過負荷の刃   作:角刈りツインテール

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今回は先に言っておきますね。
023(お兄さん)ですね。今頃炭治郎さん何やってるんだろうね。
それとお気に入り登録者数40人突破しました。いえーい。ぴーすぴーす。
本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いしまっす。


023 違和感のない血鬼術

「いってててて...」

「大丈夫です?善逸」

「うん、大丈夫...受身は取れた...」凄く痛そうに善逸が言った。

それに、なんだそのへなちょこな受身は。

ただ寝そべっているに等しいじゃないですか———まぁ、流石にこの状況で受身を取れるまでの領域にあの数日で到達していたら逆に恐ろしいけどね。天才児どころの話ではない。

まぁいいや、「無かったこと」にすれば。

そういえば球磨川さんはこれのことをただの「面白手品」だと思っていたようだけど、いやはや、中々便利な過負荷(マイナス)だ。

これを持つべき人間は球磨川じゃなかったなぁとつくづく感じるね。

 

閑話休題。

前回述べたように、私たちは下に落ちた。

もちろん、アリス・イン・ワンダーランドの如きメルヘンな落下ではなく、純粋な、身のすくむような落下だった。

5mくらいはあったかな...いや、まじで怖かった。

余裕余裕とたかを括っていたけれど、思いの外高さがあり、何かに引っかかったりもしたのでかなり焦ってしまった。

ちなみに善逸は

「いぃぃぃやぁぁぁぁ!!何何なんなの!?ひいっ蜘蛛ぉ!?」と、隣で叫んでいた。

そんな苦労の末たどり着いたここ、遊郭の地下。

さっきは一体何に引っかかったのだろうかと、私たちが落ちてきた方向を向いた。

ハッと、目が覚めた思いになる。

そこにあったのは———

 

  大(・)量(・)の(・)、(・)着(・)物(・)の(・)帯(・)。

 

ホワット?

大量の、帯...?

なんだそれ。

なんだ、この———異様な光景は。

「あ、なんだ着物だったのか...まぁ、普通か」と善逸。

まぁ確かにそうだね。

これくらいの風景、何処でだって見る事ができるよ。

うんうん、これくらいでビビってた私が恥ずかし———

 

いや、なんでだよ。

「いや、なんでだよ」

「なんで一回ツッコミの予行練習したんだよ。...え?どこが?」

...あれ?

もしかして私の感性がおかしい?

こんな、まるで蜘蛛の巣のように帯が張り巡らされている光景が...普通?

いや、そんなわけない....

...え、どいういうこと?

あ、困惑のせいで日本語おかしくなっちゃった...

仮に、今回の犯人である鬼の血鬼術が「着物操作」だとして———

あ、そうか。

...そうだとすると、また別の謎が生まれてくるけれど...

ど(・)う(・)し(・)て(・)突(・)然(・)、(・)多(・)く(・)の(・)鬼(・)が(・)過(・)負(・)荷(・)を(・)持(・)ち(・)始(・)め(・)た(・)?

まぁそれは、後のストーリーで明かされるだろうから良いとして...

なるほど、完全に理解しました。

前回の魘夢、豪國に引き続き、これも———

 

 

  これも鬼の過負荷(マイナス)———!

 

 

だとすると、これは。

「……おっけーおっけー、善逸ちゃん、ちょっと下がってな。」

「あ?何でだよ?……まぁいいけどさぁ」善逸が太々しく、私の頼みを聞いてくれる。

うん、やっぱ可愛いな。

それはともかくだ。この過負荷。

おそらく、これは同族にしか感じ取れない違和感。

「違和感操作」であるというのが、今の私の予想だ。

まぁ間違ってそうだけど、方向性は正しいはずだ。

この帯を、日常の「一風景」と「同化」させる能力。

だから善逸にはこれは普通だと感じたのだろう。

 

同族とは———すなわち、過負荷(マイナス)。

あくまで善逸の持つスキルは、異常性(アブノーマル)なのだから。

 

……よし、状況が掴めてきた。

が、これは一体どういう状況なのか(掴めてないじゃねぇかというツッコミはさておき)。

 

一旦整理しよう———そう思った矢先。

『あ、胡桃ちゃんに善逸ちゃんじゃないか!』『どうしてこんな所にいるんだい?』『あ、もしかして僕を助けに……?』『いやぁ、有り難くないとは言わないけどさ、来るのが遅いぜ君ら』『待ちくたびれちゃったよもう』

 

飄々とした、あの男の声が聞こえた。

いや展開が早すぎるってば。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「え、何処ですか、球磨川さん!?」

辺りを見渡したが、何処にもいない。

球磨川さんどころか、善逸と私の他にはこの洞窟内に人間——————ネズミ一匹すら生命を感じない。

更に、ここは音が響くため声で居場所を特定するのも不可能に近い。

あ、耳がいい善逸に頼めばいいのか——————そう気付いた時には、もう球磨川さんが答えを言ってしまっていた。

面白みがないなぁ。

いや、こんなところに面白さを求めるべきではないのは分かっているけど。

『おいおい、さっきあんなに注目していたじゃないか!』『上だよ、上』

上。

え、上……?

って、あぁ、なるほどね。そういうことか。

「なぁ見つけたか?冠石野ちゃん」善逸が心配そうに尋ねる。

「私にはこの真相が最初から分かっていました」

「嘘つけ」

「着(・)物(・)の(・)な(・)か(・)だよ、善逸」

私は中指を教授のように立てながらそう言った。

善逸が戦慄した。

 

あ、立てる指間違えた……。

 

閑話休題。

見上げてみる。そして、よく目を凝らしてみると——————帯の中に。

 

——————着物の中に球磨川さんがいた。

いつものヘラヘラした顔で、こちらに手を振っていた。

私たちの努力を理解しているのだろうか、この人は。

それに、球磨川だけではない。

ほかにも、多くの女性が。

若い女性が着物の中に囚われていた。

「……ふぅん、これが今回の鬼の血鬼術か」

『うん、拘束系だね。だからずっと暇しててさぁ!』『隣の女性に全開浴衣してもらったりして、なんとか時間を潰してたんだ』

「全開浴衣……?」

「冠石野ちゃんが知るべき世界ではない」善逸が早口に言った。

そっかそっか。なら仕方ない———が、さっきから球磨川の隣の女性が顔を真っ赤にしているのはどういう訳だろうか。

謎だ。

まぁいいや。

「どうやって助けたら良いかな?」善逸に問う。

「うーん...お前の『大嘘憑き』を使って何かできないのか?」

ふむ。

一見良さげな案だけど、それを採用するにしても———

 

一体何を「無かったこと」にすれば良いのか。

 

という問題が浮かび上がってくる。

が、それ以外に前進する案が思いつかないというのも事実。

...っと、そうだった。

ここには、この能力のプロフェッショナルがいるじゃないか。

ならば彼に聞かなくてどうする。

「あ、そうだ初代所有者さん。もとい球磨川さん。この場合何を「無かったこと」にしたら良いのかな?」

『さぁ』

 

....

この瞬間、部屋全体が「だからお前は負けるんだ!」という空気に包まれる。

いや、まぁそうだろうなぁとは思ったよ、球磨川さんのことだから。

脳内で思考しながら既に感じてたよ薄々。

この女の子達、きっと敗北の武勇伝でも聞かされたんだろうなぁ。

可哀想に...。

「あ、着物を無かったことにすれば良いんじゃねぇか?」と、善逸。

一見良いアイデアにように見えるが。

「いや、それだと最悪———」

 

この人たちも同時に消える———「無かったこと」になる可能性がある。

だから却下だ。

おっと。

これは想像以上に難問じゃないか。

面白いねぇ。実に面白い。

「...球磨川さん。内側から着物を螺子伏せることはできないのかな」

『あー、それね』『やってみたけど、無理だったよ』『なんたってこの着物、脅威の伸縮力なんだから、さ』『螺子が刺さらないんだ』

なるほど。つまりこれは八方塞がりということで、私たちはもう球磨川さんをあきらめたほうがいいのかもしれない。

ここの長期間の滞在は、かなりのリスクがある。

もし鬼に見つかってしまえば、彼女ら、球磨川さんと同じように着物に閉じ込められ———そして食われる。

それは嫌だ。

よし、帰ろう。

『いや、もうちょっと頑張ってくれないかな?』

「私の心を読まないでよ...」

『あしひきの〜』

「私の心を詠まないでよ...」

あしひきの、って。

一体何を考えているんだろう、私は。

『大丈夫だよ胡桃ちゃん』『なんとかなるって』『ほら、例えばそこで座っている男の子と協力すれば何かできるんじゃないのかい?』

「ひっ...お、俺?」

先程の麻薬が切れたようで、再びヘタレな善逸に戻っていた。

もう一度注入する必要がありそうだ。

私は顔の前で自身の両手を繋いで(いい表言葉での表現が思いつかなかったけど、まぁ要するに萌えポーズだ)、こう言う。

「好きだぜ、球磨川」

バッキューン、と善逸の心臓に何かが貫く音が聞こえた気がした。

ついに私も超聴力の使い手になってしまったのかな...いや、無いか。

善逸が分かりやすすぎるだけだ。

現にほら、もう呼吸の構えをしている。

流石———最速の呼吸の使い手だ。

 

 

雷の呼吸 壱ノ型———霹靂一閃。

 

 

「あ、善逸...っ!?あれ!?」

そう

  聞こえ

た時には、

 既に

そこ

    に善逸の姿は無

かった。

 

 

巨大な地響き、そして風が音をかき消していく。もは自分の声すらも聞こえない。

そして。

人間を超え、鬼を超え、音を超える一筋の鋭い光———雷。

そう。

こ(・)の(・)世(・)で(・)最(・)も(・)速(・)く(・)移(・)動(・)す(・)る(・)も(・)の(・)が(・)、布如きを切れないはずがない。

 

突然グニャリと帯が変形したかと思ったら、またまた突然それが真っ二つに切れた。

「わ...ふふ、流石だね、善逸」あまりの人外加減に、思わず笑ってしまった。

だって、良く考えてみてよ...5(・)m(・)飛(・)ん(・)で(・)、布を切ってるんだよ?

ほんと、戯言だ———笑いたくもなるね。

帯の中の人を見ると、誰もが目を丸くしていた。誰も、一言も発しない———いや、発せないのだ。

ま、そりゃあそうだよね。

 

善逸の姿は、誰にも見えなかったのだから。

 

私にも。

花魁達にも。

球磨川さんにも。

———善逸本人にも。

誰もが、自然に切れたと思ってしまっただろう。

そして、続け様に、同じように布が綺麗に切れていく。

 

光が線を描き、薄暗かった洞窟を彩る。

光の残像は、私にはやけに美しく思えた。

音すらも聞こえず。

 

私はただ、その“光”景に釘付けになっていたんだ。

 

あー。

うん。

...らしくないなぁ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後、切られた断面からゾロゾロと人が溢れ出てきたので、私と善逸は落ちてくる彼ら彼女らを受け止める作業に徹した。

のべ50人。

ここまで多かったのか。

もしかすると、今回の鬼は今まで戦ってきた中で最強かもしれない。気を引き締めていこう。

えいえいおー。

はい、引き締まった。

『よっと』『ただいま皆!』『僕に会えなくて寂しかっただろう?』

「黙れ変態」

さっきからずっとヘラヘラしていたので忘れていたが、この人は遊郭に行った結果こうなったんだった。

じゃあ球磨川さんが悪いね。

そしてそんな馬鹿野郎に抱きついて泣いている善逸は、やっぱりいい奴だ。

うーん、まじでいい奴だな。キュンキュンしちゃうね。

『おいおい、再会していきなりこれとは酷いなぁ胡桃ちゃん』『週刊少年ジャンプだったら規制されかねない描写だぜ』『いやん!』

「はぁ...まぁいいですよ。あなたのおかげでさっきからの私のキャラ崩壊も治りましたし...」

何があったんだろう、さっきの章。

思い出すと頬が赤くなってくるのは分かる。

ま、いいや。「無かったこと」にしちゃおう。

あ、でもあの景色は綺麗だったからそれは惜しいな...

 

閑話休題。

「ぐすっ...それで、どうするんだよ。行くのか?」

「うん、そうだね、鬼のところにいこうか」

『お、いいねぇ』『堪らない展開だぜ』『折角だから僕の実力の6割を解放しちゃおうかな』

「いつも本気出してほしいところですね、私からすると」

まぁ本気でいつものあれなんだろうけど...

ここからは討伐の時間だ。

どちらかと言うと潜入捜査よりこちらの方がミッションインポッシブルだったな、と今更ながら当たり前のことを考える。

「じゃあ、心の準備はいいかな」

『おっけー』

「あぶぶぶぶぶ...いいよもう...」

「分かりました。...あの、危険ですので皆様はここで待機をお願いします」

しっかり花魁への配慮も忘れない私。流石私だ。球磨川さんとは比べ物にならないね。

「よーし、それっじゃ、しゅっぱー「その必要は無いわ」」

 

...あれ?どちら様?

いや、これ...

 

「あーあ、一気に食べようと保存してたのにさ....ほんと」

 

最悪だよッ!

ヒュルヒュルと、先程まで人間を閉じ込めていた帯がまるで吸い付くかのように今朝の人———否、鬼に集まった。

目には。

眼には、右には「陸(ろく)」の文字。左には「上(・)弦(・)」の文字。

こいつ、上弦の鬼か———!

誰だ、ちょっと前にフラグ立てたやつは———!

 

———ビュンッ

 

それらが、ものすごい勢いで、此方へ襲ってきた。

まるで、蜘蛛の足のように

ワラワラ、ワラワラと。

帯の花柄も相まって、まるで食虫植物のようにも見えてしまった。

だが、ここにいるのは食人鬼。

普通———ではない。

現実から、違和感から目を逸らしてはいけない。

 

...これで、戦略が全ておじゃんになってしまった...畜生め。

一般人もいるのにやばいなこれ...

「...あは、」

あぁ。

ピンチすぎて、ちょっと笑えてくる———

 

———けど、まぁいいや。

しのぶ邸での訓練の成果を見せる絶好の機会だ。是非とも有効活用させていただこう。

いや、本当、感謝したいぐらいだよ。だから。

 

「だから、殺して解(バラ)して並べて揃えて晒してあげるね」

 

それに。

「それに、さ」

 

 

『ど(・)う(・)せ(・)勝(・)つ(・)し(・)』

 

 

久々に、括弧つけて挑んでやろう。

 

 




一般人もいるのにピンチッ!伊黒さん何やってんだ!というわけで次回に続きます!
それと冠石野ちゃんには生粋の殺人鬼である零崎人識くんの決め台詞を言ってもらいました。
冠石野「なんかいい決め台詞あります?」
球磨川『「殺して解(バラ)して並べて揃えて晒してやんよ」とかどうかな?』
冠石野「採用」
みたいな感じで、まるで自分が考えたかのように言ったんだと思います。やべーなこいつ。

クロスオーバー作品としてそれぞれのキャラに違和感はありますか?

  • ない
  • ちょっとある
  • めっちゃある
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