ミドリ「……んん……ここは、もうちょっと……ぼかし、て……」
モモイ「食らえ! の~みそコネコネぇ――アターーック!」
アリス「頭部の部位破壊を確認! 目標も既に瀕死のようです!」
ミドリ「……あ、ここ線切れてるじゃん。もう……」
モモイ「むむ! アリス二等兵、目標は我々に背を向けて逃走した! 我々も
アリス「はい隊長! アリスたちの手で、里を守りましょう!」
ミドリ「……」
モモイ「あ、でもその前に尻尾
アリス「わかりました隊長!」
ミドリ「…………ねえ、お姉ちゃん」
モモイ「んん? なぁに〜?」
ミドリ「ちょっと休憩~って言ってから、もうだいぶ遊んじゃってるけど。次の部内コンペほんとに大丈夫なの? あと三日しかないよ?」
モモイ「え~? 大丈夫大丈夫! ミレニアムプライスの時だって六日で完成まで行けたんだし、その半分もネタ出しだけに貰えるんならもうヨユーでしょ、ヨ・ユ・ウ!」
ミドリ「ああ、崖っぷちの成功体験が姉をダメにしている……」
モモイ「私、やればできる子だから!」
ミドリ「それは基本やらない子の
(トントン)
モモイ「んん? 誰だろ? ――あ、ごめんミドリ、ちょっと出てくんない? マルチだと一時停止効かなくて」
ミドリ「……しょうがないなあ、っと。もう……はぁーい?」
(ガチャ)
ミドリ「あれ、カリン先輩」
カリン「やあ。邪魔するよ」
モモイ「――ん、カリン? え角楯カリン!? メイド部!? なんで!?」
アリス「ひぃっ!?」
(ヒューン)(ガチャ)
ユズ「ひえっ!? え、あ、アリスちゃ――むぎゅ」
(バタン)
モモイ「えええっ!? ちょ、アリス!? 里の未来は!?」
ミドリ「わ、ユズちゃんの入ってたロッカーに無理やり――あ、お姉ちゃん死んじゃうよ」
モモイ「だえっ!? ウソっ、あっヤバ――」
【モモタローが倒れました】【報酬が0zになりました】【クエストから帰還します】
モモイ「ぎゃーーーー!!」
カリン「……すまない、もしかして本当に邪魔だったか?」
ミドリ「いえ、あれは四字熟語をランダムに体現するトレーニングでして。今日のお題がたまたま『因果応報』だっただけなので、気にしないで下さい」
カリン「? ……そうなのか?」
ミドリ「ええ。お姉ちゃんはああ見えてもウチのシナリオライターなので、一見ただ遊んでいるように見えても、常にゲーム制作のことを考えているんです。いやーさすがお姉ちゃんだなー尊敬しちゃうなー」
モモイ「……はい……いい加減作業に戻らせて頂きます……」
カリン「……」
ミドリ「それでその……今日は、どうされたんですか? 廃部の事なら、まだ期間には
カリン「……いや、そっちの方は何も問題ないよ。そもそも私はもう
ミドリ「え、わ、もうクリアしちゃったんですか? これそんなに短いゲームじゃなかったと思うんですけど……と、こっちの紙袋は?」
カリン「ほら、前にシャーレの帰りで寄ったカフェ。あそこでこっちのカップケーキも食べたそうに見てたの覚えてたから、適当に何個か見つくろってきたんだ」
ミドリ「あ、これ『ミルフィーユ』のですか!? うわあ、すみませんわざわざ……!」
カリン「ううん、ただのお礼だよ。買ったのは昨日なんだけど……焼き菓子だし、生クリームとか使ってるのは入ってないから。良かったらみんなで食べて」
ミドリ「あ、ありがとうございます! ……あの、私が言うのも何なんですけど、お仕事とかお勉強とか、大丈夫ですか? 無理されてませんか?」
カリン「いや……それがほんと、笑っちゃうくらい大丈夫じゃなくて……」
ミドリ「えっ」
カリン「ああいや、仕事は別に大丈夫なんだけど。成績の方がどうもね……最近は先生に無理を聞いてもらって、放課後によく補習受けてるんだ」
ミドリ「……じゃあ、これからシャーレに?」
カリン「いや。今日は先生、午後から外回りだったみたいで。ちょうどミレニアムにも用事があったらしくて、今からこっちで教えてもらう予定」
ミドリ「先生が来てるんですか? ウチに?」
カリン「うん、さっき連絡が来たよ。先に図書室で待ってるって」
ミドリ「そ、そうですか。そうなんですね……へえー、ふうーん……」
カリン「……一緒に来る?」
ミドリ「いいんですか!?」
カリン「ふふ、うん。ミドリならいいよ」
ミドリ「や、やった……あ、私タブレット持っていきます! ちょっと待ってて下さい……あ、お姉ちゃんこれ、カップケーキ。美味しいとこのヤツだよ。後でちゃんとお礼言っときなよ」
モモイ「ぅえ? あ、ありがとう?」
ミドリ「もう、私に言ってどうするの。カリン先輩にだよ。……じゃあ私、図書室で作業進めてくるから。ゲームばっかりしてないで、ちゃんとプロット考えといてよね、絶対だからね。……すみませんお待たせしました、行きましょう!」
カリン「ああ。……邪魔をしたな、少しミドリを借りていくよ。何時間かしたら返しにくるから」
(バタン)
モモイ「……」
(ガチャ――ギィィ)
アリス「……行きましたか? もう強制エンカウントは終わりましたか?」
ユズ「うう……つ、潰れるかと思った……」
モモイ「ああ、うん。なんか、ミドリも一緒に出てっちゃったけど……」
アリス「……ミドリも? ど、どうしてですか?」
モモイ「今ウチに先生が来てて、そっちで作業進めてくるって。でもあの子、いつの間にカリン先輩とあんなに仲良くなったんだろ……?」
アリス「……! モ、モモイ! もしかしてミドリは、メイド部から洗脳を受けているのでは!?」
モモイ「せ、洗脳!?」
アリス「はい……! このままだとミドリは、ゲーム開発部を抜けてメイド部の新しいエージェントに……!」
モモイ「そ、そんなのダメ! ミドリは大事なゲーム開発部の仲間で、私の妹なんだから! そんなこと絶対にさせない!」
ユズ「え、ええ……? でもこの前、シャーレの当番でカリン先輩と一緒になったって言ってたよね。わたしたちの新作もすごく褒めてもらえたって言ってたし、そもそも洗脳なんて――」
アリス「! そ、それです! きっとそれは罠で、ミドリはその時に洗脳を受けたんです!」
モモイ「うう……こうしちゃいられないよ! 私たちも図書室に行こう! ミドリの目を覚まさせなきゃ!」
アリス「はい! みんなでミドリを連れ戻しましょう!」
ユズ「ええっ? わ、わたしは――ひゃあっ!? まっ待ってアリスちゃん、こんな米俵みたいな、担いで持ってこうとしないで――!」
(ガチャ! ――バタン!)
……こうして図書室で大騒ぎしたゲーム開発部一行は、当然図書委員の生徒に注意を受け、つまみ出されてしまい。
特にモモイは「なんであんなことしたの!」とミドリにまで怒られ、しばらく口を利いてもらえなかったのだった。