙が光っていた。

 

「あ……ごめんね。そんなつもりじゃないんだけど」

「じゃなくても! 聡里は一人でなんでもしすぎなんだよ!

 もっとボクを頼ってよ! だってボク、聡里のパートナーじゃない」

そこまで言われて、僕はようやく笑う事ができた。

 

「……そうだね。こんな事考えるなんて、僕もつまらない人間だな。

 それじゃ、約束。シャルロットの前から、居なくなったりなんかしないよ。

 それに、今後シャルロットや他の皆を頼らせてもらうよ」

僕がそう言うと、ようやくシャルロットは少し笑った。

 

「約束だからね! 指きりしよっ、聡里!」

と言われるまま、僕はシャルロットと小指を絡める。

 

「ゆーびきーりげんまん、うっそつーいたーらしゅりゅーだんのーます!

 ゆーびきった!」

「さり気に物騒だね、シャルロットって。……いい加減他人行儀かな。

 ねえ、『シャル』って呼んで良い?それなら、みんなの前で呼んでも大丈夫だし」

と言うと、シャルロットは目を輝かせる。

 

「シャル……シャルかぁ。いいね! ありがとう、聡里!」

「ふふっ、こちらこそ。それじゃ、これからもヨロシク、シャル」

「よろしくね、聡里。それじゃ、お休みの……キスして♪」

まったく、そういう事をさらっというからシャルってば……

そう思いつつ、僕はシャルの額に口づけをする。

 

「ありがと♪ それじゃあお休み、聡里」

「お休み、シャル。 言い夢見られるといいね」

そして僕らはそのまま同じベッドで眠った。

……こうして間近で見ると、やっぱり可愛いよね……。

 

続く。

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