そこは見知らぬ世界でした……なのorz 作:dslprojecter
ダンジョン1階層、2階層と順調に攻略しつつ、魔石を集めるミュウと優花。
昨日?群がる蝿を潰したよ、何か?と失敗とは成功の肥やしである。と一切を彼方へと飛ばし、二人の快進撃は続いていく。
「優花お姉ちゃん、あそこにシアお姉ちゃんが居る」
ミュウは目前に居たホーンラビットのウサミミを見てそう言った。違う、そうじゃない。
「……ミュウちゃん、ウサミミだけでシアさんとか、シアさん聞いたら泣いちゃうよ」
一部では、世界が滅びない為の抑止力とか世界がうっかり設定を間違えたバグだとか超越者、無敵存在、戦神、世界外超生命体とか敵対したらどうしようもない絶望とか色々と言われているシアだが、普通に家事が得意で笑顔で南雲家を支えている。
普段のシアは南雲家一の良妻なのだ。
「ウサミミがあればシアお姉ちゃんと一緒に居られるなの、だからアレ欲しいの」
普通にスプラッター的な事を口走るミュウに、南雲家の良心である雫や実母のレミアさんも交えて後で南雲に制裁を入れよう、と心に決めた優花(香織?ヤンデレってこの場合、意味あんの?)。
「ミュウちゃん、魔物は倒しても魔石しか残らないわよ。今度、裁縫でウサミミ作ってあげようか?」
優花は真っ当に現実を言い、ミュウの思考を誘導しようと頑張った。ミュウはキョトン、とした顔をした後、少し哀しげな顔を見せたが、元気に振る舞おうとしているのが優花にも見て取れた。
「わかったなの、その時、優花お姉ちゃんも一緒にウサミミ付けるの」
うん?何を間違ったんだろう?かと優花は思ったが哀しみの裏返しなのだろうと思い、序でに異世界という事もあり知り合いが居ないという安心感から安請け合いをしてしまった。
「しょうがない、ミュウちゃんに付き合うよ。一緒にウサミミ付けて遊ぼうか」
「はいなの〜、約束なの〜、破ったら針千本飲ますなの〜」
簡単な返事が返ってくるかと思えば、最後には約束を破ったら後が怖くなった優花。冷や汗を掻きつつもミュウちゃんが元気になればいいや、と考えた。
「それよりも目の前のウサギをどうにかしないとね、シッ」
優花は右手を振り抜きナイフを投擲すると、三匹のウサギのアタマを貫通し手元に戻って来た。ナイフを片手で華麗にキャッチした優花を見ていた者が居たら、何故、前方に飛んだ筈のナイフが戻って来るのか理解出来ないだろう。
世間話をしながらダンジョンを悠々と攻略していく二人は、傍から見たらショッピングでもしている様な気安さだった。
☆☆☆☆☆
難なく16階層までを突破した二人はさて17階層に行こうか、と先を進んだ。ギルドできいたのだが、17階層には門番が居るらしい。ミュウはボスモンスターと聞いてから、真っ直ぐに17階層を目指していた。RPGにボスは必要なの、経験値上がりまくるの〜、と。まぁ、言ってはなんだが16階層までのモンスターは、ミュウ達には敵では無かった。5階層を超えた辺りから、ミュウが雑魚モンスター討伐に飽きてきたのかさ〜ちゃん(魔王)達を呼び出したからである。
途中、周囲を警戒させつつ簡単な昼食を取り、いざ行かんボスモンスターのトコロへ、と相成った。
そして現在に至る……。
「皆、ヤッてやるの。倒せばお宝ザクザクなの。経験値沢山貰えるの〜」
目の前にはミュウを何十倍にもしたモンスターが立ち塞がり、巨体を武器に豪快に手を振り下ろしていた。脚を踏み出せば、その脚力で砂埃を伴って地面が揺れ動き、腕を振り回せば当たれば即死するだろう怪力をこれでもか、と打ち据える。
流石に優花自慢のナイフであっても容易くは無かったのだが、そこはミュウと仲間達との連携を重ね、なんとか左腕を落とすまでは凌いでいた。
「コイツ硬すぎ、ミュウちゃん右肩に集中攻撃して右腕を落とそう」
「わかったなの〜、やろうども〜右肩を狙いやがれ〜なの」
アイアイマム、と片手を振りつつ多脚砲台達は右肩を集中攻撃し始める。ミサイル、レーザー、高分子カッター等、この世界では有り得ない攻撃を行った甲斐もあり右肩の付け根から切り落とされた。
後は魔石を砕くだけという場面で、ボスモンスターは…………………逃走した。
えっ?と呆気に取られたミュウと優花。
少しばかり呆けてしまったがあんな巨体が逃げ回ろうが17階層からは出られない。端まで追い詰めたミュウ達を正面に、あろう事かボスモンスターは土下座をした。あまりにも華麗な土下座に南雲家を思い出したミュウ。なんだか倒すのが可哀想になったので、オイデオイデをしてボスモンスターを腕のあるトコロまで誘導。先ずは右肩に沿って寝転がるよう促す。ボスモンスターが寝転がったトコロで神水を振りかける。あら不思議、右肩がくっついた。次いで左腕を繋げる様に言い、またもや神水を振りかける。
両腕が繋がった事を喜んだボスモンスターはいきなり壁を叩き壊した。
いきなり何だ?と警戒心をMAXにしたのだが、ボスモンスターは壁から一つの魔石をミュウ達に手渡した。
直径は優香の一回り大きいくらい、持てないのでさ〜ちゃん達に持って貰った。
遣る瀬ない気持ちもあったのだが、まぁ、ヘスティアにいいお土産が出来た、と今回の攻略に区切りを付けた二人。
とりあえず帰ろうか、と出口へと向かった。
「……………」
後に残されたのは、一部始終を見ていたオッタルだけであった。