Infinite Stratos Another 作:来迎 秋良
僕が専用機を手に入れたその日の放課後。
一夏と僕が呼ばれて食堂に行くといきなり破裂音が。
「っ!?」
と、僕は思わず身構えたけれど、音の正体はクラッカーだった。
「というわけで!織斑くんクラス代表就任&聡里くん補佐就任おめでとう!」
「「「おめでと~っ!!」」」
と、クラッカーが発射される。
「ああ……気が重い」
一夏、いくら女子ばっかりだからってお礼くらい言ってあげようよ……
「え、僕らの就任記念パーティ!?ビックリしたぁ。サプライズなら大成功だよ。
僕らのために、ありがとうね!」
僕がそう言ってにっこりすると、女子の数人が顔を赤らめて顔をそらした。
一体どうしたんだろう。
「い、いやー。これでクラス対抗戦も盛り上がるね~!」
「ほんとほんと!」
「ラッキーだったよね!聡里くんや織斑くんと一緒のクラスになれて!」
「ほんとほんと」
ん、さっきから相づち打ってるのってうちのクラスの人じゃないような……?
って、二組の子じゃん!
そういえばここにいるメンバーうちのクラスの人数より明らかに多いよ!
……ああ、もうなんでもいっか。
「人気者だな、一夏」
「……本当にそう思うか、箒?」
「はいはい、箒姉さん妬かない妬かない」
僕に言われ、姉さんは露骨にうろたえる。
「ばっ、何を言っている聡里!?そこになおれ!その思考叩きなおしてくれる!!」
「ってそんな事言いながら木刀を振り回さないでよ姉さん、危ない!」
木刀は死ねるって、姉さんの腕だったら!!
と、そんなドタバタをやっていると食堂に一人の女子が入ってきた。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生たち、織斑一夏くんと篠ノ之聡里くんに
取材しに来ましたーっ!」
「「「おおーっ!!」」」
「オーじゃねーよ、オーじゃ……」
一夏は言って頭を抱え、僕は苦笑い。
「あ、私は二年の黛薫子、よろしくね。新聞部副部長やってます。はいコレ名刺」
そういって渡された名刺を僕は受け取る。
「黛先輩ですね。よろしくおねがいします」
「ええ、こちらこそ。ではではずばり織斑くん!クラス代表になった感想を、どうぞ!」
黛先輩に言われて、頬をかきつつ一夏は、
「はぁ、まあ、がんばります」
と言う。
「もう一夏ってば、もうちょっと気の聞いた事を言いなよ」
「そうだよ織斑君!もっとこう、『俺に触ると火傷するぜ!』くらい言わないと!」
という、クラスメイトの台詞に一夏はよりにもよって
「自分、不器用ですから」
と前時代的な返し方をしてた。いい台詞だけど、女子にはウケないでしょ……
で、次にとばかりに黛先輩が僕に言ってくる。
「次は篠ノ之くんね」
「あ、僕の事は聡里でお願いします。よく姉さんとごっちゃになるので」
「あ、そうなの。それじゃ聡里くん。
あなたは代表補佐になってどんな気持ちですか?」
そう聞かれ、僕は苦笑いしつつ答える。
「そうですね。僕も偶然とはいえ世界でただ二人の男性IS操縦者の片割れですから、
その肩書きに見合った実力を身につけたいです。
で、女子の皆さんのご期待にお答えして一言。
僕は狙ったら、逃がさないよ?」
ってちょっと恥ずかしかったけど、指をピストルの形にしてBang!とポーズ。
一夏と姉さんはあきれてたけど、
その場に居た人数人(十数人?)がケータイを取り出して一瞬で写真を撮ってた。
こんな時ばっかりすばやいんだね……。
「オッケ、聡里くんナイス!いい記事が書けそうよ!
こんないい絵ももらったしね」
そういって見せてきた一眼レフのデジカメの画面には、
僕がちょっと顔を赤らめて指ピストルで撃つしぐさをした写真があった。
「い、いつの間に……」
「ふふん、新聞部たるものイイ記事のタネは逃さないものよ!」
素早い……
そして、最後にセシリアの取材ということになった。
「じゃあ、トリはセシリアさんね」
といいつつ、長そうだという理由だけでばっさりと切り捨てた黛先輩。
で、その後僕ら三人で写真を撮る事になったけど。
「あ、一夏とセシリアを一緒に撮ってあげたらどうですか?
代表候補生とクラス代表だし、この間対決した二人ってことでツーショットで」
この僕の発言で黛先輩はにやりとし、セシリアは真っ赤になる。
「一夏さんとツーショット……!で、では、今すぐ着替えて「時間掛かるからダメ。
さ、撮るからとっとと並んだ並んだ!」
と黛先輩に言われ、あたふたと並ぶセシリアと面倒そうに並ぶ一夏。
「じゃ、撮るわよー」
と言った瞬間、クラスメイト(箒姉さん含む)の目が光ったのを僕は見逃さなかった。
「はい、35×51÷24は~?」
「えーっと、2?」
「ぶーっ。74.375でしたー」
といい、シャッター。で、その後写真を見た黛先輩は驚いていた。
「おお、いい写真撮れたよ。で、聡里くん、一体何やったの……?」
「別に僕はただ一緒に写真に写ろうとした女子たちを全員止めただけですよ?」
28人ほど止めるのは骨が折れたけどね。
「もーっ、聡里くん邪魔しないでよー!」
「もうちょっとで織斑君と一緒に写れたのに~っ!」
「聡里、なぜ邪魔をした?」
とみんな口々に言うけど、さすがにこればかりはね。
「セシリアと新聞部、それから新聞の読者さんへのサービスだよ。
黛先輩。その代わりっていっちゃなんですけど、集合写真もお願いできますか?」
僕が聞くと、二つ返事でオーケーを出しみんなでの集合写真を撮る事になって、
とりあえずこの場の文句は消えた。
◇
パーティの後、寮へ戻る帰り道。
箒姉さんが一夏に殺気の篭った視線を向けた。
「今日は楽しかっただろう、良かったな」
姉さん、言葉に毒が混ざってるよ。
「どこがだよ。疲れただけで、楽しいものか。お前は俺の立場なら嬉しいのかよ」
「そうだな、楽しいかもしれないな」
ってギスギスになる二人を、いい加減とめることにした。
「もう、姉さんも一夏ももうちょっと落ち着いてよ。
……あ、そうだ姉さん、一夏。ちょっとそこに並んで立って。
そこの木をバックにして。手なんか繋いでくれるといいね」
僕に言われて、二人は不思議に思いながらも木の前に立ち、手を繋いだ。
で、僕はその後ワンアクション。
「はいっ、チーズ」パシャ
「おい、聡里?なんで写真を撮ったんだ?」
「ん、箒姉さんへのプレゼント用。
セシリアだけツーショット撮って、姉さんに無いのは不公平でしょ」
「さ、聡里!」
「?」
姉さんまたもや赤くなってパニック、一夏は安定の鈍感。
◇
ふたたび時間は飛んで翌朝。
一夏と適当な事を話しているとクラスメイトの一人が話しかけてきた。
「ねぇねぇ織斑くん聡里くん、転入生のウワサ、知ってる?」
「ん、転入生?」
「ついこのあいだ新年度になったばっかりのこの時期に?」
僕が聞くと、その子は大きく頷いてさらに続ける。
「そう、なんでも中国の代表候補生なんだって!」
「ふーん」
「もう、一夏ってば自分に関係あることなんだからもうちょっとしっかり聞きなよ」
と僕が言うと、横から箒姉さんが割り込んできた。
「いや、聡里。コイツに今はそんなことを気にしている余裕は無い。
来月にはクラス対抗戦があるのだからな」
そう、来月はクラス単位での交流を計るって名目の実力実技試験、
クラス対抗戦がある。
ちなみに、賞品は一位クラスへのスイーツフリーパス。
なるほどね、女子が熱くなるわけだよ。
「まあ、今のところ専用機持ちのクラス代表は我が一組と四組だけのようですから、
楽勝ですわね!」
セシリアがそういった瞬間。教室のドアの外から声が飛び込んできた。
「その情報、古いよ」
「ん、この声どっかで……」
一夏が悩んでいるうちに、教室のドアが勢い良く開き、
その向こうには一人の女子が居た。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
片ひざを立ててドアにもたれつつ、彼女はそう言う。
発音の微かななまりからして、中国系かな。
で、そんな彼女を見て、一夏は何かを思い出したらしい。
「鈴……?お前、鈴か!?」
あれ、一夏の知り合い?
「そうよ、中国代表候補生、鳳 鈴音(ファン リンイン)。
今日は宣戦布告に来たってワケ」
続く。