Infinite Stratos Another   作:来迎 秋良

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大分時間が空いてしまいました。

それに、全部を勢いに任せて書いたので、
あんまりよくないかもです。

それと、今回はかなり長いです。
ご注意ください。


29:聡里のかつての友人、そして。

学園が襲撃され、数日が流れた。

聡里は複数のゴーレムの迎撃に対処した功績により懲罰室入りが解除され、

再び自室に戻る事ができた。

 

しかし学園の各所は破壊されており、破壊された校舎が修復されるまで学園は休学。

そして、希望した生徒以外は実家へ帰った後、無事だった聡里たちの部屋で。

 

 

「よし、っと。それじゃ、僕も作業を手伝ってこようかな」

聡里は呟き、腰掛けていたベッドから立ち上がる。

その時部屋のドアが開き、シャルが帰ってきた。

 

「聡里、どこか出かけるの?」

「ちょっとね。 校舎の修復作業を手伝ってくるよ。

 作業用に新しい汎用パッケージシステムを組んだから、テストも兼ねてね」

「む、この間から兄さんが作っていた装備か。てっきりIS本体かと思ったが」

「うん。 ちょっと特殊だけど、量産型のISになら大抵装備できるはずだよ」

その台詞に興味を持ったシャルとラウラを連れ、聡里は移動した。

 

 

作業をしている外壁部分に移動してきた聡里たち三人。

すると、そこには現場監督をする山田先生の姿があった。

 

「あ、篠ノ之くんにデュノアさん、ボーデヴィッヒさん。何か御用ですか?」

「僕はちょっと、試したいものがあって。 ちょっと離れてて下さいね。

 ……宵闇、展開。次いで展開、[ギガント・ワーカー]!」

聡里の声に反応し、宵闇が展開される。

そしてその宵闇の隣に、巨大な人型の機械が展開された。

その機体の胴体部に宵闇が装着されシステムがリンク、

宵闇の動きをトレースしその通りに動く。

 

「うわぁ、すっごい! これが[ギガントシステム]?」

シャルとラウラ、山田先生の驚いた顔を見て、聡里は説明する。

 

「これは、IS本来の用途、宇宙探査の延長として、作業用に作った装備なんだ。

 エネルギーコンデンサを搭載して稼働時間を向上。さらに宵闇のパッケージ

 [スサノオ]で製作した強化関節機構を応用。かなり重いものも楽に運べるし、

 アームを換装したら精密作業もできる、作業用パワーローダーさ」

その台詞どおりにラファール二機で運んでいた瓦礫を、軽々と片腕で持ち上げて運ぶ。

そしてその残骸を両手で崩した後、廃棄物コンテナに放り込んでギガントの接続を解除。

さらにギガント数基を展開し、作業をしていた教員に呼びかける。

 

「どうぞご自由に使ってくださ~い!

 これ、一応ラファール・リヴァイヴと打鉄用の作業用に調整したものなんで、

 多分いけると思いまーす!」

そしてそれを装着した教師方に動作方法を教え終わり、作業が始まったところで

千冬が聡里に声を掛ける。

 

「聡里、会議室に来い。 ……任務だ」

 

 

千冬につれてこられたのは、IS学園のオペレートルーム。

そこに聡里が到着した時、彼らは驚いた。

その部屋のモニターには、様々な国家や組織のリーダーたちが映っていたからだ。

 

「あなたがミスター・シノノノね。

 以前はわが国のファング・クエイクを手玉に取ってくれたそうじゃないの?」

「まあまあ、落ち着きなさいよグレイス。

 彼もその事については正式な謝罪を入れてきたんでしょう?」

聡里らに話しかけた二人は、アメリカ大統領とドイツ軍総監だった。

 

「ち、千冬さん、これはどういうことですか!?」

「その説明は、この方がして下さる。 お願いします」

千冬の台詞を聞き、今まで喋らなかった最後の女性が話し始める。

 

「君と直接会話するのは初めてになりますね、篠ノ之聡里くん。

 私はドロシア・ライリー。国際IS委員会の長をさせてもらっているの」

彼女は画面越しに聡里たちに微笑みかけ、聡里も反射的にお辞儀を返す。

 

「それでは、今日あなたたちを呼んだことの理由を言わせてもらうわね。

 ……この間の、あなたの報告書に書かれていた研究所の事です」

その言葉に、聡里は驚いていた表情を一気に引き締める。

 

聡里の提出した報告書とは、自身の知っている亡國機業の情報全てをまとめた物。

それには聡里が自身の脳内から抜き出した[人工兵士]たちの画像や施設の地図、

そしてその施設の位置座標まで、知りうる情報を全て送っていたのだ。

 

「あの研究所で、何かがあったのですか?」

「今現在、そこで戦闘が展開されているようなのです」

聡里はそれを聞き驚く。

 

「え!? あの基地は、亡國機業系のグループしか知らないはずですが」

「恐らく、貴方がた二人が離反、捕獲された事への制裁でしょう。

 しかし、それを思い通りにさせるわけには行きません。

 篠ノ之聡里さん。貴方には、この『アイランドラボ』の救援に向かっていただきます。

 我々のほうで部隊を編成してもいますが、それには時間を要します。

 それでは間に合いません。ですから、こうして貴方にお願いさせていただいています」

その言葉を聞き、聡里も頷く。

 

「そういう事情なら、僕は断りません。 ですが、一つだけ条件を加えさせてもらっても良いでしょうか」

「あら、何かしら」

「この作戦に、襲撃時に捕獲した、PTS-A01を同行させてください」

聡里の台詞に、ドロシア委員長は柔和だった笑顔から一転、鋭い目つきで聡里を見る。

 

「それは、何故ですか?」

「アイランドラボのセキュリティは、僕ら『人工兵士』には甘いです。

 戦闘中なら、難なく侵入できると思います。 それがまず一つ。

 もう一つは、あの基地には壱にとっての友人も多いですから、

 その方が基地に残っている人間を説得しやすい、というのもあります」

聡里の説得で、ドロシア委員長は頷く。

 

「たしかに、一理あります。 しかし、壱が離反した場合は、どうします?」

その問いに、聡里はすぐさま返答する。

 

「その場合、彼を強制コントロールコマンドを入力し、動けなくしてから……撃ちます」

言い切る聡里の目をモニター越しに見た委員長は、満足したように頷いた。

 

「……判りました。 こちらからは言っておきます。

 それでは、すぐに出撃をお願いします」

「了解!」

聡里は返事も待たずに、会議室を飛び出した。

 

 

「馬鹿な……ッ! 亡國機業は、何を考えている!?」

アイランドラボ周囲の海の上。 ここで刃金疾風たちは、

亡國機業の部隊を相手に戦闘を繰り広げていた。

 

「くっ……兄様達が居れば……!」

疾風は歯噛みする。 しかし、それを考えた一瞬の隙に、

背後から敵が、突撃槍を構え突っ込んできた。

 

「しまっ……!」

しかし、その敵が疾風に攻撃する事はできなかった。

上空から一本の矢が飛んできて、その突撃槍を貫いたからだ。

その矢が飛んできた方向を見て、疾風は驚いた。

そこには、無間を纏った一人の人物が居たからだ。

 

「無間……! 壱兄様ですか!?」

「いいや、疾風。 僕、だよ」

その人物は、疾風が想定していた人物とは違った。

 

「え……? 零兄様!? どうして、貴方が無間に?」

「説明は後。 疾風、戦況を報告して」

聡里に言われ、疾風は今が戦闘中であったことを思い出す。

 

「は、はいっ! 今は、この研究所に置いてあったISE(アイジー)を武装して、

 敵に対抗しています。 と言っても、残っていた機体は五機だけだったので、

 私、クロエ、エイミー、ハンナ、フィオナの五人で相手を押さえている状況です。

 みんなはシェルターに入って、ユイ姉様だけが管制室から管制してくれています」

その台詞を聞いた聡里は、表情を険しくする。

 

「いくら君たちでも、簡易ISのISEじゃ流石にまずい! 

 疾風! とりあえず、ユイと通信繋いで! これから僕が、指揮を取る!」

 

 

「ハンナ、敵が集まっているポイントを転送します。 砲撃して下さい。

 エイミー、エネルギーポッドでハンナのサポートを。

 クロエは基地に接近する敵を狙撃してください。

 フィオナは最終防衛線として迎撃を!」

次々に戦闘の指示を出すPTS-E01『ユイ』だが、その表情には疲れが見えた。

それも、終わりの見えない不利な戦闘の指揮をしているのであれば、当たり前だが。

 

(このままじゃ、押し切られる!)

 

彼女が思った瞬間、不意に新たな光点が二つ、レーダーに表示された。

慌ててその表示を見たユイは愕然とする。

それは、自分にとって、兄のような二人の証だったから。

 

「無間に……宵闇!? 壱くん、零さん!」

通信を接続しようとした唯だが、一瞬早く相手から通信が繋がる。

 

『よし、無線のシステムコードは変わってないか! ユイ、聞こえる!?』

「零さん! 聞こえます!」

ユイからの返事を聞いた聡里は、安心したように笑顔を作る。

 

『整備系のユイがそこに居る、って事は指揮体系はメチャクチャなんだね?』

「はい……。 このラボを防衛するために配備された人は全員、

 敵になっちゃいました。 なんとか施設外に追い出して今は五人が頑張ってくれてますけど、

 いつまで持つか……」

『そうか……判った。 ユイ、ラボの索敵データ、こっちに回して。

 それとこの空域全域に、僕の通信を繋いでくれ』

ユイは何をするのかも判っていないうちに、聡里の指示に従う。

 

『接続確認。 ありがとう、ユイ。 それじゃ……道理を無理で吹っ飛ばそうか!』

 

 

クロエ・クラリーとハンナ・ハインリッヒは、機体のエネルギーが尽きた所を

多数の敵に囲まれてしまった。

 

「ハンナお姉様~、もうダメだよ~っ!」

「諦めるな、クロエ! まだ、何か……っ!」

二人は互いに背中合わせで相手を見据えるが、敵は一斉砲火の体勢に入った。

しかし二人に、一本の通信が入る。

 

『クロエ、ハンナ! コンビモーションパターンW!』

その声に反応し、思わず二人は行動する。

 

クロエとハンナは銃撃の瞬間に急降下し、円形に並んだ相手の銃撃を相手同士で撃ちあわせる。

そしてそのまま急上昇し、円形の軌道で敵を半分ずつ吹き飛ばした。

 

「クロエ、今の声……!」

「うん、零にーさまだ!」

『無事……とは行かなくても、大きなダメージを負ってなくて良かった。

 二人は一旦、メインゲートの前まで来て。 そこで相手を迎え撃つよ!』

聡里の台詞に、二人は少なからず驚く。

 

「で、でもそんなことしたら、他のゲートに!」

『大丈夫、基地の自閉モードを応用する。

 今、この島には国際IS委員会から援軍が向かって来てるんだ。

 それまで持ちこたえられればいいからね!』

二人は今までの孤立無援の心境から、味方が来てくれるという事を聞き士気がハネ上がる。

 

『判ったでしょ? クロエ、ハンナ両名、メインゲート前へ即時集合せよ!』

「「了解(なのだー!)」」

ハンナとクロエは声をそろえて返事し、メインゲートへと向かった。

 

 

「くぅっ、やっぱり敵さんもやるわね!」

「言っている場合ではありませんよ、フィオナ!

 ほら、また後ろに付かれていますわ!」

ISEの出力では本来できないような高速機動で敵を翻弄しているフィオナだが

敵機体の性能には勝てず、背後に付かれたところをエイミーが相対速度を利用し

近接ブレードの一撃で斬り落としていた。

しかしそんな無茶な戦法はそう長くは持たなかった。

 

フィオナに追いすがっていた敵だが不意打ちのエイミーの斬撃に対応し、

至近距離からマシンガンを叩き込まれたのだ。

訓練だけしかしていなかった者と、実戦をしてきた者の差が現れたのである。

 

至近距離からマシンガンを喰らったとはいえ、シールドのおかげで体は無事だが、

それでもエイミ-のISEは機能不全に陥っていた。

 

「大丈夫、エイミー!?」

「え、ええ。私は。 でも、これではしばらくは戦闘できそうにありませんわね……」

「ちょ、ちょっと! いくら私でも、この数相手にこの機体であなたを守りながらは無茶よ!」

そう言いつつもエイミーをかばい、敵との射線上に立ちはだかる。

その時二人に、通信と援軍が届いた。

 

『壱、[明鏡]展開! シールドフィールド展開!』

「わーってるよ、プロトタイプ!」

叫びつつ敵を二人の間に割り込んだ『闇』は、シールドパーツを周囲に投げる。

するとシールドパーツが空中に浮かびエネルギーシールドを展開、

それぞれのシールドが繋がり特殊なビームシールドが展開された。

 

「無事か? エイミー、フィオナ」

「壱兄様! 何故ここにいらっしゃるのですか?」

「ナイスタイミングよ、イチ!」

「ンな事は今は良い。 行くぜエイミー、フィオナ!

 壱は言うと、シールドパーツを解除。 それと同時に壱と二人は散開する。

 

壱は宵闇の射撃戦用パッケージ『ツクヨミ』を展開し装着、

両肩の非固定部位に装備されたガトリング『ミチヅキ』と二挺のマシンガンで弾幕を張る。

そして敵が足止めされている間にその弾幕の隙間を縫うようにフィオナが切り込み敵を落とし、

壱の後ろからもエイミーが、渡された対物狙撃銃『カナメ』で狙撃を打ち込む。

 

その弾幕に飲み込まれた敵の部隊は、ものの五分と持たずに殲滅されていた。

 

「おし、救援完了だ。 んじゃ、次はどうすりゃいいんだ、零?」

『基地の防衛システムは、あえてメインゲートだけ弱くする。

 そこに戦力を集中させて時間を稼ぐ! だからメインゲート前へ!』

聡里の指示を聞き、壱は肩をすくめながら二人に言う。

 

「だと、さ。 ついて来いよ、二人とも。 遅れんなよ!」

壱はそれだけ言うとメインゲートのほうへと宵闇を飛ばす。

 

「壱兄様、お待ちになってください!」

「もうっ、気配りができないわね、イチってば!」

機体が損傷したエイミーをフィオナが支えつつ、二人も壱の後を追った。

 

 

「よし、全員集まったね」

聡里の声に、疾風たち五人と壱が返事をする。

 

「これで準備は整った。ユイ! メインゲート防御用のシールドエネルギーをそれ以外のゲートへ!

 メインゲートの防御を物理防御だけにしてくれ!」

『了解です、零さん!』

唯がコンソールを操作し、メインゲートを覆っていたシールドエネルギーが消える。

 

それを察知した敵部隊は、メインゲートに向かってきていた。

レーダーで敵の動きを確認した聡里は頷く。

 

「よし……予想通りだ。 でも、正直無間で戦闘はしづらいんだよね。

 となると、壱! やるよ!」

「へいへい、まさか作戦前の冗談がマジになるとはな!」

二人は言い合うと、ISの展開を空中で解除、落下する。

 

「兄様っ!?」

「壱、パス!」

「無茶やるよな! ほらよっ!」

聡里と壱は待機状態のISを互いに向けて投げ、交換。

そして即座に展開する。

 

「無茶してごめんね、宵闇。再調整完了! これでオッケーだ!」

「やっぱお前じゃねーとな、無間!」

二人は言って、敵が来る方向に向き直る。

 

「敵の総数は50。 全員戦闘用ISE装備ってとこかな。

 ……よし、僕と壱だけで十分だから、きみたち五人は休んでて」

その台詞に壱は顔をしかめ、疾風たちは驚く。

 

「でっ、でも兄様、50人もの相手に、二人……!?」

「まあ、敵が正規ISじゃないし、僕らだし。

 それに、君たちには僕らのことをラボのみんなに説明して、

 IS委員会に投降するように説得して欲しいんだ。

 僕やブリュンヒルデ、篠ノ之博士で最大限の便宜は図るから、

 みんなの安全は保障する、って言っとけば多分大丈夫だと思うけどね」

「ま、俺と、ついでにこのロートルの性能なら余裕だっての。

 お前らは心配してるヒマがあったらサッサと行って、説得して来い」

聡里と壱の台詞を受け、五人は慌ててラボの内部へ入る。

 

「壱、左翼の25機は任せた。 僕は右翼の25機を落とすよ」

「ハッ、なんなら全部俺がやってやろうか?」

不敵に悪い笑顔を浮かべる壱に、聡里は苦笑。

 

「それじゃ、やろうか。 行くよ、弟クン!」

「失敗して面倒かけんなよ、原型(あにき)

二人はそのまま拳をぶつけ合い、左右に散開した。

 

 

「さぁて、っと。 味方が居ない所での戦闘こそ、僕の本領なんだよね!」

聡里は言って、宵闇の装甲を展開。 宵闇を第二形態へ『変形』させる。

そしてその状態で、新たなパッケージを展開・装着した。

 

「一度テストしたときの手ごたえはなかなかだったから、いけるでしょ!

 システムコネクト、全身連動ブーストシステム……オールグリーン。

 超高機動用パッケージ『迅雷(じんらい)』、起動!」

聡里の声と共に、全身に追加されたブースターに火が入る。

そして、「キュンッ」という甲高い音と共に聡里の姿が掻き消え、

聡里に一番近かった機体が撃墜された。

 

「……よしっ、行ける!」

彼はそのままの勢いで多数の機体の間をジグザグに駆け抜ける。

軌道を先読みされてそこに弾幕を張られても、瞬時に軌道を変更し回避。

黄色い噴射炎を光らせ駆け抜けつつ敵を斬り捨てるその姿は、まさに稲妻である。

 

 

「五剣・開放! セレクト・大典太光世(たいでんたみつよ)、エペタム!」

壱は無間の固定武装である五本の剣のうち二本を選択、それぞれを接続する。

そして、エペタムの機能であるワイヤーブレード機能を利用し、

シールドエネルギーを消し去る大典太光世を振り回し、周囲の五機を一気に切り落とした。

 

「やっぱこんくらい派手に行かないとな!」

言いつつその二本の剣の展開を解除、次いで壱は動きを止め、叫ぶ。

 

「オマケにコイツだ、ワンオフ・アビリティ!」

叫んだ瞬間、無間のコクピットに『単一能力・時空滅創』の文字が浮かぶ。

そして、周囲の空間が『歪んだ』。

 

「喰らえ!」

敵との間、その距離10メートルを1メートルまで空間を圧縮した壱は、

速度が10倍になったかのような速度で移動する。

 

「喰らいやがれ、五剣・開放! 大典太光世、童子切安綱(どうじきりやすつな)!」

二振りの日本刀を選び取った壱はその剣を刃が水平に並ふように接続する。

すると二つの刃が纏っている薄いエネルギー膜が混ざり、

見事な日本刀型のエネルギーブレードが二本の刀の間に発生する。

そして、壱は空間圧縮で稼いだ速度を利用しそのブレードで叩き切る!

 

「喰らいやがれぇ!」

そのエネルギーブレードに飲み込まれた敵は、機体の手足部分を切り離されて墜落した。

 

「殺さない、ってな面倒臭ぇな。 ……けど、やんなきゃな。

 俺も、単なる機械じゃねーからな」

 

 

十数分後。

聡里と壱の戦闘により、50機居た敵は全て、生命活動に問題ないレベルで撃墜されていた。

 

「ま、ざっとこんなもんだろ」

「うん、そうだね。 後は委員会の合同部隊がみんなの救出しに来てくれれば……っ!?」

その時、宵闇にリンクしているレーダー画面に新たな反応が現れた。

 

「識別コード『IS-X(アイズ・エックス)』!? 壱、危ないッ!」

聡里は叫び、新開発で大型の物理・エネルギー複合シールドを展開し構える。

その時、シールドにビームが直撃し、シールドが『吹き飛んだ』。

 

「何だ、この出力のビーム!?」

「この手ごたえ……やっぱりあの時の!」

聡里はビームが飛んできた方向を見る。

そしてそこに見た。 壱が捕まった時、聡里を気絶させた謎の機体を。

 

「あなたは……あの時の!」

聡里が睨みつけると、その女性は「ふふっ」と微笑みを見せる。

 

「君には、直接自己紹介はしていなかったね。

 私は天原。 君たちの製造を命じた、亡國機業のトップだ。

 言わば、君たちの生みの親、と言った所だよ」

彼女は微笑を絶やさず言う。

しかし、その笑顔の裏に、そしてそのISに、

何か恐ろしい、得体の知れないモノを、二人は感じ取った。

 

「気をつけて、壱。 コイツ、嫌な気配がする……!」

「判ってる。 コイツのIS、感情が無い……!」

二人は天原に対し身構える。 その時、天原のISが『ブレた』。 いや……

 

「嘘……!?」

「分身だぁ!? 無茶苦茶にも程があるだろ、おいっ!」

天原のISが十数機に分身し、全員が肘の部分から内蔵ニードルブレードを展開した。

 

「「「君たちでは、この私には勝てないよ。 戦いそのものの子供たち」」」

分身した全ての天原が、同時に言う。

そしてそのまま、半数ずつがブレードを構え、聡里と壱に斬りかかる。

 

「くっ、あぐっ、ぐぅっ!?」

「がっ、ごっ、があぁっ!」

聡里は即座に展開した全身装甲パッケージ『ヒヒイロノカネ』と複合シールドで、

壱は防護エネルギー体を発生させるブレード『クトネシリカ』で防ぐも、

ヒヒイロノカネは砕かれ、それぞれの本体にも小さくないダメージが通った。

 

「ぐっ……。 これは、ヤバい……!」

聡里は砕けたフェイスアーマーの中から天原たちを睨む。

が、その天原たち本人はやはり薄ら笑いを浮かべていた。

 

((このままじゃ、()られる!))

 

聡里と壱の思考がシンクロし、その思考と同時に敵が襲い掛かる。

が、その時。 聡里と壱、それぞれの目の前に二つの人影があった。

オレンジと、空色の。

 

 

「リヴァイヴ・カスタムⅡ……!?」

「ユイ、お前……!」

そこに立っていたのは、シャルのラファールと、見知らぬISを身にまとったユイだった。

 

「ユイ! お前そのIS、何で!」

「シャル! なんで、というかどうやってここに来たの!?」

聡里と壱が口々に言うのを、二人が答える。

 

「このISは、篠ノ之博士に貰ったの。 壱、この『蒼空《あおぞら》』で、あなたを守る!」

「それにね、聡里。 ここに来たのは、ボクやユイさんだけじゃないよ」

その台詞と共に、空中から大きな影が現れた。

 

「いいっ!? なんじゃこりゃぁっ!?」

「嘘……。 姉さん、こんな所に持ち出したの!?」

その浮かんでいたものは、でかでかと猫の絵が描かれた束姉さんの移動ラボ。

『吾輩は猫である(名前はまだない)』号だった。

(ネーミングセンスはこの際放っておこう)

その上に乗っていたのは、僕の仲間たち。

 

「待たせたな、聡里!」

『雪羅』荷電粒子砲形態を構えた一夏。

 

「お前ともあろうものがなんだ、聡里! 男を見せろ!」

クロスボウ型武装『穿千』を展開する箒姉さん。

 

「聡里さん、私たちが援護しますわ!」

『ブルー・ティアーズ』を全て射出し、臨戦態勢のセシリア。

 

「アンタ、負けたら承知しないわよ!」

拡散型に換装した衝撃砲『龍砲』をチャージし、青龍刀を構えた鈴。

 

「兄さん、私たちがついている! そして、篠ノ之博士や教官もだ!」

シュヴァルツェア・レーゲンを展開し、腕組みし仁王立ちしたラウラ。

 

「ゆーちゃんのIS『蒼空』は、私が作ったんだよ!」

相変わらずの『一人不思議の国のアリス』スタイルではしゃぐ束。

 

「貴様、また私の生徒に手出しするか。

 本調子ではないとはいえ、かつての『ブリュンヒルデ』を倒せるか?」

学園にある量産型に大量の刀や装備を山積みにし、束が出力限界を弄り性能をハネ上げた

『打鉄・極』を身に纏った千冬が言い放つ。

 

その面々を見て、天原は微笑みを苦笑に変える。

 

「やれやれ、また多人数か。 それでは、撤退するとしましょう。

 またお会いしましょう。 IS学園のみなさんと、篠ノ之博士」

それだけ言った天原は、分身を消し機体を球状のエネルギーで包み込む。

そのまま超高速移動で離脱していった。

 

 

「それにしても驚いたな。 なんで、みんながこの島に来たの?」

「聡里~、また黙って無茶しようとしただろお前っ!」

一夏が聡里を白式の腕でどつく。

 

「いたっ!?」

「ホントだよっ! 聡里、ボクを置いていくなんて酷いよ!

 ボクはどんな危ないところでも聡里と一緒に居たいのにぃっ!」

シャルはラファールを装備したままボロボロの宵闇にすがりつき、涙目で言う。

 

「シャル……ごめん。 でも、君を危険な目に遭わせたくないんだ。

 これは、判ってほしい」

聡里はシャルに語りかけ、シャルもしぶしぶながら頷く。

 

「うん……」

「うん。 それじゃ、なんでこの島にみんなが来たのか、誰か教えて」

その聡里の問いに答えたのは、千冬だった。

 

「そこの天災が原因だ。 どこから聞きつけたのか、

 聡里が聡里二号と出撃したのを知ると、一夏たちを連れ出してしまってな。

 私が打鉄で追いついたときには、すでにここの近くまで来てしまっていた。

 そこで束が打鉄に改造を施してな。……まったく、こいつは勝手に学校の備品を」

千冬は言いつつ束のこめかみに拳をあて、グリグリと押し付ける。

 

「いたたたたたたっ、ちーちゃん、ストップ、ストーップ!」

そんな千冬たちを置いておいて、ユイが引き継ぐ。

 

「その後束博士は、いきなり私たちの研究所に現れて私にこの子を預けてくれて、

 私は博士とともにシャルロットさんたちと合流。

 貴方達の援護に来たんです。 もちろん、疾風たちも一緒に」

言ったユイの後ろから、疾風、クロエ、エイミー、ハンナ、フィオナの五人が出てきた。

 

「良かった、兄様たちが無事で……」

「当たり前ですよ、ハヤテ。 兄様たちですもの」

「零にーさまー! 壱にーさまーっ! だいじょーぶーっ!?」

「落ち着け、クロエ。 こうして無事だったんだからよかったじゃないか」

「そういう貴女も顔がにやけてるわよ、ハンナ」

口々に話しながら、彼女たちは聡里に笑いかけ、聡里も笑い返す。

 

「ふぅっ……。 でも、みんなが来たってことは、もう敵は居ないんですね」

「ああ。 先ほどの謎のISで、敵の反応は最後だ。

 良くやったな、聡里。 作戦は成功だ」

その言葉を聞いた聡里は、移動ラボの上部甲板にへたり込む。

 

「は、ははっ。 やったぁ、っ! 安心して、腰が抜けちゃったよ」

そんな聡里を見て、全員が大笑い。

その笑いが一段落したところで、束がしれっととんでもない事を言い出す。

 

「それじゃ、このラボの子たちは私が預かるからね~」

「「「……えっ?」」」

束の台詞に全員が驚いた時には、束の移動ラボに大型の居住コンテナが接続される。

その窓からは、研究所に居た人工兵士たちと研究員の姿が見えた。

 

「どういうつもりだ、束!」

千冬の台詞に、束は笑顔で答える。

 

「この子たち、もし捕まったら何されるかわからないでしょ?

 だから、私が連れてっちゃうよん♪」

束はそれだけ言うと、移動ラボを加速させ、千冬や聡里たちを置き去りにどこかへ言ってしまう。

 

「疾風ちゃんたち五人と壱くんにはビーコン送っとくよ~。

 それじゃ、後で来てねーっ!」

束はそれだけ言うと、高速でラボを飛ばしていなくなってしまった。

 

「あっ、コラ束!」

「あの女、無茶苦茶言うな……。

 けど、俺も何されるかわかったモンじゃねーからな、行かせてもらうぜ。

 じゃあな……兄さん(・・・)!」

「え、兄さん?」

壱は言い残し、飛び去る。 聡里は壱から『兄さん』と呼ばれ、呆気に取られてしまった。

 

「それでは、私も壱兄様と行かせていただきます。 またお会いしましょう、零兄様、

 いいえ、聡里兄様」

壱を追い、疾風が。

 

「待ってよ疾風ねーさまー! 零にーさま、またね!」

その疾風を追い、クロエが。

 

「あらあら、皆さん落ち着きましょう? それでは、みなさん。 またいつか。

 特にセシリアさん、あなたとはまたお会いしたいですね」

セシリアにお辞儀し、エイミーが。

 

「お前とはまた話がしたいな、ハンナ」

「ええ。私もです。 ラウラ・ボーデヴィッヒ」

ラウラと硬い握手を交わしたハンナが。

 

「ふふっ、ゼロの事が本当にスキなのね、貴女。 見せてもらったわよ。

 ガンバってね! アリーヴェデルチ!」

シャルを茶化してフィオナが。

 

「それでは、零兄様、いえ聡里兄様。 シャルロットさんとお幸せに」

「なっ!? 君まで何を言うのさ、ユイっ!?」

聡里は真っ赤になり、笑顔のシャルに抱きつかれてさらにあたふた。

そんな二人を見て微笑んだユイは、会釈をして飛び去って行った。

 

 

「……全く、あのバカには勝てんな」

千冬は束が飛び去った方向を見て、額を押さえため息をつく。

そんな様子を見て、聡里たちも苦笑。

 

「ごめんなさい、うちの姉がいつも……」

「いや、良い……。 もう馴れた」

「束さんは変わらないなー……」

「まったくだな、一夏」

聡里、千冬、一夏、箒が言う。

 

「それにしても、面白い方たちでしたわね」

「そうね……。 でも、なんか他人って気がしないのよね~」

「そうだな。 私も、あのハンナという女性にはまた会いたい」

「ラウラ、すっごく意気投合してたもんね。 ボクもまた会ってみたいな。

 ユイさんって人、すごく優しそうだったし」

セシリア、鈴、ラウラ、シャルも口々に言う。

 

「まあ、アイツは災害と同じだな。 諦めるしかない、か。

 しかし聡里、よくやった! 作戦終了だ!

 後の事情説明は私からしておこう。 デュノア! 聡里を連れて帰ってやれ。

 恐らく、相当疲れているだろうからな」

千冬の指示に速攻で従い、シャルは聡里を支える。

 

「しゃ、シャル。 いいってば。 一人で飛べる……っと」

「聡里ってば、もうフラフラじゃない。

 ボクが支えるから、一緒に学園まで戻ろう? ね?」

ふらついた聡里を支えつつ、シャルは上目遣いで言ってくる。

 

「……うん。 それじゃ、お願いしようかな。

 ラウラ、僕らはちょっとゆっくりになると思うから、みんなを連れて戻ってて」

聡里の台詞に、ラウラは敬礼を持って返す。

 

「了解した、兄さん。 きっちり護衛させてもらう」

そしてラウラに従い、千冬を除く全員が学園方面へと飛び去っていった。

 

「デュノア、あまり無理な飛び方はさせるなよ。

 コイツは一人で簡易型ISを25機叩き落した後らしいからな」

「いえ、それくらいは……。 むしろ、その後の『天原』って人から

 もらったダメージのほうがキツいですね」

「大丈夫です。 聡里のことはしっかり連れて帰りますから!」

シャルは胸を張り、それを見た千冬は頷き遠くに見えてきたIS委員会の艦隊へ飛んでいった。

 

「それじゃ、シャル。僕らも帰ろうか。 ゆっくり、ね」

「うん……。 聡里、一緒に飛ぶの、久しぶりだね」

「そうだね……」

そのまま二人は黙り込み、どちらからともなく手を繋ぐ。

そして二人は夕日の中を、学園に向かって飛行していた。

 

 

一週間後、学園にて。

すでに聡里が提供した『ギガント』により学園の修復が終了しており、

生徒も皆戻ってきた、その日の朝。

 

学校再開初日という事で全校朝礼が開かれたが、

そこで、新たな生徒の転入が発表された。

 

「えー、ですね。 本日はこの学園に、そのー、新たな生徒さんが加わります。

 それではみなさん、こちらに並んで下さい」

そう言って手で指し示したところに並んだ七人の顔に、聡里たちは物凄く見覚えがあった。

 

「「「ええっ!?」」」

聡里は思わず声を上げる。 壇上に現れたのは、つい先日束が連れて行ったうちの七人。

 

疾風、クロエ、エイミー、ハンナ、フィオナ、ユイ、そして壱だった。

 

「初めまして、刃金疾風(はがねはやて)です。 これからよろしくお願いします」

疾風はそのままぺこりと一礼。

あっけにとられたまま、生徒が全員返礼をする。

 

「私はクロエ・クラリーなのだー! 聡里にーさまー! どこなのだーっ!?」

クロエはきょろきょろし、聡里を見つけて手を振る。

聡里は視線を集められてしまった事で額を押さえて溜息。

 

「こら、クロエ。 兄様が困っていますよ。

 はじめまして、皆さん。 エイミー・エアリーです」

エイミーの微笑に、数人の生徒が顔を赤らめる。

……さすがのカリスマだ。

 

「私はハンナ・ハインリッヒだ。 これからこの学園で世話になる」

そう言ったハンナを見て、運動部系を思しき女子が目を光らせる。

特にボクシング部とラグビー部とかあたりが。

 

「アタシはフィオナ・フィーノよ。 じゃ、そゆことでヨロシクッ☆」

額に右手を当て、どっかの鬼戦士のように『シュッ』と指を払う。

その、そこらの男よりイケメンな態度に数人が目を奪われていた。

 

「次は私ですね。 私は『数多 唯(あまた ゆい)』です。

 これから、よろしくお願いします。 ほら、あなたも」

唯が逃げようとする壱の首根っこを捕まえ紹介させる。

 

「判ったわかった、すりゃいいんだろ!?

 ……『篠ノ之 聡留(しののの さとる)』だ」

むすっとして、聡里とそっくりな顔をしかめさせる彼を見て、

再び多数の生徒の視線が聡里と壇上の聡留の顔を往復する。

 

そんな混沌とした状況を、教師の言葉がぶった切った。

 

「えー、この七人は、篠ノ之博士たっての希望で、この学園に転入してきました。

 ですが、そのー、彼女たちは通常の過程はすでに終了していますので、

 特別クラスという形で学園に編入していただく事になりました。

 皆さん、仲良くしてあげて下さい。

 では、これにて朝会を終わります。 解散して下さい」

教師の台詞が終わったことで、呆然としていた生徒も我に返る。

そして体育館内がざわつきながら生徒は退場し、その中で聡里は頭を抱える。

 

「どうしてこうなった……っ!?」

 

聡里たちの大変な日々は、これからさらに密度を増してゆく。

 

続く。




ひさびさに一万文字超えました。

オリジナル編に入って、やぱり筆が遅くなってしまいますね。
学業の方も忙しくなって、書く暇がとれなくなりつつあります。

でも、これからも暇を見てはゆっくり書きますので、
これからもよろしくお願いします。
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