過負荷の刃   作:角刈りツインテール

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ちなみに僕の鬼滅での推しは時透くんです。良いよね、あのギャップが。

そういえば最近、漫画「シャドーハウス」にハマっているんですが、仲間います?
あの独特な雰囲気とジョンが最高です。アニメ、漫画あんまり好きじゃない人でも楽しめると思うので良かったら是非。


021 潜入捜査官の先入観

021

 

「ねぇ、どうして我妻さんもここにいるの。そしてなんで女装しているの?」

「いや、悪いけど俺が聞きてぇよ」

遊郭での会話である。

伊黒さんから「潜入しろ」と言われた後、下働きとして難なく雇われた私こと冠石野胡桃は、雑巾を掛けながら同じく横で雑巾を掛けている我妻さんに問うた。

いや、凄い可愛いんだけど、我妻さん。

もとい善子ちゃん。

「...ナシゴレンのときの女の子、覚えてるか?」

「あぁ、えなりか◯きだよね」

「誰だよ。甘露寺さんだわ」

そうだった。えなりか○きではない。誰だその人。

甘露寺蜜璃。確か———恋柱、だったはずだ。

「その人がどうかしたの?」

「次の任務の道中でのついでだったらしいんだけど、冠石野ちゃんが屋敷を出てからその人がまた来てさ。...まぁ、そっから一悶着あって甘露寺さん監修の元、女装する羽目になった。あーもう最悪...お嫁に行けない」

「大丈夫ですよ、可愛い可愛い。萌えだね。あとこれデジャブだと思うけど、どのみち我妻さんはお嫁には行けないよ」

「萌えって何だ...デジャブって何だ...」

という様に、2人でそんなユーモラスな雑談をしていると

「そこ!ぺちゃくちゃ喋ってるんじゃないよ!口じゃ無くて手を動かしな!」と婆ちゃんが言ってきた。

いやどっからどう見ても動かしてますけどね、手。

「...すいませ〜ん」

少し申し訳なさそうに言ってみたりしたら、「ふんっ!」と荒い鼻息を出してから向こうへ歩いて行った。

人間ってこえー。

「...じゃ、この仕事が終わったら各自、調査ってことで」

「了解」

小声で言い合った。

さて、家宅捜査のお時間だ。

 

鬼さんどちら?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<サイド我妻>

というわけで鬼探しの時間———なのだが。

人探しをするには、あまりにも広すぎる。

何なんだ、ここ。

しのぶ邸より広いんじゃねぇの?

砂漠で米粒を探すようなもの...いや、それは言い過ぎた。失敬失敬。

穴があったら入りたいね。

 

そしてさらに。

もう一つ、重大なことに気が付いてしまった。

この俺の良すぎる耳が捉えてしまった。

 

「...一大事だ」

 

()()()()()()()()

 

これは実にいけないことだ。

女の子には常に笑顔であってほしいという俺の思いに反している。

思い、というよりこれはプライドだ。

泣いている女の子は、助けなければならない。

背に腹を変えてでも。

球磨川に変えてでも。

そうだろう?

彼だってこう言ってくれるはずだ———君は悪くない、ってね。

そういうわけで球磨川探しは一時中断。

泣いている子猫ちゃん探しを始めるとしよう。

「さて、何処にいるのか、なんだけど...」

深呼吸、そして。

 

———耳を澄ませる。

 

 

音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音。音———!

 

 

何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ!!

 

 

そして、雑音の中に一つの———泣き声。

 

 

   見つけた。

 

 

よしよし。やったぞ、俺。

「...うん、左右左左右左右、ね。」

普段はここまで鮮明に道順がわかることは無いが、「女の子が泣いている」という事実が俺を覚醒させていた。

いや、本当は別の要因があるのかもしれないけど...まぁとにかく、場所が分かったのならすることは一つだ。

「待ってろ子猫ちゃぁぁぁんッ!」

 

 

    雷の呼吸 壱ノ型———霹靂一閃ッ!

 

 

走る。

走る。

走る。

走る。

走る。

そして、僅か1秒(実際にはそんなにかかっていないはず)で目的の場所へ着いた———その時

 

ドシャァァン!

「うわっぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

突然、左から襖がこちらへ襲ってきた。

のでは無く、こちらへ突撃してきたのは、女の子だった。

声は、先程まで探していたものと寸分違わない。

つまりこれは———

 

「運命の出会いだ!結婚しよう!」

「いたたた...いや何でですか!」

突っ込まれた!

このタイミングで!?

律儀な子だ。そして可愛い。

いや、今はそこでは無い。今、とんでもない勢いで吹き飛ばされたのは一体...

そう思い、女の子が元々いたと思われる部屋を覗くと———

 

花魁が1人、立っていた。

首を傾けて、下からこちらを睨みつけてくる。

そんな彼女は、今まで人生で見たなかで最も美しい女性だった。

少なくともどうして今まで道で出会った女の子を口説いていたのかと、思わせるほどには。

美しい。確かに容貌は美しい。

でも。

どんな理由があろうと。

 

()()()()()()()()()()()

というわけで怒ります、俺。

「...謝ったほうが、いいと思います」

「気安く話しかけるな、ガキが」そう言いながら近づいてくる美女。

こわっ!

いや怖すぎるんですけど...

一体何を食べていたらこんな毒舌を吐けるのだろう。

フグとか食べてんのか———

...って、あれ?

 

()()()()()()()()()()

それに気付いた途端、空気が変わったような気配がした。

鳥肌が立ち、思わず身震いする。

 

...いやー。

まさかね?

球磨川探しをやめた途端、犯人に出会う、なんてねぇ?

はっはっは。

 

そんな、馬鹿なことあるか?

やっべー...

 

体の震えが止まらない。

 

どうしよう。

 

 

あ、手が近づいてくる。

やばい。

え、やばくない?

ていうか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

あぁ、そっか。

...室内。

 

やってしまった。

完全に先入観で油断してしまった。

 

えっと、どうしよ...

 

あ。

これ死ぬかも?

 

嘘、それ、やばいんじゃ

 

おい、誰か助けて

身体が、動かねぇんだよ。

爺ちゃん。

冠石野ちゃん。

...

球磨川でもいいから、この際...

いや冗談抜きでさぁ...お願いだから...

 

あ、やばい。

 

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやば———

 

 

———俺の、そこからの記憶は無い。

死んだかも。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<サイド冠石野>

 

さて、というわけで球磨川さん捜索ー!いえーい!

いや何でもないです。ごめんなさい。

閑話休題(この前球磨川さんに意味を聞きました。薄識かと思ってたけど意外と博識?)

 

それにしてもここ、あまりにも広すぎる。

もしかしたらあのとてつもなく広いしのぶさん宅より広いんじゃないのかな。

あ、よく考えたらここ、店だから当たり前か。

「...遊郭、か」

こんないかがわしい店が、政府公認っていうんですからねぇ。

まぁ事情を抱えている女性には有難いんでしょうけど。

 

...男性にも有難いんでしょうけど。

全く、世も末です。

世紀末で———おっと、これもデジャブでした。

そろそろ読者が飽きてしまう。

チャンネルはそのままで。

小説なのにチャンネルとはどういう事だ、前々から思っていたがお前は適当なことを言い過ぎだ、というツッコミはさておき、球磨川さん探しを本格的に始めるとしよう。

代入大嘘憑き(サブフィクション)」(私命名)を使って「壁」を「無かったこと」にすれば簡単なんだよねぇ。

ま、鬼殺隊って政府公認の団体じゃないし、大事にはしない方がいいかな。

...ってあれ。なんで遊郭が政府公認で鬼殺隊が非公認なんだよ。

おかしくないか、それは。

まぁいいや。

とりあえず聴き込みからかな。

よし、では張り切って参りましょう。

 

「あの、すみませ「はいはいごめん今忙しいから!」ドタタタ。

 

「あの、実は私「ごめん後で!」ドタタタタ。

 

「あの「...」ドタタタタタ。

 

はい。

駄目でした。最後に関しては無視されたんですけど...

私、そんなに会話力無いことは無いと思うんだけどなー。

流石にちょっと凹んでみたり。

...まぁ自力で探せ、ってことですかね。

めんどくせー。

おっと、つい本心が。

でも探さないとこのままストーリーが続かないし———ゲホゲホ。

球磨川さんが死んじゃうかもしれないし。

とかひとりごちっていると突然。

 

———ドッシャァァァン!

 

何何何なんの音!?

後ろから聞こえた———つまり、我妻さんが向かった方向。

 

我妻さんが、向かった方向から爆音。

 

...あれ?これやばいんじゃない?

嫌な予感がしたので全力疾走してみました。

 

走る。

走る。

走る。

走る。

走る。

走る。

あ、通り過ぎた。

ブレーキ。

 

我妻さんの姿が右手に見えた気がしたので、少し戻る。

するとそこに居たのは———

 

 

 

   床に倒れている我妻さんだった。

   床に倒れている我妻さんだった。

   床に倒れている我妻さんだった。

 

 

 

...え?

 

死んで...る?

 

 

 

 

 




ツー訳でっす。どういう訳だ。
善逸ちゃんがちょっと狂気じみちゃいました。いやこんなもんだっけ?そんな感じの021話です。あんま関係ないけど「お兄(021)ちゃん」ですね。炭治郎...今頃何やってんのかな。

評価、感想等おねがいしまっす!

クロスオーバー作品としてそれぞれのキャラに違和感はありますか?

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  • ちょっとある
  • めっちゃある

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