そこは見知らぬ世界でした……なのorz 作:dslprojecter
「ちょっとナギサちゃんの家に行ってきますなの〜」
「気をつけて行ってくるですよ〜」
現在は朝9時、軽くおめかしをして、これから友人の家へと遊びに行くので、行き先を告げながら玄関へと向かう。
居間からは呑気な返答であるが、しっかりと返事が返ってきた。
やはり家族と呼べる人が居るのは良い事だと再認識し、少し嬉しさも相まって友人の家へと向かう足取りも軽くなっていた。
今日は日曜日、天気は快晴で久々に友人数人で遊ぶ事になっていた。
友人宅への道中はそれほど離れてもいない為、早足程度の軽快さではあるが日光浴を楽しみながら友人宅へと向かう。
そんな最中、不意に足元の感覚が無くなった。
ーーーどうか世界をタスケテーーー
何かが聞こえたのだが、嫌な予感とデジャヴが塗り消した。
「……やっぱり…ミュウはパパの娘なの」
自身の経験と諦念から、とりあえずエヒトみたいなヤツだけは居ませんように、と祈り目を凝らしながら悟りを拓くだけだった。
☆☆☆
木漏れ日の中、一人佇むのは神殺しの魔王の娘。
周囲を見渡せば歩くには遠いが、大きな城壁と天にも届く塔が見えた。
とりあえず行き先を定め、徐ろに左手を天に翳し一言。
「さ〜ちゃん、お願い」
左手の薬指に填められた指輪が光ったかと思えば、眼前に一体の多脚砲台が現れた。
「さ〜ちゃん、彼処まで載せてってなの」
頭部にある目元から光が灯り、多脚砲台は乗りやすい様に脚を折り曲げた。
「ありがとうなの〜」
んしょんしょ、と多脚砲台の上になんとか乗り、目指すはあの城壁なの〜、と告げて指を指した。
多脚砲台は脚から車輪を出し、緩やかに出発しようとした矢先、目の前に如何にもゴブリンといった個体が武器を持って3体立ちはだかった。
地球でゲームの知識を持っているミュウは、エネミーにエンカウントしたと察し、さ〜ちゃんに即座に命令を下す。
「さ〜ちゃん、ヤッちゃってなの!!」
ーーージャキン、ドガガガッッッ
ゲーム感覚からかミュウには会話をするという気持ちは存在せず、ゴブリンは瞬く間に制圧された。そのままの勢いで城壁へ向かう。
30分ほどだろうか、さ〜ちゃんはひた走り城壁へと着いたのだが、入口が見当たらなかったので、そのまま一周する事にした。
次第に行列が見えてきたので、安堵しつつも警戒の為、さ〜ちゃんからは降りずに近づき行列へと並んだ。
周囲の人達からは異様な目で見られているのは感じているが、地球からの直接転移とあって何が起こるかわからない為、さ〜ちゃんからは降りないと決めていた。
行列も幾分はけ、いざミュウの番になったのだが門番が騒ぎ出した。
「貴様、ソレはなんだ?なんの用でオラリオに来た?」
ミュウは最初、ソレと聞かれ首を傾げたが、さ〜ちゃんを指で指され納得した。
「さ〜ちゃんはさ〜ちゃんなの」
「さ〜ちゃんとは何だ?」
「さ〜ちゃんはさ〜ちゃんなの」
「だからさ〜ちゃんとは何だ?」
「さ〜ちゃんはさ〜ちゃんなの」
「…………」
門番には意味が通じなかった。門番には二人が待機していたが、一人が城壁の中へと走って行った。
待つこと約10分、一人の女性がやってきた。
「ふむ、少女か。私はシャクティ・ヴァルマ、
コレは面倒になりそうだ、と内心で冷や汗を掻きつつ、ミュウは本心を告げた。
「ミュウは此処に呼ばれたの、お腹減ったなの、さ〜ちゃんはさ〜ちゃんなの」
とりあえず伝える事は伝えたぞ、と両手を握りしめ相手の出方を待つ。空腹は敵だ。しかもこの街に入れなければ、食糧の確保が出来ない、切実である。
シャクティと名乗った女性は面を喰らった様な顔をした後、頭を掻きつつ告げた。
「とりあえず空腹についてはなんとかしてやろう、ついて来いミュウ。名前はミュウで良いんだろ?」
ーーージャキン
さーちゃんが砲塔を向けた。見れば少し怒りモードのようだ。
「コイツは何故、今、コレを私に向けた?」
砲塔を指差しつつ疑問を述べるシャクティ。ミュウもまさかいきなり攻撃モードに入るとは思って居なかった為、内心ヒヤヒヤしていた。
「さーちゃん、メッなの。とりあえずついて行くの」
ーーーガコンッ
さーちゃんは砲塔を戻し、ゆっくりとついていく事にした。コレがミュウのオラリオ初入場である。