私だけのトレーナー   作:青い隕石

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ドベトレ(男トレーナー×メジロドーベル)短編になります。



『次こちらの短編で書くとするなら、(ようやく)カフェになりそうです。想定では1話完結になります。』←前回あとがき



・・・・・・ごめんなさい、ドーベル実装で我慢できませんでした。

3時間の突貫工事のため、今までの作品と比べてクオリティが死んでいます(今までの作品クオリティがマトモだとは言っていない)。おそらく後からちょくちょく加筆していくと思います。



ハグ、してほしいの

 「あ、あのさ・・・・・・トレーナー・・・・・・」

 

 それは恒例となっているトレーナー室でのミーティングが終わったときのことだった。

 

 次のレース・・・・・・まだ再来月と日はあるが、簡潔に内容をまとめて伝え終わっても目の前にいる自身の担当バ、メジロドーベルが部屋から出ていかずに佇んでいる。

 

 「時間あるなら、い、いつもの事を・・・・・・」

 

 そっぽを向き、ほそぼそとした声ながらも距離がわりかし近いためしっかりと自分の耳にも入ってきた。彼女の言葉を聞いて、ああ、と俺も返事を返す。

 

 「別に無理はしなくていいんだぞ」

 

 「む、無理なんかしてないわよ!」

 

 気遣って声をかけたつもりだったが、先程より数段大きな声で、膨らませた頬付きで否定された。彼女が勇気を持って発言してくれているのに、それを止めようとするのは悪い癖だなと心のなかで苦笑し、謝罪をした。

 

 なんで貴方が謝るのよ・・・・・・という声を聞きつつ、席を立つ。

 

 「俺でいいなら力になるよ。今日はどうする?」

 

 彼女との距離を保ちつつ、声をかける。

 

 それは練習後のトレーナー室で、彼女の提案によって時々起こる出来事。始まりは半年前だったか?細かい時期までは覚えていないが、雪が降っていた日だった気がする。

 

 目標として定めていたトリプルティアラを達成し、初となるシニア級レースに向けての調整を行う日々。今と同じようにミーティングを終わらせてもドーベルが帰らず、何故かモジモジしながらこちらをチラチラと見てくる。

 

 こういう時は無理に聞き出さずに、彼女から口を開くのを黙って待つ。人見知りで、特に男性の前では極度に緊張してしまうという彼女。曲がりなりにも2年間、彼女のトレーナーを務めてきたためか、自分とはぎこちないながらも会話をできるようになった。

 

 それでも、このように一言目が出てこない場合もある。でも、仕方ない。最初の頃は、会話すらままならなかった事を考えれば格段の進歩である。どうした?と微笑みながらじっと待つ。

 

 ドーベルがつっかえながらも口を開いたのは、それから数分後の事だった。

 

 

 

 『お、男の人に慣れたいからさ、その・・・・・・て、手伝って』

 

 

 

 壁の方向を向きながらも発せられた言葉。若干頬を赤くしながらも紡がれていく文をつなぎ合わせると、彼女の真意が見えてきた。

 

 トレーナーである俺にはある程度(あくまである程度)接することが出来るが、それでも友人と接するように、までとはいかない。この先インタビューなどで、同姓異性問わず見知らぬ人物と向かい合って会話する機会も増えてくる。だからこそ一番身近で、かつ男性である俺に頼ってきたと言う訳だった。

 

 担当バに頼られて嫌になるトレーナーはいない。ドーベルのためになるならと二つ返事で了承し、協力することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じで、週1、2回ペースでドーベルの『特訓』に付き合ってきた俺。忙しい時はいいから、と遠慮がちに言われた時もあるが、(繰り返しにはなるが)担当バに頼られることこそトレーナーの本望なのだ。仕事だって、チームを持っているわけではないので、1時間に満たないお願いならばいつでも都合がつく。

 

 今日はどうする?と聞いたのは、特訓内容についてだ。1回目は、距離を離して数秒間顔を見合わせることから始まった。

 

 何気ない会話の中で、それ以上の時間を正面から見合わせたことはあったかもしれないが、はっきりと意識した状態となると、少々気恥ずかしさを覚える。俺でそうなのだから、ドーベルも最初は1秒も持たずにで目を逸らすという結果が続いた。

 

 実に数か月かかったが、最初の関門を突破してからは、徐々に距離を縮めながら見つめ合う、というはたから見ればシュールな、当人たちにとってはいたって真面目な状況が展開されていた。

 

 ・・・・・・ここで、真面目に取り組んでいるとはいえ、ある意味呑気に捉えていた俺は悪くない、と思いたい。

 

前の特訓では、ようやく1mの距離で5秒間見つめ合うことが出来た。だから今回は『1m以内での見つめ合いかな?』と軽い気持ちでドーベルの返答を待っていたのだ。

 

 この時点で、いつも以上に言いよどんでいる彼女に対し、言葉を待たずに何か一言声をかけるべきだった。

 

 大丈夫・・・・・・今日こそ・・・・・・といつも以上に小さな声で発していたせいか、彼女の呟きを聞き取ることが出来なかった。

 

 「そ、その・・・・・・今日はね・・・・・・えっと」

 

 「ああ」

 

 「・・・・・・ハグ、してほしいの」

 

 「分かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・は?」

 

 今年一番の素っ頓狂な声が出たと思う。目の前には、顔を真っ赤にしたドーベルの姿。と思ったら、いきなり距離を詰めてきた。

 

 「じゃ、じゃあ」

 

 「いやちょっと待ってストップ!」

 

 両手を上げ、近づいて来る彼女を制し、慌てて距離を取る。しかし、狭い室内だったからか、すぐに背中が壁に触れてしまい十分な間隔をあけられたとは言い難かった。

 

 え、ハグ?聞き間違いかと思ったが、目の前の彼女は確かに今まで保っていた距離を一足飛びで超えて歩み寄ってきた。その・・・・・・手の動作も、それっぽかった気もする。

 

 いやでも、ドーベルに限ってそんな事は・・・・・・一先ず、話を聞こう。そう思って心を落ち着け彼女を見やると、ドーベルは手を上げかけたまま、固まっていた。

 

 「そ、そうだよね・・・・・・ごめん、変なこと言って」

 

 自分に言い聞かせるような声。発した彼女の目は、いつもより潤んでいるように見えた。

 

 忘れて、とドーベルが踵を返す。

 

 気づいたら、彼女の先回りをするように道をふさいでいた。 

 

 「・・・・・・何よ、嫌だったんでしょ」

 

 「いや、単に驚いただけだよ・・・・・・えっと」

 

 改めて、正面から向かい合う。勢いで行動してしまったせいか、いつもより距離が近い。今までの記録を大幅に更新しているのだが、俺も、もしかしたら彼女もそれに気を回す余裕はなかったと思う。

 

 見慣れた軽いつり目の中に浮かぶ、不安の色。窓から差し込む夕日と、それ以上に茜色に染まった彼女の顔。勇気を込めて、発言したのだろう。だからこそ、このまま帰すわけにはいかない。

 

 そうだ、きっと・・・・・・

 

 (人見知りの彼女のことだ、『慣れる』という段階を間違えて捉えているのだろう。だったら、大人として俺が訂正しておくべきだ)

 

 うん、と心の中で頷く。距離を近づけていけば、確かに最後には触れ合うことにはなるが、何も三段跳びでハグまで飛躍することはない。距離を詰めた後はその状態で何気ない会話をするなど、段階はいくらでも踏める。

 

 それに、第一ハグなんて想いを通わせる二人がする行為だ。いくら異性に慣れるためとはいえ、そこまでする必要はない。そういうことは、好きな人が出来た時まで取っておくべきものである。

 

 (まあ偉そうなこと言っといて、恋人出来たことないんだけどなハハハハハハいかん涙出そう)

 

 自分の悲しき心情はそっと押し殺して、上記の旨をそのまま彼女に伝えた。

 

 「だからさ、ドーベル。慣れるためなら、次はトレーニング以外での会話でもしよう。そうしていけばきっと・・・・・・」

 

 「・・・・・・トレーナーはさ、」

 

 一通り自分の考えを話した後、さりげなく短い会話を提案しようとしたら、ドーベルに言葉をかぶせられた。

 

 最近は俺の話を最後まで聞いてから意見を述べる多くなってきたため、その行いは珍しく感じた。

 

 「嫌なわけじゃ、無かったんだよね?」

 

 「え」

 

 「アタシの事、信じてくれているんだよね」

 

 「?ああ、当然だ」

 

 いきなり当たり前のことを聞かれ、疑問に思いながらも即答をする。あの日、初めて彼女の走りを見た日から、この想いは変わっていない。

 

 「・・・・・・うん。アタシもね、トレーナーの事を信じているの。最初は不安な気持ちもあったけど、今は自信を持って言える。初めて、家族以外で心から信用出来た異性なんだよ。だからさ、お互いがお互いを信じている・・・・・・これってもう想い合っていると言っていいよね、トレーナー」

 

 「え、何を」

 

 言ってるんだ?という言葉は紡がれることがなかった。

 

 初めの時、彼女がいきなり近づいてきたときは、距離があった。だからこそ、対応することが出来た。

 

 対する今は、焦っていたせいか距離が先程より近いままでの会話となっていた。だからこそ、その動きには体が反応できなかった。

 

 後ろに倒れない程度の、軽い衝撃。漂ってくる、アロマの香り。遅れて訪れた、柔らかい感触。

 

 え、と思う間もなかった。

 

 なびくような黒髪が視界を一瞬覆い、そしてふわっと収まった。

 

 ドーベルが俺に、正面から抱き着ていた。 

 

 状況は説明できる。でも、理解が追い付かない。男の人に慣れるため、という名目の元特訓を手伝っていたと思ったらいきなりハグをされた。

 

 恋人同士だったら、俺もすぐに抱きしめ返すだろう。俺らみたいな単なるウマ娘とトレーナーの関係なら、多感な少女にやんわりと言い聞かせ、離してやるべきなのだろう。

 

 今すぐ後者の選択を取るべきだ。頭では分かっている。なのに、俺の手は動かなかった。混乱しているせいもあるだろう。だが、それ以上に・・・・・・

 

 「・・・・・・トレーナー、嫌?」

 

 「いや全然・・・・・・じゃなくてっ!!」

 

 固まっていた俺に、ドーベルが上目遣いで訪ねてきた。若干潤んだ瞳でのその行為の破壊力といったらとんでもない。

 

そう、ただでさえ、その、ウマ娘の中でも美少女のドーベルに抱き着かれて、更には上目遣いをされて嫌になる男がいるのだろうか?少なくとも、ここにはいない。

 

「トレーナー・・・・・・嫌じゃないならさ、その・・・・・・」

 

だからこそ・・・・・・

 

「トレーナーからも、だ、抱き締めてよ・・・・・・」

 

そのお願いに耐えるだけの理性は、持っていなかった。

 

 




ドーベルストーリーイベント及び育成、性別両方でクリアしました。

男トレ→王道ツンデレラブコメ
女トレ→ソフト百合

という感じでどちらも最高でした・・・・・。育成ストーリー自体も5本の指に入る出来でした。

男トレは温泉イベント、女トレは感謝祭イベントで尊死しました。

特に好きな推し4人の内、スズカさん、カフェ、ドーベルは無事にお迎えできたので、あとは最後の一人、アドマイヤベガ実装を待ちます。
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