Infinite Stratos Another   作:来迎 秋良

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14:オーシャンズ・ティーンズ・後編

「うー!」

「みー!」

「「だぁぁぁぁっ♪」」

しょっぱなからテンション高いですよね、聡里です。

僕と一緒に言ってるのはシャル。お互い隣同士になれたので、

かなりテンション跳ね上がってます。

 

ちなみに彼女の右手首には僕がプレゼントしたオレンジのブレスレットがあり、

僕の左手首の黒のブレスレットと組み合わせる事で絵が完成するようになってます。

いわゆる願掛けみたいなもんですよ。でもやっぱおそろいっていいよね!

異論は認める。だが反論は認めない!

 

箒姉さんは一夏の隣で、これまた頭の上に♪マークでも浮かびそうな上機嫌。

セシリアと鈴は、一夏たちと通路を挟んで反対側の席で姉さんを睨んでいる。

うらやましいんだろうなぁ。

 

そしてラウラは、僕らと通路を挟んだ反対側の席で難しい顔。

何を悩んでるんだろう、ちょっと聞いてみるか。

 

「やはり、この水着は、いや、しかし……」

……ほう、ラウラも水着を。これは成長かな?

楽しみにしとこうかな。

 

「聡里、どうしたの?」

「あ、シャル。なんでもないよ。ちょっとね。

 それより、海ってテンション上がるよね!」

「うん! ああ、はやく着かないかな!」

シャルは相当楽しみみたいだ。

僕もシャルの水着姿、楽しみだな。

 

「お前ら、もうすぐ目的地だ。全員ちゃんと席に座れ」

 

 

織斑先生の言葉通り、まもなく目的地に着き、

僕らはぞろぞろとバスを降り整列した。

 

「ここが今日から三日間お世話になる『花月荘(かげつそう)』だ。

 全員、従業員の仕事を増やさんように注意しろ」

「「よろしくおねがいしまーす!!」」

織斑先生の言葉に続き、全員が挨拶。

IS学園の臨海学校で毎年お世話になっているみたいで、

女将さんも馴れた様子だ。

 

「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね。

 ……あら、こちらの二人が噂の?」

女将さんは僕と一夏を見て、気付いたようだった。

 

「初めまして、三日間お世話になります、篠ノ之聡里と申します。

 僕らのせいで部屋割りとか、浴場の分け方とか難しくしてしまってすみません」

「いえいえ、そんな。それにしても、礼儀正しいのね、あなたは」

「一応これでも武家の息子ですから。

 それと、こちらが織斑先生の弟です。ほら、一夏も挨拶」

僕が促すと、少々緊張している一夏がお辞儀。

 

「お、織斑一夏です。よろしくお願いします」

「うふふっ、ご丁寧にどうも。清洲 京子(きよす けいこ)です」

 

女将さん、いや清洲さんはそういい先ほどと同じように、上品におじぎ。

一夏も緊張してるし……あれ、一夏ってもしかして。

 

「一夏、もしかして年上が好み?」

「んなっ、何言ってんだ聡里!」

 

一夏、パニクってる。面白い。

僕&シャルはにこにこ、一夏ラバーズ(箒姉さん、セシリア、鈴)は硬直。

ラウラは小首をかしげて頭上にはてな。

 

「ま、いいか。じゃあシャル、ラウラ、行こうか。僕ら三人は同室だぞー」

「待ってよ聡里、荷物持ってかなきゃ!」

「あ、忘れてた。 それじゃシャルとラウラの分も、よっと」

そんな僕らの姿を見て、生徒一同はこう思ったという。

 

「「「……何あの旅行中の家族」」」

 

 

「広いなぁ、これならみんなで寝ても狭くないな」

「そうだね、聡里」

「父上と母上は相も変わらず仲が良いな」

ええ、すっごいほのぼのしてますよ、うちの一家……もとい、グループは。

 

「それじゃ、そろそろ海に……!?」

僕はそこで、部屋の隅できらりと光る物を見つけた。

 

「また、ロクでもないことを考えた奴がいるもんだ。

 ラウラ、これ何かわかる?」

そういってシャルに気づかれないように差し出したものを見て、ラウラは頷く。

 

「これは小型の諜報装置だな。マイク、カメラその他の機能を統合してある。

 こんなものを何故父上が?」

「そこの、部屋の隅に付けられてた。ラウラ、シャルと二人で行っててくれないかな?

 僕はこの事を先生に報告してから行くよ」

そう打ち合わせを終えて、ラウラとシャルは着替えに向かった。

そして僕はその装置を持ち、織斑先生の居る教員室へ行く。

 

で、僕が教員室に着くと、山田先生がやけにオロオロしていた。

 

「……なにやってるんですか、山田先生?」

「ふぇっ!? ししし篠ノ之くん! な、何でも無いですよ!

 篠ノ之くんこそ、何か用事ですか!?」

あの、凄い挙動不審なんですが。まあ、いいか。

 

「一夏に声を掛けに着たんですよ。なんか遅いから。

 一夏ー、みんなが待ってるよ。早く行って。

 僕はちょっと織斑先生と打ち合わせがあるから。

 あ、山田先生はまた一夏がトラブルを起こさないように案内してあげて下さい」

そう行って一夏と山田先生を追い出した後、

僕は笑顔を顔から消し織斑先生と山田先生に向き直る。

 

「それで、お前の本当の用事とは何だ、聡里」

「やはりお見通しですか、織斑先生。こんな物を僕らの部屋で発見しました。

 もしかしたら、他の人の部屋にも仕掛けられているかも知れません」

そういって装置を差し出すと、織斑先生が険しい顔をする。

 

「どこかの国からの諜報か?」

「ええ、恐らくは。では、お伝えしましたので僕は言ってきます。

 いい加減シャルを心配させたくないので」

その台詞に織斑先生はにやりと笑い、僕を行かせた。

 

 

「「……」」

僕が更衣室へ向かって渡り廊下を渡っていると、一夏と箒姉さんがいた。

で、箒姉さんはいらいらしながら行ってしまった。

 

「どしたの、一夏……あ」

その二人の視線の先には、一対の『うさみみ』が地面から生えていた。

 

「これは……一夏、うちの姉がいつもご迷惑を」

「別に良いぞ、馴れたしな……じゃ、抜くか」

一夏はそう言って力いっぱいうさみみを引っ張る。

でも、姉さんの思考パターンから察するに……

 

すぽっ

「うおっ!?」

やっぱり。

地面に埋まってたのはうさみみだけだった。

 

「で、こんなときにも一夏はラッキーエロなわけか」

一夏は仰向けに倒れたから、

丁度通りかかったセシリアのスカートの中、見ちゃってます。

 

「な、ななな……!」

「はーいセシリア、すとーっぷ。そろそろ嵐が来るよ」

 

僕のその台詞に首をかしげる一夏とセシリア。

で、丁度そのとき、空から『にんじん』が降ってきた。

 

「あっはっは、引っかかったねいっくん!

 でも、やっぱりさーくんは引っかからなかったかー、残念」

そのにんじん、もとい移動用カプセルが真っ二つに割れ、

中から現れたのは一人の女性。

 

「……顔合わせて話すのは久々だね、『束姉さん』」

何を隠そう、我が姉、長女の『篠ノ之 束(しののの たばね)』だ。

 

「そうだね、久しぶりに自慢の弟に会えて束さんは嬉しいよ!

 ところで、もう一人の自慢はどこどこ? さっきまで一緒だったでしょ?」

「姉さんならもう行っちゃったよ。はい箒姉さん探知機」

僕が一夏が引き抜いたうさみみを渡すと、束姉さんはそれを頭に装着。

 

「ありがとさーくん! ふっふーん、まってろよ箒ちゃーん!!」

そんなことを言って、姉さんは飛び出していった。

 

「……一夏さん、聡里さん。あの方は一体……?」

セシリアの疑問符つきの台詞。

 

「あー、うん。うちの長女の、束姉さん。

 じゃ、僕は先に行くから。一夏、セシリアをよろしく」

僕はその言葉を残して、その場からとっとと移動した。

 

 

「海だ海だー、っと! じゃあ、まずは準備体操だな。

 イッチニー、サンッシ。ゴーロク、シチハチ……」

と、前屈に始まり、アキレス腱、腕などを伸ばしていると、

シャルとなにやら白いものがこっちにきた。

 

「あ、シャル! ……ってなにそのバスタオルミイラ」

「ほーら、ラウラ。 聡里のところに来たよ? 見せてあげなってば」

「み、見せて大丈夫かは、私が決める……」

ああ、このバスタオルミイラ、ラウラか。

 

「うーん、ラウラが出てこないなら、僕とシャルの二人だけで遊んできちゃうよ?

 それでもいいのかな~?」

「そうだよ、ほら、早く!」

「わ、わかった! 見せればいいんだろう!」

ラウラはそういい、バスタオルをかなぐり捨てる。

 

「おお……。 かわいいじゃないか」

「でしょ? 聡里。 ねーラウラ、かわいいってさ」

「か、かわっ!?」

あ、ラウラが真っ赤になった。やっぱかわいいなあ。

 

「おーい聡里! バレーしようぜ!」

「あ、ごめーん。僕はシャルたちと遊ぶから、他の人探してー」

「そうか、じゃあ、シャルたちと仲良くな。おーい、のほほんさん」

そう言って一夏と箒姉さん、セシリアの三人はのほほんさんたち三人のところへ。

鈴はさっき、一夏と競泳をして溺れてしまったらしい。

後でお見舞いに行っておこうかな。

 

 

そんなこんなで一日目の自由時間も終わり、夕食時。

僕とシャル、ラウラの三人は一夏たちとは別にテーブル席へ行っていた。

 

「シャルはお刺身、好きなんだよね」

「うん! すっごく美味しいよね!」

「ふむ、生の魚を食べるのか。これも訓練の一種なのか?」

ラウラ、なんか勘違いしてるな。

 

「これはこういう料理なんだよ。生ハムみたいなものさ。

 ……あ、このわさび本わさびだ。流石IS学園指定の旅館、豪華だなぁ」

「本わさび?」

「あ、シャル知らない? この緑のが本わさび。本物のわさびをおろしたものだよ。

 いつも食べてるわさびは、練りわさびってやつ。

 ワサビダイコンとかに着色したり、味を調えたりしてわさびっぽくしたものだよ。

 でも辛いからちょっとだけつけて食べるようにね」

「わ、わかってるよ!?」

そう言いつつ、シャルはもさっと取っていたわさびの山をお皿に戻す。

 

「ふむ、どのような味なのだ? はむっ」

「「あっ」」

ラウラが試しちゃったよ!?

 

「~~~~~ッ!!」

「ラウラ……僕が忠告したのに」

「大丈夫? ラウラ」

「ら、らいひょうふら……」

鼻を押さえて涙目で強がられてもなぁ。

 

「やれやれ、はいこれ。水。

 しばらくすれば直るから、これ飲んで落ち着いときなよ。

 少しなら美味しいから、今度から控えめにね」

「了解ひた……」

 

だーめだこりゃ。

 

「まあ、ラウラは落ち着くまで待ってもらって……あ、シャル。

 お箸って上手く使える?」

「えーっと、まだちょっと苦手、かな」

「それじゃあ、食べさせてあげるよ。はい、あーん」

僕はそのまま箸でシャルに刺身を食べさせてあげる。

 

「えっ!? 聡里、恥ずかしいよ」

「別にいいじゃん、ほら」

「じゃあ、あーん♪」

「はい、どうぞ」

ぱくりと刺身をたべたシャルは目をキラキラ輝かせる。

 

「わぁ、おいしいね!」

「でしょー」

 

 

そして夜も更け、僕らが寝ようとしていると箒姉さんと鈴は入ってきた。

 

「聡里、デュノア、ボーデヴィヒ。織斑先生が呼んでいる」

「早く来なさいよ!」

それだけ言って、慌てて走っていく二人。

 

「なんだったんだろう。二人とも」

「さぁ……?」

「教官がわざわざ私達を呼び出したのか。なら、行かねばな」

「そうだね。シャル、行くよ」

そして、僕らも二人の後を追い千冬さんと一夏の部屋へ。

到着すると、姉さんと鈴がドアに耳を当てて、中の様子を探っていた。

 

「……何やってんの?」

「「しっ!!」」

その二人に習い、僕らもドアに耳を当て、中での音を聞いてみる。

 

『じゃあ、このまま背筋を上に行くからな』

『はい、一夏さんにお任せしますわ』

『重点的にして欲しいところはあるか?』

『ふふっ、それもお任せします』

『それじゃ……よっと』

『あんっ! 一夏、さんっ! 強いです!』

 

「あー……なるほど」

僕は何となく納得したけど、姉さんと鈴、シャルとラウラは何か勘違いしてるっぽい。

 

「一夏、何をやっている……!」

「セシリア、抜け駆けして……!」

「わっ、わっ、わっ! 何やってるんだろう、あの二人!」

「教官は、何故止めないのだろうか……」

……面白そうだから、真実は言わないでおこう。

 

「――おい、そこで聞き耳を立ててる四人と一人。とっとと入って来い」

その声に、僕を除く四人そろって『ぎくっ』。

 

「では、失礼しまーっす。セシリア、一夏のマッサージどうだった~?」

「それはもう、最高でしたわ!」

真っ先に室内に入った僕の言葉で、後ろ四人も状況に気付く。

 

「は、はは……はぁ」

「ま、まぁアタシはわかってたけどね!」

姉さんは脱力。鈴は強がってる。

 

「で、シャルにラウラ。顔赤いけどどうしたの?」

「「な、何でも無いっ!」」

おおぅ、ますます赤くなって可愛いな。

 

「まあ、お前はもう一度風呂にでも入って来い。部屋を汗臭くされても困る」

「ん、そうする。みんなもくつろいでいってくれ。まあ、難しいかもしれないけど」

そう言い着替えとお風呂セットを持って浴場へ行く一夏。彼を見送った後、

織斑先生は僕らに話しかけてくる。

 

「なんだ、葬式か通夜か? いつものバカ騒ぎはどうした」

「いえ、その……どのようなことを話せばいいか」

そんなことを言ってパニックを起こしている女子組。

 

「やれやれ。では私が飲み物をおごってやろう。

そういって僕らが手渡されたのは、箒姉さんにラムネ、鈴にスポーツドリンク。

セシリアに紅茶でシャルがオレンジジュース、ラウラがコーヒー、僕がココアだった。

 

「んじゃラウラ、僕のと交換してよ」

「わかった、父上」

と、一部で交換もあり全員が一口飲んだ。

 

「……飲んだな?」

そこでにやりと笑う千冬さん。

 

「え、まさか何か入っていましたの!?」

「失礼な事を言うな。ちょっとした口封じだ」

そう言って自分は星のマークが輝くビールを取り出し、一気にあおる。

 

「……ぷはっ、やはり酒もいいもんだな」

千冬さん、豪快ですね。

女子×5は目の前の光景を信じられないというような顔で見ている。

特にラウラは、何度も瞬きをしたり眼をこすったりしていた。

 

「……うーむ、つまみが足りんな。聡里、ちょっと何か作って来い。

 私が言ったと伝えれば、調理場を使わせてもらえるだろう」

「はいはい、わかりましたよ。でも、飲みすぎると後が大変ですよ?」

「ふふ、心配するな。酒は飲んでも呑まれるな、だ」

「了解しました、では何か適当に作ってきますよ」

僕はそう言って、調理場へ向かった。

 

 

「さて、男子も追い出した事だ。……おまえら、あいつのどこが良いんだ?」

千冬は箒、鈴、セシリアを見て言う。

ここで言う『あいつ』とは、勿論一夏のことだ。

 

「わ、私は別に、剣道の腕が落ちているのが気に入らないだけで」

「アタシは腐れ縁なだけで……」

「わたくしはクラス代表としてしっかりして欲しいと……」

三人はそれだけ言ってそっぽを向く。

 

「そうか。ならあいつにそう伝えておこう」

「「「伝えなくていいです!!!」」」

しれっと言う千冬に、三人は詰め寄り叫ぶ。

 

その様子を笑いながら一蹴し、今度はシャルとラウラに言う。

 

「で、お前ら。あっちの男のどこがいいんだ?

 特にボーデヴィッヒ、お前は父と仰いでいるそうじゃないか」

その言葉に、顔を赤くし答えるシャルとラウラ。

 

「ボク、あの、私は……優しいところ、です。

 それと、私の全てを受け入れてくれるところが」

「私は……強いところ、ですね。技術も、意思も」

二人が言うと、千冬は少し酔いが入っているにも関わらず真剣な顔になる。

 

「たしかにな。アイツはどこまでも優しく、強い。

 だが、それ故に一度折れると、危ういところがある。

 それを覚えておいてやれ、デュノア、ボーデヴィッヒ」

それを聞き、静かに頷く二人。

 

そして真剣にしていた表情を崩し、箒たち三人を茶化す千冬。

だが、シャルとラウラは先ほどの言葉を考え、聡里のことを思っていた。

 

 

「ただ今戻りました、千冬さん。お話は終わりましたか?」

「ああ、聡里か。ご苦労だったな。丁度今、終わったところだ。

 お前達三人はもう戻っていいぞ。

 同室の恋人同士なら、夜にはいろいろとあるだろう。私が許すぞ」

千冬さん、冗談が過ぎますよ。

でも、言質もらっちゃったんですが。

 

「だからまだ付き合ってないですってば……」

「で、でもボクは聡里がいいなら……ごにょごにょ」

本気で可愛いよな、この子。

 

「ってな訳ですから、僕らは部屋に戻りますね。

 行くよ、シャル、ラウラ」

僕ら三人は自分達の部屋に戻り、

ラウラを間に挟んで三人で川の字になって眠った。

 

そして、臨海学校の一日目の、夜は更けてゆく……。

 

続く。

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