Infinite Stratos Another   作:来迎 秋良

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20:猫座の女、襲来

「でやぁぁぁぁぁっ!」

「よ、っと」

今僕と一夏は、グラウンドで模擬戦をしている。

理由は、一夏の白式が二次形態移行(セカンドシフト)したので、

その戦術の組みなおしのため。

 

仮にもトレーニングリーダーだから、しっかり面倒みないとね。

 

「ほら一夏、白式がバテてるぞ! 雪羅の使いすぎだ!

 もっと回避行動で攻撃を外させろ! 実弾だからできるだろ?」

「んなもんできるわけないだろ!? しかもミサイル撃ってるだろお前!!」

「出来ないじゃない! やれ!!」

僕は言いつつ、四連装ミサイルポッド『炎』を二個呼び出し、

八発のミサイルを一夏に撃ち込む。そして直後に上に移動。

 

「あっぶねぇ!?」

ミサイルを回避した一夏は丁度、僕の真下に居る。

 

「回避パターンが固定されてるぞ!」

「しまっ……!」

そのまま僕は急降下しつつパイルバンカーガン『打貫(うちどおし)』を呼び出し、

銃剣『秘刀(ひめがたな)』を取り外しそのまま斬撃。

 

それでシールドエネルギーがゼロになり、僕の勝ちとなった。

 

 

「それにしても一夏、エネルギー配分できてないね……。

 エネルギーロスが多すぎ。白式の自立進化に甘えすぎだよ。

 もっとしっかり調整してあげて。一夏の『相棒』なんだからさ」

「……おう」

僕らは模擬戦を終えた後、食堂に来て食事をしていた。

 

ちなみに数回模擬戦をしたけれど、一夏の勝率が一番低い。

僕らの勝率は、僕>ラウラ>シャル&鈴>セシリア>一夏かな。

 

「はぁ……。それにしても何で負けるんだ? 白式はパワーアップしたのに……」

一夏が言う台詞に、僕は頭を抱える。

 

「一夏の機体はさらに大喰らいになったってことでしょ。

 福音のときは姉さんのワンオフのおかげで気にせずに済んだけど、

 普段からそういうわけには行かないからね」

僕の台詞で一夏はまた落ち込んだ。

 

「まあ、一つだけヒントをあげるよ。

 零落白夜は敵に当てる瞬間だけ発動させると、エネルギーを最小限に抑えられるよ。

 篠ノ之流の『刹那』に通ずるね」

 

剣術篠ノ之流・居合いの型『刹那』。

相手に対し、刀を構えず鞘に入れたまま敵に迫る。

そして相手を斬るその一瞬にすべての力と速度を乗せ抜刀する、瞬間の抜刀術。

それを『雪片弐型』の零落白夜で発動しろと、僕は一夏に教えたんだ。

 

「まあ、僕が言えるのはこのくらいか。

 それじゃ、シャルたちを待たせてるし僕はあっちで食べるよ。

 箒姉さん達も来たから、一緒に食べてあげてね?」

そういって僕はシャルとラウラのところへ行く。

 

 

「シャル、ラウラ。お待たせ。あ、ラウラ美味しそうなもの食べてるね。

 たしかドイツ料理のシュニッツェルだったっけか」

「ああ。まさか本国以外でここまでうまいシュニッツェルにありつけるとはな。

 兄さんと姉さんも食べるか?」

「わぁ、いいの?」

「ありがとう、ラウラ」

シャルと僕はラウラからシュニッツェルを一切れずつもらい、食べてみる。

 

「うん、美味しい!」

「ああ、確かに美味しいね。

 ドイツの肉料理はどれも美味しくて良いなぁ。ヴルストとか」

「そ、そうか。 ジャガイモ料理もお勧めだ」

ラウラは故郷を褒められて嬉しいのか、顔が赤くなっている。

 

「あー、ドイツって何気に美味しいお菓子多いわよね。

 バウムクーヘンとか」

僕らの会話にいきなり鈴が入ってきた。

というか、一夏はいいのかな。

 

「鈴、こっち来たんだ。 一夏と一緒に食べなくて良いの?」

「というか、最近あんたらだけで話しすぎなのよ。

 たまにはあたし達とも一緒に食べなさいな」

そう言ってテーブルをくっつけ、一緒に話し始める。

 

「わたくしはドイツのお菓子だとあれが好きですわね。

 ベルリーナー・プファンクーヘン」

「えっ、セシリア、ベルリーナーってバニラの衣を載せたジャム入り揚げパンだよね。

 セシリア、アレが好きなんだ。でも、相当カロリー高いんじゃない?」

「ええ……。ですが、ちゃんとカロリー計算をするので問題無いのですわ!

 そう、ベルリーナーを食べる日は他に何も食べない覚悟で……!」

女子の悩みってやつか。凄いものだなー。

 

「ジャム入り揚げパンか。確かに美味そうだな」

「箒姉さん、そう言うの好きそうだよね。 今度僕も作り方覚えようかな」

久しぶりに何か作りたくなってきたな、料理。

 

「へぇ、聡里。アンタって料理もできんの?」

「勿論。箒姉さんも上手だけど、束姉さんはそっち系は全然ダメだからさ。

 僕が手伝ってたらいつの間にか、ね。お菓子とか料理とか、簡単なものなら」

僕が言うと、一夏が苦笑しつつ言った。

 

「フランス料理のフルコースとかを作るのが簡単なら、

 そういう表現で正しいんだろうけどな……」

その発言に、シャルと箒姉さん以外の全員が驚いた顔をする。

 

「嘘!? アンタそんなのまで作れるの!?」

「うん。一度覚えちゃえば結構簡単だよ。ね、シャル」

僕の発言に、シャルも頷く。

 

「だよね。料理一品ずつなら結構簡単だし。

 あとは手順をいかに同時にこなすか、だよね」

「ふむ、料理とはその点では作戦指揮と似ているのだな」

ラウラの発言に、僕らは苦笑い。

 

「ま、そういうことにしとこうか。

 そういえばラウラ、この間食べた水菓子、どうだった?」

その質問に、ラウラは顔を輝かせる。

 

「ああ! とても美味かった! 是非また作ってくれ、兄さん!」

休み中、抹茶カフェに行ったときに水菓子が気に入ったらしかったから、

みんなにそれぞれウサギを水菓子で作ってあげてたんだ。

でも、ラウラにここまで喜んでもらえるとは思ってなかったな。

 

「ホント、アンタって器用よね……」

「これくらい普通だって。 そういえばセシリア。

 シャル達が転校してきた頃、料理を教えてあげるって約束したよね。

 今日の放課後、時間が空いてるから教えてあげるよ」

セシリアは一瞬顔を輝かせたけれど、

すぐに沈んだ表情になり首を横に振った。

 

「いえ……。 私は、訓練がありますから遠慮しますわ」

「え? ……ああ。わかった。 それじゃ、習いたくなったら言ってね。

 予定がなかったら教えるよ。まあ、僕は何よりシャルが最優先だけど」

僕のこの台詞にシャルは、顔を真っ赤にしてぽかぽかと叩いてきた。

 

「さ、聡里ってば!」

「あはは、ゴメンゴメン。照れてるシャルが可愛くて」

「も~、聡里!」

こんな会話をしていると、一夏たちは凄い居づらそうな顔をしていた。

 

「ラウラ、聡里たちはいつもこんな感じなのか?」

「ああ。 部屋でも始終こんな風に会話しているな」

答えたラウラはちゃっかりとブラックコーヒーを飲んでいた。

それを見た残りのメンバーもコーヒーを取りに行っていた。

 

 

「……広いなー」

食事を終えた僕らは別れ、

僕と一夏は男子に割り振られたロッカールームへ移動して来ていた。

 

「さて、急いで着替えていかないと先生に怒られるよ?」

「判ってるっての」

僕らは言って、即座に着替える。

僕は元々来てたから、制服を脱ぐだけで済んだけど。

 

「あれ? 聡里、ISスーツ変えたのか?」

「うん。一応あのモデルでもよかったんだけど、あれだと腹部の防御ができないから。

 オオシノってメーカーでスピードモデルを特注しちゃったよ。

 この間バイト代が入ったから、それを使ってね。いやー、あのバイトは大変だった」

僕のISスーツは手首から先と頭を除く全身を覆うタイプ。

デザインは、黒を基調に白と金のラインが側面や襟元、袖口などに走っていて、

左胸の部分に『S.S.』というイニシャルをデザイン化して刺繍してある。

 

そして着替え終わり一夏が白式のエネルギー配分を見ていると、

いきなり一人の女性が一夏の顔を両手で覆った。

 

「だーれだ」

「え!?」

……この人は、もうちょっと落ち着いた事ができないのかな。

一夏とは初対面なのに。

 

「だ、誰だ!? 聡里か!?」

「僕じゃないよ。ってか先輩、いい加減にしてあげて下さい。

 授業に遅れちゃいますから」

僕の言葉で一夏から手を放し『てへっ』とばかりに笑うその先輩。

 

「いやー、こういうのはインパクトがないと」

「仮にもIS学園の生徒のリーダーが、出席の邪魔をしないでください……って!

 もう授業始まっちゃってる!? 一夏、行くよ!!」

「おい聡里、この人誰だ!?」

状況が飲み込めてない一夏を引きずり、僕はグラウンドへとダッシュした。

 

 

「……で? 貴様らは初対面の女子との会話を優先して遅刻したと」

地獄の教官(ヘルズ・ティーチャー)、織斑先生のありがたい言葉。

 

「だからロッカー室で女子に捕まって!」

「ほう。で、その生徒の名前は?」

そこまで言われて一夏がいい加減哀れになってきたので、救援を出す。

 

「その女子は楯無先輩でしたよ、織斑先生」

一夏はそれを聞いて驚き、千冬さんは顔を抑える。

 

「あいつか……」

「え? 聡里、知ってたのか!?」

「うん。というか、一夏も生徒会長の顔くらい覚えときなよ。

 更識楯無生徒会長。IS学園の生徒の中で、最強の人なのに」

少々人間性に問題があるけどね。

束姉さんと気が合いそうだ。

 

「……判った、それなら仕方ないだろう。 では、授業を始める」

あの生徒会長……普段から一体何をやらかしてるんだ……?

 

 

「ですから! 実弾装備を送って下さい!」

僕らが食堂へ移動しようとすると、

廊下の隅でなにやらセシリアが携帯電話に向かい怒鳴っていた。

 

「聡里、どうかした?」

「あ、シャル。 うん、なんかセシリアが荒れてるから気になってね」

そう言い、僕は通話が終わり携帯を危うく投げそうになったセシリアを宥める。

 

「セシリア、なんで荒れてるのかは判らないけど、とにかく落ち着いて。

 僕らでよければ、相談に乗るよ?」

そう言うけれど、彼女は苦笑いし、拒絶する。

 

「いえ……結構ですわ。あくまで個人的な物ですし」

「そう、か。 それじゃこの後学食カフェにでも行こうか。

 甘いもの食べて気分転換しようよ。

 そんな状態じゃ、できることもできないよ?」

「そうだよ。 ね、行こう!」

シャルにも言われ、セシリアはいつもの笑顔に戻り一緒に来た。

 

続く。

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