そんな感じの32話です。ちなみに上の台詞は僕が未来日記について説明したときに返ってきた言葉です。未来日記まじで面白いよ。
前回までのあらすじ
しりとりをして爺ちゃんとあって———要するに何も無かった。
そして球磨川は今から、再びしりとりをする羽目になりそうだった。
「さっきも言った通り、いまからしりとりをするのだ!ルールは君が普段行なっているものと同じ———ではないっ!」
まぁそうだろうな、と球磨川は思った。
でなければこんな所でわざわざしりとりをする意味は無い。
『じゃあ、何が違うんだい?』
「することは同じ———だけど、勝敗の付け方が違う!」
そう言って一度息を吸ってから言葉を連ねる。
肺活量が異常に小さい。
「私のスキルは『
すると。
ぐぐぐぐ、と人形が捻れ、気づいた時には。
『お…おぉ!これは』『なかなか面白いじゃないの』
後ろに回って確認するが、ハリボテではないようで、むしろ精密であると言うことが証明された。
何故か。それは、その球磨川もどきには血が流れていたのだ。
球磨川が触れたとき、そこに温かさを感じた。
人肌の温もりを。
『なるほどなるほど…もしかして、
「そうっ!読み込みが早いね、大好きだよ!基本的なルールは君がいつも遊んでいるものと同じだぜっ!今回は君にもこのスキルを貸与するのだ———君と私で強弱とかはついてないから安心してね!それとそれと、君の優秀な過負荷も使用不可だよ、なんつって!『
…。
長い上に理解が難しすぎる説明だった。もう少しまとめてくれればいいのに。
『おいおい…随分と長台詞だけど大丈夫かい?』
「はっはー、大丈夫に決まって———っ!……はぁ…はぁ…」
『息切れのタイミングどうなってるの!?』
僕よりキャラが濃い奴に久しぶりに出会った気がするぜ。まぁ強いて言うなら胡桃ちゃんくらいかな。
それにしても、このゲーム。
要するに彼女の能力を用いた言葉の暴力、での勝負というわけだ。
言葉のキャッチボールならぬ、言葉のドッヂボール。
相手より強い言葉を言わなければ負ける。
相手の言葉を———螺子伏せる。
あぁ。
もしかすると。
これは。
『これは』『僕の得意分野じゃないか…!?』
もしかすると勝てるかもしれない。そんな期待が球磨川の脳裏に浮かんだ。
『…っと』
危ない危ない。
不思議なことに最近、自身の目的が分からなくなる時がある。
第一目標は———安心院さんを倒しうるスキルホルダー探しだ。そして、現代に帰ることだ。
記憶力が心配になってくる…おかしいな。老いだろうか、これが。
まぁ、でもロリちゃんが安心院さんを倒せるようには思えないし、ここは諦めて———
『いいね、そのゲーム!』『燃えてきたよ』『文脈的におかしいけど一応言っておくことにしようかな』
『どうせ勝つし』
勝ちにこだわる事としよう。
って、毎回言ってる気がするな、この台詞。
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「じゃ、はじめるよっ!準備はいいのだ?」
『うん、バッチグーだ』
「ばっちぐーが何かは分からないけど良さそうだから始めるねっ!まずはじゃんけんしよう!」
最初は私から、なんて言いかねないと思っていたが、意外と公平さは完璧に守ってくれるようだ。
結果は僕がチョキでロリちゃんがグーだった。
いつも通りの敗北だ。
さて、本番はここから。らしくもなく気を引き締めていこう。
人生初めての勝利になるかもしれないのだから。
「私から始めるのだ!いくぜ!」
最初の言葉は———
猟奇殺人鬼
『いやいきなりフルスピードなの!?』
可愛い幼女からそんな言葉が出てきたのでかなりびっくりした。
人形が、人型に姿を変える。そして現れたのは。
ハサミを持った英国紳士。
まさか、この男———
『
「
初手から引きが良すぎるだろ!
どうやって倒そうか。
僕は考える。
『き』で伝説の殺人鬼から逃れる方法を。
『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』『き』
『き』…?無くね…?
「油断は禁物ですよ、sir」
———と、気付けばジャックが目の前に現れていた。
ハサミを球磨川に振り下ろす。
『うぉっと危なかった…!』僕は間一髪でそれを躱し屈んだ状態のまま前方を見る。『やれやれ、この攻撃、鼓鬼を思い出すぜ』
なんて余裕ぶってみるが、かなりピンチだ。
死ぬことは無いとはいえ死んだらそこでゲームオーバー。これより上の階には行けなくなるだろう。
だから、ここは———
相手の弱みに漬け込む!
キリスト
「…
ジャックの目の前には、我らが(?)神、イエス・キリストが笑顔で立っていた。
「これは…なんという奇跡…!」
ジャックは彼の周辺の空気の暖かさに思わず涙を浮かべた。
「うっわ、まじか…」ロリちゃんは驚愕の表情を見せた。「キリスト教信者の前にキリスト出すのはヤバくない…?」
『僕は不正とか———嘘とか———裏切りとか、そういう一般人が使わないものを使って戦うのが趣味なんでね』そう言って指をパチンと鳴らす。
括弧つける。いつもみたいに。
「うーん、こんなに簡単に無力化されちゃうとは思ってなかったねっ!さて、じゃあもう次の言葉を言った方がいいかなぁ…」
トラップ
玄理がそう言った瞬間。
球磨川が立っている床に穴が空いた。
———トラップ!
下を向くと、そこには無数の針がギラギラと光り輝いていた。
『う…おぉぉぉお…!…っと』壁を必死に上がっていく。『はは、危機一髪ってとこだね?』
球磨川は汗の一つも垂らさずに笑ってみせた。
「おぉ!なかなかやるねぇ!大好き!」
『おいおい、そんなこと言っちゃ』『僕が恋に落ちちゃうぜ?』
ぷよぷよ
一応説明しておくと、ぷよぷよとは株式会社コンパイルから発売されていた昔ながらの落ち物パズルゲームシリーズのことである。
『ぷよ』と呼ばれるスライム状の何かを積み立て、同じ色のぷよが3つ以上そろえばそれが消える。そんな対戦ゲーム。
僕の手にはゲーム機が現れた。そして眼前には———
ドット柄の巨大なぷよ。
『つまりはこれで潰せってことだね…』『概ね計画通りだ』『おっと、今のは君の控えめな胸への皮肉じゃないぜ?』
「黙るのだ…っと。これはなかなか…」
ズドン。
ズドン、と。
玄理の上に落とそうとするも、体型が小さいこともありスルスルと避けていく。
1分。
長いと思っていたがチャンスタイムとしてはかなり短いようだった。
この中で倒せるのか…?
まぁ勝てなくても、それは『いつも通り』の一言で片付くんだけどね。
そうやって保険をかけておくことで誰にも怒られない。
信じた君が悪い、と言えるのだ。ぜひ皆も使っていこうね。
「はっはー!そんなんじゃ当たらないのだ!」と言いながら易々と交わしていく玄理。
残り30秒———少し動こうとしたそのとき、球磨川は足元に何かの感覚を感じた。
さっと下を見てみると、そこにはキランと光る一筋の光。
これは。
『い』『糸…はっ』
「私の作戦勝ちだねっ———!」
何かに気づいて上を向くがもう遅かった。
天井には大きな正方形の穴が空いており、そこから無数の弓矢が降ってきていた。
まずいと思う時間すらも無く、球磨川は—————————
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『はぁ…いててて…』『何個でも、出せるのかよ…』
それは何処からどう見ても、トラップだった。
完全に失敗した。
前の言葉の効果が消えるのは、次の言葉を言った時。
ならばそれまではずっとトラップは続いている。
そんなの、当たり前じゃないか。
球磨川の右肩、背中、左足にそれぞれ一本刺さっていた。
脳への直撃は避けたものの完全に当たらないようにするのは不可能であった。
手遅れ。
そうとしか言いようのない攻撃だった。
「ふっふー、大丈夫?もしかしたら毒とか混ざってるかもねっ!私が用意したんじゃ無いから知らないけど!」
と言ってカラカラと笑う。この状況下で笑える彼女はかなり狂っているのかもしれない、と思った。
僕のように、と。そう感じた。
ならば、僕だってきっと笑えるはずだ———笑え。
『…はは、これはちょっと痛いかなぁ』『週刊少年ジャンプだったら規制されかねないシーンだぜ』
「あれ、余裕だね?」
さて、考えよう…と。
痛みで思考がまとまらないな。こういうときは一度深呼吸をしよう。
すー。はー。
よし…いや何も良くなってはないけど。
ここからどう巻き返していくか?
出来ることなら、『僕らしい』戦いにしたい。勝ったとしても負けたとしても。
いつもみたいに。
ルールギリギリを。
不正を。
悪を。
大嘘を。
裏切りを。
行使して戦うためにはどうしたらいいだろう?
…なんて、考えているフリをしているけれど、実はもう一つは思いついているんだ。
我ながらニヤけてしまう程の、まさに戯言のような一手。
今からすることは———その一手のための伏線作り。
『…ねぇロリちゃん』『ルールで1つ確認していなかった事があるんだけどいいかな?』
「うん?いいよ、何なのだ?」
焦燥した表情を浮かべながら、それでもなお笑いながら言葉を紡ぐ。
『例えば———『は』だったら———『ば』『ぱ』とかでもありなのかな?』
「ん、確かにねぇ…普段なら駄目っていう所だけど今回は君が負けそうだからいいよ。許してあげるのだ!」
『そっか…ありがとう』『じゃあ、行くよ———』
人形は三つの無機質な螺子へと変化した。
「は…」
僕はそこで、慣れ親しんだ自身の
一撃。
「な…なんでなんでなんで!は、
『それはあくまでルールの範囲外での話だろう?』『範囲内であれば———それは十二分に可能なことなのさ』『さて、ロリちゃん』『これで君は、僕と同じ強さ…いや、僕と同じ弱さになったんだけど、ねぇロリちゃん』『それは一体全体どんな気分なんだい?』『是非とも教えて欲しいなぁ』
あぁ、最近の僕は日和っていたんだなぁと感じる。
こういうシーンに懐かしさを感じるようになってきたのだ。
そんな哀愁に浸りながら———二撃目。
そして三撃。
玄理の髪の毛がスーッと白くなっていく。
まるで時間が早まったかのように。
「く…はぁ…いやだ…い…やだっ!」
回復
『おぉ…なかなか考えたじゃない』『やっぱり非物質でも召喚できるんだね』『じゃあ、行くよ———』
そこからは、まさに双方向の言葉の暴力だった。
ボクシングのような、そんな光景。
アナコンダ
大打撃
キューピット
闘牛
薄型テレビ
ビースト
トップクラス
スピーカー
アイアント
トラクター
…………………………
………………
…………
…
『速歩———』
「かはっ……!?」
球磨川は後ろから高速で玄理にぶつかった。
ゴキ、と鈍い音がする。
もはやどちらの骨の音かすら分からない。それくらいにはどちらも疲弊しきっていた。
「はぁ…やるね、君…大好きなのだ…」
『ははは』『お褒めに預かり光栄だぜ』
残り手数は3。部屋は既にがらんとしており、先ほどまで人形で鮮やかだった様子は見る影も無くなっている。
次の相手の言葉の最初の文字は『ほ』。
『「ほ」———か。』
その文字から始まる強い言葉といえば
正直に言って、いくら足が速くたって
恐らく善逸だって、こんな密室ではいつかは追い付かれる。
…いや、追いつかれなくても一酸化炭素中毒で死んでしまうか。
どちらにしろ敗北だ。
いつもの。いつも通りの。
僕の負け。
「…じゃあ、次行くよ」
———炎ッ!
あぁ。
またか。
今回は勝てると思ったんだけどなぁ。
目の前に広がる緋い海を見つめながらそんな哀愁に浸る。
『また、勝てなかった。』
『
「は…!?なんで!?どういうことなの!?」
目の前の炎は全て消えていた。それどころか焼けたはずの壁や天井、床までも修復されている。
そう、まるで———
その炎が「無かったこと」だったかのように。
「ま、さか…」
『そう!』『炎を「無かったこと」にした!』
球磨川が出した言葉は言わずもがな、「
球磨川禊の、「全て」を「無かったこと」にする過負荷。
『いやぁ、最後の文字を「ほ」にしないようにするのは大変だったぜ』『「ほ」から始まる強い言葉なんて「炎」しか無いからね…』『ギリギリ作戦勝ちってところかな?』球磨川はニコッと笑う。
だが。
「いやでも!やっぱりルールに反しています!だって語尾が『ん』なんですから!あなたの負けですよ!」と玄理がまるで言い訳をするかのように必死に喋った。
一見それは道理とも言えた。
そう。
だから普通のしりとりならば球磨川の反則負け———なのだが。
思い出して欲しい。
このゲームのルールを。
『ねぇ、ロリちゃん』『このゲームの基本的なルールについて、君は何と言っていたかな?』
「え?いや、普通のしりとりだって———」
『違う』
そう言って球磨川は玄理の言葉を遮った。そして否定した。
『おいおい、主催者がそんなのでいいのかい?全くもう』『仕方がないから僕が思い出させてあげるよ』『いい?君はねぇ』
一度深呼吸をする。
そして、言葉を紡ぐ。
「え...?いや、だから何なのだ!だったらやっぱり———」
『いや、その二つは全然違うよ』『「普通」のしりとりならば確かに末尾に「ん」がつけば負けだ』『だけど、だ』『ローカルルールって知ってるかい?』
ローカルルール。
もしくは地方ルールとは、ある特定の地方、場所、組織、団体、状況などでのみ適用されるルールのことを指す。
つまりは。
『僕が通ってた小学校ではね』『
残り10秒。
9秒。
言ったところで「無かったこと」にされてお終いだ。
8秒。
7秒。
6秒。
くそが、と下唇を噛む。
5秒。
4秒。
肩をプルプルと震わせる。
3秒。
そして。
「もういいよ…これが、鍵なのだ。早く行って」
涙声でそう言った。
何か一つくらいは言えそうな、2秒の時間を残して。
左手で鍵を投げ———それを球磨川が綺麗にキャッチしようとするも掠りもしない。
あれ?とでも言いたげな不思議そうな顔をして頭をポリポリしながら床に落ちた鍵を拾う。
『ありがとね、ロリちゃん!』『えっと、ここのドアでいいのかな…』
と独り言を言いながら、最初に出たエレベーターとは逆の場所にあったドアを開ける。
すると驚くことに、そこもエレベーターであった。
『…このドアは流石に階段だと思ったんだけどなぁ』『あ、そうそう、ロリちゃん。ひとついいかな?』
「ん…なんなのだ」玄理が不貞腐れながら小声で聞く。
それを見て球磨川がニコッとする。
爽やかな、美しい笑顔だった。
『実はね』『さっきのローカルルールは嘘だよ』
「は…!?」
『どころか小学校には行ってすらないし…』『でもロリちゃんが「早く行って」って言ったからね』『仕方がない。さっさとお暇することにしようかな』『はぁ、全く』
『———また勝てなかった』
その不思議な服装をした男は、手をヒラヒラさせながら、だがこちらを向くことなく上へ登っていった。
全く。
どこまで括弧つけたいんだ、球磨川禊は。
流石は祓様———球磨川
「…追い剥ぎにでも遭った気分なのだ」
要するに、最悪の気分だった。
球磨川禊 lose! 2F→3F
次回は善逸回です、よろしくお願いします。
クロスオーバー作品としてそれぞれのキャラに違和感はありますか?
-
ない
-
ちょっとある
-
めっちゃある