Infinite Stratos Another   作:来迎 秋良

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ようやく転載して初めて新しいエピソードが書けました。
夏季補修ェ……


25:弟と鏡像、闇と影

「それでは、せーのっ!」

「「「一夏のお誕生日&聡里の帰還、おめでと~っ!!」」」

 

ここは、一夏の誕生日会パーティの会場になっている、織斑家。

 

僕は帰還して、まず学園の施設で身体検査を受けた。

そして、コントロール用、そして自壊用のナノマシンの無効化処置を受け、

無理やり外出許可をもぎ取り、一夏の誕生パーティに出席することにした。

 

「よかった……こうして、みんなと一緒にまた話せて」

僕はそう呟く。 と、隣に居るシャルがそれを聞きつけたらしい。

 

「本当に、良かったよ。 聡里がまた帰って来てくれて、嬉しい」

「ありがとう、シャル」

シャルにまた会えた嬉しさで、

無意識のうちに手に持ったコップに強い力を与えていたらしい。

そして……ガラスコップを『握り割ってしまった』。

 

「だっ、大丈夫、聡里!?」

「うん、この程度なら……」

僕は言って、手を振ってガラスの破片をゴミ箱へ入れる。

すると、ほんの数秒のうちに手の傷がふさがってしまった。

 

「え……?」

「……こんな体、僕は欲しくなかったかな。

 この力じゃ、シャルを思い切り抱きしめる事もできないし」

苦笑するしかない。

いきなり自分が人間型兵器だってことを思い出し、恋人に手を挙げたんだから。

 

「……変な空気にしちゃったね。ゴメン、皆。 僕は外の空気でも吸ってくるよ」

とだけ言って、僕は一夏の家を後にした。

 

 

「……くそっ」

一夏の家を後にした僕は、何処へとも知らず歩く。

僕の足はIS学園へは向かわず、近くの公園へ向かっていた。

いや、歩いて行ったわけではない。ただ、跳んだ。

 

今の僕は、ISとしての全能力を開放されている。

つまり、生身でもPICを応用して大ジャンプが可能、と言うわけだ。

……もう人間じゃない証明のように。

 

そして公園に到着し、ISのネットワーク通信を起動する。

相手は……束姉さん。

 

「姉さん、今僕の居場所、補足できてる?」

「さーくん! やっと連絡してくれたね! 補足できないんだけど、どうやってるの!?

 私の移動ラボのセンサーでも捕まえられないんだけど!」

……実験は成功、かな?

 

「今位置情報送る。 姉さん、僕の体にリミッター、組める?」

「うーん……できるけど、ちょっと時間かかるよ? それでいい?」

「うん、ありがとう。それで、できればナノマシンじゃなくて、

 外部装置でいつでも任意で解除できるようにして欲しいんだ」

僕の言葉に「できるだけやってみる」と返す姉さん。

そして僕は姉さんにさらに一言言う。

 

「それと、姉さん。 僕、どこかへ身を隠そうと思うんだ」

それを言うと、姉さんは大いに驚いたらしい。

 

「ど、どういう事!? さーくん、学園に好きな人がいるんでしょ!?」

そういわれるけれど、僕は答える。

 

「確かに居るよ。でも、僕が居ても、彼女に迷惑になるから」

僕は言って、笑う。苦く。

 

「僕はもう人間じゃないからね。

 リミッターが掛からないと、全力で動いたらそれだけで人を殺すくらいの、戦闘兵器。

 だから、彼女のそばに居ない方がいいんだよ。

 そもそも、僕の存在はそろそろ国際問題になると思うから」

 

そう。僕が『キャノンボールファストを襲撃した』という事実は揺るがない。

つまり、酷ければ国際テロリスト扱い。

IS学園を退学になってもおかしくないような事をやったことになる。

しかも、最後に現れた敵から見て、宵闇の技術も解析されてる。

日本の国家機密漏洩でも、罪に問われる事になるだろう。

姉さんも、それを理解したらしい。

そのうえで、姉さんは僕に怒鳴った。

 

「さーくん何言ってるのっ!」

「えっ!?」

「その程度の事、束さんがどうにかしてあげるよ!

 だから、さーくんはシャルロットちゃんと仲良く暮らせばいいんだよ!」

あんまり聞いた事が無い、姉さんの本気での怒鳴り声。

それに、僕も気おされてしまう。

 

「ね、姉さん」

「さーくんを作った組織くらい、束さんにかかれば一日で潰せるよ!

 だから、さーくんは平和に暮らしていればいいの!」

そう言い出した姉さんの言葉を聞いて、僕は昔の事を思い出した。

 

『さーくんは平和に暮らしてればいいよ』

その言葉は、僕が拾われた時、どうすればいいか判らないと姉さんに聞いた時の答え。

その言葉で、僕は自分の境遇を感じた。

 

「本当に僕って、いろんな人に守られてるんだね」

束姉さん、箒姉さん、一夏、千冬さん。

ラウラ、セシリア、鈴、そしてシャルロット。

僕は皆に守られてばっかりだ。

 

「……そう、だね。 姉さんがそこまで言うなら。僕もギリギリまで頑張ってみるよ」

僕はそう言って通信を終了、織斑家の前まで戻ることにした。

 

 

「あ、一夏」

「のわっ、聡里お前何処から戻ってきてるんだよ!?」

跳躍で織斑家に戻っている最中、

一夏が自販機でジュースを買いに来ているのを見つけ、

僕は一夏の目の前に着地した。

 

「病み上がりでそんなに持つの大変でしょ、半分持つよ」

言いつつ、僕は力を入れすぎないように注意しながらジュースを持つ。

 

「悪いな、聡里。 助かる」

「いいって……!?」

一夏に返事をした瞬間、僕は異常な感覚を感じた。

この感覚は、何かとリンクした感覚……というよりも。

 

「一夏、気をつけて。 ……近くにISが来てる」

言いつつ、僕は両眼のドンナー・オージェを起動し、周囲をサーチ。

背後に反応を見つけ振り向きざまに「誰だ!」と怒鳴る。

その先には、二人の人物がいた。

 

「「……え?」」

僕と一夏は、共に相手の一人、女性のほうを見て驚く。

女性というより女子といった方が当てはまるような彼女は、

千冬さんに良く似ていたからだ。

さらに、その横の男子。彼は……

 

「僕が、居る……!?」

そう、彼は、僕にそっくりだった。違いといえば、顔の左側の前髪に

白いメッシュを入れてあるくらいか。

 

その二人は同時に声を上げる。

 

「「いや」」

女は一夏を、男は僕を指差し言う。

 

「「俺(私)はお前だ」

その台詞に、僕と一夏は同時に硬直してしまう。

それを見つつ、彼らは言葉を重ねる。

 

「織斑マドカ、だ」

「で、オレが『壱』だ。久しぶりだな、『兄さん(できそこない)』」

彼らはそのまま流れるように拳銃を懐から抜き出し、僕と一夏に向ける。

 

「私が私であるために、お前の命を貰う。織斑一夏」

「裏切り者は処分しなくちゃな、失敗作」

そして、その拳銃から殺意を込めた弾丸が僕らに放たれた。

 

「「死ね」」

 

続く。




聡里と一夏が、自分の鏡と言える相手との邂逅を果たす。
織斑マドカ、そして『壱』。

彼らの登場は、一体何を引き起こすか。

次回もよろしくお願いします。

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