過負荷の刃   作:角刈りツインテール

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次から本格始動、無限列車編に入ります。
球磨川先輩、書くのほんと楽しいですね。


003 球磨川には向かない職業

鼓鬼との戦いを終えた翌朝。

『う...』と、球磨川禊はまるでうめき声のような音を立てながら起きあがろうと努力した。

 

———努力しただけである。

 

そもそも、だ。

どうして僕がこんな何もすることがない世界で8時に起きなければならないのだろうか。

 

週刊少年ジャンプも無ければ、アニメも無い。

 

『無かったこと』にできるものが無いのだ。

 

無い無い尽くしである。

 

———ということは、今起きたところで、することは何一つ無いよね。

 

僕は野球部じゃあるまいし、ましてや鬼殺隊でもない。

 

朝の素振り練習は彼らの特権だ。僕が介入する余地なんて無い。

 

「無かったこと」にするまでもない。

 

無い無い無い無い尽くしだ。

 

…いや、確かに僕は善逸ちゃんと昨日「明日は6時起き」って話したよ?えぇ、話しましたとも。

でもね。

いいかい?

 

———約束は破る為にある。

というか、そもそも当の善逸ちゃんも寝てるしね。ここからじゃ見えないけど。多分寝てるよね。

うん、だとしたら僕だけが起きるのはちょっと不公平かな。

悪平等(ノットイコール)とも言えるね。

 

そんな不公平がまかり通る世の中なんて、不幸としか言いようがないぜ、ほんと。

世も末だ。世紀末だ。

世紀末は違うか。違うな。

だが、一体この世に、僕同様に公平を愛する人間はどれくらいいるのだろうか。

あまり多くはないんじゃないかい?

そんな世の中に、僕は危惧の念を抱いてしまうぜ。

 

閑話休題。

というわけで、僕は今から世界の為に眠りにつかなければならない。

僕が地球を救うんだ。

この睡眠から、きっととんでもない物語が始まるはずさ。

出会い、そして別れ、そして...なんかあるかな。ラブコメとかあったらいいな…。

まぁそう言うわけで、壮大な話になると思う。だけど、お前らもちゃんと付いてこいよ。

僕の勇姿をとくとご覧あれ、だ。楽しみに待っててくれ。

というわけで

『おやすみ、善逸ちゃん』

「俺が起きてるの気づいてたよね?」

 

♦︎♦︎♦︎

 

「へぇ…昨日、あの屋敷で俺が眠ってる間そんな事が...陸の、型を、使ったのか?俺が?」

『あぁ、実に見事な構えだったぜ。僕は剣道部に所属しているからね。本当、憧れるよ』

「いや絶対思ってないよね!?」

『思ってないけど、上手かったぜ。なんか声も枯れて、熟練のお爺ちゃんみたいだった。』

「思ってないのね...お爺ちゃんって...あ」

『どうしたの?そんなショックだった?お爺ちゃんって言われて』

「陸ノ型...?爺ちゃん...?俺の?いや、そんなま、さか...」と突然ぶつぶつ何かを呟き始めた善逸ちゃん。

なんだろう、発作だろうか。

『?君のお爺ちゃんかい?一体全体どうしてその人が出てくるんだよ。あくまで比喩だぜ?』

「いや、その、もしかしたらなんだけどさ。...『過去の明星』って名前からも推察できるけど、もしかしたらこれ。」

 

死者を憑依させる能力かもしれない。

へぇ、そいつは脅威だな。

 

『確か安心院(あんしんいん)さんは、人脈と知識が大切ーーーーみたいなことを言ってたよね。知らない人は呼び出せないってわけか。』

「そういうことになりそうだな。ちょっと球磨川。俺が知らなそうな人の名前出してみて。」

『オッケー。織田信長』

「舐めてんのか?」

『ごめんごめん冗談だよ』

「上段を返してやろうか」

『こわっ!善逸ちゃんこっわ!そんなキャラだっけ!?...えっと、気を取り直して。 修多羅蝦夷(すたらえみし)ちゃんとか、どうかな?死んだ同級生なんだけど』

「すげぇ名前だな、そいつ...わかった。やってみる。」

ーーーーー過去の明星

そう善逸が唱えると、やはり前と同じように彼を明るい星々が囲んだ。

窓ガラスがギシギシと音を立てる。

あれ、もしかしていける?と球磨川は思った。

 

...が、前回と同じだったのはここまでで、善逸が眠ることはなかった。

『へぇ、どうやら合ってたみたいだ。奇遇だね』

「使い方完全に間違えてるぞ。まぁ、俺が知らない人は憑依させられないっぽいな。」

だからーーーーーーー人との関わりと、知識。

たしかに歴史の教科書を読むだけでも大分変わってくる。

『...なるほどねぇ』『てことはさぁ』『僕が死んで生き返るまでの間に僕は君に憑依できるって事だね?』

「何企んでるのかは知らねぇけど絶対にお前だけは嫌だよ、俺。」

やれやれ。

嫌われたもんだ。

にしても、この能力はかなり強いのでは無いか?

ほら、終末のワ○キューレみたいな感じに...なるんじゃない?

ならないかな。ならないな。

まぁいいや。

剣豪ということでいいのなら、宮本武蔵とか呼んでも良いんだよな。

...あ、でも問題が一つあった。

———呼吸が使えない人間が、果たして鬼に勝てるのか?というところだ。

それならば結局鬼殺隊員しか出せないし…。

『ねぇ善逸ちゃん。全集中の呼吸ってさ。使わなくても鬼倒せちゃったりするの?』

「いやいやいや無理でしょ...あれ使わなきゃ勝てないよ。あ、でも岩柱は確か、素手で鬼を殺したって言ってたっけ」

『素手で!?あれを!?』

「いや、そりゃあ昨日の奴の5倍は弱い鬼だと思うけどさ。あの人は化け物だよ。」

ふむ。岩柱、ねぇ。

四天王的な感じだよね?面白そうだ。いつか螺子伏せに行きたい。

「...とんでもないこと考えてるだろ」と言って善逸ちゃんがジロリと僕を一瞥する。

『いやぁとんでもない。心外だな。僕はただ裸エプロ...』『えっと、裸前掛けについて考えていたんだよ。』『これのどこがとんでもないんだい?』

「別方向でとんでもなかった...」

裸前掛けってなんか余計エロさが増した印象があるな。なんでだろう。

宇宙意志を感じる。

 

閑話休題。

 

『...でさ。やっぱ触れたほうがいいよね?』

「あぁ、多分な。」

得体が知れなくて怖かったので今まで見なかったことにしてきたが、そろそろそれも限界だ。

僕たちの前には、善逸のものでは無い刀と鬼殺隊服が置かれてあった。

…いや。

 

 

———誰の刀だ、これ。

 

 

「多分お前が使えってことじゃねぇのか?なんでかは知らんけど。」

『んー、思い当たる節が安心院さんしかいないなぁ...』僕はついため息をつく。『やだなぁ。絶対手紙とか入ってるもん。』

と言いつつ渋々隊服を広げてみると、案の定紙がはらりと落ちてきた。

『ほらね?』

 

♦︎♦︎♦︎

 

 球磨川くんへ

 僕からのささやかなプレゼントだ。

 もう分かってると思うが、鬼殺隊の服、そして日輪刀だ。

 これらを使って、もっと僕を楽しませる冒険をしてくれよ。

                    なじみより

♦︎♦︎♦︎

 

『最っっっっっっっっっっ悪だ....!』と僕は床にうつ伏せる。

「文面から悪意が漏れ出してるな…」と善逸も引き気味で言う。

『それな〜。あ〜もうまぢヤバいガン萎えなんですけどタピオカタピオカ〜。』

「今のセリフ一文字も聞き取れなかったんだけど...まぁ、こうなったもんはしょうがねぇよ。お互い頑張ろうぜ。」

『うん。早く元凶倒して家帰って週刊少年ジャンプを読みまくるぜ。んで、元凶は何処にいるんだい?今すぐ「無かったこと」にしてやんよ』

「早まるな早まるな。球磨川の暴走のせいで一般人が死んだらどうするんだよ」

『そのための大嘘憑き、だろ?』『別に大丈夫さ。なんとかなる。』『多分』

「あー...」と、善逸は命の尊さを目の前の馬鹿にどうやって説こうかと考えようとしたが、到底無理なことに気づいてすぐにやめてしまった。

懸命な判断だった。

『まぁ、なんにしろ服は着ないけどさーーーーーー刀くらいは持ってみようかな。楽しそうだし。』『僕あれ好きなんだよね。』『るろうに剣心』

「そっか、まぁ、頑張れよ。短い付き合いだったけど、ほんとありが「カァー!カァー!!北西!北西!無限列車で毎日毎日人が喰われてる!カァー!すぐさま迎え!善逸隊員!禊隊員!カァー!カァー!」

『...これからもよろしくね、善逸ちゃん!』

「もうやだ誰か助けて...!」

叫ぼうとするも、善逸の声を一時的に「無かったこと」にし、周囲への迷惑を今更ながら考えた行動(本人談)を取り始めた球磨川禊。そして声なしで泣き叫ぶ我妻善逸。

 

 

ヘタレと憎まれ役の冒険は、ここから始まった。

 

 




始まりました。始まっちゃいました。とんでもないカオスにしかならなさそう。
どんな話になるのか、楽しみですね(書け)

クロスオーバー作品としてそれぞれのキャラに違和感はありますか?

  • ない
  • ちょっとある
  • めっちゃある
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