過負荷の刃   作:角刈りツインテール

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最近ラブコメ読んでよく「あああああああああああっ!」ってなってます。なんかもうこっちまで幸せになるよねあーいうの見ると。
ちなみに僕のなかでの最高傑作は「堂島さんは動じない」です。あれはほんとにヤバい。


025 醜い兄と美しい妹

『へぇ、君は堕姫ちゃんのお兄さんなの』『あ、鬼いさんって言った方がいいかな?あはは』『それにしても、いい話だよね』『やられた妹のためにわざわざこうして出てくるんだから、さ』『僕だったら間違いなく出ないよ』

冠石野の「代入大嘘憑き(サブフィクション)」で負傷が「無かったこと」になった球磨川は不気味な鬼に対して軽口を叩きつつ冠石野の隣に向かう。

あくまで、普段通りの声色で。

ヘラヘラ、ヘラヘラと言った。

「妹はなぁ出来損ないだからなぁ。俺たちは()()()()()()()()()()なぁ。俺がアイツを守らねぇといけねぇんだ」

 

  血気術 血鎌

 

そう言って、堕姫とは真逆のお世辞にも美しいとは言えない顔をした鬼———妓夫太郎(ぎゅうたろう)は自身の腕を鎌に変え襲いかかる。

その攻撃を球磨川は。

『ばっかだねぇ君!』『『僕が同じ攻撃に引っかかるとでも思っているのかいってぇ!!』

普通に食らった。それもかなり深く。

右腕がポトリと落ちる音と同時に「あらら」とでも言いそうな表情を見せた。

「だからフラグ立てないでって言ったんですよっ!銃版(テンプレート)!」

冠石野も応戦しようと試み、10の銃口から日輪刀と同じ素材で出来ている弾丸を連射する———が。

「いい能力持ってんなぁ。いいなぁださい能力のおれらとは違って。羨ましいなぁ殺したいなぁ」

「ふぅ...じゃあさ」『これならどうかな?』

冠石野は再び括弧つけ、頬に汗を流しつつもニッと笑ってみせてから弾丸を撃つ。

そして妓夫太郎はそれを難なく受け止める。そして、それ以上に何もないことを知り、困惑する。

球磨川が何もしてこないことも違和感の一つだ。

どうして、冠石野の後ろでポケットに手を突っ込んでニコニコ見ていられる———?

相手の戦闘方法がこれしかないのか、はたまた自分が何かに気付いていないだけなのか。

恐らく前者だ、と妓夫太郎は判断した。そして彼は言葉を紡ぐ。

「?学ばねぇな『———嘘の呼吸』

紡げなかった。括弧つけた言葉を、誰かが被せてきたからだ。

『肆ノ型』

深い呼吸と共に———聴き慣れた呼吸法と共に小さい声が聞こえる。

妓夫太郎は誰が言っているのか分からなかった。

検討すらもついていない。

何故なら彼の目の前には()()()()()()()()()()()()()()

だが、こんな風に気味の悪い話し方をする人間がここに3人も集まる筈がない、と考える。

ならば——— 妓夫太郎の後ろにいるのは。

 

『虚影心』

 

確実に、球磨川禊だ。

 

♦︎♦︎♦︎

 

嘘の呼吸。

そう言って瞬間的に———否、分身して妓夫太郎の後ろに現れた球磨川。

何よりも驚いていたのはそれを傍観していた冠石野だった。

隣にいる男が敵の後ろにもいるのだから驚いて当然だ。当事者の二人よりも状況はよく見えている———が理解は出来ていない。

それに、虚勢を張って「これならどうかな?」などと言ってしまったことに後悔し、さてどうしようかと考え始めたときのこれだ。

横で何かブツブツ言っていたのは聞いていたが、それは完全に無視していた。もしやこれが———と思ったが違うな、と冠石野は思い直す。

変な伏線を作って回収しない男が球磨川禊だ。

一度深い深呼吸をし、冠石野は()()()()()球磨川に問いかける。

『...あの、これって』

『そうだね』『君が思っているものと多分同じだよ』

『え...じゃあやっぱり———』

 

大嘘憑き(オールフィクション)」を、取り戻した?

 

確かに、そこまでは何となく想像はつく。———理屈は理解できていないが。

だから冠石野にとっての問題はその次なのだ。

 

『で、でもこれ、明らかに「大嘘憑き(オールフィクション)」では出来得ないことなんです、けど...?』

そう、分身。

そんなもの、一体何を「無かったこと」にすれば可能なのか。

不可能だ。

『いい質問だ』

イラッとしたので軽めにラリアットを入れる———そして実体はあるようだと気付く。

もう一体の方の球磨さんをチラッと見ると、あろうことかしっかり攻撃をかわされていた。

あんなカッコイイ演出しておいて...

『おいおい、友達に対してそれはないだろう、胡桃ちゃん?

『まぁでも許すよ。僕は優しいからね

『いやんっ!

『で、それで解説を聞きたいんだって?仕方ないなぁ

『自分で考えることも、このIT社会だからこそ必要なんだぜ?

『おっと、タンマタンマ。殴ろうとしないでくれよ、あはは

『うん、それでね、分かりやすく説明するとね———

『僕は前に安心院(あんしんいん)さんから「手のひら孵し(ハンドレットガントレット)」を没収された訳だけどさ

『それは「大嘘憑き(オールフィクション)」の没収とは同じようで全く違うんだってことさ

『違いが分かるかい?

『そう。

『ほんの少しだけ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

『僕が強ければ大嘘憑き(オールフィクション)を自ら作り直したりしたのかもしれないんだけど...

『生憎様、僕は根っからの敗者(ルーザー)だからね。

『まぁそういう訳でさ。

『しのぶちゃんの家でこの素材を色々弄ってたら

『「大嘘憑き(オールフィクション)」を「型」に落とし込む事が出来たんだ

『いやぁほんと、不思議だよねぇ!

『タネも仕掛けもありません、つってね。

『あはは

『まぁそういうわけで、そっから更に改良してみたら

『結構いい感じになっちゃってさ

『おっけー?』球磨川が尋ねる。

が、冠石野は訳がわからないという表情をしている。球磨川の長広舌は無意味なものとなった。

「あー...うん、多分...え、そんなことある?」

『だから僕としても奇跡としか言いようがないんだってば』

奇跡。球磨川に似合わない言葉ランキング上位に輝く物だ———が。

目の前の光景は、それが奇跡である事を物語っていた。

それを見て、冠石野は。

「...なんだよ、成長してないの私だけじゃないですか」

拗ねた。

 

♦︎♦︎♦︎

 

一方その頃、善逸・伊黒チームはというと。

(くそっ、帯が邪魔で冠石野の補助に行けない...!)

こちらは、どちらかといえばこちらが有利、という状況だった。

まだ油断はできない———だが、強いのは明らかにもう一体のほうの鬼。

何とかしてそちらへ向かえないかと動いてみるが、伸縮する帯によって阻まれてしまい再び攻撃の隙を与えてしまう。

「...鍛錬不足だな」

 

蛇の呼吸 ()ノ型 頸蛇双生(けいじゃそうせい)———

 

左右から交差するように斬り込んでいく。

まるで2つの頭を持つ大蛇が、敵に牙をむくように素早く。

それでも、伸縮スピードには追いつかない。

そして、唯一追いつける善逸はといえば———

 

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

 

同じ技を出し続けていた。勿論、堕姫には既に「一つの攻撃しか使えない」ということは看破されており、全く当たらなくなっていた。

そう。

彼は今、()()()()()()()()使()()()()()()

ようやく———亡き者から卒業した。師匠の屍を超えた。

もはや、眠らずとも。自分の意思で———意志で、戦えるのだ。

だがそれも上弦には通用せず、ついに善逸は力任せを諦め伊黒のもとへ戻る。

善逸の息遣いはかなり荒い。危ないと判断した伊黒が咄嗟に前へ出る。

「おや?もう終わりかい?つまらないねぇ。もっと楽しませておくれよ」

堕姫が余裕そうな笑みを浮かべてそう言う。それに対して善逸は。

「.....なぁ」

「あん?なんだい?坊や」

 

「...さっきお前がぶん投げて怪我をさせた女の子に、謝るつもりはないか?」

善逸は、確かな怒りを込めてそう問う。

それに対して堕姫は

「ないよ」とハッキリ言った。

球磨川みたいな奴だな、と思い一瞬笑う。

そしてすぐさまキリッと真剣な表情になり、真っ直ぐに目の前の敵を見据える。

「そっか。良かった」

「...どうした、善逸」伊黒が心配になって聞くと———

「いや、これで罪悪感なく殺せると思いまして」善逸は、真顔で———多少の怒りを覗かせながら言った。

「今まで罪悪感なんてもの抱きながら戦ってたのか?」

「まぁ、自分で倒したことなんてほとんどありませんけどね...可笑しいんですよ。いつもなら震えている筈なのに———今日はすこぶる調子がいいんです」

そう言って、前へ飛び出す。

構えは先程と全く同じ「霹靂一閃」。特攻としか言いようがないこの動き。

不安がよぎり伊黒も援助の為に走る。———そして、やはり善逸の口から「雷の呼吸 壱ノ型 」と聞こえる。

霹靂一閃と合う型を考えていると、恐らく鬼には聞こえていないであろう小さな声で予想外な言葉が聞こえた。

それは—————————

 

 

 

 

聚蚊成雷(しゅうぶんせいらい)

 

 

 

 

———は?

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

「「は...?」」

伊黒と、堕姫の声が重なった。同じタイミングで両者がキッと睨み合う。

伊黒の目には確かに霹靂一閃ではない型の動きを見せる善逸が写っていた。

それは確かに、善逸の師匠———元柱である桑島慈悟郎(くわじまじごろう)が使っていた型。

()()()()()()

「だっ...騙したわね!?一つの攻撃しか使えないと思い込ませといて!卑怯だわ!」堕姫が焦りを隠そうともせずに叫ぶ。

「いいや。俺は何一つ騙しちゃいないぜ」それに対し善逸は、至って冷静に返答する。そしてそれが更に、堕姫の悔しさを増大させ———攻撃スピードが格段に上がった。

が、善逸はそれを全てかわす。

 

「雷の呼吸 壱ノ型 電轟雷轟(でんごうらいごう)」——— 一瞬の内に広範囲にいく筋もの雷のような斬撃を放ち、相手の全身に攻撃を与える。

 

「雷の呼吸 壱ノ型 稲魂(いなだま)」——— 一息で瞬く間にあらゆる方向から稲妻が放電しているかのような5連の斬撃を繰り出す。

 

「雷の呼吸 壱ノ型 遠雷(えんらい)」——— 自分を中心に放射状に稲妻のような斬撃を放つ。

 

「雷の呼吸 壱ノ型 熱界雷(ねっかいらい)」——— 上昇気流のように相手を上へと斬り上げ、吹き飛ばすほどの激しい斬撃を放つ。

 

多様な技を使ってかわす。それだけではなくただのかすり傷ではあったものの、何度か堕姫に刃が届くことすらあった。

何かおかしい、と伊黒は感じる。確かにしのぶの家で善逸は「俺は壱ノ型しか使えない雑魚ですよ」と言っていたはずなのに。

違和感を感じ、攻撃を出しながら善逸を観察する———そして不意に、ある事実に気付いた。

「な———」

それは、霹靂一閃だけを極め抜いた男の境地だった。

「こ、いつ、まさか…!」

 

()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

気付いた時、伊黒はぎょっとした。

脅威の再現力。

そして、彼から聞いた話だが———師匠には「一つの型しか使えないならそれを極めればいい」と言われたそうだ。

師匠の教えをどこまでも信じ続ける精神力の強さ。

これはとんでもない後輩が生まれたと、らしくもなく苦笑いする伊黒。

良い継子を持ったな、と心の中で呟く。

1人の、俺とは違って———

 

「善逸!次の一撃で決めるぞ」

「分かりました」

次で、確実に殺す。

伊黒は善逸と、相棒の蛇である鏑丸(かぶらまる)にアイコンタクトをし、堕姫に突撃する。

「あぁもう!!!!消えろ!!!」叫び、そして大量の帯をこちらに飛ばしてくる。

———が。

「———雷の呼吸 壱ノ型 電轟雷轟(でんごうらいごう)ッ!あとはお願いします!」

それらは全て善逸が消し去る。

走る。

走る。

走る。

そして———間合いに入る。

 

 

  壱の型 委蛇斬り(いだぎり)

 

 

伊黒は、全てを込めて刃を振るった。

首は、刃に水平な美しい断面を見せながら地面へ落下していった。




伊黒さんがんばえ〜
はい、いかがだったでしょうか。球磨川さん善逸さんが覚醒しましたね。
さて、こっからどう展開していこうか...(無計画野郎)
そろそろ冠石野ちゃんメインのストーリーを動かしていきたいところではありますね。
今話もありがとうございました!!!
感想待ってます!!!!!

クロスオーバー作品としてそれぞれのキャラに違和感はありますか?

  • ない
  • ちょっとある
  • めっちゃある
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