過負荷の刃   作:角刈りツインテール

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そういえば最近読ませて頂いている二次創作作者さんに影響されて、僕の好きな嵐の歌のタイトルを話のタイトルにしてみました。できそうだったら続けていきます。おそらく長続きしません。というわけで今話も始まります。

追記
なんとお気に入り登録者数70突破です。鬼滅の知名度にあやかっている結果とはいえ正直驚いています。このまま100まで突っ切っていきたい…。まぁとにかく感謝感激雨嵐!!!!
それと感想・評価・誤字報告などもいつもありがとうございます!今後ともぜひ『過負荷の刃』、よろしくお願いします!


036 とまどいながら

僕らはエレベーターで再び下へ、下へ、更に下へと降りることになった。

今回の語り部は———そう。僕だよ。

やぁ皆。久しぶりだね!

そうそう、ハンバー…じゃなくて、球磨川禊だ。別にカウボーイみたいな格好はしていないから安心してね?久しぶりの語り部でかなり緊張しているけどそこはご愛嬌、ということでよろしく仲良くしてくれよ。

それはともかく現在エレベーター内部。

ガタン、ゴトンと不安になる音がするが大丈夫なのだろうか——なんて考えているうちに、停止。———が、止まったのは目的の地下一階では無かった。

「え…?なんで?」

それは、一階。

善逸はまるで怪談話のような出来事に思わずゾッとし、「ごめんなさいごめんなさい…」とお経のように呟いている。まぁ、刀に手を置いているところは評価できるし、成長だと言えるだろうが、全く動じていない胡桃ちゃんを見習って欲しいとは思うぜ。

ドアが開き始め、一応(僕も含めて)全員が身構える。いや、一名だけ腕をクロスさせて謎の構えをしているだけだったが。

冠石野胡桃だった。なんでそんなにふざける余裕があるのかって?

いや、ない訳ではないんだ。正確には()()()()()()()()()()()だけなのさ。

ん、言っている意味がよく分からないかい?うーん、そうだな。簡単に言うと…

 

胡桃ちゃんはシリアスシーンを乗り越えたことでもう既にやり切った気分になっていたんだよ。

 

それはここからは私のターンだ、と言わんばかりの自信たっぷりの表情だった———ようするに、彼女は今以上な程にアホになっていた。

…やれやれ。

ギャグ要員は僕だけで十分だってのに。ツッコミ役の善逸ちゃんの苦労が二倍になるじゃないか。いや、僕は悪くないんだけどね。

それにしても昔の(と言ってもほんの数ヶ月前のことだが)僕以上のウザキャラだった君はどこに消えたんだい?なんて思いつつ肩をすくめる。他人から見れば体をほぐしているようにしか見えない行為だろう。

まぁそれはともかく。

ゆっくり、ゆっくりとドアが開き一階から乗ろうとしている犯人の姿が明らかになった。

『…あ』

「…あ」

それは僕が———僕だけが知っている人物だった。

 

高向玄理(たかむこくろり)

 

巨乳の小さい女の子。…小さい女の子だけで良かったな。

彼女に向かってまず行動を仕掛けたのは、先ほどから謎の呼吸の型をとっている冠石野だった。

徐に顔を上げ、クロスしていた腕を、まるで刀で相手を斬るように、荘厳な雰囲気を漂わせて動かす。

そしてロリちゃんはそれを訝しみ、顔見知りである僕の方へ——

ではなく。

むしろ嬉々とした表情で彼女が向かった先は。

「胡桃さんじゃないですか!?」

「こんにち殺法!」

「こんにち殺法返し!」

「『………………。」』

冠石野胡桃の方だった。

そして高等的なギャグを交わした。

「元気だった〜?」とほんわかしている女性2名に対して、僕ら男性2名はポカンとしている他無かった。

 

え?

 

嘘、知り合いなの?

ていうか今の何?

 

え?

…え?本当に何?

「うん、知り合いだよ。家が近所でね。2人ともお母さんしかいなかったから気があってさぁ。よく一緒にご飯食べてたんだよ。ねぇロリちゃん今何歳?」と普段よりテンション五倍で言った。顔は未だアホのままである。ていうかお前もロリちゃんって呼んでんのかよ。お前かよ名付け親は。

「13なのだ!」と言ったのち、僕の存在に今気がついたのだろうか、ハッと目を開く。

 

「あ!さっきの追い剥ぎ!」

 

「『「え?」』」

全員の声がシンクロした。恐らくこの場でその言葉の意味を理解しているのはロリちゃんだけだと思う。だって僕にすら覚えがないもん。

「お前、それは流石に…」

『いや、何言ってんの?』『僕がそんな変態に見えるかい?』『生憎そんな趣味は持ち合わせてないぜ』

「まぁ見えなくはないっていうかかなり見えるっていいますか…」

『うっそ胡桃ちゃん!?』

おかしいな、僕の味方はいないのか…?今まであんなに献身的な働きを見せた僕に対してその仕打ちとは…。

 

こりゃ、螺子伏せられても仕方がないよね。

そう思って、僕は———この場にいる全員に螺子を刺した。

「え」

「いっ!?」

「は、球磨川!?」

『全く、酷いなぁ皆』『穴があったら入って泣いてるところだぜ?』『だけどまぁ』『ロリちゃんも含めて友達だからここいらで許してあげるとするかな』

パチン、と指を鳴らすと自分が脳内でイメージしたように全員の胸に貫通していた螺子が消えた。

ロリちゃんは「え!?なんなのだ今の!?」と困惑しているが(普通の反応である)、それとは対照的に胡桃ちゃんと善逸はもうすっかり慣れてしまったのだろう。

「…」二人は静かに、ゆっくりと立ち上がった。

幻覚なのだろうが、彼らの後ろに何か禍々しいものが見える気がする…何だろう、スタンドかな?

あはは。

やべー、死ぬかも。

『ま、待てよ二人とも』『謝るからさ。ほら、僕が悪かった』『それにさぁ復讐は何も生まないぜ?』自分の危機を感じ取り敢えず謝る僕。

だがしかし、そう上手くは行かず。

「そりゃそうだ。なぁ冠石野ちゃん?」

「うん、そうだよ。だってさ———復讐は生産のためではなく」

 

———精算のためにあるんだからね。

 

『えっ何それかっこよす』『がはっ——!?』

二人揃ってビビることなく僕に全力のアッパーと腹パンを食らわせてくる。

僕は空を飛び、美しい弧を描き地面に倒れた。

背中が打ちつけられて普通に息が止まった。

いや、まじで痛いぞこれ…本当に手加減した?してないよね?してないね、うん。

『パトラッシュ…もう眠いんだ…』『真っ白に…燃え尽きたよ…』

「さて、じゃあ事情説明をするね」

いや、流石に無視はちょっと傷つくよ…?

まぁけど、胡桃ちゃんが元の表情に戻っているし彼女がどうしようもないアホから復活したのだとすれば、これはきっと無駄な犠牲ではないはずだ。

むしろ貢献。大いなる貢献なのである。

だからそう、僕は悪くない。

 

『…また勝てなかった』

ぐはっ。

 

♦︎♦︎♦︎

 

「それはねぇ…」と、いうわけで。

僕が大嘘憑き(オールフィクション)で痛みを『無かったこと』にしている最中に胡桃ちゃんは僕らが鬼殺隊であること、現在僕の提案でここに来たことを伝えた。

「ふむふむ…」「といいますと?」「なるほどなのだ…」というロリちゃんの程よいタイミングでの相槌は話す人の気分を良くし、胡桃ちゃんはペラペラとあることないこと話し始めた。

「そこで私はこう言ったの。———ここにいる人間は絶ッ対に守」

『「言ってねぇよ』」

「ちょっ馬鹿…」と事あるごとに訂正するのは僕らの仕事だった。

まさにブラックだったその仕事を終え、ロリちゃんは全てを理解した。いやぁ理解力があって助かるね!

ブラック、ねぇ。

久しぶりにマッ缶が飲みたいな…。

「なるほどなのだ…いや、()()()()()()()()()()()()()()()()何があったのかと不安になって来てみたのだけど…それが功を期したのだ」そう言って笑うロリちゃん。こうして敵としてではなく人として見てみると、とてもいい人である。

そしてすごくロリだ。僕らのほんの少し下とは思えない…。

そして胸だけ見ても僕らのほんの少し下には見えない。

「…何だかロリコンのおぞましい気配がするのだ」と肩を抱くロリちゃん。

なんだよ、ロリコンの気配って…ていうか、文字列が異常すぎるそろそろゲシュタルト崩壊しそうだ。

『…で、どうするの?』僕は善逸に尋ねる。

「何がだよ」

『いやロリちゃんを連れて行くか否かっていう話』

「お前がロリちゃんって言うとマジで気持ち悪いな…まぁ俺は賛成だぜ?能力だって強いんだろ?」

『うん———「()()()()」』『まぁ変装どころかそれは実態になるんだからね』『流石の僕でも強いと認めざるを得ないぜ』

何様のつもりだ、と頭を叩かれる。

人間様だ、と答えたら再び叩かれた。これが理不尽、日本の闇である。

『じゃ、いいか…』『ねぇロリちゃん』『僕と一緒に来るかい?』

「え…いいのだ?」

「いいも何も、行くしかないでしょ」胡桃ちゃんも僕に同意してくれた。「私たちは彼女を家に帰さないといけない」

『そうだね、というわけでよろしくね、ロリちゃん!』

「あ———はい!よろしくお願いするのだ!」とにっこり笑う。

それだけを聞けばいい場面なのだが、問題もある。

「でもよ———他にも人がいるだろ?そいつらはどうするんだ?」

そう。

僕らはそれぞれに3度の勝負を行なっており、その分の人間がいる。

それを無視してって言うのはやはり可哀想だ、いうのがらしくもない僕の意見っであり、善逸の意見である。

———本当に、僕らしくない。

甘露寺さんの時も思ったことだが、自分の過負荷性が薄れてきたことに正直かなり驚いている。もしかすると折角元に戻った大嘘憑き(オールフィクション)もまた消滅してしまうかもしれない。

だけど、まぁ。

戸惑ってはいるものの、そこまで危惧はしていなかった。

 

何故かって?

 

だってそりゃあ、この僕だぜ?

 

いくら幸せになったって、どこかでまた不幸になるに決まっている———

 

そう、ルールを『無かったこと』にしたとしても。

 

きっと僕の深層が『負け』を求め続ける。

 

だから———だから僕は。

 

 

これからもきっと、負け続ける。

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

と、まぁ。

いい感じの締めっぽい言葉を言いつつもまだ少しこの話は続くのでついて来ておくれ。結局ここにいる人間は全員あとで(かくし)(鬼殺隊の事後処理部隊のことである)の協力も借りて助けに来ようという話に落ち着いた。そこが妥当だろうな、と僕も思う。

さて、というわけでロリちゃんもパーティに加わった今———いや、『ロリ』とか『パーティ』とか、なんかもう不味い気がしてくるけど———それは置いておいて、ミソギとの対峙においてこれほどのベストコンディションはないと思われた。

 

エレベーターはとうとう地下一階へ。

ゴゴゴ、と不気味な音を立てて扉が開く。

そのまま中を見てみるも、そこは何もない空間であり———ミソギとやらもいなかった。

しかしここにいても何も始まらないのでとりあえずエレベーターから出ることにした。

『…おっかしいなぁ?』『おーい、お邪魔するよ?』

「わっ馬鹿もっと偵察してから———」と善逸がいつものヘタレを見せる。

だが胡桃ちゃんとロリちゃんも出てきたことでまさに背水の陣となり出てくる他なかった。

可哀想に。

そして全員が部屋の中央に集まったものの、特に何も起こらない。

 

どうしたものか、と口を開こうとしたものの、それは叶わず、代わりに別の男の声がした。

 

 

「———やぁお嬢さん。さっきはどうもね」

 

 

一瞬にして空気が変わった———というのは周りの反応から察したことなので僕はよく分からないが、とにかく何者かの声がした。

誰だろうか、と僕らは同時に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そこには一人の爽やかな表情をした男。彼の服の腹の部分には血が滲んでいる。

「な———」

彼に反応したのは、胡桃ちゃん、そしてロリちゃんだった。

先に口を開いたのは胡桃ちゃんで。

「あ……弓月、君也」と声を震わせつつ呟いた。

ここまで動揺する彼女は初めて見た気がする。

「おいおい、つれないね。弓月くんって呼んでって言っただろ?」その男———弓月くんは肩をすくませた。それだけ見ればただの好青年だが、こんな状況下で正常な人間な訳がない。

どうやら、過負荷ではなさそうだけど…。

『なぁロリ胡桃ちゃん、あの人は誰だい?』

「ちゃん付けが面倒になったからって略さないで欲しいのだ…あの人は———胡桃さんと二階層で戦った男なのだ。能力は」

 

()()()()()

 

そう、確かにロリちゃんは言った。

「嫌な予感的中、か」と善逸ちゃんが小声で言う。その通りだった。

ルール作成の能力者は、球磨川祓では無かったのだ。

だとすれば僕の敗北性も消失していない、ということで。

その能力者である彼がここにいるということは。

 

『———あ』

弓月君也は、ミソギとタッグを組んでいる、ということで。

 

そう気がついた時にはもう遅く———

ばたり、と横で音がした。

何だ、と見てみるとそこには、血溜まりが広がっていた。

『えぇ…?』

誰の、と言われると、今残っているのは僕と善逸ちゃんと胡桃ちゃんだから、消去法的にロリちゃんのものということになる。

消去法で無ければそれが分からないくらいにロリちゃんの身体はぐしゃぐしゃになっていて。

血。目。肉。血。内臓。血。腕。血。指。肉。血。内臓。血。肉。血。肉。肉。

あらゆるものがごちゃ混ぜになっていた。

「ひっ…!?何何何!?なんでなんだよ玄理ちゃん!?」と善逸が()()()()()()()()()()へと叫ぶ。

ごちゃ混ぜで。

どろどろで。

バラバラで。

そして、そこで僕らは、不意に気がつく。

目の前があまりにも暗いことに———否。

それは暗かったのではなかった。

 

「———黒」と胡桃ちゃんが、まるで女子のスカートを除いた結果を感慨深げに呟くときの僕のように言った。

そう、()()()()()()()()()()()()()()()

ゴキブリのように、うようよと蠢いている。だがそれは複数ではなく、一つであることが次第に分かってきた。

『…へぇ、これは正真正銘の過負荷だね』

僕はこの過負荷に、少し期待していた。

もしかすると、安心院さんにも———なんて思っていた。

「いや、ていうかこれ…」と胡桃ちゃん。

この光景を見たことがある、という目だった。

それに関しては僕も同意で、なんなら凄く最近目撃した者だった。

 

「———笑止」

 

そう呟いた人物———ミソギの名前を最初に口に出したのは善逸ちゃんだった。

 

 

 

 

 

 

「あ…芥川…?」

 

紛れもなく遊郭で僕たちを助けてくれた、安心院さんの端末である芥川龍之介だった。

 

そう。

 

 

球磨川禊の正体は———芥川龍之介だった。

…え、嘘。それ本気で言ってるの?

 




さて、こっからどうなるんでしょうね。正直僕が一番わかっていません。頑張ります。

クロスオーバー作品としてそれぞれのキャラに違和感はありますか?

  • ない
  • ちょっとある
  • めっちゃある
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