Infinite Stratos Another   作:来迎 秋良

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04:クラス代表決定戦・後編

練習を始めてから一週間経ち、オルコットさんとの試合の日。

僕と一夏は試合会場に到着した……のは、いいんだけど。

 

「なぁ、箒」

「何だ、一夏」

ちなみに箒姉さんと一夏の関係は多少は良くなったみたい。

 

「気のせいかもしれないんだが」

「なら気のせいだろう」

言いつつ、姉さんは視線が泳いでいる。

 

「ISの事教えてくれるって言ったよな?」

「ぐっ……」

一夏の追求に、姉さんは視線をあさっての方向へ向けてとぼける。

 

「一夏、僕が言ったんだよ。姉さんは一夏に剣道の稽古付けてあげてって。

 一夏にとって一番馴染み深い武術は剣術だろうから、そこを一番伸ばすべきでしょ。

 ね、姉さん?」

僕の台詞に箒姉さんも頷いていた。

 

「僕が訓練機借りてきたし、トレーニングも付き合ったからいいよね。

 で、機動の基本と射撃回避はわかった?」

「ああ、バッチリだ。お前のおかげだな」

「いいって。僕も、いい暇つぶしになったし、ISの動作も掴めたし」

そんな会話をしていると、山田先生が駆け込んできた。

 

「お、織斑くん織斑くん織斑くん!」

「先生、落ち着いてください。はい、深呼吸して。す~は~、す~は~」

「は、はい。す~、は~……」

相変わらず山田先生は落ち着きが無いというか、あわてんぼうというか……

 

「はいそこで止めてー」

ちょっ、一夏何いってんの!?

 

「ん……ん~っ……」

「先生、息して大丈夫ですよ。い~ち~か~?」

「すいません先生、止めるタイミング逃しました……」

と一夏がいった瞬間、脳天にバシッ!っと軽快な音を立てて出席簿直撃。

威力はヘヴィー級らしいけど。

 

「千冬姉……」

また名前を呼んだ一夏の脳天に再び出席簿がブチあたり、悶絶。

 

「織斑先生と呼べ。学習しろ。さもなくば死ね」

「織斑先生情け容赦ないですね!?

 あ、それで先生方、何があったんですか?あ、もしかして!」

と僕が言うと、気づいた山田先生が声を張り上げた。

 

「そ、そ、それでですね。来ました、織斑くんの専用IS!」

とうとう来たか、一夏の『相棒』が。

 

「織斑、すぐに準備をしろ。グラウンドを使用できる時間は限られているからな。

 ぶっつけ本番で物にしろ」

「男子ならこのくらいの障害は乗り越えてみろ、一夏」

「一夏、腹くくりなよ?相手は代表候補生だからさ。さぁ、早く起動して!」

僕らに立て続けに言われて、一夏はパニックを起こす

 

「はい? あの、え?え?なん」

「「「「早く!!!!」」」」

「はいっ!!」

僕ら四人の声に突き飛ばされるように一夏はピットの搬入口のほうへ行く。

そして搬入口が開くと、そこには……『白』が、あった。

 

「これが……」

「はい、これが織斑くんの専用IS『白式(びゃくしき)』です!」

と言われ、一夏はそのISを見つめていた。

けどすぐ織斑先生にせかされて、装着し始めた。

 

「時間が無い。フォーマットとフィッティングは実戦で済ませろ。

 出来なければ負けるだけだ。判ったな?」

「頼むよ一夏。白式を出来るだけ早く完成させるために、

 僕や他の人のISの開発は一時止められたんだから。

 だから、絶対勝って来い。判った?」

「ああ、勿論だ、聡里。で、箒」

と、一夏は箒姉さんに声を掛ける。

 

「な、何だ?一夏」

「行って来る」

そう言い、ピット・ゲートに向かう一夏。

 

「ああ……行って来い!」

言われ、一夏は箒姉さんを見ないで、左手を上げて返す。

そして、ゲート開放と同時に、一夏はグラウンドへと飛び立った。

その外で待つ、蒼い雫を纏った少女の下へ。

 

 

~一夏Side~

「あら、逃げずに来ましたのね」

空中で、腰に手を当てた姿勢で鼻を鳴らしているオルコット。

またこのポーズが様になっている。

だが、俺の関心はそこじゃない。

 

鮮やかな青色の機体。『ブルー・ティアーズ』というその機体は、

特徴的なフィンスラスターを背中に四枚備え、

さながら騎士といった雰囲気を醸し出している。

で、その手には2メートルを越える巨大な銃……

白式によると、『スターライトMkⅢ』と言うらしい、が握られていた。

 

「最後のチャンスをあげますわ」

「チャンスって?」

俺の疑問に、オルコットは嘲笑で返す。

 

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。

 ですから、ボロボロの姿を晒したくなければ、今ここで謝ると言うのなら、

 許してあげない事も無くってよ?

 あるいは、もう一人の男子……聡里さんでしたか。彼と一緒に来てもよろしくてよ?」

言うと同時、セシリアのISがセイフティ解除、

左目部分が射撃モードへ移行したらしく白式が警告を出してくる。

だが、俺はこう返した。

 

「そういうはチャンスとは言わないな」

「そう?残念ですわね、では」

 

-警告!敵IS、射撃体勢へ移行。トリガー確認、初弾エネルギー装填-

 

「お別れですわね!」

その声と共に、スターライトMk-Ⅲからレーザーが俺に向かい飛んで来て、

あわや左腕直撃というところでギリギリかわす。

 

 

~聡里Side~

「あ~、やっぱセシリアさん、強いなぁ。一夏はがむしゃらにやってる感じだ」

僕は二人の戦いを、織斑先生と一緒にモニターで見ていた。

このあたり、知り合いの特権かな。

 

ちなみに、今は試合開始からすでに27分。

一夏は刀を取り出して応戦しているけれど左足の装甲は持っていかれてるし、

体力やシールドエネルギー的にもそろそろ限界、かな。

 

「では、閉幕(フィナーレ)と参りましょう!」

オルコットさんの宣告と一緒にBT兵器『ブルー・ティアーズ』が飛び立ち、

一夏の左足……装甲が壊れ、絶対防御が発動する部分を狙っていた。

白式のシールドエネルギーはすでに二桁。これを受けたら終わるだろう。

 

だが、一夏は落とされなかった。なぜなら。

「ぜあぁぁぁぁぁっ!」

「なっ!?」

叫びながら一夏は無理やりオルコットさんに突進して行き、

スターライトMkⅢの銃身を刀で横に流したからだ。

その結果レーザーは逸れ、一夏はなんとか一撃をかわした。

 

そしてその直後。攻撃してきたBT兵器の一基を、一夏は『切り捨てる』!

 

「読めたぜ、お前の攻撃!」

 

なんて一夏が自信満々は表情で攻勢に転じる。

山田先生はその戦いぶりに感心していたみたいだったけど、

実の姉の織斑先生は気づいたらしく、苦い表情をしていた。

 

「あの馬鹿者、浮かれてるな」

「ですね」

僕と織斑先生は、やっぱり同じ意見だった。

 

「えっ?どうしてわかるんですか?」

「さっきから左手を開いたり閉じたりしているだろう。

 あれは、あいつの昔からのクセだ」

「ああ、そんなクセがあったんだ、一夏。

 僕は何となくですけど、男同士だからというか」

 

僕らの答えで、山田先生はなにやら関心したみたいだった。

 

「はぁ~、さすが姉弟、細かい所まで見ているんですね~」

と言い、織斑先生が照れる。

で、それで茶化した山田先生は織斑先生にヘッドロックを掛けられ

僕がまた仲裁するはめになったのは、まあしょうがないか。

 

 

~一夏Side~

獲った!

俺が残ったビット二基を斬り落とし、セシリアの懐に飛び込んだそのとき、

セシリアが不敵な笑みを向けてきた。

 

「――掛かりましたわね!」

とセシリアが行った瞬間、セシリアのスカート状のアーマーが切り離され、

弾頭型のビット……残りの『ブルー・ティアーズ』が飛んできた!

 

「お生憎様!ブルー・ティアーズは六基あってよ!!」

そして、そのビットが爆発し、白式を爆煙が包み込んだ。

 

「……悪いが、その位知ってたさ」

 

 

~聡里Side~

「一夏!」

箒姉さんが叫ぶけど、僕と織斑先生は動じていなかった。

 

「ふん、機体に助けられたな。馬鹿者が」

「まったく、もうちょっと気をつけろって言ったのに。

 『普通の機体だったら』、耐えれなかったなアレは」

そして、白式を覆っていた黒煙が吹き飛ばされる。

その後には、一夏の白式が浮いていた。

真の姿へと『進化』して。

 

「やれやれ、やっとあれで『一夏専用』になったか。

 ……! このデータ……ッ! 先生、僕ちょっと行って来ます!!」

僕はそう叫び、グラウンドへ出るため部屋を飛び出した。

 

 

グラウンド。

その上空で、一夏は今、オルコットさんにトドメを刺そうとしていた。

一夏の機体……白式は、一時形態移行(ファーストシフト)し、

本来の能力を発揮していた。

その機体の性能で徐々にオルコットさんを圧倒し、

単一能力(ワンオフアビリティ)『零落白夜』を起動。

その光の刃で斬りかかった。

 

「おあぁぁぁぁらぁ!」

そして、一夏の刀『雪片弐式』が展開した光の刃が直撃し、

オルコットさんのISが解除された。

つまり……落ちる。

 

「きゃあああああっ!!」

「しまっ……!」

そして一夏は、想定外の事が起き硬直してしまっていた。

 

「一夏ァ!いいからセシリアを助けろッ!」

僕のその叫びで硬直が解け、一夏は慌てて急降下しセシリアを抱き上げた。

 

「悪いセシリア!俺のせいで危うく怪我を……!」

言いつつ本気で謝罪しているらしい一夏を、

顔を赤らめながらオルコットさんは止めていた。

ああ、また一人陥落させたのか、一夏……。

 

 

翌日

「というわけで、うちのクラスの代表は織斑に決まった」

「一年一組の代表ですから、一つながりでいい感じですね~」

と、織斑先生と山田先生のコメント。

 

「そういやクラス代表の決定戦だったな……忘れかけてたぜ」

「おいおい」

 

そしてその後、織斑先生が僕に言う。

 

「なお、織斑だけでは心もとないため、篠ノ之聡里を補佐につける。いいな?」

いいなも何も。

 

「拒否権は無いんでしょうね……まぁ、僕もその方が面白そうだしいいですよ」

と僕も了承し、その後の休み時間。オルコットさんが僕らのところへ来た。

 

「あ、あの、お二人とも」

「ん、なんだ?」

「何?オルコットさん」

彼女はどこか恥ずかしそうに一夏に向いて話しかける。

 

「わたくし、セシリア・オルコットが敗北を喫したのは紛れも無い事実。

 非常に口惜しいことですが、''一夏さん''がクラス代表ということに、

 異論はありませんわ」

おお、一夏のことを名前で呼ぶようになった。

 

「そ、それでですわね」

と、咳払いを一つ。

 

「わたくしのように優秀かつエレガント、華麗にしてパーフェクトな人間が

 IS操縦を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を……」

と、そこまで言ったとき『バンッ!』と机を思い切り叩き箒姉さんが話に入ってきた。

 

「生憎だが、一夏の教官は足りている。『私が』直接頼まれたからな」

その台詞でにらみ合う箒姉さんとオルコットさん。

 

「ま、まぁまぁ。箒姉さんもオルコットさんも落ち着いて、ね」

僕が言ったとき、はたとこちらを向きセシリアさんは言ってきた。

 

「聡里さん。わたくしのことは『セシリア』でよろしくてよ。

 オルコットでは呼びにくいでしょうから。一夏さんの補佐、頑張って下さいな」

と、微笑と共に言われた。

 

そんなこんなでクラス代表決定戦も終わり、一夏がクラス代表に、

僕がその補佐、ということになった。

これからどうなることやら。

 

続く。

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