俺の屍を越えて行け。
でもその時は踏むな。
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012
「向かうのが遅れてしまい、本当に申し訳ない。このような緊急事態の中ぐっすり眠っていたとは、恥ずかしい限りだ。ーーーー穴があったら」
「入りたいッ!」
炎の呼吸・
煉獄は、渦巻く炎のように舞い、広範囲を薙ぎ払った。
....業ッ!と一帯が燃えたかのような錯覚に陥る。
それは、あの
———圧倒的な強さ。
そして、その一言、爆音、熱で、冠石野は目を覚ました。
そして、目の前の光景に衝撃を受ける。
部屋全体でうねっていた、先ほどまで冠石野を痛めつけていた肉の触手が、まるで何も「無かった」かのように
『...流石だね、柱の名前は伊達じゃねぇぜ。』『僕なんか足元にも及ばねぇや。』『僕は煉獄さんの靴下に過ぎないね。』『証拠にほら、見てみろよ』『僕が投げた螺子、窓ガラスにぶつかったせいでガラスが割れて外に落ちちゃった。あはは。』
「...笑いどころじゃ、ないですね...ふふ...」
先程まで体感していたようなとんでもない最悪の気分だと言うのに、それでもヘラヘラとしてみせる球磨川。その様子を見て、私は何故か少し笑ってしまった。
『え、何が...?何に笑ってんの怖っ!』球磨川が引き気味の笑顔を見せる。
「球磨川さんが最初に笑いましたよね!?」
『あぁ、それは空気読んだ嘘笑いだってばよ』
「だってばよ?」
『まぁ、それも嘘だけど...遅れて悪かったね』『僕も僕で、ちょっとかなり手強い敵と戦っててさ。』『いやぁ壮絶な試合だった。』『どっちが勝ってもおかしくなかったぜ』
「で、勝ったって訳ですね?流石です。軽蔑したよ。...嘘だよ。感服したよ。」
『...え?あー、うん、そうだね。あれは勝ったと言っても過言じゃ無いかなーって思うかな。』と、球磨川は視線を逸らす。
胡桃ちゃんはよく分からない、と顔を傾ける。
可愛い。
いや、それにしても。
善逸ちゃんが目覚めてくれて助かった。
折角なので、その時のハートフルな会話を聞かせてあげよう。
チャンネルはそのままで。
♦︎♦︎♦︎
「(え、お前何してんの!?)」
もう諦めて僕も寝てしまおうかと思い始めた時、口をパクパクさせながら扉のガラスから黄色の男がやってきた。
誰だっけ。
あぁ、善逸ちゃんか。
『助けて!扉が開かない!』
「(え、何て?ここの扉防音だから隣の部屋の音聞こえねぇんだよ。)」
「え?何て言ってるんだい?あ、そうかこれ防音なのか!』『素晴らしい文化だ!』『よっしゃ今なら善逸ちゃんの悪口言い放題だぜ!』
「(何やってんのかしらねぇが、着替えじゃなさそうだから開けるぞ?)」
開いた。
『やーい善逸ちゃんの意気地な..育児に前向きな優しいパパになりそうだよね、善逸ちゃん!愛してるぜ!』
「もう収集つかねぇよ」
開いた!?
『嘘だ...僕が一体何時間ここに閉じ込められてたと思ってるんだ...』
「そんなにいたのにその落ち着きようなの!?この状況下で!?」
無論嘘だ。
精々15分くらいかな。
そして、善逸の言う
あの赤い、むきだしの肉のような触手。
壁中、床中に生えてきたので最初は気持ち悪いなぁと思い、この車両に現れた触手を
実家のような安心感だった(安心院さんだけに)。
...
さっきから滑ってばかりいるが、気にしない。
滑らかなのはなんであれ良いことだしね。
『いや、でも助かったよ。ありがとう。』
「どういたしまして。」
『あ、そうそう。僕、さっき「大嘘憑き」なくしたから、そこんとこよろしくね』
「あぁそっか。うん分かった。そういうことで...ってはい!?何どう言うこと!?じゃあもう生き返れないじゃん!俺死ぬしか無いじゃん!」
『ノリツッコミもできるのか善逸ちゃん...完璧だね。言うことなしだ。』『まぁ強いて言うなら、できれば僕の心配もして欲しかったかな。』『で、詳しく説明するとね。カクカクシカジカ...』
「急にギャグ漫画みたいな雰囲気にするなよ。あれ、ギャグ漫画ってなんだ?まぁいっか。なるほどな。その「却本作り」っていう新しい能力と引き換えに「大嘘憑き」をなくしたってことか。」
『まぁ、新しい能力っていうか返してもらっただけなんだけどね。』『要するにそういうこーー』『おっと、危ねぇよ善逸ちゃん。』
却本作り。
球磨川はそう呟きながら、善逸に牙を向けていた触手に、螺子を刺した。
ーーーーねじ伏せた。
その途端、触手は動きを遅くし、急激に水分が抜けたように干からびてしまった。
ーーーー球磨川と同じ精神力になった。
「ヒッ!」善逸は腰が抜けてしまった。
『まぁいいや、早く胡桃ちゃんのところに行こうぜ。僕を待ってるんだから。』
「あ?クルミって誰だよ...『良いから早く!「あーもう分かったよおおお!!!!」
爺ちゃんお願いだから少しだけ力貸してくれ!!!過去の
そう叫んだ瞬間、善逸の周囲を星が囲み、やはり入眠(ここの流れは変わらないようだ。)。
そしてまもなくスッと起き上がった。起き上がった彼の周りの空気は荘厳なものとなっており、一見して別人であると分かる。
生憎、空気を読めない球磨川にはその荘厳さは分からなかったが。
『...えっと、君は善逸ちゃんのお爺ちゃんかい?』
「あぁ。事情は分かった。急ぐぞ。その胡桃とやらの元に。...って
『そいつは杏寿郎って名前の炎柱だぜ?同じ柱なのに知らないのかい?』『あぁ、「だった」なのかな?』と、寝ている事をいいことに「そいつ」呼ばわりをする球磨川。
先程の善逸への失敗を一ミリたりとも反省していないのが目に見えて分かる。
「あぁ...そうか。世代交代したのかのぅ...なるほどな。道理で若いと思ったわい。」
『うん、その、さっき君が言っていた人は杏寿郎さんのお父さんかな?』
「うむ。...ていうか、雑談に花を咲かせている場合ではなかろう。急ぐぞ。」
『そうだね。杏寿郎ちゃんはすぐに起きるっしょ。多分。』
「敬語を使え、小僧。」
『はいはーい。』
「はいは一回じゃぞ」と言ってニカッと人の良さそうな笑顔を向ける。
いやいや...
惚れてまうやろ。
善逸は顔だけイケメンだから尚更駄目だ。
と、そんな戯言を言いながら(間違いなく戯言だ。)次の車両への扉を開く。
球磨川は、もしかしたら既に惨劇が繰り広げられた後だという可能性も考慮していたがそんなことは全く無かった。
触手が、眠っている人間の周りを舐め回すかのように蠢いている。
なぜ隙だらけの人間をまだ喰っていないのか。
決まっている。
『あはは、随分と舐められたもんだぜ。』
「そうじゃの。だが、こちらからしたら好都合だ。」
爺ちゃん(そういえば名前は何なんだろう?あとで聞くこととしよう。)は、汗を一滴も流すことなく、軽やかに肉に細かい斬撃を加えつつ、そう言った。
かっけー。
週刊少年ジャンプの中でしか見たことないよ、こんなおっさん。
てかまだまだ現役じゃねぇか。
...じゃあ、なんでやめたんだろうね?
タブーっぽいけど、聞くだけタダだし、これも後で質問してみよう。
僕はタダのものは要らなくても貰っておく主義なんだ。
♦︎♦︎♦︎
『まぁ、そんなこんなでここに辿り着いたんだ。』『煉獄さんは、僕らは扉を開けるときに奇跡的なタイミングで猛ダッシュしてきたんだぜ。』『いや、あれは人じゃ無いよね...』
「雑談パート長すぎません?もっと早く来れましたよね?」
『おいおい』『僕がふざけずに生きていけると思うのかい?』『だとしたら君は病院に行った方がいい。』
「思えますけど...嘘です。全く思えません。」
『だろ?』と、ドヤ顔をキメる。
善逸同様、顔だけイケメンである。
ただし、性格の方向性は真逆であるが。
閑話休題。
作戦会議のお時間だ。
『煉獄さん。僕らはどうしたらいいですか?』
「そうだな。顔見知りらしい善逸隊員と私は乗客を守る。そして球磨川隊員と冠石野
「え?でももうこの鬼は列車と同化してるんだよ?首なんてあるの...あるんですか?」
「姿形が変わろうと、鬼は鬼だ。それ以外の何者でも無い。すなわちだ。」
ーーーーーー首は、必ずある。
『...面白くなってきたね。』『じゃ、そろそろ反撃といこうか。』『僕も、あんな
「えぇ、そうですね。反撃です。」
「久しぶりに本気を出すとするわい。一緒に頑張るぞ、善逸。」
「よし!では任務終了後、また全員で笑い合えることを祈る!」
任務、開始。
終焉の刻は、近い。
ようやく全員目覚めました。存在するだけでパーティのゲスさが浄化される煉獄さん大好きです。
クロスオーバー作品としてそれぞれのキャラに違和感はありますか?
-
ない
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ちょっとある
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めっちゃある